音で“見る”
◆ レーダーやソーナーに関して人間がコウモリから学んだ事柄は,大抵の場合,軍事目的のために使われてきた。ところが今,カリフォルニア州のある盲目の赤子は,コウモリの用いる反響式位置決定法を利用して物を“見る”ように助けられている。人間の耳には聞こえない音波が赤子の額に取り付けた装置から発せられ,子供の前にある物体に当たってはね返って来ると,その反響音は気持ちのよい小さなさえずりに変えられて幼児の耳に聞こえて来る。幼児は,数か月にわたる毎日の訓練の後,そのさえずり音の高さ,大きさ,質の違いなどによって,前にある物体の遠近,方向,大きさ,果ては硬さまで知ることができるようになる。