まねごとをすることと,才能を伸ばすこと
多くの子どもに喜びをもたらす一つの源は映画です。子どもたちはまねごとをするのが好きですから,映画は虚構の世界へ逃避する手段となるのです。独りっ子だったある女性は,こう語りました。
「幼いころ,わたしはよく映画に行きました。そして,自分がスターになったような気分になって,映画の中で女優がしたとおりのことを頭の中でまねたものです。もちろん,じきに元の自分に戻りましたが,当時,だれかのまねをするのはおもしろいことでした」。不幸なことに,一般的に言って現代の映画は年若い人々が思いめぐらしたり,生活上の手本として見倣ったりすべき健全なものをほとんど提供していません。
しかし,どんな傾向のものであれ,生来の才能を伸ばす努力は,子どもに大きな喜びを与えるものとなります。絵の好きな,八歳になるある少女は,自分の描いた絵を他の人にあげることに喜びを見いだしています。その少女は感嘆の声を上げて,こう言いました。「わたし,お母さんの絵を書いて,それをお母さんにあげました。お母さんはそれを自分の部屋に飾ってくださったので,とてもうれしかったわ。だって,お母さんの部屋に行くたびに,わたしの絵を見ることができるんですもの」。
子供がどんな才能を持っているにせよ,それを伸ばすよう励ますなら,自分のできる範囲で他の人に仕えられるよう備えをさせることができます。