真理は自由と幸福をもたらす
聖書の真理は霊的な自由と大きな幸福をもたらします。ポルトガルに住むカルロスという名の男の人の場合は確かにそうでした。
1968年当時,カルロスは,妻のオルガがエホバの証人と聖書を研究するのをやめさせようとして,あからさまな反対をしたり,巧妙な方法を使ったりしました。それでとうとうオルガは研究をやめました。しかし,聖書から学んだことは依然として信じていました。
別の土地に引越して間もないある日,3歳になる息子が,近所に住むエホバの証人が玄関に来ていることを告げました。意外にも,カルロスはオルガに,その人を家に招じ入れるようにと言いました。そのエホバの証人は夫婦でカルロスの家に立ち寄り,3時間にわたって聖書に関する質問に答えました。そして,聖書研究を行なうために次の週に再び訪問する約束をして,「とこしえの命に導く真理」と題する聖書の基本的な手引き書を渡しました。二人が研究のためにやって来るまでに,カルロスはその本を全部読み終えていました。研究が始まってから2か月後,カルロスはクリスチャンの集会に出席してもよいかと言いました。証人(ポルトガルでは当時エホバの証人は禁令下に置かれていた)は,集会に連れて行くことをためらいました。カルロスが秘密警察官だったからです。しかし,なにも問題は起きませんでした。
1972年にカルロスは秘密警察に2回退職願いを出し,ついにそれが許可されました。その後,1974年4月に革命が起き,4月30日,カルロスは9人の兵士によって刑務所へ連行され,そこに七日間入れられました。新しい法律によると,前政権の秘密警察官全員は裁判にかけられて投獄されることになっており,恩赦は認められません。したがって,カルロスも1979年7月10日に軍事法廷で裁判にかけられました。審理中に,カルロスは数年前に秘密警察をやめてエホバの証人になっていることが指摘されました。皆が大変驚いたことに,カルロスは無罪になりました。
クリスチャンとして中立の立場を取ったカルロスは現在ある会衆の長老となっており,人を自由にする真理に感謝しつつ,妻と息子と義理の母親とともにエホバに仕える幸福を味わっています。―ヨハネ 15:19; 8:32。