台湾からの報告
(1954年度のヱホバの証者の年鑑より)
ここ17年の間,ヱホバの聖霊はアミ種族の谿谷で非常に強く活動して居ります。この17年の間中,初めて真理の側に立つた兄弟達は迫害を受けましたが,忠実を保ち続けました。それでその兄弟達はすべての人々から関心を持たれ,見られて居ました。日本人からの辛い迫害に対しても,また後には中国人からの迫害に対しても,これらの兄弟達はひるむことがありませんでしたので,アミ種族谿谷自体が刺激を受けて奮起し,研究し,今ではヱホバの証者は正しいということを幾千という人は確信して居る程です。政府は,ヱホバの証者を禁止し,抑止しようと努めました。しかし,真理を抑止することは出来ません。真理は,迸り広まらねばなりません! この17年の長い年月の間中待つていた増加は,組織された御国の奉仕の中にあつて,急速に始まり進歩しつつあります。
全世界のすべての場所と同じく,台湾に於ても家から家への奉仕は,その中心の活動です。しかし,研究をする時には,口頭の方法でしなければなりません。大部分の人々は読むことが出来ません。それにしても,台湾の政府は協会の文書を許可せず,台湾に入ることを禁止して居る次第です。それで,伝道する際には口頭の方法が広く用いられています。書物を通して学ぶ代りに,アミ種族の人々の記憶力は非常に良く,その清い心は,古い世の哲学とか,不道徳で汚されては居りません。問題となつている点が,心に明白に植えつけられるまで,人々は沢山の質問をします。その心は,彼等の参考書となります。そして心はいつも彼等と一緒にありますから,本棚に置かれて忘れられて仕舞う本よりも手頃で便利なものです。アミ種族の人々が真理を学ぶ時,彼等は毎日真理を語り,考えます。それで真理はいつまでも新鮮で,明瞭なのです。
長い年月の間,台湾の兄弟達は孤立していました。しかし現在では,全世界に亘る新しい世の社会の兄弟達と密接な関係を持つていると感じて非常によろこんで居ります。台湾に入ることが出来,そして兄弟達の手元に届けられるだけの聖書,文書,ものみの塔の雑誌を兄弟達は協会から受けました。政府の禁止令を無くさせようと,引き続いて努力はなされていますが,彼等はそれについて感謝を表わしています。
ニューヨークの兄弟達は,救済の衣服という親切な贈物を台湾の兄弟達にいたしましたが,これによつて,全世界の兄弟達と共に一つとなつているという感じは,強く台湾の兄弟達の心に刻み込まれました。世界の半周も離れた場所であつても,兄弟達は苦しみや困難に際して共に一つであるという明白な証拠が示されました。それに加えて,その衣服の分配を監督した警察官達にとつて,それは大きな証言でありました。ボロボロの衣服は真理に非難をもたらすであろうと思つて,奉仕に行くことが出来なかつた多くの兄弟達は今や全く備えを受けました。多くの兄弟達は,今始めて靴を穿いています。ゴツゴツした険しいこの地方を証言するのに,靴は必要なものです。衣服が送られて,物質的な恩恵を受けたことは素晴らしいものでした,しかしそれよりももつと価値あるものは,たとえ物質的に貧しくとも,彼等は新しい世の社会の一部であると考えられて居り,そして新しい世の社会と共に活動を続けて行くよう援助を受けているという確信を台湾の兄弟達が持つたことでした。親切にもこの衣服を寄附された兄弟達の皆さんは,台湾の奉仕の増加に対して貢献したことにその報いを感ずるでしよう。