研究生が神の組織と交わるよう援助する
1 エホバは，世の政治･宗教･商業組織とは一切かかわりを持たず，ただご自分の目的にのみ仕える唯一の組織を持たれます。この組織は，聖書を理解し神の目的を真に洞察する上で重要な働きをするばかりか，そこに集められる人々を教育し，来たるべき大患難を生きて通過させるという務めをも担っています。わたしたちには，研究生一人一人がエホバ神の地的な組織とその働きを理解するよう援助し，そこに導く責任があります。
2 しかしながら，キリスト教になじみがなく，また“組織”の一員になるということに大きな圧力や責任を感じている人々に，神の組織について教えるのは容易なことではありません。またエホバの証人を他の新興宗教と同一視したり，血の問題を含めエホバの証人の信条に対して偏見を抱いたりする人が多いため，組織について説明することに困難を覚えている奉仕者がいるかもしれません。こうしたことのゆえに，長い間組織について説明してきたものの，その説明が効果的でなく，研究生がなかなか集会に出席したり行動を起こしたりしないという問題が生じます。
3 研究生の進歩や背景を考慮に入れる: 研究生の中には聖書やキリスト教に関心があったというよりも，子供の教育や家族生活の在り方に興味を抱いて家庭聖書研究に応じた人も少なくありません。そうした人々と，イスラエル民族の歴史から始まる『ご意志を行なう証人』のブロシュアーをいきなり討議したとしても効果を期待することは難しいように思われます。そのような場合，幸福な家族生活を意図して人類を創造された神と，エホバが人間の指導書とも言うべき聖書を備えてくださったことを少しずつ説明し，霊的な事柄を把握する土台を築くことにまず時間を用いるほうが効果的と言えるでしょう。
4 一方キリスト教世界の人々は，特定の教会に属して活動しているか，あるいは過去にそうした経験を持つ人々がほとんどです。そのような人々は，エホバの証人の組織と教会組織を比較することにより，どの組織が1世紀のクリスチャン会衆の型に倣ったものであるかを自ら判断できる立場にあります。
5 それで，研究生の宗教的背景を考慮して，最初から『ご意志を行なう証人』のブロシュアーを用いるか，それともある程度家庭聖書研究が続いた後，ころあいを見計らってからにするかを司会者自身で判断することができるでしょう。しかしながら日本の場合，このブロシュアーを質問と答えの形で話し合うだけではたいてい不十分です。
6 造物主という概念がなく，日本古来の宗教と文化のもとで育ってきた研究生の場合，様々な不安や偏見を取り除くため，「20世紀におけるエホバの証人」のブロシュアーあるいは「論じる」の本の「エホバの証人」の項目などを活用することができます。証人たちが行なっている活動が全世界的な聖書教育の業であり，聖書そのものを純粋に学ぶ面で人々を援助しているグループであることを他の人に自信を持って語れるよう研究生を援助してください。
7 次に努力すべき点は，研究生にそれぞれの集会や大会の目的，その内容，出席者に及ぶ益などについて分かりやすく説明することです。研究生が今学んでいる事柄は，一般の書物からは決して得ることのできない神の言葉に基づく真理です。それと同様に，集会も聖書に関心を持つ人々のためにエホバ神が設けられた特別な聖書教育のプログラムなのです。それで，集会については，平面的に資料を一回で網羅することで満足するのではなく，出席している人々や集会から得られた益などを色々な角度から取り上げることが必要です。これまで自分が知り，体験した事柄を基に生き生きと話し合ってください。
8 視覚に訴える: ブロシュアーや雑誌の中の写真に注目させ，伝えたいと思う点を印象深く話し，写真を見て感じたことを研究生が何でも話すように勧めてください。多くの人々をエホバの組織に導いてきた産出的な奉仕者たちは，こうした際に用いるアルバムを作成していることが少なくありません。
9 なるべく早い機会に，研究生がエホバの民をじかに見ることができるよう計画しましょう。王国会館や大会会場でエホバの民と接するよう取り計らったり，ベテルを見学したり，（会衆で計画されているなら）野外での集会に誘ったりすることにより，エホバの証人がごく普通の人々であること，しかし，聖書を信頼しエホバの道を感謝のうちに歩んでいる人々であることを研究生に理解してもらってください。集会が開かれていない時に王国会館へ案内し，集会場がどのような所かを説明するのもとても効果的なようです。
10 また，ふさわしい仲間の成員を研究に招き，エホバの民の味わっている幸福について語ってもらうことができます。例えば，さわやかさを身につけている若い奉仕者に，エホバの組織の教育プログラムがどれほど助けになっているかを説明してもらったり，クリスチャンの家族の頭にエホバの証人になる以前と比較して自分が夫また父親としてどのような変化を遂げてきたかを話してもらったりするなら，研究生はエホバの証人とその組織を一層身近に感じることができるでしょう。
11 それまで学んだことを思い返す意味で，研究生と共に「エホバの証人 ― その名前の背後にある組織」と題するビデオを楽しむこともできます。出版物がどのようにして生産されるか，大会がどのように組織されるか，世界的な教育活動はどのように繰り広げられているかなど，特定の点に注目させ，何度かに分けてビデオを見ることもできるでしょう。このビデオを見れば，エホバの民が神のみ名を証しし，その良いたよりを伝えるためにどのように組織されているかを容易に理解してもらうことができます。
12 これまで通り，研究の前か後に10分から15分の楽しい話し合いの機会を持ち，研究生がエホバの組織の全体像を把握できるよう援助してください。加えて色々な機会を用いて，研究生が見たり肌で感じたりできるようにエホバの民と交わる機会を徐々に増やしてゆきましょう。そうすれば研究生はエホバ神の地的な組織とその働きを理解し，わたしたちと共に神を賛美するようになるでしょう。