ある現実の問題
ジョゼフは東南アジアに住んでいます。彼は激しい雨を橋の下に避ける以外,住まいというものを持っていません。ここで彼は汚れたわらのマットを寝床にしています。彼のコップはさびた空きかんです。10歳の時に保護者のもとから逃亡して以来,ジョゼフは盗みを生活の手段にしてきました。盗みによって彼が得る年収は1万2,000円に達しました。これは人口が1億4,000万人近い彼の国に住む大多数の人の一人当たりの年収を上回る額です。
このような貧困は地上に住む人々のごく一部に限った話ではなく,世界人口の半数が日々に直面しているものなのです。国民一人当たりの年収が4万円に満たない国は,かなりの人口を有する国の中に30あまりを数えます。「生理的機能に障害をひき起こすほどわずかなもので命をつないでいる人が8億人もいる」ものと推定されています。―トゥ・ザ・ポイント・インターナショナル誌。
年収がこれをはるかに上回る国々においてさえ,空腹をかかえる貧しい人々は何百万人といます。その中にはとばく,アルコール飲料の濫用およびその類の事柄が原因で経済的苦境に陥った人が含まれます。そのうえこのようなものに手を出したために,貧しい人がいやが上にも貧しくなります。次の例を考えてみてください。
ローデシアの田舎に住むある中年の男が,にわとりを売りにサリスベリーに出て来ます。良い値段でにわとりを売ると,彼は手にした金をとばくによって殖やそうと心に決めます。彼は二回勝って元手を二倍以上にしました。彼は家へ帰ることを考えますが,賭け事への衝動は彼をとらえて離しません。次に彼は損をしますが,それでも金を使い果たすまでとばくをやめません。そして上衣までも賭けに投入してそれもなくしてしまうのです。警察にかけ込んでも助けてもらえず,彼は空手で家に帰ります。
また,将来を約束されたハンサムな若い男の例があります。英国リバプール大学で医学博士号を受けたこの人は医師としての歩みを始めようとしていました。彼は第一次大戦中,勇敢な行為によって戦功十字章を受けています。しかし彼はアルコール中毒になりました。酒のために彼は遂に医師の職を失います。彼は変性アルコールを飲むようになり,重い病気になって遂にはだれにも悲しまれずに貧困者となって死ぬのです。
オランダの小学校教師である若いウイルフレッドは,家庭のいざこざと職場でのストレスから逃れるため麻薬に頼ります。この習慣のために彼は毎年何千ドルを費やします。中毒者になった彼はこじきのような生活をし,往来で寝ることもあります。彼は麻薬のことが人に知られて警察に通報されることを極度に恐れています。しかし遂に彼は職を失うのです。
ガーナのある中年の大工は自分の家を持ち,大ぜいの人を使って仕事をしています。それでも彼は自分の境遇に満足していません。さらに多くの富を蓄えようと,彼は金を奇跡的に殖やすと言われる鳩を買うために大金を投じます。しかし鳥は逃げてしまい,二度と姿を見せなかったので,彼の夢は砕かれました。損失を埋め合わせるため,彼は魔術師を雇い,魔法の力で多額の金を現出させます。それは消えてしまわないうちに銀行に預けることのできるものです。魔術師は料金の支払いを受けます。ところが銀行に着かないうちに,大工は自分の手にしているものが紙幣ではなくてただの紙切れであることを発見して仰天します。その後,彼は所得税を払わないため法廷への呼び出しを受けますが,再三それに応じないため,逮捕状が出されます。彼は恐れのあまり,家族も家も仕事場もそのままにして逃亡します。
これは作り話ではありません。本当にあった悲劇的な話です。このような悲しむべき結末を避けるための健全な指針と,必要な動機づけを与える源が確かにありますか。あります。それは部分訳をも含めて1,600以上の言語に訳されている文書を集大成したものです。その最も新しい部分は1,900年ほど昔に完成されました。20世紀においてその全巻は何億冊も印刷されて世界中に配布されました。この驚くべき本は聖書です。聖書に載せられている非常に高い原則に従うことは,食卓に糧を備えるのに確かに助けとなります。どのようにそうなのかを調べることをお勧めします。