次のインフレへの懸念
多くの国で,物価の急騰はいくらか収まりました。とはいえ,インフレがより一層強力に抑制されない限り,次のインフレの波はすぐに押し寄せ,一層ひどい影響を与える恐れがあることをすでに示唆している経済学者もいます。米国ロサンゼルスのペパーディン大学の研究員デービッド・タークは次のように述べています。「世界経済が現在直面している最大の危険は,収まりつつあるインフレが……“許容できる”程度にまで落ち着くのを待ち切れず,我々が強力な拡大政策に転ずるという誘惑に屈してしまうことである……産業界が次のインフレを引き起こす前に現在のインフレを根絶しないなら,確かに崩壊の危険がある」。しかし,停滞している経済界に資金をつぎ込むため,現在でさえ多額の赤字予算を立てている政府があります。米国政府は,7月1日から始まった今会計年度のため,約700億㌦(約21兆円)の膨大な赤字予算を組んでいます。