危険な高層建造物
● 大都市の消防士の心配をつのらせているのは高層ビルである。高層ビルは火災のさい逃げ場のないきわめて危険な場所となるおそれがある。ニューヨーク市では今や2,000個所ほどの高層ビルが消防車の最も長い消火用はしごよりも高い。カナダでの研究によると,50階建てのビルは2時間11分で全焼してしまう。安全性よりも,経済性や外観を重視して設計されているため,多くのビルはいわば『しんのある建物』という特徴を備えている。階段や配管類,それに暗渠は,建物の中央にある煙突に似た排気坑の中にあるので,数分のうちに高いビルの上まで炎やガスを吸い上げてしまうのである。自動エレベーターは多くの場合故障を起こして止まってしまう。集中空調装置のために窓は密閉されており,家具やタイル,さらに絶縁材にさえ用いられているある種のプラスチックが有毒ガスや爆発性のガスを発する。