苦悩の色濃い大海
地中海に関連した汚染防止協定を作成するため,最近,17か国の代表団がモンテカルロで会合を開いた。水中探険家のジャック・クストーはその代表団に対し,海魚が小さくなっていること,また以前は主に海岸地帯に限られていた汚染が,今や沖合でも問題になっていることを明らかにした。トゥー・ザ・ポイント・インターナショナル誌はこう述べている。「科学者の調査結果では,魚には極めて多量の水銀が含まれているため,アドリア海の何人かの漁師の体内には猫一匹殺せる位の水銀が蓄積されている。さらに地中海産の魚を一週間に2.5㌔ずつ摂取するなら約20年後に間違いなく死亡する」。主要な問題の一つは,地中海沿岸の100を超す都市が,未処理の汚水を海に流し込んでいることである。数多くの工場が有毒な化学薬品を同様の方法で廃棄している。その結果,「地中海で泳ぐ人の七人に一人は何かの病気を拾ってくると考えられる」といわれている。