鉄のカーテンの背後で
ポーランドからの報告
鉄のカーテンの背後にいるわたくしたちの兄弟がなしとげたすばらしいわざを考える時,去年の主題の聖句と,彼らがいかに忠実のうちに歩んだかを思い出さざるを得ません。さて1959年度の聖句,『目ざめていて,その上衣を保つ者は幸福である』(黙示 16:15,新世)も非常に適切な聖句です。鉄のカーテンの背後にある八つの国にいるヱホバの証者たちは,世界の状態をゆだんなく見守り,私たちの時代がどんな時代であるかを知つています。そして今は,妥協したり中止すべき時でないことをよく認識しています。彼らは教職者たちが,神を信じない国家と提携する偽善的な動きを見て来ました。過去12ヵ月の間,ヨーロッパ地域の鉄のカーテンの後にいるヱホバの僕たちは,立場を堅く保つて来ました。彼らは地下にもぐつて活動しました。彼らは善意者に伝道しました。そして何千という他の羊を集め,今では鉄のカーテンの背後が,ヱホバの制度内で最もすばらしい増加を示す場所の一つになつています。これは兄弟に対する私たちの心を温めまた,ヱホバの聖霊が,世界の他の地域と同じように,鉄のカーテンの背後にいる愛する兄弟たちにも働いていることを明らかに示しています。兄弟たちが神の御言葉に注意を向けてそれに従うのでそこでも神の御心が行われつつあります。政府が,すべての人々の心を神から引き離して,彼らを100パーセント唯物的にしようと試みている地域で,神の御国の良いたよりが宴べ伝えられているのを知ることは,何という大きな喜びでしよう。報告を手に入れることはむずかしいですが,兄弟たちはやはり強く立つて伝道していることを私たちはよく知つています。彼らは目ざめていて,彼らの奉仕の上衣をつけています。『召しにふさわしく歩き,できる限り謙虚で,かつ柔和であり,寛容を示し,愛をもつて互に忍びあい平和のきずなで結ばれて聖霊による一致を守り続ける』兄弟たちの上に,ヱホバの祝福がありますよう。これらの国の一つから送られた報害を次にかかげます。
ポーランドの兄弟たちは大きな喜びをもつて昨年度の活動を報告して来ました。ポーランドにはもうベテルの家も印刷所も,僕たちが集まつて御国の事柄などを討議し合う可能性もありません。にもかかわらず彼らの心はもえるような熱心であふれていて,誰も彼らからそれを取ることはできません。ヱホバの証者たちが住んでいるポーランドの状態は,最も苦悩に満ちたものです。いつ逮捕されるかわかりません。ですから伝道者たちは,『どの月も奉仕できる最後の月のように考えて奉仕したい』と感じています。兄弟たちの間のこうした精神によつて,ポーランドは12回もつづけて伝道者の最高数を得ました。これはその奉仕年度に毎月増加を見たことを意味します。
昨年中ポーランドにおける活動が急速に拡大した最も大きな理由は,家庭聖書研究の活動でした。真理に円熟した者たちが,この必要性に着目したので,家庭聖書研究は前の年より100パーセント増加しました。ヱホバの証者の神の御心国際大会開催中,兄弟たちの間のスローガンは,『全部の伝道者が一生に1度休暇開拓をする』ことでした。これらの兄弟の心はみなヤンキー野球場とポロ野球場の大会にあり,8月17日ポーランドの日刊新聞に載せられた,ぎつしりと埋まつたヤンキー野球場の写真を見た時,彼らの喜びは非常なものでした。その写真は8月3日公開講演が行われていた時にとられたもので,見出しには,25万人の集まつた大会と書かれていました。ポーランドの兄弟たちは,この写真が手にはいつたことを非常に喜び,そこに集まつた大勢のヱホバの証者の群衆について他の人々に話しました。
これは定期的な伝道者である8歳の少女の経験です。彼女は家の近くの草原で2頭の雌山羊の番をしながら非常に大きな聖書をひろげて読んでいました。そこへ二人の若者が通りかかつて,その少女が熱心に勉強している本はいつたい何だろうと考えました。彼女に近よつて来た若者のひとりが言いました,『君のお父さんとお母さんはヱホバの証者だね。そうだろう。』『ええ,そうよ』彼女は答えました。『そんなら君もヱホバの証者じやないかい。』『ええ,あたしもそうよ。』するとこんどはもうひとりの方の若者が,皮肉な笑いをうかべて聞きました。『じや君の2頭の山羊もヱホバの証者かい』『ちがうわよ』この若い証者は答えました。『この山羊は両方ともローマカトリックよ。』『なぜそんなことがわかるんだい。』『だつてどちらも聖書を読んでないじやないの。』とこの8歳の少女はだんことして答えました。するとはじめに口をきいた若者が,友だちのうでをつかんで言うには,『おいゆこうよ。もう一本やられる前に行くほうがいいぜ。』
昨年中,ポーランドの人々の興味は非常に増大しました。記念式の時には,何千というヱホバの証者と興味を持つ人々が,キリスト・イエスの死を祝うために集まりました。ある青年は,これに出席するために働いていた工場の監督に,少し早く帰らせてもらうように頼みました。なぜ早びけしたいのかという質問に対して,彼は,ヱホバの証者からこの祝いに出席するよう招かれたのだと監督に告げました。すると監督は,自分がヱホバの証者を探していたこと,しかも3ヵ月間も探していたのに見つからなかつたことをその若者に話しました。そしてその特別集会に一緒に行つてもいいかどうか尋ねて,一緒に行くことになりました。
ポーランドのある都市にあつた浴場で洗礼が行われましたが,見物人が1000人も集まり,多くの人々は歌に心をうばわれたようです。そして全部の者がそこで見たことから深い感銘を受けました。次の日,市の放送局は,新聞記者に対して次のように放送しました,『新聞記者の皆さん! あなたがたはいつたいどこにいるのですか! あなたがたは,いるべき場所以外にはどこにでもいます。まち中が市の浴場で行われたヱホバの証者の洗礼の話でもちきつているのに,あなたがたは誰も報道した者はありませんでした。』