平衡のとれたふるまいは報われる
● エホバの証人であるため職を失った後でも,その立派で平衡のとれた行ないはよい結果をもたらします。フィンランドでのこと,あるエホバの証人の代わりにひとりの婦人が雇われました。その婦人はつぎのような興味深い経験を述べています。「社長に面会すると,わたしはこう言われました。『あなたはエホバの証人になった人の代わりに働いていただきます。わたしはできるだけ早くそのエホバの証人を解雇したいと思います。彼女はわたしにいろいろ迷惑をかけますからね』。そして,わたしは問題の女性に紹介されました。職を失うからには,エホバの証人はよほどの変人なのだろう,とわたしはたいへん興味を覚えました。彼女は良心的に,また非常にていねいに仕事を教えてくれたので,わたしは驚いてしまいました。彼女は会社の社長に対してひとことも愚痴をこぼさず,仕事仲間のうわさもしませんでした。自分が奉じる宗教が悪く言われた時でさえ,すべての人に親切で,だれにも迷惑をかけることはありませんでした。わたくしは,その女性がいろいろな状況下で平衡のとれた態度を保つのを見て,悪い待遇に耐えられるその力は,彼女の宗教にあると確信するようになりました。彼女が就業時間中に他の事をしていたのかもしれないと思ったわたしは,彼女を試験してみようと決めました。わたしがその宗教について尋ねると,彼女はわたしの質問に簡単に答え,「これらの事柄についてもう少しあなたにお話したいので,仕事が終わってから話し合いを続けてもかまいませんか」と言いました。このようにしてわたしたちは数回会いましたが,まもなくわたしは,それまで勧められていた聖書研究を行なうことが大切だと気づきました。そこで定期的な家庭聖書研究がわたしの家で始まりました。親せきはわたしに反対しはじめましたが,夫はわたしが以前より良い妻になったことを認めてくれました。それは,わたしが聖書の原則を生活に当てはめはじめたからです。わたしは現在,献身したエホバの証人です。したがってこの雇い主は,ひとりのエホバの証人の代わりに別のエホバの証人を雇ったことになります。けれども,わたしはまだ今の職場を失っていません」。
― エホバの証人の1970年度年鑑から