親のみなさん ― あきらめずにお子さんを訓練しつづけてください
子供を持つ人で,子供たちが親の言うことを聞かない,と感じている人は少なくありません。過去数年来,若い人々はこれまで以上に反抗的な態度を執るようになっていると思われます。大抵の場合,親はただ子供の言いなりになってしまうか,あきらめてしまって子供にとって何が正しいかまたは何が良いかを教えようとしなくなってしまいます。
一方,聖書を研究し,聖書の教える事柄を子供たちが学ぶよう助ける努力を払っている親もいます。父親と母親が同じ信仰を持っていない場合,これは難しくなるかもしれません。子供が反応を示さない場合に,親はあきらめてしまってよいでしょうか。一人の若い女性は次のような経験を語っています。
「私が幼いころに母は聖書を学び,エホバの証人になりました。まだ幼かった私は母に連れられて集会に行きましたが,二人の姉は未信者の父の側についてしまいました。私もその影響を受けて,しばしば集会を休みました。母がエホバの証人になったために,父がせっかく日曜日に家族で出かける計画をしても,母はいつも集会の方へ行きました。私は子供ながらに家族の不一致を感じ,それは母がこんな宗教に入ったせいだといつもうらめしく思っていました。
「集会に行っても話は難しくてよく分からず,本当に退屈しました。それで,『ものみの塔』研究の時にはよく母に,『あと何ページ?』と聞いて,『早く終わればいいな』と考えていました。
「また,伝道も母に連れられて時々行きましたが,家の人に断わられている母が非常に哀れに思えて,一緒に伝道するのがいやになりました。そんな状態がずっと続き,中学に入って反抗的になり,世からの強い影響を受けるようになりました。その当時全盛期だったグループサウンズに夢中になり,どんどん真理から遠ざかってゆきました。家庭聖書研究もろくに予習せず,ただ30分だけという約束で,いやいやながらしていました。そのような中で,母はなんとか私だけでもエホバの証人にしようと必死で,大変熱心に研究を司会してくれましたが,私の方は逆にさめた気持ちになりました。
「研究は30分だけという約束でしたが,母は熱意のあまりついその時間を超過することがありました。ある時などは,目覚まし時計を30分にセットしておいてそれが鳴ったら途中であっても,さっさと自分の部屋に引き上げてゆくことがありました。それでも,母はあきらめずに粘り強く研究をしてくれました。
「大会に行ってもマンガの本を持って行く有様でしたので,会衆の人からは反逆児といった目で見られ,その冷たい視線を感じ,開き直った気持ちになったものでした。
「しかし高校に入ったある時,姉から,『あなたが集会に行くのはお母さんが行きなさいって言うからなの?』と尋ねられました。私はそれを聞いてショックを受けました。確かに高校生にもなって母にただついて集会に行っているのはおかしなことだと思ったので,この辺で真剣に聖書を調べて,本当に受け入れられないのならきっぱりやめようと思いました。
「ちょうどそのころ,以前は主婦ばかりだった集会に,若い人たちが集まるようになりました。それで友だちもでき,集会に行く楽しみが出てきて,かたくなだった自分の気持ちが少しずつほぐれてゆくのが分かりました。それまで全く聖書に関心がなかった私でしたが,まじめに集会に行き,個人研究をするようになってから,また集会での交わりを持つようになってから,真理のすばらしさに気づくようになり,エホバの証人に対する偏見も薄らいで,徐々に変化してゆきました。そして高校2年のころに,これこそ真理だと感じるようになり,高校3年の時にバプテスマを受けました。
「今振り返ってみて何が良かったのか考えてみると,やはりエホバの導きの下に母が10年以上もの間,反抗的な私に対してあきらめることなく,祈りのうちに忍耐強く援助しつづけてくれたことだと思います。
「それに加えて,若い人たちとの交わりで励まされました。また,反逆児だった私に対して,会衆の一部の人は温かい目で見守り,関心を示してくださったことも大いに助けになりました。それでお子さんが反抗的で悩んでおられる親のみなさんに,どんな子供でも決してあきらめずに,忍耐強く援助しつづけてゆくよう私は自分の経験からお勧めしたいと思います」。
確かに,親はき然として自分の子供たちに教えを与えなければなりません。聖書は,「少年をその行くべき道にしたがって育て上げよ」と述べてこのことを励ましています。―箴言 22:6。