特異な設計
◆ 恐ろしい毒を持つうみへびは,さめに襲われる危険もなければ,“潜函病”にかかることもない。最近,ある海洋生物学者は潜水服にうみへびに見られるような縞をペンキで描き,それを着て潜水し,次いで水中では黒のレインコートを身にまとった。ニュージーランドのオークランド・スター紙によると,「さめがそのかっこうな“獲物”に近づいた時,生物学者がコートを脱いだところ」,さめは「向きを変えて退散した」とのことである。深海に潜るたいていの生物は,海面に上がる際,血液中に溶けた窒素が気ほう化するために,苦しい“潜函病”を経験する。ところが,最近,オーストラリアの博物学者は,うみへびの心臓にある穴には潜水時に血液が肺を迂回するようにさせる働きがあり,その上うみへびの皮膚が気体を非常によく通すものであることを発見した。この二つの作用が相まって,血液中の窒素の形成を緩慢にし,上昇時にはそれを素早く消散させるのである。