神は祈りに耳を傾け,それに答えてくださる
聖書には,「神は確かに聞いてくださった。わたしの祈りの声に注意を払ってくださった」と書かれています。―詩編 66:19。
これは今日でも,また祈りが心の中だけでささげられる場合でも,やはり真実です。次に挙げる経験は聖書のこの真理を裏書きしています。
最初に挙げる経験は一中学生に関するもので,その生徒自身が言うところによると,彼は聖書の集会の際にあまり熱心ではなく,居眠りをすることさえありました。この中学生の祈りは形式的なもので,時にはそれを忘れることもありました。しかし,ある出来事があってから,神が祈りを聞いてくださることを認識するようになりました。その経験は次のようなものです。
「ぼくはある出来事を通してエホバを頼りになる存在として本当に知るようになりました。それは札幌に模擬試験を受けに行った時に起きた出来事です。その帰りに友達と二人でデパートで買い物をしていました。そこへ五,六人の高校生のような人が来て,ぼくたちをトイレに無理やりに連れて行き,『金を出せ』と言って脅したのです。それで肩を小突かれながら,『エホバ,助けてください!』とエホバに真剣に祈りました。今まであんなに真剣に祈ったことはありませんでした。
「すると,トイレのドアが開き,中から体のがっしりした男の人が出てきました。その人はそのデパートのガードマンでした。そして,『君たちの話は全部聞いた。ちょっと来なさい』と言って高校生たちを連れて行きました。ぼくたちには親切な口調で,『君たちは早く帰りなさい』と言ってくれました。その時ぼくは,エホバがぼくの祈りを聞いてくれた,と思いました。その時まで集会でもあまりまじめでなかったぼくにも,エホバは助けを差し伸べてくださったのです。
「その帰り道で坂を上ってゆくと,きれいな星がたくさん見えました。そして急にうれしくなり,涙が出てきました。そして本当にエホバはいるんだ,と思いました」。
この出来事によって,この中学生はエホバに対してもっと従順になるべきことをはっきりと認識しました。この生徒は次のような言葉で自分の経験を結んでいます。
「ぼくの目標は少しでも早く献身することです。今まで不敬な態度を取ってきたので申し訳ないと思い,早くエホバに仕えたいと思います」。
もう一つは,冷静に聖書を説明できるようにと助けを祈り求めた経験です。この利他的な祈りがどんなにすばらしい結果をもたらしたか,ご自分でお読みになってみてください。
「雑誌活動の時に一人のご主人に雑誌(「ものみの塔」誌と「目ざめよ!」誌)を配布しました。再訪問をしたところ,その方は留守で,娘さんがおられました。訪問の目的を話すと,その人は厳しい口調で,『父はその雑誌をごみ箱に捨てたと思いますよ。私が日頃からエホバの証人は悪い人たちだからと言っているので』と答えました。
「それで,『なぜエホバの証人は悪い人たちだと思うのですか』と尋ねたところ,『教会の先生は,「エホバの証人は悪い人たちなので決して近付かないように。あの人たちと話していると,だんだん話に引き込まれてしまうから」と言っていますよ』と答えられました。さらに,『あなた方はイエス様を認めないですものね』と言いました。
「それで私は,『イエス・キリストは贖いとしてすべての人のために死なれた方であって,私たちはイエス・キリストの立場を正しく認め,イエスを通して神に祈ってもいるんですよ』と話しました。さらに,三位一体,特に神とキリストとの関係について聖書から話し合いました。また,イエス・キリストの弟子として宣べ伝える業を行なっていることについても話しました。
「それに対してその方は,『私たちはただイエス様を信じれば救われるんですよ。他の人のことよりも,あなたよ,あなたがイエス様を信じれば救われるのよ』と熱心な口調で話しかけてきました。
「私はその方が話している間に,自分ができるだけ感情的にならないように,また真理を愛している人であればどうか真理を理解できるように助けてください,とエホバに心の中で祈りました。
「そして相手の話すことをよく聞き,家の人に自分の聖書を持ってきていただいて,できるだけ聖書から話すようにしました。1時間ほどの話し合いの後,結局平行線のままその家を出ました。玄関を出てから,気の毒になって,この方が真理を理解できますようにとエホバに祈ったのを覚えています。
「その日の夕方になってから突然,その方から電話がありました。受話器を取ると,『昼間私の家に来たエホバの証人の方ですか』と言うので,『はいそうです』と答えました。すると,『昼間はどうも失礼しました。どうしてもあなたにおわびしたいと思いまして電話をしました。あれから一人で考えてみて,あなた方のほうが真理を持っているのかもしれないと思ったのです』とその人は言いました。
「突然の電話の内容にも驚きましたが,私は電話番号を教えた覚えがないので,なぜ番号を知ったのか不思議に思いました。そこで尋ねてみたところ,証言の時に私の名前を覚えていて,どうしても連絡を取りたかったので,市内の電話帳を調べて上から一軒ずつかけたということでした。私はその気持ちを考えて,心が熱くなるのを覚えました。
「それ以降,その人を繰り返し再訪問しています。以前の時とは打って変わって友好的な態度で話を聞いてくださり,捨てられる心配をせずに雑誌を配布することができました。もしエホバのご意志なら,研究が取り決まるように祈っています」。
あなたも,祈りを聞いてその祈りに答えてくださる方,エホバ神について学ぶことができます。この雑誌をお手元に届けた人に尋ねれば,無償の助けを得ることができます。