神の力により生活を改める

神の言葉に従って人が生活を良い方向へ変化させるのを見ることは，大きな喜びです。多くの人は神が与えてくださる力により頼み，また真剣に神の助けを祈り求めることにより大きな変化を遂げています。ある婦人は自分の経験をこのように話しています。

「人の幸福は結婚にあると思い込んだ私にとって，わずか二年半の結婚生活の終わりに残ったものは，男性に対する不信感と一歳半の子供を抱えた厳しい現実でした。裁判所の調停によって取り決められた子供の養育費の支払いも3回程で不覆行になりましたが，私はあえて請求しまいと決心しました。食べるためには何でもやる気でいましたので，子供を日中他人に見てもらって，電気工場，織物工場，縫製工場，また小料理屋の女中の職などを転々とし，ついに日中子供と共にいて夜働けるバーのホステスとして勤めるようになりました。毎日は何の希望もなく，ただ客を相手に酒とたばこの汚れの中で，いつも心に抵抗を感じながら私は人生の裏側を見つめて生きてきました。

「一昨年のそんなある日，一人の聖書の伝道者の訪問を受けました。その人の差し出した青色の『真理』の本は，私が結婚する前やはり伝道者から求めた本と同じもので，私は何かその中に大切な事が書いてあるような気がして今までそれを持っていました。その伝道者は翌日再び訪問してくださりその本を用いて聖書の勉強が始まりました。さらに，日曜には講演があるからと誘われるままに出席してみました。そこには確かにこの世の人々のものとは異なったふんい気があり，人々は親切でした。毎週必ず来てくれるその奉仕者に感心しながら，私も素直になって，予習して待つようになりました。

「真理を学ぶにつれて酔酒やたばこが悪い事を知り，それらの習慣をやめたいと願うようになりました。しかし，バーのホステスという職業上，それから離れるには努力がいり，他の者からも非難されました。それで私はこの習慣を立ち切り，神のみ前に喜ばれるには職業を変えねばならないことを悟り，その決意を店の主人に話しました。しかし主人には，今やめられては困る，それに子供を抱えて何ができるか，と言われました。私は途方に暮れる思いでした。

「そのような時に，巡回するクリスチャンの監督の訪問を受けて，神は汚れと清さを同時に受け入れられないこと，自分の良心を清く保つことの大切さを教えられました。私は何とか店をやめたいと思っていましたが，無理に店をやめようとした同僚が店の主人と組んでいる暴力団員によってひどい目に遭っていることを知っていましたし，今までお世話になったという義理もあって，心に責められながらも店をやめることをなかなか言い出せませんでした。そのころから私は集会や聖書の勉強にためらいを感じるようになりました。私のような者が出席することによって神のお名前が汚されないかと恐れるようになりました。そのことを奉仕者に相談すると，不可能を可能にしてくださる神の力を信じて真剣に祈ることを勧められました。

「私はそれから毎日，仕事をやめることを言い出す勇気を与えてくださるようエホバ神に祈りました。ところが全く予期しない方法によって，第三者を介して店の主人と円満な解決を得ることができ，期限を定めて店をやめるということで同意を得ることができました。その後も物質的な援助を通してもう一度考え直すよう頼まれましたが，私の決心は強く，ついに昨年2月末きっぱり店をやめることができました。その時のうれしさは言葉では言いつくせぬ思いでした。エホバが私のような者の祈りに答えてくださったことを深く感謝し，奉仕者の方と共に喜び合いました。長い間探し求めていた自由を得て，それからさっそく毎週開かれている五つの集会に参加し，今は伝道者として野外奉仕にも参加しています。

「神のことを第一にしてより頼む時に，エホバ神は確かに私たち母子を助けてくださいました。また，仲間のクリスチャンの援助により内職の仕事が与えられ，出席できないと思っていたエホバの証人の大会にも出席することができました。さらに，演壇の上で話すことなど絶対にできないと考えていた，話し方を訓練する神権学校での割当ても，自分でも驚くほど冷静に行なうことができ，すべての事に力を与えてくださるエホバを本当に身近に感じました」。

この婦人は現在では，バプテスマを受けたエホバの証人の一人として，エホバ神に熱心な奉仕をささげています。確かにこの婦人が経験したように，たとえ困難と思える状況の時にもエホバに喜ばれる道を歩むための助けを求め続けることにより，必要な力が与えられます。使徒パウロが述べるとおりです，「自分に力を与えてくださるかたのおかげで，わたしはいっさいの事に対して強くなっているのです」― フィリピ 3:13。