軍事浪費
● 軍事費は国家経済を発展させるなどとよく言われるが,新刊書「アメリカ資本主義の没落」は正反対のことを主張している。同書の著者は,第二次世界大戦以来軍事費のために,産業界が機械類や工場などに投資してきたものよりさらに多額にのぼる非生産的資本金1兆5,000億ドル(約450兆円)が投じられてきたことを示している。第二に,著者は,平均的製造業者は100人の生産労働者につき35人の“予備”従業員を擁しているのに対して,軍需産業は平均してその2倍近く(69.7%)の非生産従業員をかかえている点に注目している。それゆえ,ニューヨーク・タイムズ書評はこう述べている。軍事費の浪費は,「非能率を国家的レベルにまで浸透させ……市場体制を骨抜きにしている,と言う[著者の]ことばを否定することは難しい」。