信仰ゆえに投獄される ウクライナ
ウクライナの法律によると,良心的兵役拒否者は代替の市民奉仕を行うことができます。エホバの証人はおよそ30年にわたり,その恩恵を受けてきました。この制度のおかげで,社会に役立つさまざまな種類の奉仕活動を行いつつ,自分の信仰を守ることができます。
しかし,2022年2月24日にウクライナで戦争が始まると,総動員令の下では代替の市民奉仕に関する法的制度が機能していないことが明らかになりました。その結果,何百人もの良心的兵役拒否者が刑事訴追されました。これは,決して妥協しない良心的兵役拒否者たちの強い信仰を無視し,良心に従って行動する権利を軽んじるものです。また人権に関する原則とウクライナ憲法にも反しています。ウクライナ憲法にはこうあります。「軍務への従事が個人の宗教的信条に反する場合,代替の(非軍事的)市民奉仕に従事することとする」。
2025年6月17日の時点で,エホバの証人の男性4人が良心的兵役拒否のために投獄され,36カ月の拘禁刑に服しています。現在,さらにエホバの証人の男性3人が勾留され,判決を待っています。
国際機関が懸念を示す
こうした状況を踏まえ,3人の国連特別報告者は,ウクライナで代替の市民奉仕が機能していないことについて懸念を示しています。2023年11月8日,ウクライナ政府への書簡の中でこう述べました。「さらに私たちが懸念しているのは,良心的理由で徴兵を拒否する人やその権利を擁護する人が刑事訴追されていることです」。
これまでの経緯
2025年6月17日
合計7人のエホバの証人が収監されている。
2022年2月24日
戒厳令が発令され,総動員令が出される。
2015年6月23日
ウクライナの高等裁判所はビタリー・シャライコの裁判において,軍事動員中の良心的兵役拒否の権利を擁護した。
1991年12月
代替の(非軍事的)市民奉仕に関する法律が制定される。
1991年2月28日
ウクライナでエホバの証人が公式に登録される。