拡大が続いているため，ますます必要になる王国会館
1 昔，エホバの預言者は「あらゆる国民のうちの望ましいものが必ず入って来る」と予告しました。（ハガイ 2:7）確かにわたしたちは，神の教えに動かされて大勢の人々が真理を学び，エホバの崇拝者になっている証拠を見ています。日本だけでも1993奉仕年度に1万3,000人がバプテスマを受けたことを知ると，本当に胸が躍ります。わたしたちはこれら新しい人々すべてを援助しつづけるため，できる限り神の業を支持することが確実にできるよう，『自分の道に心を留める』必要があります。（ハガイ 1:5と比較。）わたしたちが神の業を支持する上で引き続き重要なことがあります。それは，新たにエホバを賛美するようになった大勢の人々のために，ふさわしい崇拝の家を備える点で助けになることです。
2 現在，協会の王国会館基金が機能するようになって7年が経過し，新しい王国会館の施設を得ることができた会衆は276になりました。1993奉仕年度中，32の都道府県にある96の会衆が王国会館建設のための貸し付けを受けました。確かに，この基金を金銭的に支持する点で，奉仕者たちはすばらしい反応を示しました。会衆に貸し付けられたお金は，利子と共にこの基金に返済されています。それで，寄付された基金すべては毎年，新しい王国会館を建設するため引き続き用いられています。
3 地区建設委員会による援助: 日本にある11の地区建設委員会は，王国会館の新築や改装計画に携わっている長老たちを援助しています。委員会は，王国会館の新築や既存の会館の改装の必要について評価を行なう点で助けになっています。また，地所を購入する前から王国会館の完成まで，必要に応じて外から援助します。各会衆はいずれかの委員会のもとに割り当てられています。
4 喜んで働く幾万人もの奉仕者が，王国会館の改装や新築に自発的に参加しています。大勢の専門家や職人を含むこれらの自発奉仕者は，地所の購入，法律上の書類の提出，建物の設計，購入すべき資材のリストの作成などのため，自分の時間や努力を惜しみなくささげています。また，質の良い資材を安価で購入したり，最初の外構工事を行なったり，実際の建設を監督したりする点で助けになっています。自分たちがささげた資産を王国のためにそうした仕方で寛大に与えているのは非常に褒めるべきことであり，エホバからの豊かな祝福をもたらします。―箴言 11:25。
5 長老たちは，既存の王国会館の改装や新しい王国会館の建設について会衆としてまず考慮しはじめるときに，自分たちの地域の地区建設委員会と連絡を取るべきです。なぜでしょうか。地区建設委員会は最初に考慮する段階で会衆にとって助けとなる指針を持っています。場所の選定には，地所の購入価格に加えて多くの要素が関係しています。他の要素のために，費用が地所の実際の価格よりもずっと高くなる場合があります。例えば，大がかりな外構工事，危険物や毒物の除去，法的な制限などがあります。会衆が協会からの金銭的な援助を必要としている場合，地区建設委員会は「王国会館建設計画に対する質問事項」という用紙を持っており，会衆の長老たちが用紙に記入するのを助けることができます。
6 協会は，提案されている王国会館の平面図を地区建設委員会に渡しています。デザインを選ぶ前に，会衆の長老たちは地区建設委員会と連絡を取り，協会が備えた平面図を指針として用いながら，建物の全体的なレイアウトについて話し合うべきです。そうすることによって，開発費用が安くなるだけでなく，上品でありながらも機能的で，速成建設工法に適した建物を会衆が選ぶ助けにもなります。
7 正確で詳細な金銭上の記録をつけなければなりません。この点に関して知識のある兄弟たちが自発的に地区建設委員会と共に働いて，必要な会計のための手順を確立して維持するために会衆を援助してきました。地区建設委員会と共に働いている兄弟たちの中には，貸し付けの調査と申し込みを済ませる点で会衆を援助している方々もいます。これは大きな助けになっています。地元の長老たちは普通，経験を積みよく訓練を受けているこれらの兄弟たちほど，こうした王国会館の金銭上の記録を継続的に扱ったことがないからです。建設が終わったとき，地区建設委員会は建設計画に関する完全な会計の記録の写しを受け取ることになっています。
8 感銘を受けた外部の人々: 王国会館のために奉仕している兄弟たちの上にエホバの聖霊が明らかに働いていることは，他の人々に対する証言となっています。建設の様子を見た年配の男性はこのように述べました。「今，3Kの時代で建設現場の仕事が嫌がられるのに，若者がこんなに大勢集まってくるのはどうしてなのだろう。みんなの表情に喜びが見られるのも不思議だ。きっと良いことを教えているに違いない」。
9 また，コンクリートを搬入するためにきた業者の男性は，大勢の職人をどこから集めたのか疑問に思い兄弟たちに尋ねました。専門的な技術を持った兄弟たちは数名しかおらず，あとは素人の兄弟たちが技術を学びながら作業を進めていることを知らされると，「それは本当かね，さすがだ。こんなことはあんたたちじゃないとできない」と感嘆の声を上げました。
10 別の例では，三日のあいだ建設現場で働くよう派遣された業者の代表がこう言いました。「この週末，皆さんと一緒に過ごしたおかげで，私の人生は豊かになりました。エホバの証人に対する印象が全く変わりました。皆さんはドアをノックしているだけではないのですね。参加できて光栄でした。私を公開集会で見かけても驚かないでください」。このように外部の人々に対して優れた証言となっているため，速成建設に必要な駐車場を無償で提供してくださったり，建設のための確認申請が驚くほどスムーズにおりたりしたという例は少なくありません。
11 もっと多くの自発奉仕者が必要: 地区建設委員会は，新築されたり改装されたりした王国会館で集会を行なうことになる会衆の中の，技術を持っている人を用いるよう努めます。また，地元の他の兄弟たち，特に長老たちや奉仕の僕たちと働いて，当面の仕事を行なえるよう訓練します。これらの霊的に円熟した兄弟たちは，王国会館の建設に役立つ必要な技術を伸ばし，後にその地域で行なわれる他の王国会館の建設を援助できるようになります。このように，王国会館建設計画に関係している会衆に交わっている人々は，進んで働く協力的な態度を示すことが必要です。自分たちの王国会館のための仕事はすべて，地区建設委員会や，委員会と共に働いている人々が行なってくれるなどと期待しません。（ネヘミヤ 4:6後半）訓練を受けた後，兄弟たちは愛に動かされて，施設の新築や改装を差し迫って必要としている他の会衆のため，王国会館の建設を助けます。―ネヘミヤ 5:19。フィリピ 2:3，4。
12 バプテスマを受けた奉仕者で，求められている技術を持っており，会衆内で良い立場にある人は，この大きな仕事の割り当てを自発的に援助するよう励まされています。建設に関係した技術も，建設に関係しない技術も必要です。自発奉仕者は会衆の主宰監督か書記から必要な用紙を得ることができます。そして職人としての自分の経験や，給食，安全管理，資材の取り扱い，会計，法律上の書類の作成など，他の分野での自分の経験について記入します。（会衆で自発奉仕者の申込用紙がもっと必要な場合には，毎月の文書依頼を協会に送るときに依頼できるようになりました。）このような形でこたえ応じることにより，最も身近な隣人，つまりクリスチャンの兄弟たちに対する愛を表わすことができます。―マタイ 7:12; 22:39。ヨハネ 13:35。
13 自発的な援助に対する感謝: 王国会館の建設計画に関係するようになってはじめて，それがどれほど大きな仕事かが分かったという人は少なくありません。ある王国会館建設計画が終了したとき，長老たちはこのように述べました。「地区建設委員会の兄弟たちから受けた辛抱強い指導は，私たちにとって計り知れない祝福でした。技術を持った奉仕者たちに指示したり，その働きを調整したりして私たちを支えてくださったことを考えると，ペテロ第一 5章2節と3節を思い出さずにはいられませんでした。そこには，『強いられてではなく，自ら進んで行ない，不正な利得を愛する気持ちからではなく，真剣な態度で牧しなさい。また神の相続財産である人々に対して威張る者のようにではなく，かえって群れの模範となりなさい』と書かれています。これらの兄弟たちはエホバへの献身的な奉仕の本当に立派な模範です。建設が行なわれた期間を通して，兄弟たちが遠くから来て，多くの時間を費やし，自分たちの設備や道具を無償で提供し，資材をさえ寄付してくださったことが，数え切れないほどありました。すべて，私たちの新しい王国会館の建設を助けるためです。これらの兄弟たちは寛大さを示すことによって，確かに『仲間の兄弟全体を愛している』ことを立派に表わしてくれました。私たちにとって非常に大きな励ましとなっています。―ペテロ第一 2:17」。
14 兄弟たちの進んで働く精神と熱心さは際立っています。詩編 133編1節と3節の「見よ，兄弟たちが一致のうちに共に住むのは何と良いことであろう」という言葉は真実です。地元の建設委員の一人の長老は次のように書き送りました。「兄弟たちが仕事や他の事柄を犠牲にして喜んで建設に応じてくださったことに胸が熱くなるのを感じました。……とても恩返しできないと思うほどで少し負担に感じましたが，ある兄弟は『みなさんの会衆のためだけにしているのではないんですよ。エホバに対してしているんです。エホバへの奉仕ですからね』と言われました。確かにその通りです。まぎれもなくエホバ神の崇拝の家を建てる『エホバ神への奉仕』です。これこそ，世の業者によって建てられた建物と異なるところではないでしょうか」。
15 ある会衆の王国会館のために行なわれた仕事に感謝して，主宰監督はこのような手紙を寄せました。「兄弟たちのご尽力とエホバ神の豊かな導きによって，立派な崇拝の家が出来上がったことを心から感謝し，また感動しております。……人間的な観点からは確かに不可能に見えるものでした。何度も計画の変更を考えつつも，その都度，兄弟たちからの積極的な励ましがありました。そのことにより，いつも神権的な正しい路線に導かれていたように思います。計画が進展し，確かにエホバ神の働きを感じるような経験を積み重ねていくうちに，わたしたちは『必ずエホバは建ててくださる』という確信を持つことができるようになりました。わたしたちは信仰を増し加える面でも築き上げられたのです」。
16 王国会館建設はみ言葉に関心を持つ人々や未信者の家族の信仰をも築き上げる機会となっています。日ごろ，家では掃除などしないあるご主人は，建設現場のトイレ掃除を黙々と幾日も行ない，自分に割り当てられた仕事を喜んで果たしてくださいました。今ではバプテスマを目指して努力されています。また，建設関係の仕事を持つ反対者のご主人は「絶対に車から降りない」という条件で，姉妹を現場まで連れてこられました。しかし，建設の様子を見るなり兄弟たちの働きぶりにすっかり感銘し，「どの宗教でも集まる時には善意の人たちばかりだが，帰宅すると裏表のある人に変わってしまう。ところが，こんな時代にあんな善良な人たちがいるなんて」と述べられ，その後研究を始め，集会にも出席しておられます。今では，「早くあの中に入れてもらえるようになって一緒に働きたい」と語っておられます。
17 金銭的な寄付は引き続き助けになる: 協会の王国会館基金に対する寛大な寄付は，これまで諸会衆の助けになってきました。また将来においても引き続き助けになるに違いありません。利他的に与える点で率先しておられるのはエホバ神ご自身ではないでしょうか。（ヤコブ 1:17）ささげることのできる能力や機会が人によって異なるというのは確かなことですが，私たちは個人的な出費を調整することによって，建設の業を十分に支持できることに気づくかもしれません。確かに，そのような寛大さによって，エホバの心を喜ばせ，兄弟たちを大いに励ますことができます。
18 今日，「大群衆」が王国の音信にますますこたえ応じています。「望ましいもの」がエホバの霊的神殿に流れ込んでおり，神は『ご自分の家を栄光で満たして』おられます。（啓示 7:9。ハガイ 2:7）ハガイの時代の忠実なユダヤ人のように，神の業に心を留め，さらに多くの王国会館を建てるという差し迫った必要を十分に満たすことがわたしたちの願いです。近年，幾千もの立派な王国会館が建てられてきましたが，増加は続いており，そのペースは速くなっています。協会の王国会館基金を支持しつづけることは，神の業に参加する優れた方法の一つなのです。