異端者の取扱い
トーマス・アクイナスは,13世紀の人でローマ・カトリック教会の有名な哲学者です。彼の著「サマ・セオロジー」は興味あることに今日でもローマ・カトリックの標準の権威書として不動の地位をしめていますが,異端者の取扱いに関して,質問12の3条,2a,2aeで次のように論じています。『魂に生命を与えるところの信仰を腐敗させることは,一時的な生命を支えるところの貨幣を偽造するよりも遙かに由々しいことである。ゆえに,貨幣偽造その他の悪人が世の支配者によつて直ちに,正当な死に渡されるとすれば,異端者はその異端の罪が証明され次第,破門に留まらず,殺されるのは全く当然であろう。』