良いたよりをまだ聞いていない人々がいます
王国の良いたよりがまだ一度も宣べ伝えられていない町や村があります。しかしこうした区域で組織的な伝道がなされるならば,どんな反応が得られるでしょうか。一時的な特別開拓者(全時間伝道者)たちが寄せてきた興味深い経験の幾つかをお知らせしたいと思います。
栃木県馬頭町で一青年に「ものみの塔」と「目ざめよ!」を配布した開拓者は,この人を二日後に再び訪問して聖書研究を取り決めることができました。青年は研究が始まると,この町でもクリスチャンの集会が開かれていることを知り,集会の日には残業も断わって出席するようになりました。ある集会で喫煙がクリスチャンの避けるべき行為であることを学ぶとすぐに喫煙をやめて,自分もクリスチャンになる意志があることを行動で示し始めました。そして無料で借りられる集会場を教えてくれたり,聖書の研究を望んでいる人々を紹介するなどして開拓者たちの業に協力しています。彼は研究を始めて4か月目の昨年10月には伝道にも参加するようになり,クリスチャンとしての進歩を追い求めています。
滋賀県虎姫町に住む64歳のある主人は近くの長浜市に勤務している時にエホバの証人から出版物を求めました。彼は聖書に関心がありさらに知りたいと思っていたものの,何かの事情で再度の訪問がなされず,その後入院してしまいました。しかしこの機会に証人に訪問してもらいたいと思い集会場へ手紙を出しましたが,連絡が取れないままになっていました。幸い昨年7月に一時的な特別開拓者がこの町に派遣されエホバの証人の訪問を受けることができました。すぐに聖書研究に応じるとともにその月に大阪で開かれたエホバの証人の地域大会にも出席しました。それ以後集会にも定期的に出席し証人たちとの交わりを楽しんでいます。
ある全時間伝道者はちょうど昼寝をしていた人の家を訪問しました。家の人は,「わたしは聖書の伝道者です」と言う紹介の言葉に驚きました。なぜならその人は聖書の価値を認めており深く調べるために教会に行こうと思っていた矢先に,こうした訪問を受けたからです。すぐに研究が始まりました。そしてその主婦が久しぶりに姉の所へ遊びに行ったところ,その姉もエホバの証人とすでに聖書研究を始めており,そのことを知った二人は共に喜びました。
都会との交流が少ない小さな町で王国の良いたよりが人々に受け入れやすいものとなるよう開拓者たちはいろいろな努力を払わねばなりません。その一つは町の人々と親しい関係を築くことです。例えば熊本県五和町は漁師町であり,開拓者たちには,土地の人々の普通の会話も最初けんかをしているように聞こえました。それで果たして土地の人々と仲良くなれるだろうかという不安がありました。そこで人々と良い関係を築くために自分たちからあいさつし,ほほえみかけるように努めました。初め,町の人々は「よそ者」のあいさつにとまどったようですが,しばらくするとあいさつが返ってくるようになりました。ある日開拓者たちは銭湯で知らない人から「背中を流しましょう」と言われて大変驚きましたが,よく見てみると皆が背中を流し合っていたのです。その申し出に喜んで応じました。そうした習慣にも慣れた頃,中年の一婦人が自分で体を流していたので開拓者たちが「背中を流しましょうか」と申し出ると婦人はびっくりしました。それから親しい会話とともに「よそ者」に対する身上調査が始まりました。姉妹たちはこの町に来た目的を話し,改めてその婦人を訪問することによって聖書研究を取り決めることができました。
これらの経験が示している一つの共通点は,まだ伝道されていない町や村に住んでいる人々が良いたよりを聞く機会を待ち望んでいるということです。西暦一世紀に使徒パウロはある夜中に幻を見ました。その幻の中で,パウロは『あるマケドニアの人が立って彼に懇願し,「マケドニアへ渡って来て,わたしたちを助けてください」と言う』のを聞きました。(使徒 16:9)マケドニアの人たちは良いたよりをまだ聞いていなかったので,パウロは仲間とマケドニアへ行きました。そこで人々が良いたよりを聞き,学んで真の神の崇拝者となるよう助けることができたのです。
パウロの時代から1,900年以上たった今日でも,かつて宣べ伝えられたことのない区域での伝道はすばらしい結果をもたらしています。一時的な特別開拓者は1974年の夏に50人が54の町村で,1975年の夏には50人が28の町村で,そして1976年の夏には100人が93の町村で熱心に良いたよりを宣べ伝えました。つまりそれ以前には伝道されていなかった175の町村に住む252万5,800人の人々に良いたよりを聞く機会が差し伸べられたのです。その結果,組織された群れが46の町に発足し,その内二箇所は会衆を組織できるまでに拡大しました。青森県むつ会衆はその一つであり,昨年11月には,正規開拓者3人,補助開拓者5人,伝道者6人そして2人の特別開拓者の16人の成員が王国の良いたよりを人々に宣べ伝えました。そしてこの都市で良いたよりに関心を持つ人々との研究が32件行なわれています。
日本で良いたよりが伝道されていない町村はまだ900以上あり,その人口は670万人以上です。こうした町村で良いたよりを伝道するなら必ずその音信を求めていた人に会うことができます。