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目ざめよ! 1971
目71 5/8 21–23ページ

英国をおおったゴミの山 ―『きたない仕事』ストライキがもたらした荒廃

イギリスの「目ざめよ!」通信員

「きたない仕事をする労働者が,なぜよい給料をもらってはいけないのか」と,英国諸島77万人の男女を代表する労働組合は質問した。彼らは賃上げを要求してこの挑戦を投げかけた。

争議に関係のある1,600余の地方当局者は,彼らの要求を拒否してその挑戦に応じた。賃上げは必ず税率(市民税)の引き上げを伴うので,役人たちはその悪循環を憂慮したのである。

職種別によるその労働者の基本給は,約13ポンドから16ポンド(約1万1,100円から1万3,600円)であった。彼らは,1週当り2.15.0ボンド(約2,376円),つまり20㌫の賃上げに加えて,労働条件の改善を要求した。

地方当局の代表団は,14㌫の引き上げに同意したが,組合側はそれを拒否し,ついにストライキに突入した。こうして英国は『きたない仕事』争議に巻き込まれた。

双方とも強気で,妥協しようとしなかったために,ゴミが地をおおい始め,9月の末ごろには,汚物の悪臭が鼻につくようになった。

人々がゴミの収集の重要性を,これほど強く思い知らされたことはなかった。英国のダストメン(ごみ収集人)はたしかに必要な存在であった。

組織的に行なわれた運動

ストに参加した労働組合は,広範囲にわたる職種の労働者たちを代表した。救急車の運転士,市の港湾労働者,管理人,ゴミ収集人などがその例である。多数労組である全国公共従業員組合は,この運動をきわめて組織的に計画した。

もしひとつの職業グループのストライキがそれほど効を奏さなければ,指導者たちは彼らに職場へもどるよう命令し,それよりもさらに大きな打撃を与えると思われる別のグループにストライキを命令した。効果的な打撃を与える職種の表の中で,難なくトップにのしあがったのは,ゴミ収集人と下水処理作業員だった。

小さな島に密集している,5,500万人の持ち出す廃物が,さっそく目だちはじめ,しかも悪臭を放ちだして,火災と疫病の危険が生じた。

汚染と保健の問題

ゴミの山が路上に列をなしはじめた。北ロンドン地区がハエの大群に悩まされたのは,エンフィールドであふれていた下水が,ハエの発生を刺激したからである。いちばん被害が大きかったのは,人口の密集した地城だった。

10月5日までに,4億5,000万㍑を越える未処理の下水が英国の水路に流れ込んだため,川口には幾千匹もの死魚が浮いた。勤続30年のテムズ川管理委員会スポークマンは,その状態を,「私が勤務をはじめて以来最悪のものだった」と説明した。

ローマ人が建設した,鉱泉で有名なバスの町は,水が配給になる恐れがあった。部分処理の下水が,エーボン川に流れ込んで,水質を下げたからである。

ロンドン大学の環境衛生の首席講師グラハム・ドンは,「もしゴミの収集がこれ以上延びるならば,ネズミがふえるだろう。いまのところは,われわれが退却し,ネズミどもが前進している」と言った。

英国でも,快適で,健康的な海岸保養地のひとつであるボーンマスでは,ゴミ捨て場のネズミを処理してほしいという訴えがあってから,ネズミ捕り屋が復活した。町の四つの下水処理場では,下水がいまにも道路にあふれ出そうになっていた。美しいサウスデボンの海岸沿いには,未処理の下水が浜に打ち寄せていることを警告する立礼がたてられた。

英国は,その時節にしてはいつになく乾燥していた。いまや新しい恐れが生じた。雨である。大雨が降れば下水が増加するので,有毒な内容物が街路にあふれ出て,地下室に流れ込むだろう。

衝突

この争議で最大の影響をこうむった人たちの感情は高ぶっていた。かんしゃく玉が破裂した。ロンドンの一地区では,ダストマンがゴミ袋を使ってブレント市役所を包囲し,職員めがけて卵を投げつけた。

チェルシー,ケンシントン,シェパーズ・ブッシュその他のロンドン自治区では,ストライキ中の監視員たちとゴミの撤去に雇われた請負人たちの間に衝突が生じて,けが人が出たり,財産が破壊されたりした。れんがが飛んでトラックの窓を粉砕した,鉄の棒でたたかれたひとりの請負人は病院にかつぎ込まれた。

タワー・ハムレット自治区では,民間の請負人たちが,道路のゴミを除くためにブルトーザーを用意して到着したが,その日は同盟罷業者たちの勝だった。請負人たちは,彼らの反対ぶりをひと目見て引き上げてしまったからだ。

ある地城では罷業者たちは,ゴミを取りかたずけたと訴えのあった工場とか家をブラックリストにのせた。組合の一幹部は,「ストライキが終わっても,組合員は,このブラックリストにのっている者たちのゴミを,永久に集めないだろう」と言ったという。全国公共従業員組合の一代弁者の話では,2,000名以上のリストが作られたそうである。

スト決行中のダストマンたちが,スインドンにある国防義勇軍本部を通過するとき,軍のバンドが,『ボギー大佐』行進曲を奏し始めた。ついで起こったやりとりで,組合員は最後に,当本部を永久にボイコットする,義勇軍のゴミは,こんりんざい集めてやらない,と誓った。

火災の危険と街路のバリケード

ある場所では,くずが五,六㍍も積み上げられて,火災の生じる危険があった。火災の時の非常出口に使われるドアが,不潔なゴミの山でふさがれていたところもあった。

ガイ・フォークスの夜は新たな恐怖をもたらした。この夜は,国王ジェームズ1世とその議員たちの爆破を試みた,1605年11月5日のできごとを記念するため,いたるところでかがり火がたかれたり,花火が打ち上げられたりするときである。無政府主義者たちが,ゴミの山に火をつけはしないだろうか。火災監視者たちは8時からま夜中まで,2万5,000件の工場の警備に当った。

ロンドンの二つのアパートの居住者たちは,腐ったゴミを積み上げて,8本の道路をふさいでしまった。そのうちの2本は幹線道路だった。警官が出動した。彼らがバリケードを取り除くと,居住者たちは別のゴミのバリケードを作った。ハックニーの90㍍におよぶゴミの山の掃除に雇われたトラックと作業員たちは,怒った罷業者たちから,れんがとば倒の攻撃をあびた。

ゴミが腐敗して悪臭を放つのにたまりかねたハックニーの住民は,デモを始めた。デモ参加者のひとりが2階のバルコニーから叫んだ。「この悪臭とネズミは,みっともないことこのうえない。市会はスト破り作業がこわいんだそうだ。せめてわれわれにできることは,ゴミ袋を道路に運び出すだけだ」。

群衆はいきりたった。「道路に投げ出せ!」と彼らは叫んだ。男も女も子どもも,歩道に45㍍余にわたって並べられていたゴミの袋をつかんで,大道路に放り出した。これを見守るため消防隊が動員された。

落ち着きのわるい解決

11月5日,解決案が提出された。77万の労働者に対し,年額7,167万ポンドという記録破りの支給が,主要条件であった。これは,週当たり,男子2.10.0ポンド,女子2.2.6ポンド(約2,160円)と1,830円の増額を意味する。つまり,18.2%の増加である。

ついで,蓄積したゴミを運ぶための残業手当てとボーナスが問題になった。ある自治区は,山なすゴミを路上から取り払うために,男子一人当り70ポンド(約6万円)までボーナスを払った。ロンドンでは,ボーナスをめぐる論争がつづいた。

賃上げ額の大半は税金の引き上げによって償われる。

『きたない仕事』問題の解決は落ち着きがわるい。組合の一幹部は,「みんなの勝利だ」と狂喜した。別のひとりは,「政府をやっつけてやった」と言い,もうひとりは,「われわれは来年もまたやる」と言った。

組合は,このたびの解決を勝利と見ているが,それでも,組合員の基本給は,今日の標準からすれば,ささやかなものである。ダストマンたちの仕事は愉快な仕事ではない。彼らはどんな天気の時でも出て働く。骨の折れる仕事である。きたない,病菌のいっぱいいるゴミを扱うだから,健康を害する危険もひそんでいる。多くの人はこれを程度の低い,卑しい仕事と考える。しかしこの仕事の重要性はいかんなく実証された。これ以上に必要な仕事は数少ないであろう。

不利な点の多いこのような仕事が,それを相殺するための代償を要求するのは明白である。金中心の体制下では,賃金が主要な代償となるだろう。

しかし,他の代償もある。勉強家でとくに天文学に関心をもつ,ロンドンのあるダストマンの話によると,彼は熟練した機械工でガレージに勤めていたが,自分からその安定した仕事を捨ててダストマンになり,清掃トラックを運転するようになった。その理由として彼はつぎのようなことをあげた。これは気苦労のない仕事である。自分と仲間が一生懸命に働けば,受け持ち区域のゴミ集めは午後早くに終わってしまう。それに彼は,作業場よりも戸外のほうが好きだ。家族とも,より多くの時間をいっしょにすごせるし,自分がほんとうに関心をもつ事柄にも,もっと時間が使える。有益である以上,この仕事も他の有益な仕事に劣らない,というのが彼の見方である。

人々が,特定の仕事に対して何を感じていようと,つぎの事実は変わらない。つまりこのストライキは,現体制でいかにもろいかを,またもや実証したということである。一共同体,一国民の健康が危険になるまで,このような重要問題に合意が得られないとは悲しい話である。犠牲者はきまって一般大衆である。明らかに現体制は,その政治・経済機構もろとも,急激な腐敗の一途をたどっており,すべての人の福祉に尽くしてはいない。したがって,人々の福祉のために働く体制と置き換えられる必要がある。神は,全地にその交替をもたらすことを約束されているのである。―ダニエル 2:44。

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