わたしたちが担うすべての業においてエホバに頼る
1 わたしたちは自分たちが担うすべての業において神の祝福を必要としています。詩編 127編1節はこの点を認めることの知恵を次のようによく言い表わしています。「エホバご自身が家を建てるのでなければ,建てる者たちがそのために骨折って働いても無駄である。エホバご自身が都市を守るのでなければ,見張りが目覚めていても無駄である」。ですからわたしたちは,自分たちの活動すべてにおいて創造者を考慮に入れる必要があるのです。
2 人々の観察: 建設工法に通じている人々は,今日,エホバの証人が速成の王国会館を建てる点で成し遂げていることに大きな感銘を受けています。例えばある土木事務所の建築主事は次のように述べました。「以前,エホバの証人が同じように自分たちで会館を建てたとき,立派に建設を行なったことを覚えています。そして今回確認申請にみえた時に,ほかの所で建てられた会館の建設現場の写真を見せていただきましたが,どれも足元が整理整頓され作業が整然となされているので感心しました」。
3 1992年7月3日付の「南信州」紙は次のような観察を報じました。「一日平均二百五十人から三百人の信者が奉仕者として総がかりで作業を行い,わずか四日間で『プレハブ以上の本格的な建物』を完成させるという。男性の信者が操縦するクレーン車が屋根の部材を吊り上げ,女性信者らが食事の炊きだしを行うなど,活気づく建設現場。……観光道路に面しているところから,人海戦術の作業は通りがかりのドライバーらの目を引いている」。
4 こうした王国会館建設計画に大勢の自発奉仕者たちが援助を差し伸べてきたのを知るのは喜ばしいことです。そうした進んで行なう精神は本当に褒めるべきものであり,詩編 110編3節の次のような言葉と調和しています。「あなたの軍勢の日に,あなたの民は進んで自らをささげます」。ある都市の監督は次のように述べました。「わたしたちは王国会館を建てるため一緒に働く一つの大きな家族なんです」。しかし,全国で新しい王国会館の建設が続いており,技術を持つ奉仕者や一般の奉仕者がさらに多く必要とされています。「南信州」紙は「四日間に,のべ六百人の男性が建設作業を行い,五百人の女性が食事の世話を行う」ことにより,作業が円滑に進んだと報じています。
5 そのようなプロジェクトに携わることは忘れ難い経験となります。一人の証人は次のように述べました。「大勢の兄弟姉妹があの現場で心を一つにして“建てる業”に自らを費やしているのを見るのは本当にすばらしい経験でした。以前この世の現場で少し働いたことがありましたが,大工さんの中には大きな声を出したり怒りをぶちまけたりする人が沢山いました。しかし,王国会館の建設現場ではそうしたことを一度も目にしたことはありませんでした。エホバの霊があの場所に注がれていることを非常に強く感じました」。またある姉妹も,次のような感想を述べました。「エホバの証人でいられることの幸福感を一層味わい,兄弟関係の絆の強さや温かさを感じることができてとても励まされました。その情景を見ていると,感動を覚えないではいられず涙が出てきそうになりました。エホバがどのような方か,エホバの組織がどのようなものか,エホバの僕たちがどんな人たちなのかをこの建設の業ははっきりと物語るものです」。
6 このようなプロジェクトは献身したエホバの民だけでなくみ言葉に関心のある人々をも強めるものとなっています。それまでに一度だけ集会に出席したことがあったある研究生は見学後このように述べました。「自費で働いている人たちが喜んでいる様子を見て心の底がピクッと動きました。明日の日曜日からは定期的に集会に出席し,真剣に研究をしたいと思います」。地元のある建設委員は,以前研究生だった王国会館建設用地の地主について次のような報告を寄せています。「現在すべての集会に出席され,来年にはわたしたちの正式な仲間に加わりたいと願っておられます。このような大きな変化を遂げられたのは,建設奉仕者の働きを目の当たりにして,深い感動を覚えられたからです。兄弟たちは単に王国会館という建物を建てただけでなく,人々の内に信仰をも築き上げました」。―ネヘミヤ 2:18。
7 王国会館は近隣の人々にも良い影響を与えています。ある会衆からは,「立派な王国会館は近隣の人々の評判になっています。多くの地元の人々が足を止めて眺めてゆきます」と報告が寄せられています。また別の王国会館に見学にみえた近所のご主人は,「建設を見ていると自分の家が建っているかのようで毎日出来上がってゆくのが楽しみでした。夜遅くまで大勢の人が喜んで働いているのを見て心を打たれ,感動しました。組織が大きく,一致しているのもすばらしいことです」と感想を述べられました。
8 王国会館の設計と場所の選定: ささげられた資産が賢明に用いられるようにするため,王国会館の設計と場所の選定は慎重に考慮しなければなりません。建物は慎み深いものであるべきです。「務め」の本の61ページで強調されているように,「王国会館は崇拝の場所ですから,他の人々の注意を引くことを意図した,仰々しい建物とするべきではありません。……機能をその目的とすべきです。(使徒 17:24と比較。)それは,わたしたちが霊的に成長し,エホバについて学ぶのを助け,エホバの王国奉仕にあずかるようわたしたちを励ますクリスチャンの集会を開くのに気持ちがよく,便利な場所であるべきです」。これまでの例から,王国会館は普通,奉仕者の住んでいるところに近いほど都合がよいと言えます。
9 通常,二つの本会場を持つ王国会館よりも,別々の場所に王国会館を分けて建てるほうが望ましいでしょう。選び抜かれた場所であれば,各々の王国会館を二つかそれ以上の会衆が使用できるかもしれません。とはいえ,これまで二つの本会場を持つ二階建ての王国会館が何棟も建てられてきましたし,近く二つの王国会館が同じ敷地内に建てられる予定もあります。人口の密集した都市部などでは,土地の高騰などの理由でそうせざるを得ないのが実情です。
10 複数の本会場を持つ建物の建設に取りかかる前に考慮すべき幾つかの要素があります。その建物は各会衆の区域からどれくらい離れていますか。交通の便はどうですか。王国会館が家から離れているような場合,聖書研究生や新しく関心を持った人たちはそこでの集会に出席するでしょうか。余分の時間や交通費が長期間求められますが,それによって奉仕者たちの当初の熱意が薄らいでしまうことはありませんか。複数の本会場を持つ王国会館は近隣にどんな影響を与えますか。多くの会衆が王国会館を使うようになれば,その地域での交通量もそれだけ多くなります。これは,特に住宅地などのようなところで,住民との問題にならないでしょうか。交通や駐車に関係したトラブルを招くことはありませんか。複数の本会場を持つ王国会館の建設の可能性を探っている会衆は,こうした点やその他関係している事柄を事前に注意深く考慮する必要があります。
11 何が成し遂げられてきたか: 約5年前に協会の王国会館基金が設立されて以来,この基金は日本において127の新しい王国会館の建設を援助するために活用されてきました。これらの王国会館は180の会衆によって使用されています。何と際立ったクリスチャン愛の表明でしょう。日本で地区建設委員会の指導の下に速成建設が行なわれるようになってから,わずか1年半の間に37の都道府県で合計65棟の王国会館が建てられており,ほかに八つの既存の王国会館が改装されました。大勢の兄弟姉妹たちは愛に動かされて自らを与え,王国会館建設計画を持つ会衆を援助しています。(フィリピ 2:4)これら自発奉仕者の中には,地域大会や巡回大会の仕事を援助していたり,医療機関連絡委員や大会ホール委員といった協会の特別な割り当てに携わっている兄弟たちも少なくありません。
12 エホバの拡大する組織の中での膨大な建物の必要を満たすよう助けるべく,地区建設委員会で奉仕している人々が示す,寛大で進んで行なう精神は本当に称賛に値します。地元の建設委員の一人は次のような報告を寄せています。「地区建設委員の兄弟たちの働きに心から感謝しています。多くの問題がありましたがそれらすべては早期に解決されました。そのすべては地区建設委員会の速やかな指導によるものでした。すべての出来事を考えると,エホバ神の助けと地区建設委員会の兄弟たちの速やかな指導がなければ今日ここに王国会館が建っていないのではないかと話しています。統治体のこの取り決めに会衆一同心から感謝しております」。地区建設委員会の指導に関するこうした感慨を味わってきた会衆は確かに少なくありません。
13 さらに多くの奉仕者が必要とされている: 会衆が増加し続けてゆくのに伴い,さらに多くの王国会館が必要になっています。その必要を満たすため,より多くの資金や働き人が求められています。昨奉仕年度中,日本国内で新たに設立された会衆は315を数えました。これら新しい会衆が用いる王国会館がさらに必要なのです。
14 引き続き大勢の兄弟姉妹たちが王国会館建設を援助しており,自分の時間や労力を無償で与えているものの,収穫の畑において一層多くの働き人が必要なのと同じように,さらに多くの助けが求められています。(マタイ 9:37,38)ほとんどの地区建設委員会は,王国会館建設計画のために進んで働く奉仕者たちの数がもっと増えれば,この責任を長年担ってきた人々の荷を軽減できると報告しています。―イザヤ 6:8。ガラテア 6:2。
15 神権的な奉仕のこの分野に申し込んだ兄弟たちは,自分の約束を果たすことを心に留めなければなりません。(マタイ 5:37。コロサイ 3:23,24)部門の監督は,建設奉仕者たちがいつ建設現場で働くよう割り当てられたかを,それらの人々に直接連絡して知らせます。作業予定は,いつ奉仕できるかを記した建設奉仕者たちからの情報をもとに立てられます。ですから,すべての奉仕者が自分の提出する情報に同意していることは重要です。他部門が工程通りに仕事を行なえるようにするため,各部門は所定の時間に作業を行なう必要があるからです。このような仕方で予定を組むことにより,奉仕者たちは自分の作業分担が終わり次第,家族や自分の会衆のもとへ戻ることができます。
16 各々の地区建設委員会は,割り当てられた地域内の奉仕者たちの予定を組みます。責任ある兄弟たちは,奉仕者たちに重荷を負わせたり仕事を押し付けたりすることがないよう慎重に予定を立てるので,これは良い方法です。協会の特別な割り当てや,一時的に仕事が多くなり過ぎた地区建設委員会からの要請といった場合以外に,奉仕者たちが他の委員会の地域を援助するよう求められることはありません。近隣の他の地区建設委員会の仕事が少ない場合,協会はそこに援助を要請するかもしれません。
17 だれが申し込めるか: 王国会館建設計画では,新改築した建物を用いる会衆やその近隣の会衆の自発奉仕者が一般作業を行ないます。そのうちのある人々は訓練を受けて資格を得,経験を積んだ,また技術を持つ奉仕者として「王国会館建設奉仕者に対する質問事項」を提出できるようになります。
18 地区建設委員会が毎月特に必要としているのは,建設業経験者や必要な王国会館の建設を援助する建設奉仕者たちです。いずれも会衆内で良い立場を得ている人で,交わっている会衆の長老団による承認がなければなりません。あなたがそうした条件にかなっているのであれば,エホバへの奉仕のこの面を援助するため自分の事情を調整できるでしょうか。(ネヘミヤ 4:6)もしそうなら会衆の主宰監督か書記から「王国会館建設奉仕者に対する質問事項」を入手し,すぐに提出なさってください。
19 さらに長老や奉仕の僕,また監督する能力のある霊的に円熟した兄弟たちがいます。それらの兄弟たちは,建設での経験が限られているとしても「質問事項」を提出できます。そうした兄弟たちの多くはノンコンストラクション(建設とは直接関係のない)部門での作業を行なっています。将来さらに広範にわたって働けるよう訓練を受けている人たちもいます。長老や奉仕の僕は,わたしたちの父なる神エホバに賛美をもたらすこの仕事のために自分を役立たせることができるかどうかを真剣に考慮するよう勧められています。―サムエル第一 3:8; マタイ 4:20と比較。
20 すべての人があずかれる: すべての人は,週末の王国会館建設計画に携わる人たちの分まで会衆で働くことにより,この肝要な業に対する立派な精神を示せます。わたしたちのだれも,王国会館建設における兄弟姉妹の愛の労苦が神聖な奉仕ではないようなことをほのめかして,これら建設奉仕者たちを落胆させたいとは決して思いません。(箴言 24:10。ヘブライ 6:10)平衡が求められるのは言うまでもありませんが,地区建設委員会はそのためにきちんとした予定を組んでおり,建設奉仕者たちが自分の会衆を長期間空けないで済むようにしています。
21 実際に建設現場で自発奉仕を行なえるような状況にいないとしても,わたしたちすべてがあずかることのできる重要な分野があります。それは何でしょうか。わたしたちの「貴重なもの」をもってエホバを敬うことです。(箴言 3:9)王国会館建設の増し加わる必要のため愛のうちに資金援助を行なう時,エホバが大いに喜んでくださることをわたしたちは確信できます。協会の王国会館基金のための寄付は非常に感謝されています。より多くの会衆が設立されているので,新改築した建物が引き続き必要とされているのです。(使徒 20:35。コリント第二 9:6,7)西暦1世紀に必要が生じた時,使徒パウロはコリント会衆の人々を次のように励ましました。「それにしても,あなた方があらゆることに,すなわち信仰と言葉と知識と全き真剣さに,またあなた方に対するわたしたちのこの愛に満ちあふれているのと同じく,この親切に与える業にも満ちあふれるようにと祈ります」― コリント第二 8:7。
22 広範囲に及ぶ益: 地区建設委員会は協会から指針を与えられている上に特別な訓練を受けていますから,王国会館の建設や改装にあたり,会衆がこれら地区建設委員会に提案を求めるなら益が得られます。長老たちが土地を取得する前に地区建設委員会と連絡を取り,その後,建設全体にわたってこれら経験豊かな兄弟たちと密接に働くのは賢明なことです。―箴言 15:22。
23 エホバは確かに,ご自分の賛美のための崇拝の家を数多く建てる面でわたしたちを大いに助けてくださっています。兄弟姉妹たちは自己犠牲的な愛に動かされています。それは明らかに,イエスがご自分の真の追随者をはっきりしるしづけると言われた種類の愛です。(ヨハネ 13:34,35)イエスが他の人の関心事を自分の関心事よりも優先させたのと同様のことを,それら兄弟姉妹たちも行なっているのです。エホバの僕たちの進んで働く精神や増し加わる技術は,神の新しい世において一層有用な仕方で用いられることでしょう。
24 確かに,これらエホバへの崇拝に用いる建物の建設に携わっている人たちは,詩編 127編1節の真実さを味わってきました。技術を持つ奉仕者たちが自分たちの時間や労力を立派な王国会館の速成建設のため自発的にささげているとしても,この業はエホバの祝福のおかげで成功しているのです。今日,王国会館の必要はかつてないほど増し加わっています。協会の王国会館基金はその初期から,王国会館建設計画を持つ多くの会衆を援助することを可能にしてきました。わたしたちの努力を祝福してくださるようエホバに依り頼み,わたしたちすべてが引き続き自分の時間と「貴重なもの」を惜しみなく与えてゆけますように。―箴言 3:9。
[4ページの囲み記事]
この折り込みに写真が掲載されている王国会館は,有家会衆を除きすべて協会の王国会館基金によって建設費用が援助された
[3ページの図版]
長野県大町市
[4ページの図版]
神奈川県相模原市 二階建ての王国会館
東京都江東区 マンションの一室を改造した王国会館
埼玉県大宮市
[5ページの図版]
高知県土佐市
鳥取県倉吉市 駐車場の完備された王国会館
新潟県新井市 豪雪地帯のため床を高くし,屋根を工夫した王国会館
[6ページの図版]
北海道旭川市
長崎県有家会衆