だれのものか明らかになったなぞのミイラ
◆ 最近,エジプト王ツタンカーメンの祖母,ティー女王のミイラが確認された。王族のミイラが確認されたのは,1922年にタット王のミイラが発見されて以来のことである。ティー女王は,西暦前14世紀ごろの人物とされている。このミイラは,1898年に発見された三体のうちの一つであるが,当時は重要視されなかった。それら三体のミイラは1900年ごろ,再び墓に納められた。今回このミイラの正体が確認されるに至ったきっかけは,一枚の古い写真だった。その写真を見ると,このミイラの左腕は,普通,高位の人々の場合にのみ見られるように胸の上に置かれていた。そこで,ミイラが再び捜し出された。この王族のミイラをX線で透視した結果,頭がい骨の遺伝的な造作から,そのミイラがスーユー(ティー女王の母親とされている)とツタンカーメン王の間に位置することが分かった。しかし,その確認には髪の毛の分析も役立った。タット王の王墓で見付かった貴金属製の小箱には幾らかの髪の毛が入っており,それに付された碑文にはその髪の毛がティー女王のものであると記されていた。その髪の毛とミイラの頭から取った髪の毛を電子探測機で分析した結果,それらが同一人物のものであることが分かった。ミシガン大学のジェームズ・E・ハリス博士は,なぞのミイラがティー女王のものであることは「確実」であると見ている。