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目ざめよ! 1971
目71 9/8 13–16ページ

台風とともに生きる

フィリピンの「目ざめよ!」通信員

フィリピン共和国のケソン市に集まった国際的な専門家の一団は,ある重要な課題をかかえていた。全太平洋地域の人々はこれに鋭い関心を寄せていた。討議の主題は政治的なものではなかった。それは,世界気象機関台風委員会および国連アジア極東経済委員会の第2回年次集会であったからだ。

討議の対象としては台風は西太平洋の住民にとり,単なる好奇心をひくもの以上の事柄である。事実,その人たちの多くは,台風の恐ろしさを経験している。彼らは家々の屋根が吹き飛ばされるのを見てきた。家が紙とマッチ棒でできているかのように,ひとたまりもなくつぶされるさまも見てきた。家の周囲にうず巻く濁流 ― 暴風のあいだに滝のように降りそそぐ雨の恐ろしさも知っている。風速45㍍もの烈風が田園一帯で荒れ狂うあいだ,恐怖に震えながら,なすすべもなく待ったこともある。

だから,1週間にわたる同委員会の討議に,台湾省,香港,韓国,ラオス,ベトナム,タイそしてフィリピンの代表が出席したのも驚くにはあたらない。同時にオーストラリア,フランス,オランダ,ソ連,英国,アメリカなど関心のある他の国々の代表もオブザーバーとして出席した。出席者はみな,この気まぐれな巨人の台風があばれまわるとき,それをけん制するにはどうしたらよいかを知りたいと思っていた。

台風にかんするいくつかの事実

台風とはなんだろうか。このことばは,低気圧地域の周囲で風が吹く気象現象を表わしている。台風の仲間には,つむじかぜ,大旋風,たつまきなどがある。しかし台風はそのなかでも,風の勢力圏の幅,高さ,風速において最大のものである。風が風速34㍍をこえれば,それは台風である。カリブ海域や東部アメリカでは,同様の暴風を「ハリケーン」とよぶ。

台風が放出する莫大なエネルギーを考えると,これだけのものがいったいどこから来るのか,不思議に思わぬわけにはいかない。それは水蒸気からくるというのが答えである。しかしどのようにしてであろうか。次のように考えてみよう。ストーブの上のやかんの水を完全に蒸発させるにはたくさんの熱が必要である。その熱はすべて水蒸気の中にいわば閉じ込められる。したがって,同量の水蒸気を凝結させて液状にもどせば,蒸発中に吸収されたそのエネルギーは放出されるわけである。

これと同じ方法で,ふつうの大きさの台風は,4万個の水素爆弾に匹敵するエネルギーを生み出す。このことから,台風がその強度を維持するには,水分が絶えず供給される必要のあることがわかる。また陸上を通過するときには,速度を増して力を失い,海上では速度を落として強度を増す理由もこれで説明できる。

台風を発生させる状態とはどんなものであろうか。今までのところ,科学者たちは完全な答えを出しかねている。しかし原因となる要素はいくつか知られている。そのうちの三つをあげると,(1)水温が少なくとも26度Cの温い海面。(2)3㌔以上の高空に達する湿気を含んだ空気の厚い層,そして(3)十分の緯度である。というのは,熱帯の暴風は赤道では発生不可能だし,赤道から緯度5度以内ではほとんど発生しないからである。東南アジアに影響をおよぼす台風のおもな発生区域は,グアム島の南,しかし太平洋上の赤道の北にあたる地域である。2番目の地域はシナ海である。

警報システムの改善の必要

台風委員会がこの会合で取りあげたおもな問題のひとつは,人々が自分自身の家財を守る十分の時間がもてるように,警報システムをいかに改善するかということであった。台風の主要な発生区域である海の広さを考えると,測候所の設置がいかに困難であるか容易に理解できる。現在のところ,天気予報官たちは,レーダーの報告,人工衛星の写真,以前の天気図などに依存して,暴風の発生箇所をつきとめることに努めている。

台風の発生箇所がわかると,その発達状態を調べ,その進路を地図に記入するため飛行機を飛ばして観測を行なう。台風の寿命,速度,進路,勢力圏の広さを知るのに役だつ気圧,風速その他の事柄が記録される。そしてこれらの報告にもとづいて地図が作成され,ニュース機関をとおして一般に伝えられる警報が準備される。

したがって,台風の発生した地域またはその隣接地域に測候所が多ければ多いほど予報も確実になるということがわかる。昨年は,台湾省,香港,韓国の台風委員会の協力によって施設が増設され,運営されはじめた。より正確な警報が出せるように,関係諸国間のよりよい連絡通信の確立に努力が払われている。

気象観測船のことも考慮されている。ソ連とアメリカは,グアム島付近の太平洋上に大洋気象観測船を置くことに関心を示した。その目的は,台風に発達する可能性のある暴風の位置をつきとめ,その地域内の気象事情を記録することである。こうした洋上に浮かぶ気象観測施設はいわば現場にあるため,危険な暴風の発生する気配をいち早くとらえることができる。

被害を少なくする努力

台風の被害を少なくする努力もいろいろ試みられてきた。台風のエネルギーのもとはその水蒸気であるから,水蒸気を凝結させて水にもどせば,台風は陸に達する前にその力を失うわけである。雲に科学薬品を散布する方法に相当の関心が払われているのはそのためである。台風がまだ海上にあるあいだに,強制的に水を放出させようという考えである。まだ大したことはなされていないが,この方法の開発は成功するかもしれないという希望がもたれている。

台風の被害のおおかたは,台風が陸地に降らせる大雨のために起こる恐ろしい洪水によるものである。それで,余分の水を調節するためのダムや堤坊の建設が計画され,またすでに建設されつつある。台湾省の淡水川流域やフィリピンのパンパンガ川流域の低地では,現在ダム工事が進行中である。

むろん現在では,人間の土地の誤用が,洪水の主要な原因であることが認められている。無思慮な樹木の伐採によって,田園地方は,自然の洪水防御物をはぎ取られてしまった。台風がもたらす豪雨は,もし土地がそれを吸収できれば,たいへん有益なものである。しかしながら,森林が切り払われ,土壌の保護も考えずに土地が耕やされるなら,雨水の大部分は表面を流れ,多くの場合,土地をひどく侵食する。そのために,樹木の伐採を管理する立法措置が考えられており,農民は間作や等高線農法の実施を勧められている。

あなたは何を行なえるか

台風の接近を知らせる警報は,いまでもかなり前に出されるが,多くの人はそれを無視するか,または警報の重要さを軽視する傾向がある。たぶん以前の台風のときに何事もなかったので,心配する必要はない,と考えるのだろう。あるいは,以前の台風から時間がたったために,重大な危険に対する感覚が鈍ったのかもしれない。しかしそういう態度を取るのはあまり賢明ではない。いちばんよいことは,最悪の場合に対して備え,気象庁の台風警報に注意し,どんな方式のものであれ,一般に使われる暴風信号によく通じていることである。また実際的な防災方法をよく知り,台風が近づいたなら,必ずそうした方法を全部実行することである。

台風の接近を示すしるし ― 風や波の特徴,それらの一般的な動き ― を認めることができれば便利である。一般に台風は,東南アジアでは北西の方向にはいってくる。

うわさをむやみに恐れるのはよくないが,ラジオ,テレビ,新聞などの気象情報にはよく注意することである。もし危険地域から避難するよう警告されたら,直ちに行動しなければならない。家の中にいたほうがいいと思う場合には,自分に必要なすべてのことを考慮しなければならない。一時的に停電するかもしれないことを忘れないように。水道も止まるか,またはその水が汚染されるかもしれない。だから,食料には料理する必要のないものが望ましいだろうし,飲料水も十分に貯えておくことがぜひとも必要である。急場に必要な他の道具類も点検して,そのありかと,それが使える状態にあるかどうかを確かめておくべきである。

ふつう,どっしりしたかまえの家はかなり安全と考えられている。しかし過信は禁物である。風速90㍍もの強風の中では安全ではないかもしれない。海岸の近くや吹きさらしの場所にあればなおさらのことである。前もって考慮しておくべき問題には次のような事柄がある。家の上に落ちかかるおそれのある重い枝や木はないだろうか。屋根はしっかりしているだろうか。洪水はどの程度の危険をもたらすだろうか。

東南アジアではしっかりした造りの家は少ない。竹材,木の葉,木材などが建築材料である。台風警報が出されたなら,どうすればよいだろうか。建物に力を添えるため,家につっかい棒をかい,その端を土の中に埋める。また,張り綱も家から地面に張っておく。台風が通過するときには風の向きが変わるので,つっかい棒や張り網は家の四方に取りつけておく。そうすれば,建物のどちらの方向に圧力がかかっても,それを相殺できるわけである。

生計を立てた手段におよぼされる台風の影響も考慮に入れておかねばならない。東南アジアや太平洋の島々の多くの地域では,ココヤシの木が主要な収入源である。それらの木は根こぎにされることはあまりないが,台風から相当の害を受ける。それはおもに葉がいためつけられるためである。葉は実を養うための水分を吸い上げるようだ。また葉は,太陽の光を植物の養分に変えるのにきわめて重要な葉緑素を含んでいる。激しい暴風雨のあとでココヤシの木の実を結びつづけても,その中身はたいていからで,したがって商業価値はない。

台風を防ぐ手段は何もないようである。しかし経済的損失を埋め合わせるためのいくつかの提案を考慮することができよう。たとえば,農民は落花生のような豆科の植物や,マンゴ,バナナなどをココヤシの木のあいだに植えるようにすすめられている。この提案に従っている場所では,多くの農夫が第二の収入源を得たばかりでなく,ココヤシの産出高が69%も増加した。そしてもし,ココヤシの木が暴風の害を受けたなら,これらの第二の作物はずっと早く生長するので,農夫は収入や食塩がなくなるということはない。

この地方では米ももう一つの主要な作物である。しかし,くりかえし台風に見舞われるので,ある地域は稲作には役だたない。フィリピン諸島のずっと北にあるバタン諸島は,そういう地域のひとつである。ここでは米のかわりに,米ほどひどい影響を受けないカモテつまりサツマイモなどの根菜類が栽培される。これは台風による被害がいつも大きい他の多くの地域でも臨時作物として栽培できるはずである。

台風の益

台風の危険についてこれまで述べてきたことを考えると,人々が台風というものにはそうした害を償う利点はひとつもないという印象をうけても不思議ではない。しかしそれは物事の真相ではない。台風はまた多くの良い結果をもたらすのである。たとえば,台風はその働きによって何百万リットルもの塩水を淡水に変え,かわききった土地に広く散布する。人間がそれほど莫大な量の塩水を除塩するには,高価な設備と長い年月を要するだろう。

台風の強い風が,人間と人間の住む家に与える益がほかにもあるだろうか。この点でも人間はまだすべての答えをもち合わせていないというのが実情である。人間は実情を知らないばっかりに台風の悪影響を受けているため,人はそうした悪い面を大問題として考えてしまうのである。台風が,人間や,人間の呼吸する空気,また人間の食物を生み出す土壌などにもたらす益のすべてに関する研究は,まだ初歩の段階にあるのである。

きたるべき新しい事物の体制のもとでは,わたしたちの創造者エホバ神は,現在のように台風が荒廃や破壊をもたらし,人命を奪うようなことを許されないのはたしかである。神は,エゼキエル書 34章27節にある,地上の従順な人間に対する,寛大な思いやりのある約束を実行されるであろう。「野の樹はその実を結び地はその産物を出さん彼等は安然にその国にあるべし」。そこでは,台風しだいというような不安な生活をする代わりに,風や大洋その他すべてのものを造られたかたの防御および保護の力に信頼を置いて生活できるであろう。

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