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新世界訳聖書 ― 参照資料付き
ルカ

ルカ*による書

1 わたしたちの間で全く信じられている事柄+について,2 初めからの+目撃証人+また音信に*仕える者+となった人々がわたしたちに伝えたとおりにその叙述をまとめようと,大勢の人が手がけましたが,3 私も,すべてのことについて始めから正確にそのあとをたどりましたので,それを,きわめて優れた+テオフィロ様+,あなたに,論理的な順序+で書いてお伝えすることを思い定めました。4 それは,あなたが口伝えに教えられたことの確かさを十分に知っていただくためです+。

5 ユダヤの王ヘロデの時代+に,アビヤ*+の組の者で,ゼカリヤ*という名の祭司がいた。彼には,アロンの娘である妻があり+,その名をエリサベツといった。6 二人は共に,エホバ*のすべてのおきて+と法的な要求+にしたがって+とがめなく歩んでおり+,神のみ前にあって義にかなった者であった+。7 しかし,彼らには子供がなかった。エリサベツはうまずめであったからである+。しかも,両人ともずっと年を取っていた。

8 さて,[ゼカリヤ]は,自分の組の割り当て+により,神のみ前で祭司の務めを行なっていたが,9 祭司の職の厳粛な習わしにしたがって彼が香をささげる番となり+,エホバ*の聖なる所*の中に入った+。10 そして,大勢の民は皆,香をささげる時刻に外で祈っていた+。11 すると,エホバ*のみ使いが彼に現われて香壇の右側に立った+。12 しかし,ゼカリヤはそれを見て不安になり,恐れの気持ちに襲われた+。13 しかしながらみ使いは彼に言った,「ゼカリヤよ,恐れなくてよい。あなたの祈願は聞き入れられたからである+。あなたの妻エリサベツはあなたに男の子を産むであろう。あなたはその名をヨハネ*と呼ぶのである+。14 そしてあなたには喜びと歓喜とがあり,多くの人がその誕生を歓ぶであろう+。15 彼はエホバ*のみ前で偉大な者となるからである+。しかし,彼はぶどう酒や強い酒をいっさい飲んではならない+。彼は,まさにその母の胎[にいる時]から聖霊*に満たされる+。16 そして,イスラエルの子らの多くの者をその神エホバ*に立ち返らせるであろう+。17 また,彼はエリヤ*の霊と力をもって+そのみ前を行く。それは,父の心を子供に+,不従順な者を義人の実際的な知恵に立ち返らせるため,準備のできた民+をエホバ*のみまえに整えるためである+」。

18 するとゼカリヤはみ使いに言った,「これが確かだということがどうしたら分かるのでしょうか。わたしは年老いていますし+,わたしの妻もずっと年を取っているのです」。19 み使いは答えて言った,「わたしはガブリエル*+,神のすぐみ前に立つ者である。そして,あなたと話し,これらの良いたよりをあなたに告げ知らせる*ために遣わされたのである+。20 しかし,見よ,これらのことが起きる日まで,あなたは黙ったままで+,話すことができないであろう。わたしの言葉を信じなかったからである。それは,定められた時に成就するのである」。21 一方,民のほうは,ゼカリヤをずっと待っていたが+,彼が聖なる所の中で手間どっているのを不思議に思うようになった。22 ところが,外に出て来た彼がものを言えなかったので,人々は,聖なる所の中で超自然の+光景を見たところなのだと悟った。そして彼はただ手まねを続けるだけで,おしになったままであった。23 さて,その公務*の期間が満ちた時+,彼は自分の家に帰って行った。

24 しかし,こうした日ののち,彼の妻エリサベツは妊娠した+。そして,五か月のあいだ引きこもっていて,こう言った。25 「エホバ*はこのごろ,人々の間でのわたしの恥辱を取り去るためわたしに注意を向けてくださり,わたしをこのように扱ってくださいました+」。

26 その六か月目に,み使いガブリエル+は,神のもとから,ナザレというガリラヤの都市に,27 ダビデの家のヨセフという人と婚約していたひとりの処女のもとに遣わされた。その処女+の名はマリア*+といった。28 そして彼女の前に来た時,彼はこう言った。「こんにちは+,大いに恵まれた者よ。エホバ*+はあなたと共におられます+」。29 しかし彼女はそのことばにひどくとまどい,このあいさつはどういうことなのだろうかと考えはじめた。30 それでみ使いは彼女に言った,「マリアよ,恐れることはありません。あなたは神の恵みを得たのです+。31 見よ,あなたは胎内に[子]を宿して男の子を産むでしょう+。あなたはその名をイエス*と呼ぶのです+。32 これは偉大な者となり+,至高者の子と呼ばれるでしょう+。エホバ*神はその父ダビデ+の座を彼に与え+,33 彼は王としてヤコブの家を永久に支配するのです。そして,彼の王国に終わりはありません+」。

34 しかしマリアはみ使いに言った,「どうしてそのようなことがあるのでしょうか。わたしは男と交わりを持っておりませんのに+」。35 み使いは答えて言った,「聖霊+があなたに臨み,至高者の力があなたを覆うのです。そのゆえにも,生まれるものは聖なる者+,神の子+と呼ばれます。36 そして,見よ,あなたの親族エリサベツも,あの老齢で子を宿し,うまずめ+と言われる彼女が,今や六月目となっています。37 神にとっては,どんな宣言*も不可能なことではないのです+」。38 するとマリアは言った,「ご覧ください,エホバ*の奴隷女でございます+! あなたの宣言どおりのことが私の身に起きますように」。すると,み使いは彼女から去って行った。

39 そこでマリアは,そうしたころに,立って山岳地方に急ぎ,ユダのある都市に行った。40 そして,ゼカリヤの家に入って,エリサベツにあいさつした。41 ところが,エリサベツがマリアのあいさつを聞いた時,その胎内の幼児は躍り上がった。そしてエリサベツは聖霊に満たされ,42 大きな叫び声を上げてこう言った。「女のうちであなたは祝福された者,あなたの胎の実も祝福されたものです+! 43 そして,わたしの主+の母に来ていただくこの[特権]がわたしのものになるとはどうしてなのでしょう。44 ご覧なさい,あなたのあいさつの響きがわたしの耳に入ると,わたしの胎内の幼児は,歓喜のあまり躍り上がったのです+。45 信じたその女も幸福です。エホバ*から彼女に語られたそれらのこと+はすべて成し遂げられるからです+」。

46 するとマリアはこう言った。「わたしの魂はエホバ*を大いなるものとし*+,47 わたしの霊は自分の救い主なる神+のゆえに喜びにあふれます+。48 [神]はご自分の奴隷女の卑しい立場を顧みてくださったからです+。ご覧ください,今から後,あらゆる世代の人々がわたしを幸いな者と唱えるでしょう+。49 強力な方がわたしに大いなることをしてくださったからであり,その方のお名前は神聖です+。50 代々にわたり,その憐れみはその方を恐れる人々の上にあります+。51 [神]はみ腕をもって強大なことを行なわれ+,心の意向のごう慢な者たちを広くお散らしになりました+。52 権力を持つ人々を座から下ろし+,立場の低い者たちを高くされました+。53 飢えた者たちを良いもので十分に満ち足らせ+,富む人々をむなし手でお去らせになりました+。54 [神]はご自分の僕イスラエルを助けに来てくださいました+。憐れみを思い出すためであり+,55 それは,わたしたちの父祖に,すなわちアブラハムとその胤*に永久にわたってお告げになったとおりです+」。56 そしてマリアは彼女のもとに三月ほどとどまり,それから自分の家に帰って行った。

57 さて,エリサベツの出産の時が来て,彼女は男の子の母となった。58 そして,隣人や彼女の親族は,エホバ*がご自分の憐れみを彼女に対して大きく示された+ことを聞き,彼女と共に歓ぶようになった+。59 そして八日目に,彼らは幼子に割礼を施そうとしてやって来て+,その[子]を父の名によってゼカリヤと呼ぼうとした。60 しかしその母は答えて言った,「それはなりません! この[子]はヨハネと呼ばれるのです」。61 すると彼らは言った,「あなたの親族の中に,その名で呼ばれている者はだれもいません」。62 そこで彼らは,その[子]を何と呼ぶように望んでいるのかを,手まねでその父に尋ねはじめた。63 すると彼は書き板を求め,「ヨハネ+がその名です」と書いた。それで彼らはみな驚嘆した。64 たちどころに彼の口は開け+,その舌は解けた。そして,彼はものが言えるようになって,神をほめたたえた。65 それで,その近辺に住むすべての者に恐れが臨んだ。そして,ユダヤの山岳地方全体でこれらのすべてのことが語り合われるようになり,66 聞いた人々はみな,それを心に留めて+,「この幼子はいったい何になるのだろうか」と言った。実に,エホバ*のみ手+がその[幼子]と共にあったのである。

67 また,その父ゼカリヤは聖霊に満たされ+,預言して+こう言った。68 「イスラエルの神エホバ*がほめたたえられますように+。ご自分の民+に注意を向け,その救出を成し遂げられたからです+。69 そして,わたしたちのため,ご自分の僕ダビデの家に救いの角*+を起こしてくださいました。70 ご自分の聖なる預言者たちの口を通し,71 わたしたちの敵から,またわたしたちを憎むすべての者の手からの救いについて+昔から語ってこられたとおりです+。72 それは,わたしたちの父祖たちに関連して憐れみを施すため,またご自分の聖なる契約+,73 すなわち,わたしたちの父祖アブラハムに誓われたその誓い+を思い出すため,74 敵の手から救い出されたのち+,75 いつの日もみ前で忠節と義とをもって恐れなく神聖な奉仕をささげる*特権+をわたしたちに得させるためなのです+。76 しかし幼子よ,あなたは,至高者の預言者と呼ばれるでしょう。その道を備えるため,77 罪の許しによる救いの知識をその民に与えるために+,エホバ*のみ前を先立って行くからです+。78 それはわたしたちの神の優しい同情によるのであり,この[同情]と共に,夜明け+が高い所からわたしたちに訪れます+。79 闇と死の陰に座る者に光を与え+,わたしたちの足を平和の道にまっすぐに向けさせるためです」。

80 そして幼子は成長し+,霊において強くなっていった。そして,イスラエルに自分をはっきり示す日までずっと砂漠にいた。

2 さてそのころ,人の住む全地*に登録を命ずる布告+がカエサル*・アウグスツスから出た。2 (この最初の登録はクレニオがシリアの総督であった時に行なわれたものである。)3 それで,すべての人が登録をするため+,それぞれ自分の都市に旅立った。4 もとよりヨセフも,ダビデの家また家族の一員であったので+,ナザレの都市を出て,ガリラヤからユダヤに入り,ベツレヘム+と呼ばれるダビデの都市に上った。5 約束どおり彼に嫁ぎ+,今は身重になっていた+マリア+と共に登録をするためであった。6 彼らがそこにいる間に,彼女の出産の日が来た。7 そして彼女は男の子,初子を産み+,これを布の帯でくるんで,飼い葉おけの中に横たえた+。泊まり部屋*に彼らの場所はなかったからである。

8 またその同じ地方では,羊飼いたちが戸外に住んで*,夜間に自分の群れの番をしていた。9 すると突然,エホバ*のみ使い+が彼らのそばに立ち,エホバ*の栄光+が彼らの周りにきらめいた。そのため彼らは非常な恐れを感じた。10 しかしみ使いは彼らに言った,「恐れることはありません。見よ,わたしはあなた方に,民のすべてに大きな喜びとなる良いたよりを告げ知らせているのです+。11 今日,ダビデの都市+で,あなた方に救い主+,主なるキリスト*+が*生まれたからです。12 そして,これがあなた方のためのしるしです。あなた方は,幼児が布の帯にくるまり,飼い葉おけの中に横たわっているのを見つけるでしょう」。13 すると突然,大勢の天軍*がそのみ使いと共になり+,神を賛美して+こう言った。14 「上なる高き所+では栄光が神に,地上では平和+が善意の人々*の間にあるように+」。

15 それで,み使いたちが彼らを離れて天に行ってから,羊飼いたちは互いにこう言いはじめた。「ぜひベツレヘムまで行って,エホバ*+がわたしたちに知らせてくださったこの出来事を見てこようではないか」。16 そこで彼らは急いで行き,マリア,それにヨセフ,そして飼い葉おけの中に横たわっている幼児を見つけた。17 彼らはそれを見ると,この幼子について自分たちに語られていた事柄を知らせた。18 すると,聞く者は皆,羊飼いたちの話す事柄に驚嘆した。19 しかしマリアは,心の中であれこれと結論を下しつつ,こうして語られる事柄すべてを[記憶に]とどめていった+。20 それから羊飼いたちは,自分たちが聞いたり見たりした事すべてについて神の栄光をたたえ,また賛美しながら戻って行った。自分たちに告げられていたとおりであったのである。

21 さて,八日+が満ちて彼に割礼を施す+時になると,その名もイエス*と名づけられた+。胎内に宿される前,み使いによって付けられた名である+。

22 また,モーセの律法にしたがってその浄めの期間+が満ちた時,彼らはエホバ*に差し出すため,その[子]を連れてエルサレムに上った。23 エホバ*の律法に,「胎を開く男子はみなエホバ*に対して聖なるものと呼ばれねばならない+」と書いてあるとおりにである。24 また,エホバ*の律法に,「やまばと一組もしくは若いいえばと二羽+」と述べられているところにしたがって犠牲をささげるためであった。

25 そして,見よ,エルサレムにシメオンという名の人がいた。これは義にかなった敬虔な人であり,イスラエルの慰めを待っていた+。そして,聖霊がその上にあった。26 さらにこの人には,エホバ*のキリスト+を見るまでは死を見ないということが,聖霊によって神から啓示されていた。27 さて,彼は霊に動かされて+神殿に入った。そして,その両親が,律法のしきたりどおりに行なうため+,幼子イエスを連れて入って来ると,28 自らその[子]を腕の中に迎え,神をほめたたえてこう言った。29 「主権者なる主*よ,今こそあなたは,ご自分の宣言どおり,この奴隷を安らかにゆかせてくださいます+。30 わたしの目はあなたの救いの手だてを見たからです+。31 それはあらゆる民の見るところであなたが用意されたものであり+,32 諸国民+からベールを取り除く+ための光*+,またあなたの民イスラエルの栄光です」。33 するとその父と母は,[幼子]について語られる事柄を終始不思議に思っていた。34 また,シメオンは彼らを祝福したが,その母マリアにこう言った。「見よ,この者は,イスラエルの多くの人が倒れ+,また再び立ち上がる*ため+,そして非難を浴びるしるしのために置かれています+。35 (そうです,長い剣がまさにあなたの魂*を貫くでしょう+。)それは,多くの心の推論が暴かれるためなのです+」。

36 さて,アシェル族の者で,パヌエルの娘である,女預言者アンナがいた。(この女はずっと年を取っており,処女の時から七年間夫と共に暮らしたが,37 今はやもめ+であり,八十四歳であった。)この女は神殿から離れたことがなく,断食と祈願とをもって夜昼神聖な奉仕をささげて*いた+。38 そして,ちょうどこの時間に近くに来て神*に感謝をささげ,また,エルサレムの救出を待つ人々+すべてに,[その子供]について*語りはじめた。

39 こうして,エホバ*の律法にしたがってすべてのことを果たしてから+,彼らはガリラヤへ,自分たちの都市ナザレ+に戻って行った。40 そして,幼子は成長して強くなってゆき+,知恵に満たされ,神の恵み+が引き続きその上にあった。

41 さて,彼の両親は,過ぎ越しの祭りのため年ごとにエルサレムに行くのが習わしであった+。42 そして[イエス]が十二歳になった時であったが,彼らは祭りの習慣にしたがって上って行き+,43 その期間の終わりまでとどまった。しかし彼らが帰途についた時,少年イエスはエルサレムに残っていて,両親はそのことに気づかなかった。44 一緒に旅行している連れの中にいるものと思い,一日の道のり+を行ってから,親族や知人の間に彼を尋ねてまわった。45 ところが見つからないので,彼らはエルサレムに引き返して,丹念に捜してみた。46 すると三日後に,彼が神殿におり+,教師たちの真ん中に座って,その[話すこと]を聴いたり質問したりしているのが見つかった。47 しかし,彼[の話すこと]を聴いていた者たちは皆,その理解力と答えに終始驚き惑っていたのである+。48 そこで,[イエス]を見て,彼らはすっかり驚いてしまった。そして母が彼に言った,「子供よ,どうしてこんなことをしてくれたのです。ご覧なさい,父上とわたしは痛む思いをしながらあなたを捜していたのです」。49 しかし彼は言った,「なぜ私を捜さなければならなかったのですか。私が自分の父の[家]にいるはずのことをご存じではなかったのですか+」。50 しかしながら,彼らは[イエス]が話したことばの意味を悟らなかった+。

51 それから彼は[両親]と共に下ってナザレに来た。そして,引き続き彼らに服しておられた+。また,彼の母はこうしたことば*をすべて心の中に注意深くおさめた+。52 そしてイエスは,知恵においても+,身体的な成長においても,また神と人からの恵みの点でも+さらに進んでいった。

3 ティベリウス・カエサル*の治世の第十五年,ポンテオ・ピラトがユダヤの総督,ヘロデ*+がガリラヤの地域支配者*,一方その兄弟フィリポがイツリアおよびテラコニテ地方の地域支配者,そしてルサニアがアビレネの地域支配者であった時,2 祭司長アンナス,およびカヤファ+の時代に,神の宣言が荒野において+ゼカリヤの子ヨハネ+に臨んだ。

3 それで彼はヨルダン周辺の全地方に来て,罪の許しのための悔い改めの[象徴としての]バプテスマを宣べ伝えた+。4 預言者イザヤの言葉の書に記されているとおりである。「聴け! だれかが荒野で叫んでいる。『あなた方はエホバ*の道を備えよ。その道路をまっすぐにせよ+。5 谷間はみな埋められ,山と丘はみな平らにされねばならず,曲がったところはまっすぐな道に,でこぼこの所はなだらかな道にならねばならない+。6 そして肉なる者はみな神の救いの手だてを見るであろう+』」。

7 それで,彼からバプテスマを受けようとして出て来る群衆に対して,彼はこう言いはじめた。「まむしらの子孫よ+,来ようとしている憤りから逃れるべきことを,だれがあなた方に暗示したのですか+。8 それでは,悔い改め*にふさわしい実を生み出しなさい+。そして,自分の中で,『わたしたちの父にアブラハムがいる』などと言いだしてはなりません。あなた方に言っておきますが,神はこれらの石からアブラハムに子供たちを起こす力をお持ちになるのです。9 実際のところ,斧はすでに木の根もとに置いてあります。それゆえ,りっぱな実を生み出していない木はみな切り倒されて火に投げ込まれるのです+」。

10 すると,群衆は彼にこう尋ねるのであった。「では,わたしたちはどうしたらよいのでしょうか+」。11 彼は答えて言うのであった,「下着を二枚持つ人は一枚も持たない人と分け合い,食べ物を持つ者も同じようにしなさい+」。12 しかし,収税人たちまでがバプテスマを受けに来て,「師よ,わたしたちはどうしたらよいのでしょうか」と言った+。13 [ヨハネ]は彼らに言った,「税率以上のものを要求してはなりません+」。14 また,兵役についている人々も,「わたしたちとしてはどうしたらよいのでしょうか」と尋ねるのであった。すると彼は言った,「だれをも悩ましたり,だれをも偽って訴えたりしてはならず+,自分の給与*で満足しなさい+」。

15 さて,民は待ち設けており,またすべての者がヨハネに関し,「あるいは彼がキリストではなかろうか」と心の中で考えを巡らしていたので+,16 ヨハネはすべての者にこう言って,その答えを与えた。「わたしは,あなた方に水でバプテスマを施します。しかし,わたしより強い方が来られます。わたしはその方のサンダルの締めひもをほどくにも値しません+。その方はあなた方に聖霊と火でバプテスマを施すでしょう+。17 [穀物を]あおり分けるシャベルがその手にあります。それは自分の脱穀場をすっかりきれいにし,小麦を自分の倉の中に集めるためです+。しかし,もみがらのほうは+,消すことのできない火で焼き払うでしょう+」。

18 それで,彼はほかにも多くの勧めをし,引き続き民に良いたよりを宣明した。19 しかし地域支配者*のヘロデは,自分の兄弟の妻ヘロデアに関し,またヘロデが行なったすべての邪悪な行為に関して彼に戒められたため+,20 そうした[行為]すべてに加えてさらにこのことを行なった。すなわち,ヨハネを獄に閉じ込めたのである+。

21 さて,民が皆バプテスマを受けていた時,イエス+もまたバプテスマをお受けになった*。そして,祈っておられると,天+が開け,22 聖霊がはとのような形をとって彼の上に下り,また天から声があった。「あなたはわたしの子,[わたしの]愛する者である。わたしはあなたを是認した+」。

23 なお,イエス自身は,[その業+を]開始された*時,およそ三十歳であり+,[人の]意見では*,ヨセフの子+であった+。

[ヨセフは]ヘリの[子],

24 [ヘリは]マタテの[子],

[マタテは]レビの[子],

[レビは]メルキの[子],

[メルキは]ヤンナイの[子],

[ヤンナイは]ヨセフの[子],

25 [ヨセフは]マタテヤの[子],

[マタテヤは]アモスの[子],

[アモスは]ナホムの[子],

[ナホムは]エスリの[子],

[エスリは]ナンガイの[子],

26 [ナンガイは]マアテの[子],

[マアテは]マタテヤの[子],

[マタテヤは]セメインの[子],

[セメインは]ヨセクの[子],

[ヨセクは]ヨダの[子],

27 [ヨダは]ヨハナンの[子],

[ヨハナンは]レサの[子],

[レサは]ゼルバベル+の[子],

[ゼルバベルは]シャルテル*+の[子],

[シャルテルは]ネリの[子],

28 [ネリは]メルキの[子],

[メルキは]アデイの[子],

[アデイは]コサムの[子],

[コサムは]エルマダムの[子],

[エルマダムは]エルの[子],

29 [エルは]イエス*の[子],

[イエスは]エリエゼルの[子],

[エリエゼルは]ヨリムの[子],

[ヨリムは]マタテの[子],

[マタテは]レビの[子],

30 [レビは]シメオンの[子],

[シメオンは]ユダの[子],

[ユダは]ヨセフの[子],

[ヨセフは]ヨナムの[子],

[ヨナムは]エリヤキムの[子],

31 [エリヤキムは]メレアの[子],

[メレアは]メンナの[子],

[メンナは]マタタの[子],

[マタタは]ナタン+の[子],

[ナタンは]ダビデ+の[子],

32 [ダビデは]エッサイ+の[子],

[エッサイは]オベデ*+の[子],

[オベデは]ボアズ+の[子],

[ボアズは]サルモン*+の[子],

[サルモンは]ナフション+の[子],

33 [ナフションは]アミナダブ*+の[子],

[アミナダブは]アルニ*+の[子],

[アルニは]ヘツロン+の[子],

[ヘツロンは]ペレツ+の[子],

[ペレツは]ユダ+の[子],

34 [ユダは]ヤコブ+の[子],

[ヤコブは]イサク+の[子],

[イサクは]アブラハム+の[子],

[アブラハムは]テラ+の[子],

[テラは]ナホル+の[子],

35 [ナホルは]セルグ+の[子],

[セルグは]レウ+の[子],

[レウは]ペレグ+の[子],

[ペレグは]エベル+の[子],

[エベルは]シェラハ+の[子],

36 [シェラハは]カイナンの[子],

[カイナンは*]アルパクシャド+の[子],

[アルパクシャドは]セム+の[子],

[セムは]ノア+の[子],

[ノアは]レメク+の[子],

37 [レメクは]メトセラ+の[子],

[メトセラは]エノク+の[子],

[エノクは]ヤレド+の[子],

[ヤレドは]マハラルエル+の[子],

[マハラルエルは]カイナン+の[子],

38 [カイナンは]エノシュ+の[子],

[エノシュは]セツ+の[子],

[セツは]アダム+の[子],

[アダムは]神の[子]であった。

4 さて,イエスは聖霊に満ちて,ヨルダンから去って行かれた。そして,霊*によって荒野をあちらこちらと導かれて+ 2 四十日におよび+,その間悪魔の誘惑を受けられた+。その上,それらの日のあいだ何も食べなかったので,それが終わった時,飢えを感じられた。3 すると,悪魔は彼に言った,「あなたが神の子であるなら,この石に,パンになるように命じなさい」。4 しかしイエスは彼にお答えになった,「『人はパンだけで生きるのではない*+』と書いてあります」。

5 それで彼は[イエス]を連れて上り,またたく間に人の住む地のすべての王国を見せた。6 そして悪魔は言った,「この権威*すべて+とこれらの栄光をあなたに上げましょう。それはわたしに渡されているからです。だれでもわたしの望む者に,わたしはそれを与えるのです+。7 それで,あなたが,わたしの前で崇拝の行為+をするなら,それは皆あなたのものになるのです」。8 イエスは答えて言われた,「『あなたの神エホバ*+をあなたは崇拝しなければならず,この方だけに神聖な奉仕をささげなければならない*+』と書いてあります」。

9 ついで彼は[イエス]をエルサレムの中に連れて行き,神殿の胸壁の上に立たせて+,こう言った。「あなたが神の子であるなら,ここから身を下に投じなさい+。10 『[神]はあなたに関してご自分の使いたちに指図を与え,あなたを守らせるであろう+』,11 そして,『彼らはその手に載せてあなたを運び,あなたが石に足を打ちつけることのないようにする+』と書いてあるからです」。12 イエスは答えて言われた,「『あなたの神エホバ*を試みてはならない+』と言われています」。13 それで悪魔は誘惑をすべて終え,別の都合の良い時まで彼のもとから身を引いた+。

14 それからイエスは霊の力に動かされてガリラヤに帰られた+。すると,彼の評判は周囲の全地方にあまねく広まった+。15 また,彼は人々の会堂で教えはじめ,すべての人から敬われた+。

16 そして[イエス]はナザレに来られた+。そこは彼の育てられた所である。そして,安息日ごとの自分の習慣どおり会堂に入り+,次いで,朗読のために立ち上がられた。17 そこで預言者イザヤの巻き物が彼に手渡された。彼は巻き物を開き,こう書いてある所を見いだされた。18 「エホバ*の霊+がわたしの上にある。貧しい者に良いたよりを宣明させるためわたしに油をそそぎ*,捕らわれ人に釈放を,盲人に視力の回復を宣べ伝え,打ちひしがれた者を解き放して去らせ+,19 エホバ*の受け入れられる年を宣べ伝えさせるために+,わたしを遣わしてくださったからである」。20 そうして彼は巻き物を巻き,それを付き添いの者に返して,腰を下ろされた。すると,会堂にいたすべての人の目がじっと彼に注がれた。21 その時,彼はこう言い始められた。「あなた方がいま聞いたこの聖句は*,きょう成就しています+」。

22 それで人々はみな彼について好意的な証しをし,またその口から出る,人を引きつける言葉+に驚嘆するようになった。また彼らは,「これはヨセフの子ではないか」と言うのであった+。23 すると[イエス]は彼らにこう言われた。「きっとあなた方はこの例え*をわたしに当てはめるでしょう。『医者よ+,自分を治せ。カペルナウム+で起きたとわたしたちが聞いた事柄+を,ここ,自分の郷里でも行なえ+』と」。24 だが,[イエス]はこう言われた。「あなた方に真実に言いますが,預言者はだれも自分の郷里では受け入れられないものです。25 例えば,あなた方にほんとうに言いますが,エリヤの日に,イスラエルには多くのやもめがいました。その時,天は三年六か月のあいだ閉ざされ,そのため大飢きんが全土を襲いました+。26 それでも,エリヤはそれら[女たち]のだれのもとにも遣わされず,ただシドンの地のザレパテ*+にいた一人のやもめのもとに[遣わされました]。27 また,預言者エリシャの時に,イスラエルには多くのらい病人がいましたが,そのうち一人も清められず,ただシリアの人ナアマンが[清められたのです+]」。28 さて,会堂でこれらのことを聞いていた者はみな怒りでいっぱいになった+。29 そして,立ち上がって彼を市の外へせき立て,彼らの都市が建てられた山*のがけ端に連れて行った。彼をさかさに投げ落とそうとしてであった+。30 しかし[イエス]は彼らの真ん中を通り抜けて,そのまま進んで行かれた+。

31 それから[イエス]はガリラヤの都市カペルナウムに下って行かれた+。そして,安息日に人々を教えておられた。32 すると彼らはその教え方にすっかり驚くのであった+。彼の話すことには権威があったからである+。33 さて,会堂には,霊つまり汚れた悪霊につかれた*人がいて+,大声でこうどなった。34 「ああ,ナザレ人イエス+よ,わたしたちはあなたと何のかかわりがあるのですか*+。わたしたちを滅ぼそうとしてやって来たのですか。わたしはあなたがだれかをはっきり知っています+,神の聖なる者です+」。35 しかし,イエスはそれを叱りつけてこう言われた。「黙っていなさい。そして,彼から出て来なさい」。そこで,悪霊は,その人を人々の真ん中に投げ倒してから出て来たが,彼を傷つけてはいなかった+。36 すると,非常な驚きがすべての者に臨み,彼らは互いに語り合ってこう言った。「これは何という話なのだろう。彼が権威と力とをもって命じると,汚れた霊たちは出て来るのだ+」。37 こうして,彼に関するたよりは周囲の地方のすみずみに伝わっていった+。

38 立って会堂を出てから,[イエス]はシモンの家に入られた。ところで,シモンのしゅうとめが高い熱で苦しんでおり,人々は彼女のためにお願いした+。39 それで[イエス]は彼女を見下ろして立ち,その熱を叱りつけられた+。すると,それは引いたのである。彼女はすぐさま起き上がり,彼らに仕えるようになった+。

40 しかし,日が沈みかけたころ,さまざまな疾患で病む者たちをかかえる人々がみな,[その病人たち]を彼のもとに連れて来た。[イエス]はそのひとりひとりの上に手を置いて,彼らを治されるのであった+。41 悪霊たちもまた,叫び声を上げ,「あなたは神の子+です」と言いながら,多くの者から出て来るのであった+。しかし[イエス]は,彼らを叱りつけ,語ることを許そうとはされなかった+。[イエス]がキリストであることを+,彼らが知っていたからである+。

42 しかしながら,夜が明けると,[イエス]は外に出て寂しい場所に行かれた+。しかし群衆はあちこちと捜し回り,彼のいるところにまでやって来た。そして,彼が自分たちのところから去って行くのを引き留めようとした。43 しかし[イエス]は彼らにこう言われた。「わたしはほかの都市にも神の王国の良いたよりを宣明しなければなりません。わたしはそのために遣わされたからです+」。44 こうして[イエス]はユダヤの諸会堂で宣べ伝えて行かれた+。

5 群衆が間近に迫って神の言葉を聴いていた時であったが,[イエス]はゲネサレ湖+のほとりに立っておられた。2 そして,二そうの舟が湖畔に泊めてあるのをご覧になったが,漁師たちはそれから出て,網を洗っているところであった+。3 [イエス]は一方の舟に乗られたが,それはシモンの[舟]であり,陸から少し離すようにと彼にお求めになった。それから腰を下ろし,舟の中から+群衆に教えはじめられた。4 話し終えてから,シモンにこう言われた。「深いところに乗り出しなさい。そしてあなた方は,網を下ろして+漁をしなさい」。5 しかしシモンは答えて言った,「先生,わたしたちはまる一晩労苦して何も取れなかったのですが+,仰せのとおりに網を降ろしてみます」。6 ところが,これを行なった彼らは,非常に多くの魚を囲い込んだのである。事実,彼らの網は裂けはじめた。7 それで彼らは,もう一方の舟にいる仲間の者たちに,来て加勢してくれるようにと身ぶりで合図をした+。彼らはそのとおりやって来て,両方の舟をいっぱいにした。そのために,[舟]は沈みかけた。8 これを見て,シモン・ペテロ+はイエスのひざもとにひれ伏し,「私からお離れください。私は罪深い男なのです,主よ*」と言った+。9 自分たちが引き上げた魚が大漁なのを見て,彼も共にいた者もみな非常な驚きに圧倒されてしまったのである。10 シモンと分け合う者であるゼベダイの息子たち+,ヤコブとヨハネの両人も同様であった。しかしイエスはシモンに言われた,「恐れなくてもよい。今から後,あなたは人を生きながら捕るのです+」。11 それで彼らは舟を陸に戻し,一切のものを捨てて彼のあとに従った+。

12 [イエス]がある都市にいた別の時のことであったが,見よ,体じゅうらい病の人がいた。イエスを見かけると,彼はうつ伏して願いをし,「主よ,あなたは,ただそうお望みになるだけで,私を清くすることがおできになります」と言った+。13 そこで[イエス]は手を伸ばして彼に触り,「わたしはそう望みます。清くなりなさい」と言われた。すると,らい病はすぐに消えたのである+。14 そして[イエス]は,だれにも話さないようにとその人に命じ+,「ただし,行って自分を祭司に見せ+,モーセが指示したとおり,自分の清めに関連した捧げ物をして+,彼らへの証し*としなさい+」と[言われた]。15 しかし彼に関する話はますます広まってゆき,[彼のことばを]聴き,また自分の病気を治してもらおうとして,大群衆が集まって来るのであった+。16 しかし[イエス]はずっと砂漠に引きこもって,祈りをしておられた+。

17 そうしたある日のことであったが,[イエス]は教えておられ,ガリラヤとユダヤのすべての村およびエルサレムから出て来たパリサイ人や律法の教師たちもそこに座っていた。そして,彼がいやしを行なうようにエホバ*の力がそこにあった+。18 すると,見よ,まひした人を寝床に載せたまま運んで来る男たちがいたが,その人を連れて入って[イエス]の前に置く道を探しているところであった+。19 そして,群衆のために,連れて入る道を見いだせなかったので,彼らは屋根によじ登り,かわら屋根を破って,小さな寝床のまま,イエスの前にいた人々の間に彼を下ろした+。20 すると[イエス]は,彼らの信仰をご覧になってこう言われた。「人よ,あなたの罪は許されています+」。21 するとすぐ,書士とパリサイ人たちは論議を始めてこう言った。「冒とくのことばを吐くこの者は何者か+。神おひとりのほかにだれが罪を許せるのか+」。22 しかしイエスは彼らの論議を見抜き,答えてこう言われた。「あなた方は心の中で何を思い巡らしているのですか+。23 『あなたの罪は許されている』と言うのと,『起き上がって歩きなさい』と言うのでは,どちらが易しいですか+。24 しかし,人の子が罪を許す権威を地上で持っていることをあなた方が知るために ―」[イエス]はまひした人に言われた,「あなたに言います,起き上がり,あなたの小さな寝床を取り上げて家に帰りなさい+」。25 すると,彼は人々の前でたちどころに身を起こし,自分がそれまで横たわっていたものを取り上げて,神の栄光をたたえながら自分の家に戻って行った+。26 その時,すべての者は狂喜+にとらわれて神の栄光をたたえるようになり,また恐れに満たされて,「今日は不思議な事を見たものだ」と言った+。

27 さて,こうしたことの後であったが,[イエス]は外に出て,レビという名の収税人が収税所に座っているのをご覧になり,「わたしの追随者になりなさい」と言われた+。28 すると,彼は一切のものを後にして+立ち上がり,[イエス]に従うようになった。29 またレビは,彼のために自分の家で盛大な歓迎の宴を設けた。そして,非常に大勢の収税人その他の者が彼らと共に食事の席について横になっていた+。30 すると,パリサイ人やその書士たちが彼の弟子たちに向かってつぶやきはじめ,「あなた方が収税人や罪人たちと一緒に食べたり飲んだりするのはどういうわけか」と言った+。31 イエスは答えて彼らに言われた,「健康な人に医者は必要でなく+,病んでいる人に[必要]なのです+。32 わたしは,義人たちではなく,罪人たちを悔い改めに招くために来たのです+」。

33 彼らは言った,「ヨハネの弟子たちはたびたび断食をして祈願をささげ,またパリサイ人の[弟子たち]もそうするのに,あなたの[弟子たち]は食べたり飲んだりします+」。34 イエスは彼らに言われた,「花婿が共にいる間,花婿の友人たち*に断食をさせることはできないではありませんか+。35 しかし,花婿+が彼らからまさに取り去られる日が来ます+。そうなれば,そうした日には,彼らは断食をするでしょう+」。

36 さらに,[イエス]は彼らに次の例えを話された。「新しい外衣から継ぎ切れを切って古い外衣に縫いつける人はだれもいません。もしそうするなら,新しい継ぎ切れはちぎれてしまいますし,新しい衣からの継ぎ切れは古いものに合いません+。37 また,新しいぶどう酒を古い皮袋に入れる人はだれもいません。もしそうするなら,新しいぶどう酒は皮袋を破裂させ+,それはこぼれ出て,皮袋はだめになります+。38 新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れなければならないのです。39 古いぶどう酒を飲んだ人はだれも新しいものを欲しがりません。その人は,『古いのは+うまい*』と言うのです」。

6 さてある安息日のこと,[イエス]はちょうど穀物畑の中を通っておられ,弟子たちは穀物の穂をむしり+,それを手でこすって食べたりしていた+。2 すると,パリサイ人のある者たちが,「なぜあなた方は安息日にしてはいけないこと+をしているのか」と言った+。3 しかしイエスは彼らに答えて言われた,「ダビデ+および共にいた人たちが飢えた時に彼が行なった事柄について,あなた方は読んだことがないのですか+。4 すなわち,彼が神の家の中に入り,供え物のパン*+を受け取って食べ,自分と共にいた者たちにも分け与えたことを。それは,ただ祭司たちのほかは,だれも食べることを許されないものなのです+」。5 そして,続けて彼らにこう言われた。「人の子は安息日の主なのです+」。

6 別の安息日のこと+,[イエス]は会堂の中に入って教えはじめられた。すると,そこには右手のなえた人が来ていた+。7 そこで,書士とパリサイ人たちは,彼が安息日に[病人を]治すかどうかを見ようとして,じっと見守っていた+。彼を訴えるすべを何か見いだそうとしてであった+。8 しかし[イエス]は,彼らの論議を知っていたにもかかわらず+,片手のなえた人に,「起き上がって,中央に立ちなさい」と言われた。それで彼は身を起こして,そこに立った+。9 それからイエスは彼らに言われた,「あなた方に尋ねますが,安息日に許されているのは,善を行なうことですか+,危害を加えることですか。魂*を救うことですか,滅ぼすことですか+」。10 そして,彼らすべてを見回してから,その人に*こう言われた。「あなたの手を伸ばしなさい」。彼がそのとおりにすると,その手は元どおりになったのである+。11 ところが,彼らは狂わんばかりに怒り,イエスに対して何を行なおうかと話し合いをはじめた+。

12 こうした日のこと,[イエス]は祈りをするため山に出て行き+,夜通し神に祈りをしておられた+。13 しかし夜が明けると,弟子たちを自分のところに呼び,その中から十二人を選び,その者たちを使徒と名づけられた+。14 [イエス]がペテロ+ともお呼びになったシモンとその兄弟アンデレ,ヤコブとヨハネ+,フィリポ+とバルトロマイ,15 マタイとトマス+,アルパヨの[子]ヤコブ,「熱心な者*」と呼ばれるシモン+,16 ヤコブの[子]ユダ,そしてユダ・イスカリオテであり,この者は反逆者となった+。

17 それから[イエス]は彼らと共に下りて来て,平らな所に立たれた。そして彼の弟子の大群衆,それに,全ユダヤとエルサレム,およびティルスとシドンの沿海の地方から来た非常に大勢の人々がいた+。それは,彼[の話]を聞き,また自分たちの病気をいやしてもらおうとしてやって来た人々であった+。18 汚れた霊に苦しめられている人々さえ治されたのである。19 そして群衆はみな彼に触ろうとしていた+。力+が彼から出て,すべての者をいやしていたからである。

20 そうして[イエス]は弟子たちのほうに目を上げて,こう言いはじめられた+。

「あなた方,貧しい人たちは幸い*です+。神の王国はあなた方のものだからです。

21 「いま飢えているあなた方は幸いです+。あなた方は満たされるからです+。

「いま泣き悲しむあなた方は幸いです。あなた方は笑うようになるからです+。

22 「いつでも,人々があなた方を憎むとき+,またいつでも,人の子のために人々があなた方を締め出し,非難し,あなた方の名をいとわしいものとして退けるとき+,あなた方は幸いです。23 その日には歓び躍りなさい。ご覧なさい,天においてあなた方の報いは大きいからです。それらは,彼らの父祖が預言者たちに行なってきたのと同じことなのです+。

24 「しかし,あなた方,富んだ人たちは災いです+! あなた方は自分の慰めをすべて得ているからです+。

25 「いま満たされているあなた方は災いです! あなた方は飢えるようになるからです+。

「災いです! いま笑っているあなた方は。あなた方は嘆き,かつ泣き悲しむようになるからです+。

26 「災いです! すべての人があなた方のことを良く言うときには。そのようなことは,彼らの父祖が偽りの預言者たちに対して行なったことなのです+。

27 「しかし,聴いているあなた方に言いますが,あなた方の敵を愛し+,あなた方を憎む者に善を行ない+,28 あなた方をのろう者を祝福し,あなた方を侮辱する者のために祈り続けなさい+。29 あなたの一方のほほを打つ者には+,他[のほほ]をも差し出しなさい。また,あなたの外衣を取ってゆく者に対しては+,下着をさえ与えることを控えてはなりません。30 あなたに求める者にはだれにでも与え+,あなたの物を取ってゆく人からは,[それを]返してもらおうとしてはなりません。

31 「また,あなた方は,自分にして欲しいと思うとおりに*,人にも同じようにしなさい*+。

32 「そして,自分を愛してくれる者を愛したからといって,あなた方にとって何の誉れとなるでしょうか。罪人たちでさえ自分を愛してくれる者を愛するのです+。33 そして,自分によくしてくれる者に善を行なったからといって,あなた方にとっていったい何の誉れとなるでしょうか。罪人たちでさえ同じことをするのです+。34 また,[利息なしで]貸したからといって+,その人から受け取ることを望んでいるのであれば,あなた方にとって何の誉れとなるでしょうか。罪人たちでさえ,同じだけ取り戻そうとして,罪人たちに[利息なしで]貸すのです+。35 それとは反対に,あなた方の敵を愛しつづけ,善を行ないつづけ,何か返してもらうことなど期待せずに[利息なしで]貸すことを続けてゆきなさい+。そうすれば,あなた方の報いは大きく,あなた方は至高者の子となるのです+。[神]は感謝しない邪悪な者にも親切であられるからです+。36 あなた方の父が憐れみ深いように,あなた方も常に憐れみ深くなりなさい+。

37 「また,裁くのをやめなさい。そうすれば,あなた方が裁かれることは決してないでしょう+。また,罪に定めるのをやめなさい。そうすれば,あなた方が罪に定められることは決してないでしょう。いつも放免しなさい。そうすれば,あなた方も放免されるでしょう+。38 いつも与えなさい。そうすれば,人々はあなた方に与えてくれるでしょう+。彼らは押し入れ,揺すり入れ,あふれるほどに量りをよくして,あなた方のひざ*に注ぎ込んでくれるでしょう。あなた方が量り出しているその量りで,今度は人々があなた方に量り出してくれるのです+」。

39 それから,[イエス]はまた次の例えを話された。「盲人が盲人を案内できるでしょうか。二人とも穴に転がり込んでしまうのではありませんか+。40 生徒は教師より上ではありませんが,すべて完全に教え諭された者は自分の教師のようになるのです+。41 では,なぜ,兄弟の目の中にあるわらを見ながら,自分の目の中にある垂木に注意しないのですか+。42 あなた自身が自分のその目の中の垂木を見ていないのに,どうして兄弟に,『兄弟,あなたの目の中にあるわらを抜き取らせてください』と言えるのですか+。偽善者よ! まず自分の目から垂木を抜き取りなさい+。そうすれば,兄弟の目の中にあるわらをどうしたら抜き取れるかがはっきり分かるでしょう+。

43 「りっぱな木で腐った実を生み出しているものはなく,腐った木でりっぱな実を生み出しているものもないのです+。44 木はそれぞれその実によって知られるからです+。たとえば,人はいばらからいちじくを集めず,また,いばらの茂みからぶどうを切り取ることもありません+。45 善良な人は自分の心の良い宝の中から良いものを取り出し+,邪悪な人は自分の邪悪な[宝]の中から邪悪なものを取り出します。心に満ちあふれているものの中から人の口は語るからです+。

46 「では,なぜあなた方は,わたしのことを,『主よ! 主よ!』と呼んでいながら,わたしの言うことを行なわないのですか+。47 すべてわたしのもとに来てわたしの言葉を聞き,かつそれを行なう人,それがどのような人かをあなた方に示しましょう+。48 それは家を建てた人のようですが,その人は深く掘り下げて,岩塊の上に土台を据えたのです。その結果,洪水+が起きて川[の水]がその家に押し寄せても,それを揺り動かすことはできませんでした。それがよく建てられていたからです+。49 他方,聞いても行なわない人+は,地面に土台なしで家を建てた人のようです。川[の水]が押し寄せると,それはすぐに倒壊し,その家の壊れ方+はひどくなりました+」。

7 民の聞くところで自分の話すことをすべて言い終えると,[イエス]はカペルナウムに入られた+。2 さて,ある士官の*奴隷で,彼にとって大切な者が,病気になって死にかかっていた+。3 イエスのことを聞くと,彼はユダヤ人の年長者たちをそのもとに遣わし,来て自分の奴隷を無事に切り抜けさせてくださるようにと頼んだ。4 そこで,イエスのもとにやって来た人々は真剣に*懇願しはじめて,こう言った。「あの人はあなたがこれをお授けになるにふさわしい人です。5 わたしたちの国民を愛して+,わたしたちのために自ら会堂を建てたほどなのです」。6 それでイエスは彼らと一緒に出かけて行った。しかし,その家からあまり遠くない所まで来た時,士官は,彼に次のように言わせようとして,すでに友人たちを送り出したところであった。「閣下,ご足労をおかけするまでもありません。私は,自分の屋根の下にあなたに入っていただくほどの者ではないからです+。7 そのため,自分はみもとに参上するにはふさわしくない者と考えたのです。ただそのお言葉を下さって,私の僕がいやされるようにしてください。8 と申しますのは,私も権威のもとに置かれた人間ですが,私のもとにも兵士がおりまして,この者に,『行け!』と言えば,その者は行き,別の者に,『来い!』と[言えば],その者は来ます。また,私の奴隷に,『これをせよ!』と[言えば],それを致します+」。9 そこで,これらのことを聞くと,イエスは彼のことについて驚嘆し,自分のあとに従ってくる群衆のほうに向いて,こう言われた。「あなた方に言いますが,イスラエルにおいてさえ,わたしはこれほどの信仰を見たことがありません+」。10 そして,送り出されてきた者たちが家に帰り着いてみると,その奴隷は健康になっていたのである+。

11 この後すぐ*,[イエス]はナインという都市に旅行されたが,弟子たちおよび大群衆が一緒に旅行していった。12 彼がその都市の門に近づくと,何と,見よ,死人+が運び出されて来るところであった。それは,その母の独り*息子+であった。そのうえ,彼女はやもめだったのである。その都市のかなり多くの人々も彼女と一緒にいた。13 そして,彼女をご覧になると,主は哀れに思い+,「泣かないでもよい」と言われた+。14 そうして,近づいて棺台にお触りになった。それで,担いでいた者たちは立ち止まった。それから[イエス]は言われた,「若者よ,あなたに言います,起き上がりなさい+!*」15 すると,死人は起き直り,ものを言い始めたのである。次いで[イエス]は彼をその母にお渡しになった+。16 ここにおいて,すべての者は恐れ+に打たれ,神の栄光をたたえつつ,「偉大な預言者+がわたしたちの間に起こされた」,「神はご自分の民に注意を向けてくださったのだ+」と言いだした。17 こうして彼に関するこのたよりは全ユダヤと周囲の全地方に広まった。

18 さて,ヨハネの弟子たちはこうした事柄すべてについて彼に報告した+。19 そこでヨハネは自分の弟子のうち二人の者を呼び寄せ,「あなたが来たるべき方なのですか。それとも,わたしたちはほかの方*を待つべきでしょうか+」と言わせようとして,彼らを主*のもとに遣わした。20 彼のところにやって来ると,その人たちはこう言った。「バプテストのヨハネはわたしどもをあなたのもとに遣わして,『あなたが来たるべき方なのですか。それとも,わたしたちは別の方*を待つべきでしょうか』と申しております」。21 その時[イエス]は,病気や悲痛な疾患また邪悪な霊から大勢の人を治し+,また多くの盲目の人にものを見る恵みを授けておられた。22 ゆえに,その[二人]に答えてこう言われた。「行って+,あなた方が見聞きしたことをヨハネに報告しなさい。盲人+は見えるようになり,足なえの人は歩き,らい病の人は清められ,耳の聞こえなかった人は聞き,死人はよみがえらされ,貧しい人々には良いたより+が告げられています+。23 それで,わたしにつまずかなかった人は幸いです+」。

24 ヨハネの使者が去って行ってから,[イエス]はヨハネについて群衆にこう言い始められた。「あなた方は何を眺めに荒野に出て行ったのですか。風に揺れる葦ですか+。25 では,何を見に出て行ったのですか。柔らかな外衣で装った人ですか+。きらびやかな装いをしてぜいたくに暮らしている人たちなら王の家々にいるのです+。26 では,いったい何を見に出て行ったのでしょうか。預言者ですか+。そうです,しかも,あなた方に言いますが,預言者をはるかに上回る者です+。27 これは,その人について,『見よ,わたしはあなたの顔の前にわたしの使者を遣わす+。その者はあなたの前にあなたの道を備えるであろう』と書かれている人です+。28 あなた方に言いますが,女から生まれた者の中でヨハネより偉大な者はだれもいません+。しかし,神の王国において小さいほうの者も彼よりは偉大です+」。29 (そして民のすべてと収税人たちは,[これを*]聞いて,神は義にかなった方であるとした+。彼らはヨハネのバプテスマ*を受けていたのである+。30 しかし,パリサイ人および律法に通じた者たちは,自分たちに対する神のみ旨を顧みなかった+。彼らは[ヨハネ]からバプテスマを受けていなかったのである。)

31 「それで,わたしはこの世代の人々をだれになぞらえましょうか。彼らはだれに似ているでしょうか+。32 幼子たちが市の立つ広場に座って互いに叫び合っているのに似ています。こう言うのです。『あなたたちのためにフルートを吹いたのに,あなたたちは踊らなかった。わたしたちが泣き叫んだのに,あなたたちは泣き悲しまなかった+』。33 これと同じように,バプテストのヨハネが来てパンを食べたりぶどう酒を飲んだりしないと,『彼には悪霊がいる』とあなた方は言います+。34 人の子が来て食べたり飲んだりすると,『見よ,食い意地の張った,ぶどう酒にふける男,収税人や罪人たちの友!』とあなた方は言います+。35 しかしやはり,知恵+はその子供らすべてによって義にかなっていることが示されるのです+」。

36 さて,パリサイ人のある者が,一緒に食事をするようにとしきりに彼に求めた。そこで[イエス]はそのパリサイ人の家の中に入り+,食卓について横になった。37 すると,見よ,その都市で罪人として知られる女であったが,[イエス]がそのパリサイ人の家で食事の席について横になっておられることを知り,雪花石こう+の容器に入った香油を携えてやって来た。38 そして,後ろに行ってその足もとに身を置き,泣いて,自分の涙で彼の足をぬらし始め,自分の髪の毛でそれをふき取るのであった。また,彼の足に優しく口づけし,その香油を塗ったのである。39 それを見て,彼を招いたパリサイ人は,自分の中でこう言った。「この人がもし預言者であるなら+,自分に触っているのがだれで,どんな女なのか,彼女が罪人だということを知っているだろうに+」。40 しかし,イエスは答えて彼に言われた,「シモン,わたしはあなたに言うことがあります」。彼は言った,「師よ,おっしゃってください!」

41 「ある貸し主に対して二人の人が債務者となっていました。一方は五百デナリ*借りていましたが+,他方は五十デナリでした。42 返すためのものが彼らに何もなかったので,[貸し主]は彼らを二人とも惜しみなく許してやりました+。では,ふたりのうちどちらが彼をよけいに愛するようになるでしょうか」。43 シモンは答えて言った,「彼が惜しみなくよけいに許してやったほうの者だと思います」。[イエス]は彼に言われた,「あなたは正しく判断しました」。44 そうして,女のほうに向きながら,シモンにこう言われた。「あなたはこの女を見ていますか。わたしはあなたの家の中に入りましたが,あなたはわたしの足のための水をくれませんでした+。しかし,この女は自分の涙でわたしの足をぬらし,自分の髪の毛でそれをふき取りました。45 あなたはわたしに口づけしたりはしませんでしたが+,この女は,わたしが入って来た時から,わたしの足に優しく口づけしてやめませんでした。46 あなたはわたしの頭に油を塗りませんでしたが+,この女はわたしの足に香油を塗ったのです。47 あなたに言いますが,このことによって,彼女の罪は,多いとはいえ,許されたのです+。彼女は多く愛したからです。ところが,わずかしか許されていない者は,わずかしか愛さないのです」。48 それから彼女に言われた,「あなたの罪は許されています+」。49 すると,一緒に食卓について横になっていた人々は,自分の中でこう言い始めた。「罪をさえ許すというこの人はどういう人なのだろう+」。50 しかし[イエス]は女に言われた,「あなたの信仰があなたを救ったのです+。平安のうちに行きなさい+」。

8 その後まもなく,[イエス]は,都市から都市,村から村へと旅をされ,神の王国の良いたよりを宣べ伝え*また宣明された+。そして十二人は彼と一緒におり,2 邪悪な霊たちや病気を除いてもらった女たち+,七つの悪霊が出て来た+,マグダレネと呼ばれるマリア,3 ヘロデ[家]の管理人クーザの妻ヨハンナ+,そしてスザンナおよびほかの多くの女たち,これらの者が自分の持ち物をもって彼らに奉仕をしていた。

4 さて,方々の都市から彼のもとに来た人たちと共に大群衆が集まった時,[イエス]は例えによってこう話された+。5 「種まき人が種をまきに出かけました。ところで,彼がまいていると,その幾らかは道路のわきに落ちて踏みつけられ,天の鳥がそれを食べてしまいました+。6 ほかの幾らかは岩塊の上に落ち,芽ばえたのち,水気がないので干上がってしまいました+。7 ほかの幾らかはいばらの間に落ち,一緒に成長するいばらがそれをふさいでしまいました+。8 ほかの幾らかは良い土の上に落ち,芽ばえたのち,百倍の実を生み出しました+」。これらのことを語りつつ,大声でさらにこう言われた。「聴く耳のある人は聴きなさい+」。

9 しかし弟子たちは,この例えはどういう意味なのでしょうかと彼に尋ねはじめた+。10 [イエス]は言われた,「あなた方は,神の王国の神聖な奥義を理解することを聞き入れられていますが,残りの人々にとって,それは例えによるのです+。彼らが見ていてもむだに見,聞いていても意味を悟らないようにするためです+。11 さて,例え+の意味はこうです。種は神の言葉です+。12 道路のわきのものとは,聞いた者たちですが+,そののち悪魔+がやって来て,信じて救われることがないようにその心からみ言葉を取り去るのです+。13 岩塊の上のものは,み言葉を聞くと喜んでそれを受ける者たちですが,これらには根がありません。しばらくは信じますが,試みの時期になると離れ去ってしまいます+。14 いばらの間に落ちたもの,これは聞いた者たちですが,生活上の思い煩いや富や快楽にさらわれてしまい+,すっかりふさがれて,何も完成させません+。15 りっぱな土の上のものについていえば,これは,りっぱな良い心でみ言葉を聞いたのち+,それをしっかり保ち,耐え忍んで実を結ぶ者たちです+。

16 「ともしびをともしたのち,それを器で覆ったり,寝床の下に置いたりする人はいません。むしろそれを燭台の上に置き,入って来る人にその光が見えるようにします+。17 隠されているもので明らかにならないものはなく+,また,注意深く秘められているもので知られずに終わり,あらわにならずに済むものは決してないのです+。18 ですからあなた方は,どのように聴くかに注意を払いなさい。だれでも持っている者,その者にはさらに与えられますが+,持っていない者,その者からは,持っていると思うものまで取り去られるのです+」。

19 さて,彼の母と兄弟たち+が彼のところにやって来たが,群衆のためにそばに行けなかった+。20 けれども,「あなたのお母さんと兄弟たちが外に立って,あなたに会おうとしています」ということが彼に伝えられた+。21 [イエス]は答えて彼らに言われた,「わたしの母,そしてわたしの兄弟たちとは,神の言葉を聞いて,それを行なうこれらの人たちのことです+」。

22 ある日のこと,[イエス]と弟子たちは舟に乗った。そして[イエス]は,「湖の向こう側に渡りましょう」と言われた。それで彼らは出帆した+。23 しかし,帆走している間に,[イエス]は眠ってしまわれた。折しも,激しい風あらしが湖に吹き下ろし,彼らは[水]をいっぱいかぶって危険な状態になってきた+。24 ついに,彼らは[イエス]のもとに行き,彼を起こして,こう言った。「先生,先生,わたしたちは死んでしまいそうです+!」 [イエス]は身を起こし,風と荒れ狂う水とを叱りつけられた+。すると,それは収まり,なぎになったのである。25 それから,彼らにこう言われた。「あなた方の信仰はどこにあるのですか」。しかし,彼らは恐れに打たれて驚嘆してしまい,互いにこう言った。「これはいったいどういう方なのだろう。風や水にさえ命じると,それはこの方に従うのだ+」。

26 こうして彼らはゲラサ人*の地方の岸に着いた。それはガリラヤの向かい側である+。27 ところが,[イエス]が陸に上がると,そこの都市の者で,悪霊たちにつかれている男が彼に出会った。そしてこの男はかなり長いこと衣服を着たことがなく,家にではなく,墓場に住みついていたのである+。28 彼はイエスを見ると大声で叫び,その前にひれ伏して,大きな声でこう言った。「至高の神の子イエスよ,わたしはあなたと何のかかわりがあるのですか*+。お願いします,わたしを責め苦に遭わせないでください+」。29 (というのは,その男から出て来るようにと,[イエス]がその汚れた霊に命じておられたからである。その[霊]は長いあいだ彼を堅くとらえてきたのであり+,男は何度も監視のもとに置かれて鎖と足かせでつながれたが,かせは断ち切り,悪霊によって寂しい場所へと追いやられるのであった。)30 イエスは彼に,「あなたの名は何か」とお尋ねになった。彼は,「軍団です」と言った。数多くの悪霊が彼に入り込んでいたからである+。31 そして彼らは,去って底知れぬ深みに*行けとはお命じにならないようにと+,しきりに彼に懇願するのであった+。32 ところで,かなりの数の豚+の群れがそこの山で物を食べていた。それで彼らは,その中に入ることを許してくださるようにと彼に懇願した+。すると[イエス]は,彼らにその許しをお与えになった。33 そこで,悪霊たちは男から出て行って,豚の中に入った。すると,その群れは突進して行き,断がいから湖に落ちておぼれ死んだ+。34 しかし,牧夫たちは起きた事を見て逃げて行き,そのことをそこの都市やあたりの田舎に知らせた+。

35 そこで人々は起きた事を見ようとして出て来た。そしてイエスのところにやって来て,悪霊たちの出た男が衣服を着け,正気になってイエスの足もとに座っているのを見た。それで彼らは恐れの気持ちでいっぱいになった+。36 その場を見ていた者たちは,悪霊に取りつかれた男がどのようにしてよくなったかを*人々に伝えた+。37 それで,周辺のゲラサ人*の地方から来た大勢の人々は皆,自分たちのところから離れてくれるようにと彼に求めた。彼らは非常な恐れにとらわれていたのである+。それから[イエス]は舟に乗って戻って行かれた。38 しかし,悪霊たちの出た男は,ずっと一緒にいさせて欲しいとしきりに願い求めるのであった。しかし[イエス]はこう言って男をお去らせになった+。39 「家に帰りなさい。そして,神があなたにしてくださったすべてのことについて語りつづけなさい+」。それで彼は去って行き,イエスが自分にしたことすべてをその都市全体にふれ告げた+。

40 イエスが戻って来られると,群衆は彼を親切に迎えた。人々はみな彼を待ち設けていたのである+。41 そこへ,見よ,ヤイロという名の人がやって来た。この人は会堂の主宰役員であった。そして彼はイエスの足もとにひれ伏し,自分の家に入ってくださるようにと懇願しはじめた+。42 彼には十二歳ほどになる独り*娘がおり,その[娘]が死にそうになっていたからである+。

[イエス]が進んで行かれると,群衆がそのまわりに群がった+。43 そこへ,十二年のあいだ血の流出を患い+,だれからも治してもらえないでいたひとりの女が+,44 後ろから近づいて来て,彼の外衣の房べり*+に触った+。すると,彼女の血の流出はたちどころに止まったのである+。45 それでイエスは言われた,「わたしに触ったのはだれですか+」。みんながそれを否定していた時に,ペテロがこう言った。「先生,群衆があなたを取り囲んで,押し寄せて来るのです+」。46 それでもイエスは言われた,「だれかがわたしに触りました。わたしは,力+が自分から出て行くのが分かったのです+」。47 女は,気づかれずにはすまなかったのを見て,おののきながらやって来た。そして,彼の前にひれ伏し,自分が彼に触った理由,また自分がいかにたちどころにいやされたかを,そこにいた民すべての前で打ち明けた+。48 しかし[イエス]は彼女にこう言われた。「娘よ,あなたの信仰があなたをよくならせました*+。平安のうちに行きなさい+」。

49 [イエス]がまだ話しておられるうちに,会堂の主宰役員の代理者が来て,「娘さんは亡くなられました。もう師を煩わせてはなりません」と言った+。50 これを聞いて,イエスは彼にお答えになった,「恐れることはありません。ただ信仰を示しなさい+。そうすれば,彼女は救われます」。51 その家に着くと,[イエス]は,ペテロ,ヨハネ,ヤコブおよび少女の父と母のほかは,だれも一緒に中に入ることをお許しにならなかった+。52 しかし,人々はみな泣き,彼女のことで身を打ちたたいて悲しんでいた。それで[イエス]は言われた,「泣かなくてもよい+。彼女は死んだのではない,眠っているのです+」。53 すると,人々は彼のことをあざ笑いだした。彼女がすでに死んだことを知っていたからである+。54 しかし[イエス]は彼女の手を取って呼びかけ,「少女よ,起きなさい!*」と言われた+。55 すると,彼女の霊*+は戻り,彼女はたちどころに起き上がったのである+。それから[イエス]は,何か食べ物を与えるようにとお命じになった+。56 そこで,彼女の親たちは我を忘れるほどになった。しかし[イエス]は,起きた事柄についてだれにも話さないようにと彼らに指示された+。

9 それから,[イエス]は十二人を呼び集め,すべての悪霊を制し,さまざまな病気を治す力と権威をお与えになった+。2 そして,神の王国を宣べ伝え,また[病気を]いやさせるために彼らを遣わして,3 こう言われた。「旅のために何も,杖も食物袋も,パンも銀子も携えて行ってはなりません。また,二枚の下着を持ってもなりません+。4 しかし,どこでも家の中に入ったなら,そこにとどまり,その後そこを去りなさい+。5 そして,どこでも,人々があなた方を迎えない所では,彼らへの不利な証しとして,その都市から出る際に+あなた方の足の塵を振り払いなさい+」。6 そこで彼らは出かけて行き,村から村へと区域を回り,いたるところで良いたよりを宣明し,また治療を行なった+。

7 さて,地域支配者*ヘロデはこうして起きている事柄すべてについて聞き,非常に困惑していた。というのは,ヨハネが死人の中からよみがえらされたのだと,ある者が言い+,8 ほかの者は,エリヤが現われた,またさらにほかの者は,古代の預言者のある者がよみがえったのだなどと[言っ]ていたからである。9 ヘロデはこう言った。「ヨハネはわたしが打ち首にした+。そうすると,わたしがこうしたことについて聞くこの人はだれなのだろうか」。こうして[ヘロデ]は彼に会ってみたいと考えていた+。

10 それから使徒たちは帰って来て,自分たちの行なったことすべてを彼に詳しく話した+。次いで[イエス]は彼らを連れ,自分たちだけでベツサイダという都市に退かれた+。11 しかし,群衆はそれを知って彼のあとに付いて行った。それで[イエス]は彼らを親切に迎え,神の王国について話しはじめ+,また治療を必要とする者たちをおいやしになった+。12 やがて日が傾き始めた。そこで十二人が寄って来て,こう言った。「群衆を解散させ,彼らが周りの村や田舎に行って宿を得,また食糧を見つけるようにしてください。ここは寂しい場所ですから+」。13 しかし[イエス]は彼らに言われた,「あなた方が何か食べる物をこの人々に与えなさい+」。彼らは言った,「わたしたちには五つのパンと二匹の魚しかありません+。わたしたち自身が行ってこの民全部のために食料品を買って来るというなら別ですが+」。14 実に,約五千人もの男がいたのである+。しかし[イエス]は弟子たちに言われた,「彼らを約五十人ずつの群れにして,食事のときのように横にならせなさい+」。15 それで[弟子たち]はそのとおりにし,みんなを横にならせた。16 それから[イエス]は五つのパンと二匹の魚を取って天を見上げ,それに祝福を述べてから小さく割き,群衆の前に置かせるため弟子たちに与えはじめた+。17 こうしてすべての者が食べて満ち足りたのである。そして,彼らのところにあった余りを拾うと,かけらはかごに十二はいになった+。

18 後に,[イエス]がひとりで祈りをしておられると,弟子たちがそのもとに集まって来た*。そこで[イエス]は彼らに質問して,こう言われた。「群衆はわたしのことをだれであると言っていますか+」。19 彼らは答えて言った,「バプテストの*ヨハネ,しかしほかの者はエリヤ*,さらにほかの者は,古代の預言者の一人がよみがえったのだと[言っています+]」。20 すると[イエス]は彼らに言われた,「だが,あなた方は,わたしのことをだれであると言いますか」。ペテロは答えて言った+,「神のキリスト+です」。21 すると[イエス]は彼らに厳しいことばで語り,このことをだれにも話さないようにと指示され+,22 またこう言われた。「人の子は必ず多くの苦しみに遭い,年長者・祭司長・書士たちに退けられ,かつ殺され+,三日目によみがえらされるのです+」。

23 それから,すべての者にさらにこう言われた。「だれでもわたしに付いて来たいと思うなら,その人は自分を捨て+,日々自分の苦しみの杭*を取り上げて,絶えずわたしのあとに従いなさい+。24 だれでも自分の魂*を救おうと思う者はそれを失うからです。しかし,だれでもわたしのために自分の魂を失う者はそれを救う者となるのです+。25 全世界をかち得たとしても,自らを失い,あるいは損傷を被るなら,その人にとっていったい何の益するところがあるでしょうか+。26 だれでもわたしとわたしの言葉を恥じるようになる者は,人の子も,自分の栄光および父と聖なるみ使いたちの[栄光]のうちに到来する時,その者を恥じるのです+。27 しかし真実をこめてあなた方に言いますが,ここに立っている者の中には,まず神の王国を見るまでは決して死を味わわない者たちがいます+」。

28 実際に起きたことであるが,これらのことが話されてから約八日後,[イエス]はペテロとヨハネとヤコブを伴い,祈りをするため山の中に登って行かれた+。29 そして,祈りをしておられるうちに,その顔は異なったさまになり+,その着衣はきらめくほど白くなった*+。30 また,見よ,二人の人が彼と語り合っており,それはモーセとエリヤであった+。31 これらの者が栄光をもって現われ,彼がエルサレムで遂げるように定まっている出立*について語りはじめたのである+。32 ところで,ペテロおよび共にいた者たちは眠気に押しひしがれていた。しかし,すっかり目が覚めた時に,彼の栄光,またその二人が彼と共に立っているのが見えたのである+。33 そして,これらの者が彼から離れて行く時に,ペテロはイエスに言った,「先生,わたしたちがここにいるのは良いことです。それで,わたしたちに三つの天幕を立てさせてください。一つはあなたのため,一つはモーセのため,一つはエリヤのためです」。彼は自分が何を言っているのかよく分かっていなかった+。34 しかし,彼がこうしたことを言っているうちに,雲ができて彼らを影で覆いはじめた。雲の中に入って行くにつれ,彼らは恐ろしくなった+。35 すると雲の中から声+が出て,「これはわたしの子,選ばれた者である+。この者に聴き従いなさい+」と言った。36 そして,その声があった時には,イエスひとりのほかには見えなかった+。それでも,彼らは沈黙を守り,そのころには,自分たちの見た事柄についてだれにも何も知らせなかった+。

37 明くる日,彼らが山を下りると,大群衆が[イエス]を出迎えた+。38 そして,見よ,群衆の中からひとりの男が叫んでこう言った。「師よ,私の息子をひと目見てやってください。私の独り+息子*ですのに+,39 ご覧ください,霊+が取りつくと,突然に叫びだすのです。その[霊]は[息子]に泡を吹かせながらけいれんを起こさせ,打ち傷を負わせた後にやっと引き下がるのです。40 そして,あなたの弟子たちに,それを追い出してくれるようにお願いしましたが,できませんでした+」。41 イエスはそれにこたえて言われた,「ああ,不信仰でねじけた世代よ+,いつまでわたしはあなた方と共にいて,あなた方のことを忍ばねばならないのでしょう。あなたの息子をここに連れて来なさい+」。42 ところが,彼が近づいて来る時でさえ,悪霊は彼を地面にたたきつけ,激しくけいれんさせたのである。しかしながら,イエスはその汚れた霊を叱りつけ,少年をいやして,その父に引き渡された+。43 そこで,人々はみな神の荘厳な力*+にすっかり驚くようになった。

さて,[イエス]の行なうすべての事柄にみんなの者が驚嘆していると,[イエス]は弟子たちにこう言われた。44 「この言葉をあなた方の耳にしっかり収めておきなさい。人の子は人々の手に引き渡されるように定められているのです+」。45 しかし彼らは,このことばについて依然として理解していなかった。事実,彼らがその意味を見抜くことがないよう,それは彼らから秘められていたのであり,また彼らはこのことばについて[イエス]に質問するのを恐れていた+。

46 その後,自分たちの中でだれが一番偉いだろうか*という論議が彼らの間に持ち上がった+。47 イエスは彼らの心の中の論議を知り,ひとりの幼子を連れて来て自分のわきに立たせ+,48 それから彼らにこう言われた。「だれでもわたしの名によってこの幼子を迎える者はわたしを[も]迎えるのであり,だれでもわたしを迎える者はわたしを遣わした方を[もまた]迎えるのです+。あなた方すべての間でより小さい者として行動する+人こそ偉いのです*+」。

49 ヨハネがそれにこたえて言った,「先生,わたしたちは,ある人があなたの名を使って悪霊たちを追い出しているのを見ましたので+,それをとどめようとしました+。彼はわたしたちと一緒に従って来ない*からです+」。50 しかしイエスは彼に言われた,「あなた方は[その人を]とどめようとしてはなりません。あなた方に敵していない者は,あなた方に味方しているのです+」。

51 その迎え上げられるべき日*+がいまや来ようとしており,[イエス]はエルサレムへ行くことにきっぱりと顔を向けられた。52 それで,自分に先立って使者をお遣わしになった。そこで彼らは出かけて行ってサマリア人+の村に入った。彼のために準備をしようとしてであった。53 しかし人々は彼を迎えなかった。その顔がエルサレムへ行くことに向けられていたからであった+。54 これを見て,弟子のヤコブとヨハネ+は言った,「主よ,天から下って彼らを滅ぼし尽くすようわたしたちが火+に命ずることをお望みですか」。55 しかし[イエス]は振り向いて彼らをお叱りになった。56 そこで彼らは別の村に行った。

57 さて,道を進んでいた時のこと,ある者が彼にこう言った。「私は,あなたのおいでになる所なら,どこへでも付いてまいります+」。58 するとイエスはその者に言われた,「きつねには穴があり,天の鳥にはねぐらがあります。しかし人の子には頭を横たえる所がありません+」。59 それから,別の者に,「わたしの追随者になりなさい」と言われた。その人は言った,「まず出かけて行って私の父を葬ることをお許しください+」。60 しかし[イエス]は彼に言われた,「死人+に自分たちの死人を葬らせ,あなたは行って神の王国を広く宣明しなさい+」。61 すると,さらに別の者がこう言った。「主よ,わたしはみ跡に従います。ですが,まずわたしの家の者に別れを*告げること+をお許しください」。62 イエスはその者に言われた,「手をすきにかけてから+後ろのものを見る+人は神の王国に十分ふさわしい者ではありません」。

10 これらの事ののち,主はほかの七十人*+を指名し,行こうとしておられたすべての都市と場所へ,自分に先立って二人ずつ+お遣わしになった。2 その際,彼らにこう言いはじめられた。「確かに,収穫+は大きいですが,働き人+は少ないのです。それゆえ,収穫に働き人+を遣わしてくださるよう収穫の主人にお願いしなさい+。3 出かけて行きなさい。ご覧なさい,わたしはあなた方をおおかみの中にいる子羊のように遣わすのです+。4 財布も,食物袋も+,サンダルも携えて行ってはなりません。また,道中では,だれともあいさつの抱擁をしてはなりません+。5 どこでも家の中に入ったなら,まず,『この家に平和がありますように』と言いなさい+。6 そして,平和の友*がそこにいるなら,あなた方の平和はその人の上に*とどまるでしょう+。しかし,いないなら,それはあなた方のもとに戻って来るでしょう+。7 それで,そこの家にとどまって+,人々が備える物を食べたり飲んだりしなさい+。働き人は自分の報酬を受けるに値するからです+。家から家へと移って行ってはなりません+。

8 「また,どこであれ,あなた方が都市に入り,人々があなた方を迎えてくれるところでは,あなた方の前に出される物を食べ,9 そこにいる病気の者たちを治し+,『神の王国+はあなた方の近くに来ました』と告げて行きなさい。10 しかし,どこであれ,あなた方が都市に入り,人々があなた方を迎えないところでは+,そこの大通りに出て行って,こう言いなさい。11 『あなた方の都市からわたしたちの足に付いた塵をさえ,わたしたちはあなた方に向かってぬぐい捨てる+。けれども,神の王国が近くに来たということは覚えておきなさい』。12 あなた方に言いますが,その日には,その都市よりソドムのほうが耐えやすいでしょう+。

13 「コラジン+よ,あなたは災いです! ベツサイダ+よ,あなたは災いです! あなた方の中でなされた強力な業がティルスやシドンでなされていたなら,彼らは粗布と灰の中に座ってずっと以前に悔い改めていたからです+。14 したがって,裁きの際には,あなた方よりティルスやシドンのほうが耐えやすいでしょう+。15 そしてカペルナウムよ,あなたが天に高められるようなことがあるでしょうか+。あなたはハデス*+にまで下るのです!

16 「あなた方[のことば]を聴く者は+,わたし[のことば]を[も]聴くのです。そして,あなた方を無視する者は,わたしを[も]無視するのです。さらに,わたしを無視する者は,わたしを遣わした方を[もまた]無視するのです+」。

17 そののち,七十人*の者は喜びながら帰って来て,こう言った。「主よ,あなたの名を使うと,悪霊たちまでがわたしたちに服するのです+」。18 すると[イエス]は彼らに言われた,「わたしには,サタンがすでに稲妻のように天から落ちたのが見えるようになりました+。19 ご覧なさい,わたしはあなた方に,蛇+やさそり+を踏みつけ,敵のすべての力を制する権威を与えました+。それで,何ものもあなた方を損なうことはありません。20 しかしながら,このこと,つまり霊たちがあなた方に服していることを歓ぶのではなく,むしろ,あなた方の名が天に記されたこと+を歓びなさい」。21 折しも,[イエス]は聖霊により喜びにあふれて+,こう言われた。「天と地の主なる父よ,わたしはあなたを公に賛美します。あなたはこれらのことを賢くて知能のたけた者から注意深く隠し+,それをみどりごたちに啓示されたからです。そうです,父よ,このようにするのは,あなたのよみされるところとなったのです。22 すべてのものは父によってわたしに渡されており+,子がどのような者であるかは,父のほかにはだれも知りません+。また,父がどのような方であるかは,子と子がすすんで啓示する者をほかにすれば,だれも[知り]ません+」。

23 そうして[イエス]はただ弟子たちのほうを向いて,こう言われた。「あなた方が見ているものを見る目は幸いです+。24 あなた方に言いますが,多くの預言者や王たちは,あなた方が見ているものを見たいと願いながら+それを見ず,あなた方が聞いている事柄を聞きたいと[願い]ながらそれを聞かなかったのです」。

25 さて,見よ,律法に通じたある人+が立ち上がり,彼を試そうとしてこう言った。「師よ,何をすれば,わたしは永遠の命を受け継げるでしょうか+」。26 [イエス]は彼に言われた,「律法には何と書いてありますか+。あなたはどう読みますか」。27 彼は答えて言った,「『あなたは,心をこめ,魂*をこめ,力をこめ,思いをこめてあなたの神エホバ*を愛さねばならない+』,そして,『あなたの隣人を自分自身のように[愛さねばならない+]』」。28 [イエス]は彼に言われた,「あなたは正しく答えました。『このことを行ないつづけなさい。そうすれば命を得ます+』」。

29 しかしその人は,自分が義にかなっていることを示そうとしてイエスに言った,「わたしの隣人とはいったいだれでしょうか+」。30 イエスは答えて言われた,「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中で,強盗たちに襲われました。彼らはその衣をはいだうえに殴打を加え,その人を半殺しにして去って行きました。31 さて,たまたま,ある祭司がその道路を下って行くところでしたが,その人を見ると,反対側を通って行ってしまいました+。32 同じように,ひとりのレビ人もまた,そこまで来て彼を見ると,反対側を通って行ってしまいました+。33 ところが,その道路を旅行していたあるサマリア人+がやって来ましたが,彼を見て哀れに思いました。34 それで,その人に近づき,その傷に油とぶどう酒を注いで包帯をしてやりました+。それから彼を自分の畜獣に乗せ,宿屋に連れて行って世話をしたのです。35 そして次の日,デナリ*二つを取り出し,それを宿屋の主人に渡して,こう言いました。『この人の世話をしてください。そして,何でもこれ以外にかかるものがあれば,わたしがここに戻って来たときに返しますから』。36 これら三人のうちだれが,強盗に襲われた人に対して隣人+になったと思いますか」。37 彼は言った,「その人に対して憐れみ深く+行動した者です」。するとイエスは言われた,「行って,あなたも同じようにしてゆきなさい+」。

38 さて,彼らが進んで行くと,[イエス]はある村に入られた。ここで,マルタ+という名の女が彼を客として家に迎え入れた。39 この女にはまた,マリアという姉妹がいたが,彼女のほうは主の足もとに座って+,ずっと彼の言葉を聴いていた。40 一方マルタはいろいろな用事に気を遣って取り乱していた+。それで,彼女は近くに来て,こう言った。「主よ,わたしの姉妹がわたしひとりに用事をさせておりますことを何とも思われないのですか+。ですから,一緒になってわたしを助けるよう彼女におっしゃってください」。41 主は答えて彼女に言われた,「マルタ,マルタ,あなたは多くのことを思い煩って+気を乱しています+。42 ですが,必要なのはわずかなもの+,というより一つだけです*。マリアは良いものを選んだのであり+,それが彼女から取り去られることはありません」。

11 さて,[イエス]がある場所にいて祈りをしておられた時のこと,それを終えられると,弟子のある者がこう言った。「主よ,ヨハネもその弟子たちに教えたように+,わたしたちにも祈りの仕方を教えてください+」。

2 そこで[イエス]は彼らに言われた,「いつでもあなた方が祈るときには+,こう言いなさい。『父よ,あなたのお名前が神聖なものとされますように*+。あなたの王国が来ますように+。3 その日の必要に応じてその日のためのパンをわたしたちにお与えください+。4 また,わたしたちの罪をお許しください+。わたしたち自身も,わたしたちに負い目のある者すべてを許しますから+。そして,わたしたちを誘惑に陥らせないでください+』」。

5 [イエス]はさらにこう言われた。「あなた方のうち,友人がいて,真夜中にそのもとに行き,『友よ,パンを三つ貸してください。6 友人が旅の途中でちょうど今わたしのところに来たのですが,出す物が何もないものですから』と言うのはだれでしょうか。7 そして,その人が中から答えてこう言うのです。『わたしを煩わすのはよしてくれ+。戸にはもう錠が下ろしてあるし,幼子たちはわたしと一緒に寝床に入っているのだ。起きて行ってあなたに物を上げることなどできない』。8 あなた方に言いますが,その人は,自分が彼の友だということでは起きてきて物を与えないとしても,その大胆な執ようさ+のゆえには,必ずや起きてきてその必要とする物を与えるでしょう。9 それゆえにわたしはあなた方に言います。求めつづけなさい+。そうすれば与えられます。探しつづけなさい+。そうすれば見いだせます。たたきつづけなさい。そうすれば開かれます。10 だれでも求めている者は受け+,探している者は見いだし,まただれでもたたいている者には開かれるのです。11 実際,あなた方のうちどの父親が,自分の子+が魚を求める場合に,魚のかわりに蛇を渡すようなことをするでしょうか。12 あるいはまた,卵を求める場合に,さそりを渡したりするでしょうか。13 それで,あなた方が,邪悪な者でありながら,自分の子供に良い贈り物を与えることを知っているのであれば+,まして天の父は,ご自分に求めている者に聖霊を与えてくださるのです+」。

14 後に,[イエス]は口のきけない+悪霊を追い出しておられた。悪霊が出ると,口のきけなかった人はものを言った。それで,群衆は驚嘆した。15 しかし,そのうちの幾人かがこう言った。「彼は悪霊どもの支配者ベエルゼブブ*によって悪霊を追い出すのだ+」。16 一方ほかの者たちは,彼を誘惑しようとして,天からのしるしを彼に求めはじめた+。17 彼らの想像している事柄を知って+,[イエス]は彼らに言われた,「内部で分裂している王国はすべて荒廃に帰し,内部で[分裂している]家は倒れます+。18 それで,サタンも内部で分裂しているなら,その王国はどのようにして立ち行くでしょうか+。こう言うのは,わたしがベエルゼブブによって悪霊を追い出すのだとあなた方が言うからです。19 仮に,わたしが悪霊を追い出すのがベエルゼブブによるとすれば,あなた方の子らはだれによって+これを追い出すのですか。このゆえに,彼らはあなた方を裁く者となるでしょう。20 しかし,わたしが悪霊たちを追い出すのが神の指によるのであれば+,神の王国はほんとうにあなた方に及んだのです+。21 強い人+がよく武装して自分の宮殿を警護しているなら,その持ち物はずっと安泰です。22 しかし,だれか彼より強い者+が向かって来てこれを征服するなら+,その者は彼が頼みとしていた万全の武装を取り去り,彼から奪い取った物を分配します。23 わたしの側にいない者はわたしに敵しており,わたしと共に集めない者は散らすのです+。

24 「汚れた霊は,人から出て来ると,休み場を捜し求めて乾ききった所を通ります。しかし,どこにも見いだせないと,『出て来た自分の家に帰ろう』と言います+。25 そして,着いてみると,それはきれいに掃かれ*,飾りつけられています。26 そこで,出かけて行って自分より邪悪な七つの+異なった*霊を連れて行き,彼らは中に入ってそこに住みつきます。こうして,その人の最終的なありさまは最初より悪くなります+」。

27 さて,[イエス]がこれらのことを話しておられたところ,群衆の中からある女が声を上げて彼に言った,「あなたをはらんだ胎と,あなたが吸った乳房とは幸いです+!」28 しかし[イエス]は言われた,「いいえ,むしろ,神の言葉を聞いてそれを守っている人たちこそ幸いです+!」

29 群衆が寄り集まって来た時,[イエス]はこう言い始められた。「この世代は邪悪な世代です。それはしるしを求めています+。しかし,ヨナのしるし以外には,何のしるしも与えられないでしょう+。30 ちょうどヨナ+がニネベ人に対するしるしとなったと同じように,人の子もこの世代に対する[しるし]となるのです。31 南の女王+は裁きの際にこの世代の人々と共によみがえらされ,この[世代の人々]を罪に定めるでしょう。彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果て*から来たからですが,見よ,ソロモン以上のもの+がここにいるのです。32 ニネベの人々は裁きの際にこの世代と共に立ち,この[世代]を罪に定めるでしょう。彼らはヨナの宣べ伝えることを聞いて悔い改めたからです+。しかし,見よ,ヨナ以上のもの+がここにいるのです。33 ともしびをともしたのち,人はそれを,穴ぐらの中や量りかごの下ではなく,燭台の上に置き+,入って来る人にその光が見えるようにします。34 体のともしびはあなたの目です。あなたの目が純一な*ときには,あなたのからだ全体もまた明るくなります+。しかし,それがよこしまな*ときには,あなたの体もまた暗くなります。35 それゆえ,用心していなさい。もしかすると,あなたのうちにある光は闇であるかもしれません+。36 それゆえ,あなたのからだ全体が明るく,暗いところが少しもなければ,それは,ともしびがその光線であなたを照らす場合のように,全部が明るいでしょう+」。

37 [イエス]がこれを話し終えると,ひとりのパリサイ人が,一緒に食事をしてくれるようにと頼んだ+。それで[イエス]は中に入り,食卓について横になった。38 ところが,そのパリサイ人は,彼が正さんの前にまず洗うこと+をしないのを*見て驚いた。39 しかし主は彼に言われた,「では,あなた方パリサイ人たち,あなた方は杯や皿の外側は清めますが,あなた方の内側+は強奪と邪悪でいっぱいです+。40 道理をわきまえない人たち! 外側+を作った者は内側も作ったのではありませんか。41 それでも,憐れみの施し+として,内側にあるものを与えなさい。そうすれば,見よ,あなた方に関して*[ほかの]すべてのものは清くなるのです。42 しかし,あなた方パリサイ人は災いです! あなた方は,はっかとヘンルーダそして[他の]あらゆる野菜の十分の一+を納めますが,公正*と神への愛を見過ごしているからです。これらこそあなた方は行なう務めがありました。もっとも,それら他のことも怠るべきではありません+。43 あなた方パリサイ人は災いです! あなた方は,会堂の正面の座席と市の立つ広場*でのあいさつを愛するからです+。44 あなた方は災いです! あなた方は,はっきり見えないので人がその上を歩いても気づかない記念の墓のようだからです+」。

45 律法に通じた人たちのある者+が答えて彼に言った,「師よ,そのように言われるのはわたしたちに対する侮辱です」。46 すると[イエス]は言われた,「律法に通じたあなた方も災いです! あなた方は,背負いにくい荷を人に負わせますが,自分ではその荷に指一本触れないからです+。

47 「あなた方は災いです! あなた方は預言者たちの記念の墓を建てますが,その[預言者]たちを殺したのはあなた方の父祖たちだからです+。48 確かにあなた方は父祖たちの行為の証人でありながら,それでいてそれに同意を与えているのです+。彼らが預言者たちを殺し*+,あなた方が[その墓を]建てているからです。49 このゆえに神の知恵+も述べました,『わたしは預言者や使徒たちを彼らに遣わす。彼らはそのある者を殺したり迫害したりするであろう。50 こうして,世の基が置かれて*以来流されたすべての預言者の血+がこの世代に対して要求されるのである+。51 アベル+の血から,祭壇と家との間で殺された+ゼカリヤ+の血に至るまでが』。そうです,あなた方に言いますが,それはこの世代に対して要求されるのです。

52 「律法に通じたあなた方は災いです! あなた方は知識のかぎを取り去ったからです+。あなた方自身が入らず,また,入ろうとする者たちをも妨げたのです+」。

53 それで,[イエス]がそこから出られると,書士とパリサイ人たちは彼に激しく詰め寄り,さらにほかの事柄についてしつこく質問を浴びせ始め,54 彼の口から何かを捕らえようとして+待ち構えるのであった+。

12 そうしている間に,おびただしい群衆が*集まって来て互いに踏み合うほどになったが,[イエス]はまず弟子たちにこう言い始められた。「パリサイ人たちのパン種+に気を付けなさい。それはつまり偽善のことです+。2 しかし,注意深く秘められているもので表わし示されないものはなく,知られないで終わる秘密はありません+。3 それゆえに,あなた方が闇の中で言うことはみな光の中で*聞かれ,私室でささやくこと*は屋上から宣べ伝えられるのです+。4 さらに,わたしの友+であるあなた方に言いますが,体を殺しても,その後もう何もできない者たちを恐れてはなりません+。5 しかし,だれを恐れるべきかをあなた方に示しましょう。殺したあとにゲヘナ*に投げ込む+権威のある方を恐れなさい+。そうです,あなた方に言いますが,この方をこそ恐れなさい+。6 すずめ五羽はわずかな価の硬貨二つで*売っているではありませんか。それでも,その一羽といえども神のみ前で忘れられることはありません+。7 ところが,あなた方の髪の毛+までがすべて数えられているのです。恐れることはありません。あなた方はたくさんのすずめより価値があるのです+。

8 「それで,あなた方に言いますが,人の前でわたしとの結びつきを告白する者は皆+,人の子も神のみ使いたちの前でその者との結びつきを告白します+。9 しかし,人の前でわたしのことを否認する者は+,神のみ使いたちの前で否認されるのです+。10 そして,人の子に逆らう言葉を言う者はみな許されるでしょう。しかし,聖霊を冒とくする者は許されません+。11 それでも,人々があなた方を,公の集会*や政府の役人また権威者たちの前に連れて行くとき,弁明のためにどのように,何を*話すか,また何を言うかについて思い煩ってはなりません+。12 聖霊が+,言うべきことをその時あなた方に教えるからです+」。

13 さて,群衆の中のある者が彼にこう言った。「師よ,わたしの兄弟に,相続財産をわたしと分けるように言ってください」。14 [イエス]は彼に言われた,「人よ,だれがわたしを,あなた方の裁き人また分配人*に任命したのですか+」。15 それから,人々にこう言われた。「じっと見張っていて,あらゆる強欲に警戒しなさい+。満ちあふれるほどに豊かであっても,人の命はその所有している物からは生じないからです+」。16 そうして,彼らに例えを話して,こう言われた。「ある富んだ人の土地が豊かに産出しました。17 そこで彼は自分の中で論じはじめて言いました,『どうしようか。作物を集める場所がないのだ』。18 それで言いました,『こうしよう+。わたしの倉を取り壊して,もっと大きいのを建て,そこにわたしの穀物と良い物をみんな集めるのだ+。19 そして自分の魂にこう言おう+。「魂よ,お前にはたくさんの良い物が何年分もためてある。楽にして,食べて,飲んで,楽しめ+」』。20 しかし神は彼に言われました,『道理をわきまえない者よ,今夜,あなたの魂*は求められる+。そうしたら,あなたの蓄えた物はだれのものになるのか+』。21 自分のために宝をためても,神に対して富んでいない者はこうなるのです+」。

22 それから,[イエス]は弟子たちにこう言われた。「このような訳であなた方に言いますが,何を食べるのだろうかと自分の魂のことで,また何を着るのだろうかと自分の体のことで思い煩うのをやめなさい+。23 魂は食物より,体は衣服より価値があるのです。24 渡りがらす+が種をまいたり刈り取ったりしないことによく注目しなさい。また,納屋も倉も持っていません。それでも神はこれを養っておられます。あなた方は,鳥よりずっと価値があるではありませんか+。25 あなた方のうちだれが,思い煩ったからといって自分の寿命に一キュビトを加えることができるでしょうか+。26 それゆえ,一番小さな事さえできないのに,なぜほかの事について思い煩うのですか+。27 ゆりがどのように育つかによく注目しなさい+。労しも,紡ぎもしません。しかしあなた方に言いますが,栄光を極めたソロモンでさえ,これらの一つほどにも装ってはいませんでした+。28 では,神が,今日は存在しても明日はかまどに放り込まれる野の草木にこのように衣を与えておられるなら,ましてあなた方には衣を与えてくださるのです。信仰の少ない人たちよ+。29 それで,自分は何を食べるのだろうか,何を飲むのだろうかと尋ね求めるのをやめ,心配して気をもむのをやめなさい+。30 これらはみな,世の諸国民がしきりに追い求めているものですが,あなた方の父は,あなた方がこれらのものを必要としていることを知っておられるのです+。31 それでやはり,絶えず[神]の王国を求めてゆきなさい。そうすれば,これらのものはあなた方に加えられるのです+。

32 「恐れることはありません+,小さな群れよ+。あなた方の父は,あなた方に王国を与えることをよしとされたからです+。33 自分の持ち物を売って+,憐れみの施しをしなさい+。自分のために,すり切れることのない財布,決して尽きることのない宝を天に作りなさい+。そこでは,盗人が近づくことも,蛾が食い尽くすこともありません。34 あなた方の宝のある所,そこにあなた方の心もあるのです+。

35 「あなた方の腰+に帯を締め,ともしび+をたいていなさい。36 こうしてあなた方は,自分たちの主人が婚礼*から帰って来る*のを待ち+,[主人]が到着して[戸を]たたいたら+すぐに開けられるようにしている人たちのようでありなさい+。37 主人が到着したときに,見張っているところを見られるそれらの奴隷は幸いです+! あなた方に真実に言いますが,[主人]は帯を締め+,彼らを食卓の前に横にならせ,そばに来て奉仕してくれるでしょう+。38 そして,[主人]が第二見張り時*に,あるいはたとえ第三見張り時*に到着したとしても,このようにしているところを見られるなら,彼らは幸いです+! 39 しかし,このことを知っておきなさい。家あるじは,盗人がどの時刻に来るかを知っていたなら,ずっと見張っていて,自分の家に押し入られるようなことは許さなかったでしょう+。40 あなた方も用意をしていなさい。あなた方の思わぬ時刻に人の子は来るからです+」。

41 その時ペテロがこう言った。「主よ,この例えはわたしたちに話しておられるのですか,それとも,みんなにもですか」。42 すると主はこう言われた。「主人が,時に応じてその定めの食糧を与えさせるため,自分の従者団の上に任命する+忠実な家令*+,思慮深い+者はいったいだれでしょうか。43 主人が到着して,そうしているところを見るならば,その奴隷は幸いです+! 44 真実をこめてあなた方に言いますが,[主人]は彼を任命して自分のすべての持ち物をつかさどらせるでしょう+。45 しかし,もしもその奴隷が,心の中で,『わたしの主人は来るのが遅い』と言って+,下男や下女たちをたたき,食べたり飲んだり酔ったりし始めるならば+,46 その奴隷の主人は,彼の予期していない日,彼の知らない時刻に来て+,最も厳しくこれを罰し*,その受け分を不忠実な者たちと共にならせるでしょう+。47 その時,自分の主人の意向を理解していながら用意せず,またはその意向にそって事を行なわなかったその奴隷は,何度も打ちたたかれるのです+。48 しかし,理解していなかったために+打たれるべきことをした者は,少なく打たれます+。実際,だれでも多く与えられた者,その者には多くのことが要求されます+。そして,人々が多くをゆだねた者,その者に人々は普通以上を要求するのです+。

49 「わたしは地上に火をおこすために来ました+。そして,それがすでにたきつけられた以上,この上わたしの願うべきことがあるでしょうか。50 実に,わたしには受けるべきバプテスマがあります。それが終わるまで,わたしはどんなにか苦しむことでしょう+。51 あなた方は,わたしが地上に平和を与えるために来たと思いますか。決してそうではありません。あなた方に言いますが,むしろ,分裂です+。52 今からのち,一つの家で五人の者が分裂し,三人が二人に,二人が三人に逆らうのです+。53 彼らは分裂し,父は息子に,息子は父に逆らい,母は娘に,娘は母に逆らい,しゅうとめは嫁に,嫁はしゅうとめに逆らうでしょう+」。

54 それから[イエス]はさらに群衆にもこう言われた。「雲が西の方にわき起こるのを見ると,あなた方はすぐに,『あらしが来るぞ』と言い,そのとおりになります+。55 また,南風が吹いているのを見ると,あなた方は,『熱波があるぞ』と言い,そのようになります。56 偽善者たち,あなた方は地や空の様子の調べ方を知っているのに,この特別な時の調べ方を知らないのはどうしてですか+。57 なぜあなた方は,何が義にかなっているかをも自分で判断しないのですか+。58 たとえば,訴訟の相手と共に支配者のところへ行くときには,その道にある間にその人との論争から抜け出ることに取りかかり,彼があなたを裁き人の前に引き出し,裁き人があなたを廷吏に引き渡し,廷吏があなたを獄に投げ込むようなことが決してないようにしなさい+。59 あなたに言いますが,価のごくわずかな最後の小さな硬貨*を払うまで+,あなたがそこから出ることは決してないでしょう」。

13 ちょうどその時期に,ある者たちが居合わせて,ガリラヤ人たち+のこと,つまりピラトがその人たちの血をその犠牲と混ぜたことについて彼に知らせた。2 そこで[イエス]は答えて彼らに言われた,「そうした苦しみに遭ったのだからこれらのガリラヤ人はほかのすべてのガリラヤ人よりひどい罪人+だったとでも思いますか。3 あなた方に言いますが,決してそうではありません。しかし,あなた方が悔い改めないなら,みな同様に滅ぼされるのです+。4 また,シロアム*の塔が倒れて死んだあの十八人のことですが,これは彼らがエルサレムに住むほかのすべての人より負い目のある者だったしるしだとでも思いますか。5 あなた方に言いますが,決してそうではありません。しかし,あなた方が悔い改めないなら,みな同じように滅ぼされるのです+」。

6 ついで[イエス]はこの例えを話された。「ある人が,自分のぶどう園に植えた一本のいちじくの木を持っていました+。それで,それに実があるかと見に来ましたが+,一つも見つかりませんでした+。7 そこでぶどうの栽培人に言いました,『わたしはこれで三年+もこのいちじくの木に実があるかと見に来たが,まだ一つも見つからない。これを切り倒してしまいなさい+! いったいなぜこのために土地を無駄にしていなければいけないのか』。8 [栽培人]は答えて言いました,『ご主人様,それを今年もそのままにしてやってください+。いずれ周りを掘って肥やしをやりますから。9 それでこれから先,実を生み出すようでしたら[よろしいですし],そうでなければ,切り倒してしまって結構です*+』」。

10 さて[イエス]は安息日に一つの会堂で教えておられた。11 すると,見よ,十八年のあいだ虚弱の霊+につかれた女がいた。彼女は体が折れ曲がり,身を起こすことが全くできなかった。12 彼女をご覧になると,イエスは話しかけてこう言われた。「女よ,あなたは,自分の虚弱さから解き放されています+」。13 そして,両手を彼女の上にお置きになった。すると,彼女はたちどころにまっすぐになり+,神の栄光をたたえはじめたのである。14 しかし,これに対してその会堂の主宰役員は,イエスが安息日に[病気を]治したということで憤慨し,群衆にこう言いはじめた。「仕事をすべき日は六日ある+。だから,それら[の日]に来て治してもらうがよい。安息日にはいけないのだ+」。15 しかしながら,主は彼に答えてこう言われた。「偽善者たち+,あなた方はそれぞれ安息日に自分の牛やろばを畜舎からほどき,[水を]飲ませに引いて行くのではありませんか+。16 それなら,アブラハムの娘+で,サタンが,見よ,十八年も縛っていたこの女が,安息日にこのかせから解かれるのは当然ではありませんでしたか」。17 さて,[イエス]がこれらのことを言われると,その反対者たちはみな恥ずかしく思うようになった+。しかし,群衆はみな,彼の行なった栄光ある事柄すべてを歓ぶようになった+。

18 それで[イエス]はさらにこう言われた。「神の王国は何に似ているでしょうか。それを何になぞらえましょうか+。19 それは,人が取って庭にまいたからしの種粒のようです。それは成長して木となり,天の鳥たち+はその枝を宿り場としたのです+」。

20 それから再びこう言われた。「神の王国を何になぞらえましょうか。21 それはパン種のようです。女がそれを取って大升*三ばいの麦粉の中に隠すと*,やがて塊全体が発酵しました+」。

22 それから[イエス]は,都市から都市,村から村へと旅をし,[人々を]教えながらエルサレムへの旅を続けてゆかれた+。23 さて,ある人が彼に言った,「主よ,救われつつある者は少ないのですか+」。[イエス]は彼らにこう言われた。24 「狭い戸口を通って入るため+,精力的に励みなさい*+。あなた方に言いますが,入ろうと努めながら入れない者が多いからです+。25 ひとたび家あるじが起き上がって戸に錠を下ろしてしまうと,あなた方は外に立って戸をたたき始め,『だんな様,開けてください』と言います+。しかし,彼は答えてあなた方に言うでしょう,『わたしはあなた方がどこの者か知らない+』。26 そのときあなた方は言い始めます,『わたしたちはあなたの前で食べたり飲んだりしましたし,あなたはわたしたちの大通りで教えてくださいました+』。27 しかし彼はあなた方に語ってこう言うでしょう。『わたしはあなた方がどこの者か知らない。不義を働く者たちは皆,わたしから離れ去れ+!』28 アブラハム,イサク,ヤコブ,およびすべての預言者が神の王国にいるのに+自分が外に投げ出されているのを見るとき,そこで[あなた方は]泣き悲しんだり歯ぎしりしたりするでしょう+。29 さらに,人々が東のほうや西のほうから,また北や南から来て+,神の王国で食卓について横になるでしょう+。30 そして,見よ,最後であったのに最初になる者がおり,また最初であったのに最後になる者がいるのです+」。

31 ちょうどその時刻に何人かのパリサイ人がやって来て,彼にこう言った。「出て行ってここから去りなさい。ヘロデ*があなたを殺そうとしているからです」。32 すると[イエス]は彼らに言われた,「行って,あのきつね+に言いなさい,『見よ,わたしは今日と明日は悪霊たちを追い出し,いやしを成し遂げています。そして三日目には終わるでしょう*+』と。33 しかしやはり,わたしは,今日,明日,またその明くる日と,自分の道を進んで行かねばなりません。預言者がエルサレムの外で滅ぼされることは許されないからです+。34 エルサレム,エルサレム,預言者たちを殺し+,自分に遣わされた人々を石打ちにする者+よ ― めんどりが一かえりのひなをその翼の下に集めるように+,わたしは幾たびあなたの子供たちを集めたいと思ったことでしょう。それなのに,あなた方は[それを]望みませんでした+。35 見よ,あなた方の家+はあなた方のもとに見捨てられています。あなた方に言いますが,『エホバ*のみ名によって来るのは祝福された者+』と言うときまで,あなた方は決してわたしを見ないでしょう」。

14 それから,[イエス]が食事をするため,安息日に,パリサイ人たちのある支配者の家に入った時のこと+,人々は彼をじっと見守っていた+。2 すると,見よ,彼の前に,水腫にかかっている人がいた。3 そこでイエスは,律法に通じた人々とパリサイ人たちに語りかけて,こう言われた。「安息日に[病気を]治すことは許されていますか,いませんか+」。4 しかし彼らは黙っていた。そこで[イエス]は[その人を]抱きかかえていやし,そこからお去らせになった。5 それから彼らにこう言われた。「あなた方のうち,自分の息子や牛が井戸に落ち込んだ場合+,安息日だからといってこれをすぐに引き上げない人がいるでしょうか+」。6 すると彼らはこれらのことについて何も言い返すことができなかった+。

7 それから[イエス]は,招かれてそこに来ていた人々にひとつの例えを話された。彼らが,最も目立つ場所を自分のために選ぶ様子に目を留められたからであり,こう言われた+。8 「だれかから婚宴に招かれたなら,最も目立つ場所に横たわってはなりません+。もしかすると,だれかあなたより主立った人がそのとき招かれているかもしれず,9 その場合,あなたやその人を招いた人が来て,『この人にその場所を譲ってください』と言うでしょう。そうすると,あなたは恥ずかしい思いをしながら,そこを立って最も低い場所に着くことになるのです+。10 むしろ,あなたが招かれたときには,行って,最も低い場所で横になり+,あなたを招いた人が来て,『友よ,もっと高いほうへ進んでください』と言うようにしなさい。そうするとあなたは,一緒にいるすべての客の前で誉れを受けることになるのです+。11 だれでも自分を高める者は低くされ,自分を低くする者は高められるのです+」。

12 次に[イエス]は自分を招いた人にもこう言われた。「あなたが正さんや晩さんを設けるときには,友人や兄弟,また親族や富んだ隣人などを呼んではなりません。恐らく彼らはいつかあなたを招き返して,それがあなたへの報いとなることでしょう。13 むしろ,あなたがごちそうを設けるときには,貧しい人,体の不自由な人,足なえの人,盲目の人などを招きなさい+。14 そうすればあなたは幸いです。彼らにはあなたに報いるものが何もないからです。あなたは義人の復活+の際に報いを受けるのです」。

15 これらのことを聞くと,一緒にいた客のひとりが彼にこう言った。「神の王国でパンを食べる*人は幸いです+」。

16 [イエス]*はその人にこう言われた。「ある人が盛大な晩さんを設けていました。そして大勢の人を招いたのです+。17 そして彼は晩さんの時刻に自分の奴隷を遣わして,招いておいた人たちに,『おいでください+。もう用意ができましたから』と言わせました。18 ところが,彼らはみな一様に言い訳をして断わり始めました+。最初の者は彼に言いました,『わたしは畑を買ったので,出かけて行ってそれを見てこなければなりません。お願いします,お断わりさせてください*+』。19 また別の者は言いました,『五くびきの牛を買ったので,それを調べに行くところなのです。お願いします,お断わりさせてください+』。20 さらに別の者は言いました,『妻をめとったばかりなのです+。そのため,参上できないのですが』。21 それで,奴隷はやって来て,これらのことを主人に伝えました。すると,家あるじは憤って奴隷に言いました,『急いで市の大通りや路地に出て行き,貧しい人,体の不自由な人,盲人,足なえの人などをここに連れて来なさい+』。22 やがて奴隷は言いました,『ご主人様,お命じになったとおりに致しました。でも,まだ場所が余っております』。23 すると主人は奴隷に言いました,『道路や,柵を巡らした場所に出て行き+,無理にでも人々に入って来させて,わたしの家がいっぱいになるようにしなさい+。24 あなた方に言うが,招かれていたあの者たちにはだれにもわたしの晩さんを味わわせないのだ+』」。

25 さて,大群衆が彼と一緒に旅行していたが,[イエス]は振り向いて彼らにこう言われた。26 「わたしのもとに来て,自分の父,母,妻,子供,兄弟,姉妹,さらには,自分の魂*をさえ憎まないなら+,その人はわたしの弟子になることはできません+。27 だれでも,自分の苦しみの杭*を運びながらわたしのあとに付いて来ない者は,わたしの弟子になることができないのです+。28 たとえば,あなた方のうちのだれが,塔を建てようと思う場合,まず座って費用を計算し+,自分がそれを完成するだけのものを持っているかどうかを調べないでしょうか。29 そうしないなら,その人は土台を据えてもそれを仕上げることができないかもしれず,それを見ている人たちはみな彼をあざけって,30 『この人は建て始めはしたものの,仕上げることができなかった』と言い始めるかもしれません。31 また,どんな王が,別の王と戦いを交えようとして行進するにあたり,まず座って,二万の軍勢で攻めて来る者に,一万の軍勢で相対することができるかどうかを諮らないでしょうか+。32 事実,それができないなら,その者がまだ遠く離れた所にいる間に,一団の大使を遣わして和平を求めるのです+。33 このように,確かにあなた方は,自分の持ち物すべてに別れを告げないかぎり+,だれもわたしの弟子になることができません。

34 「いかにも塩はすぐれたものです。しかし,塩でさえその効き目を失うなら,何をもってそれに味をつけるでしょうか+。35 それは土にも肥やしにもふさわしくありません。人々はそれを外に捨てるのです。聴く耳のある人は聴きなさい+」。

15 さて,収税人+や罪人たち+がみな,彼[の話]を聞こうとしてしきりに近づいて来るのであった。2 そのため,パリサイ人も書士たちもしきりに不平をならし,「この人は罪人たちを歓迎して一緒に食事をする」と言った+。3 すると[イエス]はこの例えを彼らに話して,こう言われた。4 「あなた方のうち,百匹の羊を持っていて,そのうちの一匹を失ったときに,九十九匹を荒野に残し,失われたものを見つけるまでそれを捜しに行かない人がいるでしょうか+。5 そして,見つけると,その人はそれを自分の肩に載せて歓びます+。6 そうして,家に着くと,友人や隣人を呼び集めて,こう言うのです。『一緒に歓んでください。失われていたわたしの羊が見つかったからです+』。7 あなた方に言いますが,このように,悔い改める一人の罪人+については,悔い改めの必要のない九十九人の義人+について以上の喜びが天にあるのです。

8 「また,十枚のドラクマ*硬貨を持っていて,一枚のドラクマ硬貨をなくした場合に,ともしびをともして家を掃き,それを見つけるまで注意深く捜さない女がいるでしょうか。9 そして,それを見つけると,彼女は自分の友人や隣人の女たちを呼び集めて,こう言います。『一緒に歓んでください。わたしのなくしたドラクマ硬貨が見つかったからです』。10 あなた方に言いますが,このように,悔い改める一人の罪人については,神のみ使いたちの間に喜びがわき起こるのです+」。

11 それから[イエス]はこう言われた。「ある人に二人の息子がありました+。12 そして,そのうちの若いほうの者が父親に言いました,『父上,財産のうちわたしの頂く分+を下さい』。そこで彼は自分の資産+をふたりに分けてやりました。13 その後,何日もたたないうちに,若いほうの息子はすべての物を取りまとめて遠い土地に旅行に出,そこで放とうの生活をして自分の財産を乱費しました+。14 すべての物を使い果たした時,その地方一帯にひどい飢きんが起こり,彼は困窮し始めました。15 彼はその地方のある市民のもとに行って身を寄せることまでし,その人は彼を自分の畑にやって豚+を飼わせました。16 そして彼は,豚が食べているいなごまめのさやで腹を満たしたいとさえ思っていましたが,彼に[何か]与えようとする者はだれもいませんでした+。

17 「本心に立ち返った時,彼は言いました,『わたしの父のところでは実に多くの雇い人にあり余るほどのパンがあるのに,わたしはここで飢きんのために死にそうなのだ。18 立って父のところに旅をし+,こう言おう。「父上,わたしは天に対しても,あなたに対しても*罪をおかしました+。19 わたしはもうあなたの息子と呼ばれるには値しません。あなたの雇い人の一人のようにしてください」』。20 そこで彼は立って父親のもとに行きました。彼がまだ遠くにいる間に,父親は彼の姿を見て哀れに思い,走って行ってその首を抱き,優しく口づけしたのです。21 その時,息子は言いました,『父上,わたしは天に対しても,あなたに対しても*罪をおかしました+。わたしはもうあなたの息子と呼ばれるには値しません。あなたの雇い人の一人のようにしてください*+』。22 しかし父親は自分の奴隷たちに言いました,『さあ早く,長い衣,その一番良いのを出して来てこれに着せ+,その手に輪をはめ+,足にサンダルをはかせなさい。23 それから,肥えさせた+若い雄牛を連れて来てほふるのだ*。食べて,楽しもうではないか。24 このわたしの息子が,死んでいたのに生き返ったからだ+。失われていたのが見つかったのだ』。こうして彼らは興じ始めました。

25 「さて,年上の息子+は野にいました。そして,帰って来て家に近づくと,合奏と踊りの音が聞こえたのです。26 そこで,僕の一人を呼び,これはどういうことなのかと尋ねました。27 [僕]は言いました,『あなたのご兄弟+がおいでになったのです。それで,健やかに戻って来られたというので,あなたのお父様+は肥えさせた若い雄牛をほふられたのです』。28 ところが彼は憤り,入って行こうとはしませんでした。すると,父親が出て来て,彼に懇願しはじめました+。29 彼は答えて父親に言いました,『わたしはこれまで何年というものあなたのために奴隷のように働いてきて,一度といえあなたのおきてを踏み越えたことはありません。それなのに,このわたしには,友人と一緒に楽しむための子やぎさえただの一度も下さったことがありません+。30 それが,娼婦たちと一緒になってあなたの資産を食いつぶした+,このあなたの息子+が到着するや,あなたは肥えさせた若い雄牛を彼のためにほふったのです+』。31 すると,[父親]は言いました,『子よ,あなたはいつもわたしと一緒にいたし,わたしの物はみなあなたのものだ+。32 だが,わたしたちはとにかく楽しんで歓ばないわけにはいかなかったのだ。このあなたの兄弟は,死んでいたのに生き返り,失われていたのに見つかったからだ+』」。

16 次いで[イエス]は弟子たちにもこう言われた。「ある富んだ人がいて,家令*+をかかえていましたが,この者が[主人]の貨財を浪費しているとの訴えがその人のもとになされました+。2 そこで彼はその[家令]を呼んで言いました,『わたしがあなたについて聞くこの事はどういうことなのか。あなたの家令職について会計報告を出しなさい+。あなたはもうこの家を管理できないのだ』。3 そこで家令は自分に言いました,『どうしよう。主人+はわたしから家令職を取り上げるということだ。わたしは土掘りをするほど強くはないし,物ごいをするのは恥ずかしい。4 そうだ,どうすればよいか分かったぞ。わたしが家令職から外されたとき,人々がわたしを自分の家に迎え入れてくれるようにするのだ+』。5 それから彼は,主人の債務者をひとりひとり自分のもとに呼んでから,最初の者にこう言いました。『あなたはわたしの主人にどれくらい借りがあるのか』。6 彼は言いました,『オリーブ油百バト*です』。[家令]は言いました,『あなたの契約書を受け取り,座って,早く五十と書きなさい』。7 次に,彼は別の者に言いました,『さて今度はあなただが,どれくらい借りているのか』。彼は言いました,『小麦百コル*です』。[家令は]言いました,『あなたの契約書を受け取って,八十と書きなさい』。8 すると,主人はその家令をほめました。不義な者ではありますが,実際的な知恵をもって行動したからです+。この事物の体制*の子らは,自分たちの世代に対しては,実際的なやり方の点で光の子らより賢いのです+。

9 「また,わたしはあなた方に言いますが,不義の富*+によって自分のために友を作り+,そうしたものが尽きたとき,彼らがあなた方を永遠の住みか*に迎え入れてくれるようにしなさい+。10 ごく小さな事に忠実な人は多くのことにも忠実であり,ごく小さな事に不義な人は多くのことにも不義です+。11 それゆえ,あなた方が不義の富に関して忠実であることを示していないなら,だれがあなた方に真実のものを託するでしょうか+。12 そして,あなた方がほかの人の物について忠実であることを示していないなら+,だれがあなた方に,あなた方のための物*を与えるでしょうか。13 どんな家僕も二人の主人に対して奴隷となることはできません。一方を憎んで他方を愛するか,あるいは一方に堅く付いて他方を侮るようになるからです。あなた方は神と富とに*対して奴隷となることはできません+」。

14 さて,金を愛する者であるパリサイ人たちがこれらのすべてのことを聴いていて,彼のことを冷笑しはじめた+。15 そこで[イエス]は彼らに言われた,「あなた方は人の前で自分を義とする者たちですが+,神はあなた方の心を知っておられます+。人の間で高大なものは,神から見て嫌悪すべきものだからです+。

16 「律法と預言者たちとはヨハネまででした+。その時以来,神の王国は良いたよりとして宣明されており*,あらゆるたぐいの人がそれに向かって押し進んでいます+。17 実際,律法の文字の一画+が成就されないでいるよりは+,天と地の過ぎ去るほうが易しいのです+。

18 「自分の妻を離婚して別の女をめとる者はみな姦淫を犯す*のであり,夫から離婚された*女をめとる者は姦淫を犯すことになります+。

19 「ところで,ある富んだ人がいて+,紫と亜麻布で身を飾り,豪しゃな日々を楽しんでいました+。20 一方,ラザロ*という名のあるこじき*は彼の門のところに置かれ,かいようだらけの身で,21 その富んだ人の食卓から落ちる物で腹を満たしたいと思っていました。そのうえまた,犬が来ては彼のかいようをなめるのでした。22 さて,やがてこじきは死に+,み使いたちによってアブラハム+の懐+[の位置*]に運ばれました。

「また,富んだ人も死んで+葬られました。23 そして,ハデス*の中で*目を上げると,自分は責め苦のうちにありましたが+,はるか離れた所にアブラハムがおり,ラザロがその懐[の位置]にいるのが見えました。24 それで彼は呼びかけて言いました,『父アブラハムよ+,わたしに憐れみをおかけになり,ラザロを遣わして,その指の先を水に浸してわたしの舌を冷やすようにさせてください+。わたしはこの燃えさかる火の中で苦もんしているからです+』。25 しかしアブラハムは言いました,『子よ,あなたが自分の生きている間に,自分の良い物を全部受け,それに対してラザロが良くない物を[受けた]ことを思い出しなさい。しかし今,彼はここで慰めを得,あなたは苦もんのうちにある+。26 そして,これらすべてに加えて,わたしたちとあなた方との間には大きくて深い裂け目+が定められており+,そのため,ここからあなた方のもとに行きたいと思う者たちもそれができず,人々がそこからわたしたちのところに渡って来ることもできない+』。27 すると彼は言いました,『それなら,お願いです,父よ,彼をわたしの父の家に遣わしてください。28 わたしには五人の兄弟がいますから。こうして彼が徹底的な証しをし,彼らもこの責め苦の場所に入ることがないようにするのです』。29 しかしアブラハムは言いました,『彼らにはモーセ+と預言者たち+がある。それに聴き従えばよい+』。30 すると彼は言いました,『いいえ,そうではありません,父アブラハムよ,だれかが死人の中から行けば,彼らは悔い改めることでしょう』。31 しかし[アブラハム]は彼に言いました,『モーセや預言者たちに聴き従わないなら+,だれかが死人の中からよみがえっても,やはり説得に応じないであろう』」。

17 それから[イエス]は弟子たちにこう言われた。「つまずきのもととなるものが来ることは避けられません+。しかし,それが来るその経路となる人は災いです+! 2 その人にとっては,臼石を首にかけられて海の中に投げ込まれた+とすれば,そのほうが,これら小さな者の一人をつまずかせるよりはましでしょう+。3 自分自身に注意を払いなさい。あなたの兄弟が罪を犯すなら,叱責を与え+,その人が悔い改めるなら,許してあげなさい+。4 たとえその人があなたに対して一日に七回罪をおかし,『わたしは悔い改めます』と言ってあなたのもとに七回戻って来たとしても,あなたはその人を許してあげなければなりません+」。

5 さて,使徒たちが主にこう言った。「わたしたちにさらに信仰をお与えください+」。6 すると主は言われた,「あなた方にからしの種粒ほどの信仰があったなら,この黒桑の木*に,『根こそぎ抜かれて,海に植われ!』と言ったとしても,それはあなた方に従うでしょう+。

7 「あなた方の中に,[畑を]すき返したり群れの番をしたりする奴隷がいて,その者が野から入って来ると,『すぐにここに来て,食卓について横になりなさい』と言う人がいるでしょうか。8 むしろ,『わたしの晩さんのために何か用意し,前掛けをかけて,わたしが食べたり飲んだりし終わるまでわたしに仕えなさい。そのあと,あなたは食べたり飲んだりしてよろしい』と言うのではありませんか。9 奴隷が割り当ての事をしたからといって,その人は恩義を感じたりしないではありませんか。10 ですからあなた方も,自分に割り当てられた事を全部したときには,『わたしたちは何の役にも立たない奴隷です+。わたしたちのしたことは,当然すべきことでした』と言いなさい」。

11 そして,エルサレムに進んで行かれる途中,[イエス]はサマリアとガリラヤの真ん中を通っておられた+。12 そして,ある村に入って行かれる際に,十人のらい病+の人が彼に出会ったが,彼らは遠く離れたところで立ち上がり,13 声を上げてこう言った。「イエスよ,先生,わたしたちに憐れみをおかけください+!」14 それで,彼らを見かけた時,[イエス]はこう言われた。「行って,自分を祭司たちに見せなさい+」。すると,出かけて行く途中で,彼らは清められたのである+。15 そのうちの一人は,自分がいやされたのを見て,大声で神の栄光をたたえながら+戻って来た。16 そして,[イエス]*の足もとにうつ伏して+感謝した。しかも,それはサマリア人であった+。17 イエスは答えて言われた,「十人が清められたのではありませんでしたか。では,ほかの九人はどこにいるのですか。18 神に栄光を帰するために戻って来たのは,この他国の人のほかにはだれもいなかったのですか」。19 そして,その人にこう言われた。「立って,出かけて行きなさい。あなたの信仰があなたをよくならせた*のです+」。

20 ところで,神の王国がいつ来るのかをパリサイ人たちに尋ねられた時+,[イエス]は彼らに答えて言われた,「神の王国は際立って目につくさまで来るのではなく,21 また人々が『ここを見よ!』とか『そこを!』とか言うものでもありません+。見よ,神の王国はあなた方のただ中に*あるのです+」。

22 それから[イエス]は弟子たちにこう言われた。「あなた方が人の子の日を一日でも見たいと願いながら,[それを]見られない日が来ます+。23 そして人々はあなた方に,『そこを見よ!』とか,『ここを見よ!』とか言うでしょう+。出て行ったり,その後を追いかけたりしてはなりません+。24 稲妻+は,そのひらめきによって,天の下の一ところから天の下の別のところに輝きわたりますが,人の子+もちょうどそのようだからです。25 しかし,彼はまず多くの苦しみに遭い,この世代から退けられねばなりません+。26 また,ノアの日に起きたとおり+,人の子の日にもまたそうなるでしょう+。27 人々は食べたり,飲んだり,めとったり,嫁いだりしていて,ついにノアが箱船の中に入る日となり,洪水*が来て彼らをみな滅ぼしました+。28 また同じように,ちょうどロトの日に起きたとおりです+。人々は食べたり,飲んだり,買ったり,売ったり,植えたり,建てたりしていました。29 しかし,ロトがソドムから出た日に天から火と硫黄が降って,彼らをみな滅ぼしたのです+。30 人の子が表わし示されようとしている日も同様でしょう+。

31 「その日,屋上にいる人は,家財が家の中にあっても,それを取りに下りてはならず,野に出ている人も,後ろのものに戻ってはなりません。32 ロトの妻のことを思い出しなさい+。33 だれでも,自分の魂*を自分のために安全に守ろうとする者はそれを失い,一方,それを失う者は,それを生き長らえさせるのです+。34 あなた方に言いますが,その夜,二人[の男]が一つの寝床にいるでしょう。一方は連れて行かれ,他方は捨てられるのです+。35 二人[の女]が同じ臼でひいているでしょう。一方は連れて行かれ,他方は捨てられるのです+」。36* ―― 37 そこで,彼らはこたえて言った,「主よ,どこでですか」。[イエス]は彼らに言われた,「死体のあるところ+,そこには鷲も集まっているでしょう+」。

18 それから[イエス]は,彼らが常に祈り,かつあきらめてはならないことについて+,さらに例えを話して 2 こう言われた。「ある都市に,神への恐れを抱かず,人に敬意も持たないある裁き人がいました。3 ところが,その都市にひとりのやもめがいて,しきりに彼のもとに来ては+,『わたしが自分の訴訟の相手に対して公正な裁きを得られるようにしてください』と言いました。4 さて,しばらくのあいだ彼は気がすすみませんでしたが,後になって自分に言いました,『わたしは神を恐れたり人を敬ったりするわけではないが,5 とにかく,このやもめが絶えずわたしを煩わすから+,彼女が公正な裁きを得られるようにしてやろう。そうすれば,とことんまでやって来てわたしをこづきまわす*+ようなことはないだろう』」。6 それから主はこう言われた。「不義な者ではあるが,この裁き人の言ったことを聞きなさい! 7 では,神は,日夜ご自分に向かって叫ぶその選ばれた者たちのためには,たとえ彼らに対して長く忍んでおられるとしても+,必ず公正が行なわれるようにしてくださらないでしょうか+。8 あなた方に言いますが,彼らのため速やかに公正が行なわれるようにしてくださるのです+。とはいえ,人の子が到来する時,地上にほんとうに信仰を見いだす*でしょうか」。

9 しかし[イエス]は,自分は義にかなっているのだと自負し+,ほかの人たちを取るに足りない者と考えるある人々+にも次の例えを話された。10 「二人の人が祈りをするため神殿に上りました。一人はパリサイ人,他の一人は収税人でした。11 パリサイ人は立って+,これらのことを自分の中で祈りはじめました+。『神よ,わたしは,自分がほかの人々,ゆすり取る者,不義な者,姦淫をする者などのようでなく,またこの収税人のようですらないことを感謝します+。12 わたしは週に二回断食をし,自分が得るすべての物の十分の一を納めています+』。13 一方,収税人は離れたところに立って,目を天のほうに上げようともせず,胸をたたきながら+,『神よ,罪人のわたしに慈悲をお示しください+』と言いました。14 あなた方に言いますが,この人は,先の人より義にかなった者であることを示して家に帰って行きました+。自分を高める者はみな辱められますが,自分を低くする者は高められるのです+」。

15 さて,人々は,[イエス]に触っていただこうとして,自分の幼児たち*をもそのもとに連れて来るようになった。ところが,弟子たちはそれを見て,彼らをたしなめるのであった+。16 しかし,イエスは[幼児]たちを自分のもとに呼んで,こう言われた。「幼子たちをわたしのところに来させなさい。止めようとしてはなりません。神の王国はこのような者たちのものだからです+。17 あなた方に真実に言いますが,だれでも,幼子のように神の王国を受け入れる者でなければ,決してそれに入れないのです+」。

18 また,ある支配者が彼に質問してこう言った。「善い師よ,何をすれば,わたしは永遠の命を受け継げるでしょうか+」。19 イエスは彼に言われた,「なぜわたしのことを善いと呼ぶのですか。ただひとりの方,神のほかには,だれも善い者はいません+。20 あなたはおきてを知っています+。『姦淫を犯してはいけない+,殺人をしてはいけない+,盗んではいけない+,偽りの証しをしてはいけない+,あなたの父と母を敬いなさい+』」。21 すると彼は言った,「わたしはそれらをみな若い時からずっと守ってきました+」。22 それを聞いてから,イエスは彼に言われた,「あなたには足りないことがまだ一つあります。あなたの持っている物をみな売って,貧しい人々に配りなさい。そうすれば,天に宝を持つようになるでしょう。それから,来て,わたしの追随者になりなさい+」。23 これを聞いて,彼は深く悲しんだ。彼は非常に富んでいたからである+。

24 イエスは彼をじっと見て,こう言われた。「お金を持つ人々が神の王国に入って行くのは何と難しいことなのでしょう+。25 実際,富んだ人が神の王国に入るよりは,らくだが縫い針の穴を通るほうが易しいのです+」。26 これを聞いた者たちは,「果たしてだれが救いを得られるのでしょうか」と言った。27 [イエス]は言われた,「人には不可能な事も,神にとっては可能です+」。28 しかしペテロは言った,「ご覧ください,わたしたちは自分のものを後にして,あなたに従ってまいりました+」。29 [イエス]は彼らに言われた,「あなた方に真実に言いますが,神の王国のために,家,妻,兄弟,親,あるいは子供を後にした者で+,30 この時期にいずれにしても何倍も得,来たらんとする事物の体制*で永遠の命を得ない者はいません+」。

31 それから[イエス]は十二人をわきに連れて行って,こう言われた。「ご覧なさい,わたしたちはエルサレムに上って行きます。そして,人の子に関し,預言者たちによって書かれたこと+はみな成し遂げられるでしょう+。32 例えば,彼は諸国民[の者たち]のもとに引き渡され,愚弄され+,不遜な扱いを受け+,つばをかけられます+。33 そして彼らは,[人の子]をむち打って+から殺しますが+,三日目に彼はよみがえるのです+」。34 しかし,彼らはこれらのことの意味を何一つ悟らなかった。このことばは彼らからは隠されていたのであり,彼らは言われた事柄が分かっていなかった+。

35 さて,[イエス]がエリコに近づいて行かれると,ある盲人が道路のわきに座って物ごいをしていた+。36 彼は,群衆の進んで行く[物音]を聞いたので,これはどういうことなのかと尋ねはじめた。37 人々は,「ナザレ人のイエスが通って行くのだ!」と彼に知らせた+。38 そこで,彼は叫んで言った,「ダビデの子,イエスよ,わたしに憐れみをおかけください+!」39 すると,先を行く者たちが,静かにしているようにと彼に厳しく言いはじめた。しかし,彼はそれだけよけいに,「ダビデの子よ,わたしに憐れみをおかけください」と叫びたてるのであった+。40 そこでイエスは立ち止まり,その[人]を連れて来るようにと命令された+。彼が近くに来てから,[イエス]*はこうお尋ねになった。41 「わたしに何をして欲しいのですか+」。彼は言った,「主よ*,視力を取り戻させてください+」。42 そこでイエスは彼に言われた,「視力を取り戻しなさい。あなたの信仰があなたをよくならせました*+」。43 すると,彼はたちどころに視力を取り戻したのである+。そして,神の栄光をたたえつつ+[イエス]のあとに従うようになった。また,民すべても,[これを]見て神に賛美をささげた。

19 それから[イエス]はエリコに入り+,そこを進んで行かれた。2 ところで,ここにザアカイという名の人がいた。彼は収税人の長であり,富んだ人であった。3 さて彼は,このイエスがどんな人かを見ようとしていたが+,群衆のためにそれができなかった。背が低かったのである。4 それで,先に前方へ走って行き,[イエス]を見るためにいちじく桑の木*によじ登った。ちょうどそちらのほうに進んで行かれるところだったからである。5 さて,その場所に来た時,イエスは彼を見上げて,こう言われた。「ザアカイよ,急いで下りて来なさい。わたしは今日,必ずあなたの家にとどまるからです」。6 そこで彼は急いで下り,歓びながら[イエス]を客として迎えた。7 しかし,[それを]見て,人々はみな不平をならしはじめ+,「罪人である人のところに泊まりに行ったのか」と言った。8 しかし,ザアカイは立ち上がって主に言った,「ご覧ください,主よ,わたしは持ち物の半分を貧しい人々に与えていますし,何でも言いがかりをつけて人からゆすり取ったもの+は,四倍にして元に返しています+」。9 するとイエスは彼に言われた,「この日に救いはこの家に来ました。この人もまたアブラハムの子だからです+。10 人の子は,失われたものを尋ね求め,それを救うために来たのです+」。

11 彼らがこれらのことを聴いていた時,[イエス]はさらに一つの例えを話された。彼がエルサレムの近くに来ており,彼らは,神の王国が今やたちどころに出現するものと想像していたからである+。12 それでこう言われた。「ある高貴な生まれの人が,王権を*確かに自分のものとして帰るため,遠くの土地へ旅行に出ました+。13 彼は自分の十人の奴隷を呼んで,それに十ミナ*を与え,『わたしが来るまで商売をしなさい』と言いました+。14 ところが,その市民は彼を憎み+,その後から一団の大使を送って,『この[人]がわたしたちの王になることは望みません』と言わせました+。

15 「やがて,王権*を確かに得て戻って来た時,彼は,銀子を与えておいたこれらの奴隷を呼び寄せるように命令しました。彼らが商取引きをしてもうけたものを確かめるためでした+。16 そこで,最初の者が出て来て言いました,『主よ*,あなたの一ミナは十ミナをもうけました+』。17 それで彼は言いました,『よくやった,善良な奴隷よ! あなたは非常に小さな事において忠実であることを示したから,十の都市に対する権威を持ちなさい+』。18 さて,二番目の者が来て言いました,『主よ,あなたの一ミナが五ミナを得ました+』。19 彼はこの者にも言いました,『あなたも五つの都市を受け持ちなさい+』。20 しかし,別の者*が来て言いました,『主よ,ここにあなたの一ミナがあります。わたしはこれを布にくるんでしまっておきました。21 お分かりでしょうが,わたしはあなたが怖かったのです。あなたは厳しい方だからです。ご自分の預けなかったものを取り立て,まかなかったものを刈り取られるのです+』。22 彼はその者に言いました,『わたしはあなた自身の口から+あなたを裁く,邪悪な奴隷よ。わたしが厳しい人間であり,自分の預けなかったものを取り立て,まかなかったものを刈り取ることを知っていたというのか+。23 それなら,わたしの銀子を銀行に入れなかったのはどうしてか。そうしておけば,わたしは到着の折,それを利息と一緒に集めただろうに+』。

24 「そうして彼はそばに立っている者たちに言いました,『この者からその一ミナを取って,十ミナ持っている者に与えなさい+』。25 しかし彼らは言いました,『主よ,彼は十ミナも持っています!』― 26 『あなた方に言うが,すべて持っている者にはさらに与えられ,一方,持っていない者からは,その持っているものまで取り上げられるのだ+。27 それから,わたしがその王となることを望まなかったこれらわたしの敵どもをここに連れて来て,わたしの前で打ち殺せ+』」。

28 こうして,これらのことを言われてから,[イエス]は先頭に立って進み,エルサレムに上って行かれた+。29 そして,オリーブ山+と呼ばれる山にあるベテパゲとベタニヤの近くに来た時,弟子の二人を遣わして+,30 こう言われた。「向こうに見えるあの村に入りなさい。中に入ると,そこに一頭の子ろばがつながれているのを見つけるでしょう。それには人間がだれもいまだ座したことがありません。それを解いて,連れて来なさい+。31 しかし,だれかが,『どうしてそれを解くのか』と尋ねるなら,あなた方は,『主がこれをご入り用なのです』と言わねばなりません+」。32 それで,遣わされた者たちは出かけて行ったが,まさに[イエス]の言われた通りになっているのを見た+。33 しかし,彼らがその子ろばを解いていると,その持ち主たちが,「なぜ子ろばを解いているのか」と言った+。34 彼らは,「主がこれをご入り用なのです」と言った+。35 こうしてそれをイエスのところに引いて来た。そして自分たちの外衣を子ろばの上にかけ,イエスを[その]上に座らせた+。

36 [イエス]が進んで行くと+,彼らは自分の外衣を道路に敷いていった+。37 彼がオリーブ山を下る道路に近づくや,大勢の弟子たちはみな歓び,自分たちの見たすべての強力な業について大声で神を賛美し始めて+,38 こう言った。「エホバ*のみ名によって王として来るのは祝福された者+! 天に平和,至高の所に*栄光あれ+!」39 しかしながら,パリサイ人のある者たちが群衆の中から彼に言った,「師よ,あなたの弟子たちを叱ってください+」。40 しかし[イエス]は答えて言われた,「あなた方に言いますが,もしこれらの者が黙っているなら,石+が叫ぶでしょう」。

41 そして市の近くに来た時,[イエス]はそれを眺め,それのために涙を流して+,42 こう言われた。「もしあなたが,そうですあなたが,この日に,平和にかかわる事を見分けていたなら+ ― しかし今,それはあなたの目から隠されているのです+。43 あなたの敵が,先のとがった杭で+まわりに城塞を築き+,取り巻いて+四方からあなたを攻めたてる+日が来るからであり,44 彼らは,あなたとあなたの中にいるあなたの子らを地面にたたきつけ+,あなたの中で石を石の上に残したままにはしておかないでしょう+。あなたが自分の検分されている時を見分けなかったからです+」。

45 それから[イエス]は神殿の中に入り,物を売っている人たちを追い出し始め+,46 彼らにこう言われた。「『そしてわたしの家は祈りの家となるであろう+』と書いてあるのに,あなた方はそれを強盗の洞くつとした+」。

47 さらにまた,[イエス]は神殿で毎日教えるようになった。しかし,祭司長と書士たち,および民の主立った者たちは,彼を滅ぼそうとうかがっていた+。48 それでも彼らは,なすべきうまい策を見いだせないでいた。民はみな,彼[の語ること]を聞こうとして,ずっと付きまとっていたからである+。

20 [イエス]が神殿で民を教え,良いたよりを宣明しておられたある日のこと,祭司長と書士たちが年長者たちと一緒に近づいて来て+,2 彼に向かってこう言い立てた。「どんな権威でこうしたことをするのか,まただれがあなたにこの権威を与えたのか,わたしたちに言いなさい+」。3 [イエス]は答えて彼らに言われた,「わたしも,あなた方に質問しますから,言いなさい+。4 ヨハネのバプテスマ*は天からのものでしたか,それとも人からのものでしたか+」。5 すると彼らは互いに結論を出し合って言った,「我々が,『天から』と言えば,彼は,『あなた方が彼を信じなかったのはどうしてか』と言うだろう+。6 しかし,『人から』と言えば,民はこぞって我々を石打ちにするだろう+。ヨハネ+は預言者であったと信じ込んでいるからだ+」。7 それで彼らは,どこからのものか知らないと返答した。8 そこでイエスは彼らに言われた,「わたしも,どんな権威で自分がこれらのことを行なうかを,あなた方には言いません+」。

9 それから[イエス]は民にこの例えを話し始められた。「ある人がぶどう園を設け+,それを耕作人たちに貸し出して,かなりのあいだ外国へ旅行に出ました+。10 しかし,しかるべき季節に,彼はひとりの奴隷を耕作人たち+のもとに送りました+。彼らがぶどう園の実りを彼に幾らか納めるようにするためです+。ところが,耕作人たちは,[その奴隷]を打ちたたいたのち,むなし手で去らせてしまいました+。11 しかし彼は重ねてほかの奴隷を彼らのもとに遣わしました。その者も彼らは打ちたたいて辱め,むなし手で去らせました+。12 それでも彼はもう一度,三人目の者を遣わしました+。この者も彼らは傷つけて追い出したのです。13 そこで,ぶどう園の持ち主は言いました,『どうしたものだろう。わたしの愛する息子+を遣わすことにしよう。これなら恐らく尊敬するだろう』。14 彼を見ると,耕作人たちは互いに論じ合って言いました,『これは相続人だ。こいつを殺して,相続財産を我々のものにしよう+』。15 そうして,彼をぶどう園の外に追い出して+,殺してしまったのです+。それで,ぶどう園の持ち主は彼らをどうするでしょうか+。16 やって来て,これらの耕作人を滅ぼし,そのぶどう園をほかの者たちに与えるのです+」。

[これを]聞いて彼らは言った,「そんなことは決して起きませんように!」17 しかし,[イエス]は彼らをご覧になって言われた,「では,『建築者たちの退けた石+,これが主要な隅石となった+』と書いてあるのはどういうことですか。18 その石の上に落ちる者は皆こなごなになるでしょう+。だれでもこれがその上に落ちる者+,その人はみじんに砕かれるでしょう+」。

19 書士と祭司長たちは,ちょうどその時に,彼に手を掛けようとしたが,民を恐れた。彼らは,[イエス]が自分たちのことを念頭においてこの例えを話したことに気づいたのである+。20 そこで,彼の様子をつぶさにうかがったのち,義人のようなふりをさせるためにひそかに雇った者たちを遣わした。そのことばじりを捕らえて+,彼を政府に,そして総督の権限のもとに引き渡そうとしてであった+。21 そこで,その者たちは質問してこう言った。「師よ,わたしどもは,あなたの話したり教えたりされることが正しく,また不公平な扱いをなさらず,かえって真実に即して神の道をお教えになることを知っております+。22 わたしどもがカエサルに*税を払うことはよろしいでしょうか,よろしくないでしょうか+」。23 しかし,[イエス]は彼らのこうかつさを見破ってこう言われた+。24 「デナリ*をわたしに見せなさい。それにはだれの像と銘刻がありますか」。彼らは,「カエサルのです」と言った+。25 [イエス]は彼らに言われた,「では,ぜひとも,カエサルのものはカエサルに+,しかし神のものは神に返しなさい+」。26 すると彼らは,民を前にして,このことばの点では彼をつかまえることができず,むしろその答えに驚いて何も言えなかった+。

27 しかしながら,復活などはないと言うサドカイ人が何人かやって来て+,彼に質問して,28 こう言った。「師よ,モーセ+はわたしたちに,『ある人の兄弟が妻を持ちながら死に,その者に子供がなかったなら,彼の兄弟+はその妻をめとり,自分の兄弟のために彼女から子孫を起こすべきである』と書きました+。29 さてここに,七人の兄弟がいました。一番目の者は妻をめとりましたが,子供のないまま死にました+。30 こうして二番目,31 ついで三番目の者が彼女をめとりました。七人までが同様でした。彼らは子供を残さずにみな死んだのです+。32 最後に,その女も死にました+。33 この結果,復活*の際,彼女は彼らのうちだれの妻となるのですか。その七人が彼女を妻として得たのですから+」。

34 イエスは彼らに言われた,「この事物の体制*の子らはめとったり嫁いだりしますが+,35 かの事物の体制+と死人の中からの復活+をかち得るにふさわしいとみなされた者たち+は,めとることも嫁ぐこともありません。36 実際,彼らはもう死ぬこともないのです+。彼らはみ使いたちのようなのであり,また,復活の子であることによって神の子たち*なのです+。37 しかし,死人がよみがえらされることについては,モーセでさえ,いばらの茂みに関する記述+の中で[それを]明らかにしました。そのさい彼は,エホバ*を,『アブラハムの神,イサクの神,ヤコブの神+』と呼んでいます*。38 この方は死んだ者の神ではなく,生きている者の[神]です。彼らは皆,[神]にとっては生きている*のです+」。39 書士の幾人かがそれにこたえて言った,「師よ,よくぞ言われました」。40 もはや彼らは,[イエス]に何一つ質問する勇気もなかったのである。

41 かわって[イエス]が彼らに言われた,「人々が,キリストはダビデの子だと言うのはどうしてですか+。42 ダビデ自身が詩編の書の中で,『エホバ*がわたしの主に言われた,43 わたしがあなたの敵をあなたの足台として据えるまで,わたしの右に座していなさい』と言っています+。44 それゆえ,ダビデは彼を『主』と呼んでいるのです。それで,どうして彼の子でしょうか」。

45 それから,民すべてが聴いているところで,[イエス]は弟子たちにこう言われた+。46 「書士たちに気を付けなさい。彼らは長い衣を着て歩き回ることを望み,市の立つ広場*でのあいさつと,会堂の正面の座席,そして晩さんでは特に目立つ場所を好みます+。47 彼らは,やもめたちの家を食い荒らし+,見せかけのために長い祈りをする者たちです。こうした者たちはより重い裁きを受けるでしょう+」。

21 さて,[イエス]が目を上げると,富んだ人々が自分の供え物を宝物庫の箱*に入れているのが見えた+。2 次いで[イエス]は,ある貧乏なやもめがごくわずかな価しかない小さな硬貨二つ*をそこに入れるのをご覧になって+,3 こう言われた。「あなた方に真実をこめて言いますが,このやもめは,貧しいとはいえ,彼ら全部より多く入れました+。4 これらの者はみな自分の余っている中から供え物を入れましたが*,この[女]はその乏しい中から,自分の持つ暮らしのもとすべてを入れたのです+」。

5 後に,ある者たちが,神殿に関し,それがりっぱな石や献納物で飾られていることについて話していたところ+,6 [イエス]はこう言われた。「あなた方が見入っているこれらの物について言えば,石が一つとしてこのまま石の上に残らず,[すべてが]崩されてしまう日が来ます+」。7 そこで彼らは質問して言った,「師よ,そのようなことは実際にはいつあるのでしょうか。また,そのようなことが起きるように定まった時のしるしには何がありますか+」。8 [イエス]は言われた,「惑わされないように気を付けなさい+。多くの者がわたしの名によってやって来て,『わたしがそれだ』とか,『その時が近づいた』とか言うからです+。そのあとに付いて行ってはなりません。9 さらに,戦争や無秩序な事態について聞いても,恐れおののいてはなりません+。これらはまず必ず起きる事だからです。しかし,終わり*はすぐには[来]ないのです」。

10 それから[イエス]はさらにこう言われた。「国民は国民に+,王国は王国に敵対して立ち上がる*でしょう+。11 そして,大きな地震があり,そこからここへと疫病や食糧不足があります+。また,恐ろしい光景や天からの大いなるしるしがあるでしょう+。

12 「しかし,これらのすべての事の前に,人々はあなた方に手をかけて迫害し+,あなた方を会堂や獄に引き渡し,あなた方はわたしの名のために王や総督たちの前に引き出されるでしょう+。13 それはあなた方にとって証し*の[機会]となるのです+。14 それゆえ,どのように弁明するか前もってけいこなどしないことを心に定めなさい+。15 わたしがあなた方に口と*知恵を与えるからです。あなた方の反対者がみな一緒になっても,それに抵抗することも論ばくすることもできないでしょう+。16 さらに,あなた方は,親,兄弟,親族,友人たちによってさえ引き渡され+,彼らはあなた方のうちのある者たちを死に渡すでしょう+。17 またあなた方は,わたしの名のゆえにすべての人の憎しみの的となるでしょう+。18 それでも,あなた方の髪の毛一本すら+決して滅びることはありません。19 あなた方は自らの忍耐によって自分の魂*を獲得するのです+。

20 「また,エルサレムが野営を張った軍隊に囲まれるのを見たなら+,その時,その荒廃が近づいたことを知りなさい+。21 その時,ユダヤにいる者は山に逃げはじめなさい。[都]の中にいる者はそこを出なさい。田舎にいる者は[都]の中に入ってはなりません+。22 なぜなら,これは処断の日*であり,それによって,書かれていることのすべてが成就するのです+。23 その日,妊娠している女と赤子に乳を飲ませている者にとっては災いになります+! その土地に*非常な窮乏が,そしてこの民に憤りが臨むからです。24 そして人々は剣の刃に倒れ,捕らわれとなってあらゆる国民の中へ引かれてゆくでしょう+。そしてエルサレムは,諸国民の定められた時+が満ちるまで*,諸国民*に踏みにじられるのです。

25 「また,太陽と月と星にしるしがあり+,地上では,海のとどろき+と[その]動揺+のゆえに逃げ道を知らない諸国民の苦もんがあるでしょう。26 同時に人々は,人の住む地*に臨もうとする事柄+への恐れと予想から気を失います+。天のもろもろの力*が揺り動かされるからです+。27 そのとき彼らは,人の子が力と大いなる栄光を伴い,雲のうちにあって来る*+のを見るでしょう+。28 しかし,これらの事が起こり始めたら,あなた方は身をまっすぐに起こし,頭を上げなさい。あなた方の救出が近づいているからです」。

29 そうして[イエス]は彼らにひとつの例えを話された。「いちじくの木やほかのすべての木をよく見なさい+。30 それらが既に芽ぐんでいれば,あなた方はそれを観察して,もう夏の近いことを自分で知ります+。31 このように,あなた方はまた,これらの事が起きているのを見たなら,神の王国の近いことを知りなさい+。32 あなた方に真実に言いますが,すべての事が起こるまで,この世代*は決して過ぎ去りません+。33 天と地は過ぎ去るでしょう+。しかしわたしの言葉は決して過ぎ去らないのです+。

34 「しかし,食べ過ぎや飲み過ぎ+また生活上の思い煩い*+などのためにあなた方の心が押しひしがれ,その日が突然,わなのように+急にあなた方に臨むことがないよう,自分自身に注意を払いなさい+。35 それは,全地の表に住むすべての者に臨むからです+。36 それで,起きることが定まっているこれらのすべての事を逃れ,かつ人の子の前に立つことができるよう+,常に祈願をしつつ+,いつも目ざめていなさい+」。

37 こうして[イエス]は,日中は神殿で教え+,夜には出て行って,オリーブ山と呼ばれる山に宿を取られるのであった+。38 そして民はみな+,彼[の話]を聞こうとして,日中早くから,神殿にいる彼のもとに来るのであった。

22 さて,無酵母パンの祭り,いわゆる過ぎ越し+が近づいていた。2 また,祭司長と書士たちは,[イエス]を除き去るためのうまい方法を探っていた+。彼らは民を恐れていたのである+。3 しかし,ユダに,つまりイスカリオテと呼ばれ,十二人の中に数えられていた者にサタンが入り込んだ+。4 こうして彼は出かけて行き,祭司長および[神殿の]指揮官たちと,[イエス]を裏切って彼らに渡すうまい方法について話し合った+。5 すると彼らは歓び,彼に銀子を与えることに同意した+。6 それで彼は承諾し,まわりに群衆のいないときに[イエス]を裏切って彼らに渡す良い機会をうかがうようになった+。

7 さて,無酵母パンの日が来た。それは過ぎ越し[のいけにえ]が犠牲にされねばならない[日]であった+。8 そこで[イエス]はペテロとヨハネを派遣して,こう言われた。「行って,わたしたちが食べる過ぎ越しを用意しなさい+」。9 彼らは言った,「どこに用意するようにお望みですか」。10 [イエス]は彼らに言われた+,「見よ,あなた方が市内に入ると,水を土器に入れて運んでいる男があなた方に会うでしょう。そのあとに付いて行って,彼の入る家に入りなさい+。11 そして,その家のあるじにこう言わねばなりません。『師があなたに言っておられます,「わたしが弟子たちと一緒に過ぎ越しの食事をすることのできる客室はどこでしょうか」と+』。12 するとその[人]は整えられた大きな階上の部屋を見せてくれるでしょう。そこに用意をしなさい+」。13 それで彼らが出かけて行ってみると,[イエス]が言われたとおりであった。こうして彼らは過ぎ越しの用意をした+。

14 ようやくその時刻が来たとき,[イエス]は食卓について横になり,使徒たちも共に[食卓についた+]。15 そして[イエス]は彼らに言われた,「わたしは,苦しみを受ける前にあなた方と一緒にこの過ぎ越しの食事をすることを大いに望んできました。16 あなた方に言いますが,それが神の王国で成就するまで,わたしは二度とそれを食べないのです+」。17 それから杯+を受け取り,感謝をささげてからこう言われた。「これを取り,あなた方の間で順に回しなさい。18 あなた方に言いますが,今からのち,神の王国が到来するまで,わたしはぶどうの木の産物を二度と飲まないのです+」。

19 また,[イエス]はパンを取り+,感謝をささげてそれを割き,それを彼らに与えて,こう言われた。「これは,あなた方のために与えられる+わたしの体を表わしています*+。わたしの記念としてこれを行ないつづけなさい+」。20 また,晩さんがすんでから,杯+をも同じようにして,こう言われた。「この杯は,わたしの血による+新しい契約を表わしています+。それはあなた方のために注ぎ出されることになっています*+。

21 「しかし,見よ,わたしを裏切る者+の手がわたしと共に食卓にあります+。22 人の子は,定められたところにしたがってその道を行くからです+。しかしやはり,彼を裏切るその人は災いです+!」23 そこで彼らは,自分たちのうちいったいだれがそのようなことを行なおうとしているのか,互いに論じ始めた+。

24 ところが,彼らの間では,自分たちのうちでだれが一番偉いのだろうかということについても激しい論争が起こった+。25 しかし[イエス]は彼らにこう言われた。「諸国民の王たちは人々に対して威張り,人々の上に権威を持つ者たちは恩人と呼ばれています+。26 ですが,あなた方はそうであってはなりません+。むしろ,あなた方の間で一番偉い者は一番若い者のように+,長として行動している者は奉仕する*者のようになりなさい+。27 というのは,食卓について横になっている者と奉仕している者では,どちらが偉いのですか。それは,食卓について横になっている者ではありませんか。しかしわたしは,奉仕する者としてあなた方の中にいるのです+。

28 「しかし,あなた方はわたしの試練の間+わたしに堅く付き従ってきた者たちです+。29 それでわたしは,ちょうどわたしの父がわたしと契約を結ばれたように+,あなた方と王国のための契約を結び+,30 あなた方がわたしの王国でわたしの食卓について食べたり+飲んだりし+,また座に着いて+イスラエルの十二部族を裁くようにします。

31 「シモン,シモン,見よ,サタン+は,あなた方を小麦のようにふるいにかけるため,あなた方を手に入れることを要求しました+。32 しかしわたしは,あなたの信仰が尽きないように,あなたのために祈願をしたのです+。それであなたは,ひとたび立ち直ったなら,あなたの兄弟たちを強めなさい+」。33 すると彼は言った,「主よ,わたしはあなたと共に獄に入ることも死ぬことも覚悟しているのです+」。34 しかし[イエス]は言われた,「ペテロ,あなたに言いますが,あなたがわたしを知っていることを三度否定するまで,今日,おんどりは鳴かないでしょう+」。

35 [イエス]はまた彼らにこう言われた。「わたしが,財布も食物袋もサンダルも持たせずに遣わした時+,あなた方は何にも不足しなかったのではありませんか」。彼らは,「はい,何にも!」と言った。36 すると[イエス]はこう言われた。「しかし今,財布のある者はそれを持ち,食物袋も同じようにしなさい。そして,剣を持っていない者は,自分の外衣を売ってそれを買いなさい。37 あなた方に言いますが,書かれているこのこと,すなわち,『そして彼は不法な者たちと共に数えられた+』ということは,わたしに成し遂げられねばならないからです。わたしに関することは成し遂げられてゆくのです+」。38 すると彼らは言った,「主よ,ご覧ください,ここに剣が二振りあります」。[イエス]は彼らに言われた,「それで十分です」。

39 外に出ると,[イエス]はいつものようにオリーブ山に行かれた。そして弟子たちもそのあとに従った+。40 その場所に来ると,[イエス]は彼らにこう言われた。「誘惑に陥らないよう,祈っていなさい+」。41 そしてご自身は,彼らから石を投げれば届くほどの所に離れ,ひざをかがめて祈りはじめ,42 こう言われた。「父よ,もしあなたの望まれることでしたら,この杯をわたしから取り除いてください。しかしやはり,わたしの意志ではなく+,あなたの[ご意志]がなされますように+」。43 その時,ひとりのみ使いが天から現われて彼を強めた+。44 しかし彼はもだえはじめ,いよいよ切に祈られた+。そして,汗が血の滴りのようになって地面に落ちた*+。45 やがて[イエス]は祈りを終えて立ち上がり,弟子たちのところに行かれたが,彼らが悲嘆の末にまどろんでいるのをご覧になった+。46 それで彼らにこう言われた。「なぜあなた方は眠っているのですか。誘惑に陥らないよう,身を起こして祈っていなさい+」。

47 [イエス]がまだ話しておられるうちに,見よ,群衆が,そして,十二人の一人でユダと呼ばれる者がその先頭に立って[やって来た+]。そして彼は口づけをしようとしてイエスに近づいた+。48 しかしイエスは彼に言われた,「ユダ,あなたは人の子を口づけして裏切るのですか+」。49 彼のまわりにいた者たちは,起ころうとする事を見て,「主よ,剣+で撃ちましょうか」と言った。50 そのうちのある者は実際に大祭司の奴隷に撃ちかかり,その右の耳を切り落とした+。51 しかしイエスはそれにこたえて,「それまでにしなさい」と言われた。そして,その耳に触れて,おいやしになった+。52 それからイエスは,自分のところにやって来た祭司長・神殿の指揮官・年長者たちにこう言われた。「あなた方は,強盗に対するように,剣やこん棒を持って出て来たのですか+。53 わたしが日々あなた方と共に神殿にいた時には+,あなた方はわたしに向かって手を出しませんでした+。しかし,今はあなた方の時+,闇+の権威+なのです」。

54 その時,彼らは[イエス]を捕縛し,引いて+大祭司の家の中に連れて来た+。しかし,ペテロはやや離れてあとに付いて行った+。55 人々が中庭の中央に火をたいて一緒に座った時,ペテロもその中に座っていた+。56 しかしある下女は,彼が明るい火のそばに座っているのを見,彼をじっと見つめてこう言った。「この人も彼と一緒にいました+」。57 しかし彼はそれを*否定して+,「女よ,わたしはあの人を知らない」と言った+。58 それからしばらくして,別の者が彼を見て言った,「あなたも彼らの一人だ」。しかしペテロは,「人よ,わたしはそうではない」と言った+。59 それから一時間ほどたった後,ほかのある[人]が強く言い張るのであった,「確かにこの[人]も彼と一緒にいた。現に,ガリラヤ人ではないか+!」60 しかしペテロは言った,「人よ,わたしはあなたの言うことが分からない」。するとすぐ,彼がまだ話しているうちに,おんどりが鳴いた+。61 そして,主は振り向いてペテロをご覧になった。ペテロは,「今日,おんどりが鳴く前に,あなたはわたしのことを三度否認するでしょう」と言われた主のことばを思い浮かべた+。62 そして,外に出て,激しく泣いた+。

63 さて,[イエス]*を拘引した人々は彼を殴って+愚弄し+はじめた+。64 そして,彼にすっぽり物をかぶせて,「預言せよ,お前を打ったのはだれか」などと言うのであった+。65 そして,彼に対して冒とくとなるほかの多くのことを言った+。

66 やがて夜が明けた時,民の年長者会が,つまり祭司長と書士たちとが共に集まった+。そして,彼を自分たちのサンヘドリン広間の中に*引き出して,こう言った+。67 「もしあなたがキリストであるなら+,わたしたちに言いなさい」。しかし[イエス]は彼らに言われた,「たとえわたしが言ったとしても,あなた方は少しも信じないでしょう+。68 また,わたしが質問したとしても,あなた方は少しも答えないでしょう+。69 しかし,今からのち,人の子+は神の強力な右+に*座ることになります+」。70 すると,彼らはみな言った,「それでは,あなたは神の子なのか」。[イエス]は彼らに言われた,「あなた方自身,わたしがそうだと言っています+」。71 彼らは言った,「どうしてこのうえ証しが必要だろうか+。わたしたち自身が,彼の口から[それを]聞いたのだ+」。

23 こうして大勢の者はこぞって立ち上がり,彼をピラトのもとに引いて行った+。2 そして,彼のことを訴え始めて+こう言った。「わたしたちは,この男がわたしたちの国民をかく乱し+,カエサル*に税を払うことを禁じ+,自分は王キリストだと言っているのを見ました+」。3 そこでピラトは彼に質問して言った,「あなたはユダヤ人の王なのか」。[イエス]は答えて言われた,「あなた自身が[そう]言っています+」。4 それからピラトは祭司長たちと群衆に言った,「わたしはこの男に何の犯罪も見いだせない+」。5 しかし彼らは執ように迫るようになり,「彼はユダヤじゅうを教え回って民をあおり,しかもガリラヤから始めてここまで来たのです」と言った。6 それを聞くと,ピラトは,この者がガリラヤ人なのかどうかを尋ね,7 彼がヘロデ*の管轄区+から来ていることを確かめたのち,彼をヘロデのもとに送った。[ヘロデ]自身もそのころエルサレムにいたのである。

8 イエスを見ると,ヘロデは大そう歓んだ。彼のことを聞いていたので+,かなり前から一度会ってみたいと思っていた+からであり,また彼の行なうしるしを多少でも見たいと希望してもいたのである。9 そこで[ヘロデ]はかなり多くの言葉で質問をはじめた。しかし[イエス]は何もお答えにならなかった+。10 しかしながら,祭司長と書士たちは次々に立ち上がり,彼のことを激しく訴えるのであった+。11 そこでヘロデは自分の衛兵たちと一緒になって彼をけなし+,色鮮やかな*衣を着せて愚弄し+,それからピラトのもとに送り返した。12 実にその日,ヘロデもピラトも+互いに親しい仲になった。それまで彼らは互いに反目を続けていたのである。

13 そこでピラトは祭司長と支配者たち,そして民を呼び集めて,14 こう言った。「あなた方は,民を駆り立てて反乱を起こさせる者としてこの男をわたしのところに連れて来た。それで,見よ,わたしはあなた方の前で取り調べたが,あなた方の挙げる罪状の根拠となるようなものを何らこの男に見いだせなかった+。15 事実,ヘロデもそうであった。彼をわたしたちのところに送り返してきたからだ。見よ,彼は死に価するようなこと+を何も犯していない。16 それゆえわたしは,彼を打ち懲らしてから+釈放することにする」。17* ―― 18 しかし彼らはいっせいに叫んで言った,「この者を取り除け+。我々にはバラバを釈放せよ+!」19 (この[男]は市内で起きたある暴動と殺人のかどで獄に入れられていたのである。)20 ピラトは再び彼らに呼ばわった。イエスを釈放することを望んでいたからである+。21 そのとき彼らは,「杭につけろ! 彼を杭につけろ!*」とわめきたてた+。22 [ピラト]は三たび彼らに言った,「この[男]がどんな悪事をしたというのか。わたしは,死に価するようなことを何も彼に見いださなかった。それゆえ,わたしは彼を打ち懲らしてから釈放することにする+」。23 すると,彼らはしつこく迫るようになり,大声を上げて,彼を杭につけるようにと要求した。そして,彼らの声がうち勝つようになったのである+。24 それでピラトは,彼らの要求に合うような宣告を下した+。25 つまり,暴動と殺人のかどで獄に入れられていた男,彼らの要求していたほうの者を釈放し+,イエスのほうは彼らの意向にゆだねたのである+。

26 さて,[イエス]を引いて行くさい,彼らは,キレネ生まれで,田舎から来たシモンという者を捕まえて苦しみの杭を負わせ,イエスの後ろからそれを運ばせた+。27 しかし,非常に大勢の民と女たちが,悲嘆のあまり身を打ちたたき,彼のことを嘆き悲しみながらそのあとに付いて行った。28 イエスは女たちのほうを向いて,こう言われた。「エルサレムの娘たちよ,わたしのために泣くのをやめなさい。むしろ,自分と自分の子供たちのために泣きなさい+。29 見よ,人々が,『うまずめは,そして子を産まなかった胎と乳を飲ませなかった乳房とは幸いだ!』と言う日が来るからです+。30 そのとき彼らは,山に向かって,『我々の上に倒れかかれ!』と言い,丘に向かって,『我々を覆ってくれ!』と[言い]始めるでしょう+。31 というのは,木に水気のある時に彼らがこうしたことを行なうのであれば,それが枯れた時にはどんなことが起こるでしょうか+」。

32 しかし,ほかに二人の悪行者が,彼と共に処刑されるため,やはり引かれて行った+。33 そして,“どくろ*”と呼ばれる所に着いた時+,彼らはそこで[イエス]を杭につけ,そしてその悪行者たちを,一人をその右に,一人をその左にして[杭につけた+]。34 [[しかしイエスはこう言われるのであった。「父よ,彼らをお許しください+。自分たちが何をしているのか知らないのですから」。]]* さらに,彼の衣を分配しようとして,彼らはくじを引いた+。35 そして,民は立ってじっと見ていた+。しかし支配者たちは冷笑しながらこう言うのであった。「ほかの者は救ったのだ。この者が神のキリスト,選ばれた者であるのなら+,自分を救うがよい+」。36 兵士たちまでが彼を愚弄し+,すぐ近くに来て酸いぶどう酒を差し出しながら+,37 こう言った。「もしお前がユダヤ人の王なら,自分を救ってみろ」。38 また,彼の上方には,「これはユダヤ人の王*」と*書き記したものがあった+。

39 ところで,[杭に]掛けられた悪行者の一人は彼のことをあしざまに言いはじめた+,「あなたはキリストではないのか。自分とわたしたちを救え」。40 他方の者はそれに答え,彼を叱ってこう言った。「お前は少しも神を恐れないのか。同じ裁きを受けているのに+。41 しかも,我々がこうなるのは全く当然だ。自分のした事に対する相応の報いを受けているのだから。しかしこの[人]は道に外れたことは何もしていないのだ+」。42 そして彼はさらに言った,「イエスよ,あなたがご自分の王国に入られる時には+,わたしのことを思い出してください」。43 すると[イエス]は彼に言われた,「今日*あなたに真実に言いますが,あなたはわたしと共にパラダイス+に*いるでしょう+」。

44 ところで,すでに第六時ごろになっていたのに,闇が全地に垂れこめて,第九時*にまで及んだ+。45 日の光がなくなってしまったのである。その時,聖なる所*の垂れ幕+が真ん中で引き裂けた+。46 そしてイエスは大声で呼ばわって言われた,「父よ,わたしの霊をみ手に託します+」。こう言ってから,[イエス]は息を引き取られた+。47 士官*は起きた事柄を見て神の栄光をたたえるようになり,「ほんとうにこの人は義人であった」と言った+。48 そして,この光景のためにそこに集まっていた群衆は皆,起きた事柄を見て胸をたたきながら帰って行った。49 また,彼を親しく知っていた者たちは皆,やや離れた所に立っていた+。それに,共にガリラヤから彼に付いて来た女たちも,これらのことを見つめて立っていたのである+。

50 さて,見よ,ヨセフという名の人がいた。議会の一員*であり,善良で義にかなった人であった+ ― 51 この[人]は彼らの謀りごとや行動を支持する投票をしなかったのである+ ― 彼はユダ人*の都市アリマタヤの人であり,神の王国を待っていた+。52 この人がピラトのもとに行き,イエスの体を頂きたいと願い出た+。53 そして彼はそれを下ろして+上等の亜麻布に包み,岩に掘り込んだ墓の中に横たえた+。それは,まだだれも横たえられたことのないものであった+。54 さて,それは準備の日であり+,安息日+の夕暮れの光も近づいていた*。55 しかし,彼と共にガリラヤから来ていた女たちは,あとに付いて行ってその記念の墓+を見,またその体がどのように横たえられたかを[見た+]。56 それから彼女たちは,香料と香油+を準備するために戻って行った。しかし,言うまでもなく,安息日にはおきてにしたがって休んだ+。

24 しかしながら,週の最初の日,彼女たちは,自分たちの準備した香料を携えて,朝とても早くから墓に行った+。2 ところが彼女たちは,石が記念の墓から転がしのけられているのを見たのである+。3 そして,中に入ってみると,主イエスの*体は見あたらなかった+。4 彼女たちがこのことで当惑していると,見よ,まばゆいばかりの衣服を着た二人の人がそばに立った+。5 [女たち]が恐れ驚いて顔を地面に伏せていると,その[人たち]が言った,「なぜあなた方は,生きている者を,死人の中に捜しているのですか。6 [[彼はここにはいません。よみがえらされたのです+。]]* 彼がまだガリラヤにいた時,あなた方にどのように話したかを思い起こしなさい+。7 人の子は必ず,罪深い人々の手に渡されて杭につけられ*,三日目によみがえる,と言いました+」。8 それで彼女たちは[イエス]の言われたことを思い出し+,9 記念の墓から*帰って,十一人とほかの者たちすべてにこれらの事をことごとく報告した+。10 それは,マグダレネ・マリア,およびヨハンナ+,そしてヤコブの[母]マリアであった。また,彼女たちと一緒にいたほかの女たち+も,これらの事について使徒たちに告げるのであった。11 しかし,こうして話されることは彼らにとってはたわ言のように思え,彼らはその[女たち]を信じようとしなかった+。

12 [[しかしペテロは,立って記念の墓に走って行き,前方にかがんでのぞいたが,ただ巻き布が見えるだけであった。それで彼は,起きた事を不思議に思いながら去って行った。]]*

13 しかし,見よ,その同じ日,彼らのうちの二人が,エルサレムから七マイル*ほど離れた,エマオという村へ旅をしていた。14 そして,これら生じた事柄+すべてについて互いに語り合っていた。

15 さて,彼らが語り合い,論じ合っていると,当のイエスが近づいて来て+,一緒に歩きはじめた。16 ところが,彼らの目は[イエス]を見てもそれとは見分けられずにいた+。17 [イエス]は彼らに言われた,「あなた方が歩きながら互いに討論しているそれらの事はいったい何ですか」。すると,彼らは悲しげな顔で立ち止まった。18 クレオパという名の者が答えて言った,「あなたは,外国人として自分ひとりでエルサレムに住んでいるために,近ごろそこで起きたいろんな事を知らないのですか」。19 すると彼は言われた,「どんな事ですか」。彼らは言った,「ナザレ人イエス+に関する事です。その人は神と民すべての前にあって,業と言葉において強力な預言者となりました+。20 そして,わたしたちの祭司長や支配者たちがいかに彼を死の宣告に渡して杭につけたかを+。21 しかしわたしたちは,この[人]がイスラエルを救出するように定められた方だと希望をかけていたのです+。しかも,こうした事すべてに加えて,これらの事が起きてからこれで三日目になります。22 そのうえ,わたしたちのうちのある女たち+も,わたしたちを大そう驚かせました。彼女たちは朝早く記念の墓に行ったのですが,23 彼の体が見つからず,またみ使いたちの超自然的な光景を見たと言いに来たからです。その[み使い]たちが,彼は生きていると言ったというのです。24 さらに,わたしたちと一緒にいる者のうち幾人かが記念の墓に出かけて行きました+。そして,それがそのとおり,まさに女たちが言ったとおりなのを見たのですが,彼[の姿]は見ませんでした」。

25 すると[イエス]は彼らに言われた,「ああ,無分別で,預言者たちの語ったすべてのことを信じるのに心の鈍い人たちよ+。26 キリストはこうした苦しみを経て自分の栄光に入る+ことが必要だったのではありませんか+」。27 そして,モーセ+とすべての預言者たち+から始めて,聖書全巻にある,ご自分に関連した事柄を彼らに解き明かされた。

28 ついに彼らは,行こうとしている村のすぐ近くに来た。すると彼は,さらに遠くへ旅を続けるような様子を示された。29 しかし彼らは,「わたしたちのところにお泊まりください。夕方になるところですし,日はすでに傾いていますから」と言って強いて勧めた。そこで[イエス]は彼らのところに泊まるため中に入られた。30 そして,彼らと一緒に横になって食事をしておられた際,[イエス]はパンを取って祝福を述べ,それを割いて彼らに渡しはじめられた+。31 それを見て彼らの目はすっかり開け,それがだれであるかが分かった。それから,[イエス]は彼らから見えなくなった+。32 そこでふたりは互いに言った,「あの方が道でわたしたちに話してくださった時,わたしたちのために聖書をすっかり解いてくださった時,わたしたちの心は燃えて*いなかっただろうか」。33 そして彼らはすぐさま立ち上がってエルサレムに帰った。すると,十一人およびそれと共にいる者たちが集合して,34 「主はほんとうによみがえらされて,シモンに現われたのだ+!」と言っているところであった。35 そこでふたりも,道中での[できごと],そして,パンを割かれた際に彼のことがどのように分かったかを細かに話した+。

36 彼らがこうした事について話していたところ,[イエス]ご自身が彼らの真ん中にお立ちになり,[[「あなた方に平安があるように」と言われた。]]* 37 しかし彼らはおびえ,また恐れ驚いていたので+,自分たちは霊を眺めているのだろうと思っていた。38 それで[イエス]は彼らに言われた,「なぜあなた方は騒ぐのですか。あなた方の心に疑いが起きるのはどうしてですか。39 わたしの手と足を見なさい。これはわたしです。わたしに触り+,また見なさい。霊には,あなた方がわたしに見るような肉や骨はないのです+」。40 [[そして,このように言いながら,自分の手と足を彼らにお見せになった。]]* 41 しかし,全くの喜びのあまり彼らがなお信じられず+,ただ不思議に思っていると,[イエス]は,「そこに何か食べる物がありますか」と言われた+。42 それで彼らは焼いた魚一切れ*を渡した+。43 すると彼はそれを受け取り,彼らの目の前でそれを食べた+。

44 それから彼らにこう言われた。「まだあなた方と共にいた時に,わたしが話した言葉はこうでした+。つまり,モーセの律法の中,そして預言者たち+と詩編+の中にわたしについて書いてあることはみな必ず成就するということです」。45 そして,聖書の意味をつかむよう彼らの思いを十分に開いてから+,46 こう言われた。「このように書いてあります。すなわち,キリストは苦しみを受け,三日目に死人の中からよみがえり+,47 その名によって罪の許しのための悔い改め+があらゆる国民の中で宣べ伝えられる+ ― エルサレムから始めて+,48 あなた方はこれらの事の証人となるのです+。49 そして,見よ,わたしはあなた方の上に,わたしの父によって約束されているものを送ります。しかしあなた方は,高い所からの力を授けられるまでは,市内に滞在していなさい+」。

50 しかし[イエス]は彼らをベタニヤまで連れて行き,両手を上げて彼らを祝福された+。51 彼らを祝福しておられるうちに,[イエス]は彼らから離され,天に上げられていった*+。52 それで彼らは[イエス]に敬意をささげ*,大いなる喜びを抱いてエルサレムに帰った+。53 そして,絶えず神殿にいて,神をたたえていた+。

「ルカ」。ギ語,ルーカン; ラ語,ルーカム。

字義,「言葉に」。ギ語,トゥー ログー; エ18,22,「エホバのみ言葉」。

「アビヤ」(「わたしの父はヤハ」の意),エ7-18,21,22; シナ写,アレ写,バチ写,「アビア」。

「ゼカリヤ」(「ヤハは覚えてくださった」の意),エ7-18,21,22; シナ写,アレ写,バチ写,「ザカリアス」。

付録1ニ参照。

付録1ニ参照。

「聖なる所」。または,「神の住まい(住居)」。ギ語,ナオン; ラ語,テンプルム; エ17,18,22(ヘ語),ヘーカル,「宮殿; 神殿」。

付録1ニ参照。

マタ 3:1,「ヨハネ」の脚注参照。

付録1ニ参照。

「霊」。ギ語,プネウマトス; ラ語,スピーリトゥー; エ22(ヘ語),ルーアハ。

付録1ニ参照。

「わたしの神はエホバ」の意。エ17,18,22(ヘ語),エーリーヤーフー。

付録1ニ参照。

「神の強健な者」の意。ギ語,ガブリエール; エ17,18(ヘ語),ガヴリーエール。

または,「福音(良いおとずれ)を……告げ知らせる」。ギ語,エウアンゲリサスタイ; ラ語,エーウァンゲリーザーレ。

「公務」。ギ語,レイトゥールギアス; エ17,18(ヘ語),アヴォーダートー,「彼の[祭司としての]神聖な奉仕」。ヘブ 8:6; ヘブ 9:6と比較。

付録1ニ参照。

ギ語,マリアム; ラ語,マリア; エ17,18,22(ヘ語),ミルヤーム。

付録1ニ参照。

マタ 1:21の脚注参照。

付録1ニ参照。

または,「事柄; ことば」。ギ語,レーマ。

付録1ニ参照。

付録1ニ参照。

付録1ニ参照。

「わたしの魂は……大いなるものとし」。ラ語,マグニフィカト アニマ メア。

または,「子孫」。

付録1ニ参照。

付録1ニ参照。

付録1ニ参照。

「救いの角」。または,「力ある救い主」。ギ語,ケラス ソーテーリアス; ラ語,コルヌー サルーティス; エ17,18,22(ヘ語),ケレン エシューアー。

「神聖な奉仕をささげる」。または,「崇拝をささげる」。ギ語,ラトレウエイン; エ17,18,22(ヘ語),レオヴドー,「[神]に仕える(を崇拝する)」。出 3:12の脚注参照。

付録1ニ参照。

「人の住む……地」。字義,「住まれている[ところ]」。ギ語,テーン オイクーメネーン,女性単数形。地を指している。

または,「皇帝」。ラ語,カエサレ。

「泊まり部屋」。または,「客室」。マル 14:14参照。

または,「野に住んで」。

付録1ニ参照。

付録1ニ参照。

「主なるキリスト」。ギ語,クリストス キュリオス。エ5-8,10にもあるとおり,この表現は,「エホバのキリスト」という意味のヘブライ語,マーシーアハ エホーワーのギリシャ語訳であるのかもしれない。2:26参照。

または,「キリストとなる方が」。

「軍」。または,「(の)万軍」。ラ語,ミーリティアエ。

「善意の人々」。または,「[神]が是認される人々」。ギ語,アントローポイス エウドキアス。

付録1ニ参照。

マタ 1:21の脚注参照。

付録1ニ参照。

付録1ニ参照。

付録1ニ参照。

付録1ニ参照。

付録1ニ参照。

「主権者なる主」,シナ写,アレ写,バチ写; ギ語,デスポタ; エ7,8,10,13,16,17,22(ヘ語),アドーナーイ; エ9,18,「エホバ」。

または,「諸国民の啓示のための光」。

「再び立ち上がる」。または,「復活(の)」。ギ語,アナスタシン。マタ 22:23の脚注参照。

または,「命」。ギ語,プシュケーン。付録4イ参照。

「神聖な奉仕をささげて」。または,「崇拝をささげて」。ギ語,ラトレウウーサ; エ22(ヘ語),ベオヴダーハ,「彼女の仕えること(崇拝すること)において」。出 3:12脚注参照。

「神」,シナ写,アレ写,バチ写; ウル訳,シリ訳ペ,シ,「主」; エ5,7-17,「エホバ」。

字義,「それについて」。

付録1ニ参照。

または,「事柄」。ギ語,レーマタ。1:37の脚注参照。

「カエサル」。または,「皇帝」。ギ語,カイサロス; ラ語,カエサリス。

すなわち,ヘロデ大王の子ヘロデ・アンテパス。

「地域支配者」。字義,「四分領太守」; ローマ皇帝の代理をする地域君主。ラ語,テトラルカ。

付録1ニ参照。

字義,「思いの変化」。ギ語,メタノイアス。

「給与」。または,「賃金」。ラ語,スティーペンディイース。

1節,「地域支配者」の脚注参照。

または,「浸礼をお受けになった; 浸された」。ギ語,バプティステントス。

または,「[教えることを]開始された」。

「[人の]意見では」。または,「律法によって証明されたとおり」。

字義,「サラティエル」。

「イエス」,シナ写,アレ写,バチ写,ウル訳,シリ訳シ,エ18,22; シリ訳ペ,エ17,21,「ヨセ」。

「ヨベル」,シナ写*,バチ写,シリ訳シ。

「サラ」,シナ写*,バチ写,シリ訳シ。

「アミナダブ」,アレ写,ウル訳,シリ訳ペ; バチ写,「アドメイン」。

「アラム」,アレ写,ベザ写,ウル訳,シリ訳ペ。または,「ラム」。代一 2:9; マタ 1:3,4参照。

パピ写75,ベザ写は,創 10:24; 創 11:12,15; 代一 1:18と一致して,「カイナンの[子],[カイナンは]」の部分を省いている。

または,「活動する力」。ギ語,プネウマティ; ラ語,スピーリトゥー; エ17,18,22(ヘ語),ハールーアハ,「活動する力」。創 1:2,「力」の脚注参照。

シナ写,バチ写による; アレ写,ベザ写,古ラ訳,ウル訳,シリ訳ヘ,ペは,「(ではなく,)神のすべての言葉によるのである」を付け加えている; エ7,8,10,13-15,17は,「(ではなく,)エホバのみ口から出るすべてのものによるのである」を付け加えている。

「この権威」。ギ語,テーン エクスーシアン タウテーン。

付録1ニ参照。

「神聖な奉仕をささげなければならない」。ギ語,ラトレウセイス; エ17,18,22(ヘ語),タアヴォード。出 3:12の脚注参照。

付録1ニ参照。

付録1ニ参照。

「([神]は)油をそそぎ」,シナ写,アレ写,バチ写; エ7,8,10,13-15,「エホバは油をそそぎ」。

付録1ニ参照。

字義,「あなた方の耳の中のこの聖句は」。

または,「たとえ話」。

字義,「サレプタ」; この都市のギリシャ語名。

または,「丘」。

または,「霊つまり汚れた悪霊の霊につかれた」。あるいは,「汚れた霊の霊感によることばを持つ」かもしれない。啓 16:14参照。

「わたしたちはあなたと何のかかわりがあるのですか」。慣用句; 異議を示す反発的な質問。付録7ロ参照。

または,「ご主人様」。

「証し」。ギ語,マルテュリオン; ラ語,テスティモーニウム。

付録1ニ参照。

「花婿の友人たち」。字義,「婚礼の部屋の子ら」。

「古いのはうまい」,シナ写,バチ写,シリ訳ペ; アレ写,エフ写,ウル訳,「古いほうがうまい」。

または,「供えのパン」。

または,「命」。ギ語,プシュケーン; エ17,18,22(ヘ語),ネフェシュ。付録4イ参照。

字義,「彼に」。

「熱心な者」。または,「熱心党の人; 熱心者」。ギ語,ゼーローテーン。

「幸い」。ギ語,マカリオイ; ラ語,ベアーティー,“beatitudes”(「至福」)という英語のもととなる語。

字義,「あなた方は,自分にしてくれるようにとあなた方が願っているとおりに」。

字義,「同じようにしていなさい」。

または,「懐」。

または,「百人隊長の」。ラ語,ケントゥリオーニス。百人隊長は100人の兵士の司令官であった。

または,「急いで」。

「この後すぐ」,パピ写75,シナ写c,アレ写,バチ写; シナ写*,エフ写,ベザ写,「その翌日」。

または,「たった一人の」。ギ語,モノゲネース。8:42の脚注参照。

「目を覚ましなさい!」

「ほかの(異なった)方」,シナ写,バチ写; アレ写,ベザ写,「別の方」。

または,「主人」。

「別の方」,パピ写75,アレ写,バチ写; シナ写,ベザ写,「ほかの(異なった)方」。

または,「彼の話を」。

または,「浸礼; 浸すこと」。ギ語,バプティスマ。

デナリはローマの銀貨で,1デナリは重さ3.85㌘。

「宣べ伝え」。または,「布告し」。ギ語,ケーリュッソーン; ラ語,プラエディカーンス。

「ゲラサ人」,パピ写75,バチ写,ベザ写,古ラ訳,ウル訳; シナ写,「ゲルゲサ人」; アレ写,シリ訳ペ,シ,「ガダラ人」。

慣用句; 異議を示す反発的な質問。付録7ロ参照。

または,「去って深みに」。ロマ 10:7参照。

または,「どのようにして救われたかを」。

26節の脚注参照。

または,「たった一人の」。ギ語,モノゲネース。裁 11:34,「一人子であった」の脚注参照。

「房べり」。または,「縁飾り; 飾り房」。

または,「あなたを救いました」。

または,「目を覚ましなさい!」

または,「彼女の息(生命力)」。ギ語,ト プネウマ アウテース; エ17,18,22(ヘ語),ルーハーハ。

または,「四分領太守」。3:1とその脚注参照。

または,「弟子たちも彼と共にいた」。バチ写*,「弟子たちが彼のところに来た」。

または,「浸礼者; 浸す人」。ギ語,トン バプティステーン。

「わたしの神はエホバ」の意。エ17,18,22(ヘ語),エーリーヤーフー。

付録5ハ参照。

または,「命」。ギ語,プシュケーン; エ17,18,22(ヘ語),ナフショー(ネフェシュの変化形)。付録4イ参照。

または,「きらめくほど輝いた」。

「出立」。ギ語,エクソドン。ペテ二 1:15参照。

または,「たった一人の子」。ギ語,モノゲネース。

「荘厳な力」。または,「威光」。ギ語,メガレイオテーティ; ラ語,マーグニテューディネ; エ17,22(ヘ語),ゲドゥッラト。

または,「偉いか」。

または,「偉い人となるのです」。

または,「一緒に来ない」。

または,「その昇天の日」。

または,「家にいる者たちに別れを」。

「七十人」,シナ写,アレ写,エフ写,ワシ写,シリ訳ペ; パピ写75,バチ写,ベザ写,ウル訳,シリ訳ク,シ,アル訳,「七十二人」。

字義,「平和の子」。

または,「平和はそこに」。

「ハデス」,シナ写,アレ写,バチ写,エ21; エ7-18,22,「シェオル」。

「七十人」,シナ写,アレ写,エフ写,ワシ写,シリ訳ペ; パピ写45,75,バチ写,ベザ写,ウル訳,アル訳,「七十二人」。

または,「命」。付録4イ参照。

付録1ニ参照。

付録8イ参照。

シナ写c,バチ写,エフ写cによる; パピ写45,75,アレ写,エフ写*,ワシ写,ウル訳,シリ訳ク,「ですが,必要なのは一つのものだけです」。

または,「神聖なものとみなされますように; 聖なるものとして扱われますように」。ギ語,ハギアステートー; ラ語,サンクティフィケートゥル; エ17,18(ヘ語),イトカッダシュ。

「ベエルゼブブ」,ウル訳,シリ訳ク,ペ,シ; パピ写45,75,アレ写,エフ写,ベザ写,ワシ写(ギ語),ベエルゼブール; シナ写,バチ写(ギ語),ベエゼブール。マタ 12:24の脚注参照。

「そこはきれいに掃かれ」,シナ写,アレ写,ベザ写; バチ写,「そこにはだれもおらず,きれいに掃かれ」。

または,「他の」。

マタ 12:42の脚注参照。

または,「誠実である; 一筋である;(の)焦点が合っている; 寛大な」。

または,「不正である; ねたみ深い」。

字義,「彼が正さんの前にまず浸され(バプテスマを受け)ないのを」。

または,「あなた方には」。

または,「裁き」。ギ語,テーン クリシン; ラ語,イウディキウム; エ17,18,22(ヘ語),ハンミシュパート。

「市の立つ広場」。または,「集会の場所」。ギ語,アゴライス。

「預言者たちを殺し」。字義,「彼らを殺し」。

「基が置かれて」。字義,「[種を]下に投げること」。ギ語,カタボレース。

字義,「幾万人もが」。

または,「公に; 隠しだてなく」。

字義,「私室で耳に向かって話したこと」。

付録4ハ参照。

「わずかな価の硬貨二つで」。字義,「二アサリオンで」。1アサリオンは1デナリの16分の1であった。付録8イ参照。

「公の集会」。字義,「会堂」。

「どのように,何を」,シナ写,アレ写,バチ写,ウル訳; ベザ写,古ラ訳,シリ訳ク,ペ,「どのように」; シリ訳シ,「何を」。

または,「分割者」。

または,「命」。ギ語,プシュケーン; エ17,18,22(ヘ語),ナフシェカー(ネフェシュの変化形)。

または,「婚宴」。

または,「離れて来る; 出発して来る」。付録5ニ参照。

午後9時ごろから真夜中まで。マル 13:35の脚注参照。

真夜中から午前3時ごろまで。

「家令」。または,「家の管理人」。ギ語,オイコノモス; ラ語,ディスペンサートル; エ17(ヘ語),ハッソーケーン,「家令」。創 24:2の脚注; エフェ 1:10,「管理」の脚注参照。

「最も厳しくこれを罰し」。または,「彼を二つに切り」。

「価のごくわずかな最後の小さな硬貨」。字義,「最後のレプタ」。付録8イ参照。

「シロアム」,シナ写,アレ写,バチ写; エ17,18,22,「シロアハ」。

または,「切り倒してしまわれなければなりません」。

字義,「セア升」。ギ語,サタ。1セアは7.33㍑に相当した。

または,「麦粉と混ぜると」。

字義,「入るため,闘っていなさい」。

すなわち,ヘロデ大王の子ヘロデ・アンテパス。3:1参照。

「終わるでしょう」。字義,「わたしは完全にされています」。

付録1ニ参照。

または,「神の王国で食事の席につく」。

字義,「彼」。

または,「見てこなければなりません。どうか,ご勘弁ください」。

または,「命」。付録4イ参照。

付録5ハ参照。

ドラクマはギリシャの銀貨で,1ドラクマは重さ3.40㌘。

または,「あなたのみ前でも」; 七十訳のサム一 20:1と同じ。

18節の脚注参照。

「あなたの雇い人の一人のようにしてください」,シナ写,バチ写,ベザ写,シリ訳ヘ; パピ写75,アレ写,ワシ写,ウル訳,シリ訳ペ,シは省いている。

または,「連れて来て犠牲にするのだ」。

または,「家の管理人」。ギ語,オイコノモン; エ22(ヘ語),ソーケーン・バイト。

1バトは22㍑に相当した。

1コルは220㍑に相当した。

または,「事物の秩序」。ギ語,アイオーノス; ラ語,サエクリー; エ17,18,22(ヘ語),ハーオーラーム,「事物の秩序」。

字義,「不義のマモン」。ギ語,マモーナー テース アディキアス。

字義,「永遠の天幕」。

または,「あなた方自身の物」,パピ写75,シナ写,アレ写,ベザ写,ワシ写,ウル訳,シリ訳ヘ,ペ,シ; バチ写,「わたしたち自身の物」。

「富……に」。字義,「マモンに」。ギ語,マモーナーイ; ラ語,マモーナエ; エ17,18,22(ヘ語),ハンマーモーン,「マモン」。

「良いたよりとして宣明されており」。ギ語,エウアンゲリゼタイ; ラ語,エーウァンゲリザートゥル; エ22(ヘ語),ミトバッセレト。

マタ 5:32,「犯す」の脚注参照。

字義,「解き放された」。

「ラザロ」,シナ写,アレ写,バチ写; エ18,22(ヘ語),エルアーザール,「エレアザル」(「神は助けてくださった」の意)。

または,「貧しい人」。

「懐[の位置]」,食事のさい同じ長いすの上である人の前に横になっている場合のような。

「ハデス」,シナ写,アレ写,バチ写; エ6-8,10-18,22,「シェオル」; ラ語,インフェルノー。付録4ロ参照。

「葬られました。そして,ハデスの中で」,アレ写,バチ写; シナ写*,「ハデスの中に葬られて」; ウル訳(ラ語),「インフェルノーの中に葬られました。しかし」。

または,「この桑の木」。

字義,「彼」。

または,「あなたを救った」。

または,「あなた方の間に」。

または,「大洪水; 大変動」。ギ語,カタクリュスモス; ラ語,ディールウィウム; エ17,18,22(ヘ語),ハンマッブール,「大洪水」。

または,「命」。ギ語,プシュケーン; エ17,18,22(ヘ語),ナフショー(ネフェシュの変化形)。

パピ写75,シナ写,アレ写,バチ写,ワシ写は省いている; ベザ写,ウル訳,シリ訳ク,ヘ,ペ,シ,「二人の男が野にいるでしょう。一方は連れて行かれ,他方は捨てられるでしょう」。

または,「脅しつける」。「目の下を打つ」という語から。

または,「ほんとうにこの信仰を見いだす」。

または,「子供たち」。

または,「事物の秩序」。ギ語,アイオーニ; ラ語,サエクロー; エ22(ヘ語),バーオーラーム,「事物の秩序で」。

字義,「彼」。

または,「ご主人様」。

または,「あなたを救いました」。

または,「エジプトいちじくの木」。

または,「王国を」。

ギリシャの1ミナは重さ340㌘; 硬貨ではなく,ヘブライ人のミナとは異なっていた。

または,「王国」。ギ語,バシレイアン; ラ語,レグノー。

または,「ご主人様」。

または,「異なった者」。シリ訳シ,「最後の者」。

付録1ニ参照。

「上なる高き所に」。

または,「浸礼; 浸すこと」。ギ語,バプティスマ。

または,「皇帝に」。ギ語,カイサリ; ラ語,カエサリー。

ローマの銀貨で,重さ3.85㌘。

「復活」。ギ語,アナスタセイ,「起き上がらせること; 立ち上がること」(「上へ」を意味するアナと「立つこと」を意味するスタシスから); ラ語,レスッレクティオーネ。

または,「事物の秩序」。ギ語,アイオーノス; ラ語,サエクリー; エ17,18,22(ヘ語),ハーオーラーム,「事物の秩序」。

「子たち」。または,「子供たち」。

付録1ニ参照。

または,「そのさい彼は,『アブラハムの神……ヤコブの神であるエホバ』と言っています」。

または,「[神]の観点からは生きている」。

付録1ニ参照。

11:43の脚注参照。

「宝物庫の箱」。または,「神聖な宝物庫」。

「ごくわずかな価しかない小さな硬貨二つ」。字義,「二レプタ」。付録8イ参照。

または,「供え物を寄進しましたが」。

または,「完了した終わり; 完結した終わり」。ギ語,テロス。

または,「敵対するようかき立てられる; 敵対して奮い起こされる」。

「証し」。ギ語,マルテュリオン; ラ語,テスティモーニウム。

または,「あなた方に強力なことばと」。

または,「自分の[将来の]命」。ギ語,プシュカス ヒュモーン; エ17(ヘ語),ナフショーテーケム。マタ 10:28参照。

字義,「復しゅうの日」(複)。

または,「その地に」。

「満ちて[そう]なるまで」,バチ写。

「諸国民」。ギ語,エトノーン; ラ語,ゲンティブス,「異邦人たち」; エ17(ヘ語),ゴーイム,「ゴイム」。

「人の住む地」。字義,「住まれている[ところ]」。ギ語,テーイ オイクーメネーイ,女性単数形で,地を指している; ラ語,ウーニウェルソー オルビー,「全円」,すなわち,地の。イザ 13:11,「地」の脚注; ナホ 1:5の脚注参照。

または,「天のもろもろの勢い; 天の万軍」。

「来る」。ギ語,エルコメノン。

「世代」。ギ語,ゲネア; ペテ一 2:9のゲノス(「種族」)とは異なる。

または,「また暮らしのための思い煩い」。

または,「わたしの体です」。「です」に相当するギリシャ語は,「意味する,表わす」という意味を持つ。マタ 26:26の脚注参照。

パピ写75,シナ写,アレ写,バチ写,ワシ写,ウル訳,シリ訳ヘ,ペ,アル訳による; ベザ写と古ラ訳は,19節の「あなた方のために与えられる」に相当する部分と20節を省いている。

または,「仕える」。

43,44節はシナ写*,ベザ写,ウル訳,シリ訳ク,ヘ,ヒ,ペ,アル訳には含まれている; パピ写75,シナ写c,アレ写,バチ写,ワシ写,シリ訳シは省いている。

「彼を」,アレ写,ベザ写*,ウル訳,シリ訳ヘ。

「彼」,シナ写,バチ写,ベザ写,古ラ訳,ウル訳; アレ写,シリ訳ペ,「イエス」。

または,「サンヘドリンの中に」。

または,「神の力の右に」。

または,「皇帝」。ギ語,カイサリ; ラ語,カエサリー。

すなわち,ヘロデ大王の子ヘロデ・アンテパス。3:1参照。

または,「きらびやかな」。

パピ写75,アレ写,バチ写は17節を省いている; シナ写,ワシ写,ウル訳,シリ訳ペ,「ところで彼は祭りごとにだれか一人の人を釈放する必要があった」。(ベザ写,シリ訳ク,シはこれらの語を19節の後に付け加えている。)

または,「彼を杭(柱)に留めろ!」 付録5ハ参照。

「“どくろ”」。ギ語,クラニオン; ラ語,カルウァーリアエ; エ17,18(ヘ語),グルゴルター。マタ 27:33参照。

シナ写,エフ写,ウル訳,シリ訳ク,ペはこれら角かっこ内の語を挿入している; パピ写75,バチ写,ベザ写*,ワシ写,シリ訳シは省いている。

字義,「ユダヤ人の王,この(者)は」。ギ語,ホ バシレウス トーン イウーダイオーン フートス; ラ語,ヒーク エスト レクス イウダエオールム; エ22(ヘ語),ゼフー メレク ハイエフーディーム(hai·Yehu·dhim')。

パピ写75,バチ写,シリ訳ク,シによる; ベザ写,ウル訳,シリ訳ペは,「ギリシャ語,ラテン語,ヘブライ語の文字で」を付け加えて,ヨハ 19:20と一致している。

「今日」。WHはギリシャ語本文の中で「今日」に相当する語の前にコンマを打ち,「今日」が「わたしと共にパラダイスにいる」にかかるようにしているが,ギリシャ語大文字写本の中でコンマは用いられていなかった。この翻訳では,文脈にそって,「今日」に当たる語の前のコンマを省いた訳し方をしている。シリ訳ク(西暦5世紀)はこの文を次のように訳している,「アーメン,わたしは今日なんじに言う,我と共になんじはエデンの園におらん」― F・C・バーキット,「四福音書のクレトニア訳」,第1巻,ケンブリッジ,1904年。

「パラダイスに」,シナ写,アレ写,バチ写,ウル訳,エ11,13,16; ギ語,エン トーイ パラデイソーイ; エ17,18,22(ヘ語),ベガン・エーデン,「エデンの園に」。七十訳の創 2:8,10,15,16参照。

「第九時」は午後3時ごろに当たる。「第六時」は昼の12時ごろで,日の出から数える。

または,「神の住まい(住居)」。ギ語,トゥー ナウー; ラ語,テンプリー; エ17,18,22(ヘ語),ハヘーカール。

または,「百人隊長」。100人の兵士の司令官。

「議会の一員」。または,「評議員; 元老院議員」。ギ語,ブーレウテース。

または,「ユダヤ人」。ギ語,イウーダイオーン。

または,「安息日も迫っていた」。

「主イエスの」,パピ写75,シナ写,アレ写,バチ写,エフ写,ワシ写,ウル訳,シリ訳ヘ,アル訳; ベザ写,古ラ訳諸写は省いている。

「彼はここにはいません。よみがえらされたのです」,パピ写75,シナ写,アレ写,バチ写,ウル訳,シリ訳,アル訳; ベザ写,古ラ訳諸写は省いている。

または,「杭(柱)に留められ」。付録5ハ参照。

「記念の墓から」,パピ写75,シナ写,アレ写,バチ写,ワシ写,ウル訳,シリ訳; ベザ写,古ラ訳諸写,アル訳は省いている。

パピ写75,シナ写,アレ写,バチ写,ワシ写,ウル訳,シリ訳による; ベザ写,古ラ訳諸写は角かっこ内のこれらの語を省いている。

または,「七[ローマ]マイル半」。字義,「六十スタディオン」。ギ語,スタディウース ヘクセーコンタ; ラ語,スタディオールム セクサーギンタ; 約11㌔。マタ 5:41の脚注; 付録8イ参照。

「燃えて」,シナ写,アレ写,バチ写; ベザ写,「ベールをかけられて」; シリ訳ペ,シ,「重くなって」; 古ラ訳写l,「鈍くなって」; 古ラ訳写c,「盲目になって」。

「『あなた方に平安があるように』と言われた」,パピ写75,シナ写,アレ写,バチ写; ベザ写,古ラ訳は省いている。

パピ写75,シナ写,アレ写,バチ写,ワシ写,ウル訳,シリ訳ヘ,ヒ,ペ,アル訳による(ヨハ 20:20と比較); ベザ写,古ラ訳,シリ訳ク,シは40節を省いている。

ウル訳,シリ訳ク,ペ,および写本E,N,X,Δ,Θ(6-10世紀のもの)は,「と蜜ばちの巣」を付け加えている; パピ写75,シナ写,アレ写,バチ写,ベザ写,シリ訳シは省いている。

「天に上げられていった」,パピ写75,シナ写c,アレ写,バチ写,エフ写,ワシ写,ウル訳,シリ訳ペ,アル訳; シナ写*,ベザ写,シリ訳シは省いている。

「[イエス]に敬意をささげ」,パピ写75,シナ写,アレ写,バチ写,エフ写,ワシ写,シリ訳ヘ,ペ; ベザ写,古ラ訳諸写,シリ訳シは省いている。ヘブ 1:6と比較。

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