個々の必要にかなった研究司会
1 数多くの再訪問が行なわれた結果,たくさんの家庭聖書研究が見いだされています。しかし,研究生が献身するまでには,かなりの期間を要することもあります。とりわけ日本では,大抵の人が神道や仏教,儒教などの影響を受けた文化の中で育ち聖書に親しみがないため,研究生によっては唯一まことの神である創造者の存在を確信するのに時間を要することでしょう。また敵対者であるサタンが実在し,宇宙主権に関する論争を引き起こしたことなども理解しがたく思うかもしれません。こうした背景のため献身に至るまで数年を費やさねばならないこともあります。
2 それゆえ,個々の研究生の状況や必要を十分に理解し,それに応じた研究司会を行なう必要があります。優れた教え手であるイエスはこの点でも模範を示され,『まだ言うべきことがたくさんありますが,あなた方は今はそれに耐えることができません』と述べ,弟子たちの限られた理解力に合わせた教え方をされました。―ヨハネ 16:12。
3 人々は,育った環境や受けた教育,接してきた宗教などにより能力や考え方が大きく異なります。霊的な物事に対する強い関心を抱いている人もいれば,読解力や理解力の点で優れている人もいます。そうした人の中には,真理を直ちに受け入れ,短期間で献身を決意する人がいるかもしれません。
4 しかし多くの人は,日本人特有の背景により,創造者に対する認識が育ちにくかったり,また年配であったり理解力の点で限られていたりするため真理が心に達するまでに時間がかかります。その場合,一度の研究で網羅する資料や時間を短くしたり,例えや視覚に訴えるものを多用するなどして,より平易で分かりやすい教え方をすべきです。そのように一度の研究で教える要点を限るなら研究期間は長くなるかもしれませんが,研究生は自信を持ち,学びたいという意欲を持続させることができるでしょう。
5 ですから,単に研究生が経過した時間に見合った進歩を遂げていないからと言って早急に研究を中断すべきではありません。能力や背景により進歩の度合いは異なるため,忍耐や辛抱強さが司会者には求められます。大切なのは,単に研究資料を網羅することではなく,研究生がその要点を理解し,生活への適用の仕方を学び,神に対する認識を築き上げているかどうかということです。
6 一方,研究が無駄に長引くことのないよう注意する必要はあります。司会にあたって研究資料の隅々にまで必要以上に時間をかけ,要点を際立たせないなら,どんなに時間が経過しても研究生は進歩できないに違いありません。研究生の進歩を効果的に助けてゆくためには多大の努力と準備が求められますが,引き続き各々の研究生の必要にかなった司会をすることにより,神の僕を生み出すという祝福を享受できますように。