諸問題の真の解決策を見いだす
今日さまざまな人が世の諸問題の真の解決策を見いだすよう援助されています。次に掲げる二つの経験はいずれも,以前警察官として働いていた人がどのように真理を学んだかを示すものです。
● 「私は警察官として家庭訪問をしていたとき,ある家で同じく家庭訪問をしていた若い女性に出会いました。この辺では見かけない人だったので,どんな人物か質問したところ,エホバの証人という聖書の伝道者であることが分かり,今度は反対に質問されて,世の中になぜ悪や犯罪がはびこっているのかについて,聖書から積極的に話しかけられました。以前わたしは聖書を読んだことがあったので,その人の話を注意深く聞き,『平和と安全』ともう一冊の書籍をその場で求めました。その後エホバの証人は私の職場である交通検問所に何度か尋ねて来てくれましたが,私は聖書研究を始めるまでには関心を示しませんでした。というのは,そのころ私は,警察官という職業は変化に富んでおり,また個人の生命や財産を守るという,男が命をかけてやる生きがいのある職業だと考えて,そのために法律の勉強をしなければならないと思っていたので,研究に応じることができませんでした。それから数か月が過ぎて,私の勤めている管内に悪質な犯罪が相次いで発生し,そのことをエホバの証人に話しました。それが聖書研究を始める良い機会となり,毎週研究を行なうことになりました。
「研究が進むにつれて私の考え方も変化していることに気づくようになりました。いくら警察官を増員して治安維持を図っても犯罪を制圧することはできず,それどころかますます増える一方であり,それに反して聖書は,間もなく王国によってこの地上から悪が一掃され真の平和と安全な世の中が訪れると述べていること,それに結局警察はこの事物の体制の一部であることを理解できるようになりました。それで,定期的に集会や聖書研究に参加できる職業に移りたいと思い行動しました。しかし予想以上の反対が起きました。同僚からは『君の考えは現実的でない』と言われ,上司からはもう一度考え直すように異口同音に言われました。退職届けを提出し承認されるまでの二週間,私は仕事を見つけるために職業安定所へ相談に行きました。そこでも係員から,『あなたの考えは甘い。考え直して現在の職業を続けなさい』と言われ,追い帰されました。しかし,エホバの証人からの励ましを得,私が以前に行なった献身の誓いと『絶対に真理から離れない』という決心を思い出し,これらの難問題を首尾よく切り抜けられるようにエホバ神に祈りました。エホバは私の心を強めてくださり,確固とした態度がとれるようになり,まもなく退職することができました。現在では仕事も見つかり,全く初めての慣れない仕事ですが,集会には定期的に出席できます。そして,仕事が見つかるまでの二か月間は開拓者(全時間伝道者)と同じように奉仕に参加でき,大きな喜びを得ました」。
● 「私は,権力機関である警察に26年間勤務していました。その間,善良な人々の生命と財産を守るその職務に誇りと情熱を抱いていました。また,管理者として敬意を示されることに自己満足を覚え,より上の地位を得るための努力 ― そのようなことが男の生きがいであり,充実した人生の生き方であると考えていました。
「今から4年ほど前のことですが,妻に大きな変化が起きていることに気が付きました。妻は聖書を学び始め,真理を知り,それを私と共に学ぶことを望んでいたのです。私は,妻がキリストを信じ聖書を学ぶことについては反対しなかったのですが,私自身聖書を学ぶ気持ちは毛頭なかったので,強くそのことをはねつけました。そのようなかたくなな心の中でいつしか,なぜ妻が聖書を学び続ける気持ちになったのか,聖書にはどのような力があるのか,と関心を抱くようになりました。また,妻はいつも『ものみの塔』誌などを,私の目につき易いテレビの上に置いていました。私はそれを無視して,見ようとはしませんでした。ところがある日,何気なくテレビの上に置いてある『ものみの塔』誌を取り上げて内容を見てみますと,私が関心を抱いていた公害問題と暴力犯罪の増加についての記事が載せられていました。私は夢中でそれを読みました。あらゆる科学や文化の発達した今日,なぜ人間の手によって解決できないか,といった点を聖書に基づいて書かれたその記事が,私の心を強く引き付けたのを覚えています。そしてその後も妻から聖書のすばらしいことについて度々聞かされているうちに,それはありきたりの宗教ではなく正しい一つの生き方であることが分かりかけ,そのころから私は聖書を学んでみたいと思うようになりました。
「真理を学ぶために障害となったのは私の職業です。職業そのものもそうですが,仕事が非常に忙しく,真理を学ぶ時間を作り出すことができない状態でした。私は数か月間考え抜いた末,真理を学びたいという気持ちを抑えることができず,退職する決心をしました。またその決心を貫く力を与えてくださるようにエホバ神に祈りました。上司は私の決心を変えさせようと説得しましたが,私の決心が変わらないことを知って,承認してくれました」。
以前,警察官であったこれら二人の人は,現在ではエホバ神の献身した崇拝者となっています。