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目ざめよ! 1971
目71 6/22 16–19ページ

「腸」化学工場の見学

安楽いすにゆっくり腰かけて,わたしたちといっしょに,世界一興味深い化学工場の一つの,想像上の見学にお出かけください。見学は無料で,しかもたいへん教育的です。時間もたいしてかかりません。資料を理解する速さによりますが,だいたい10分か20分くらいしかかかりません。

人間は,あらゆる種類の原料を加工,精製する,生産工程を完全もしくは半自動制御方式にした工場を作り出しました。しかし,人間の作った工場で,あなたがこれから見学する工場に匹敵するものはひとつもありません。設計の簡素さ,しかも,さまざまな作用が,高度の効率で一斉に営まれる複雑さ,その完全に近い自動制御また自己保全の仕組みなどは,生化学者を驚嘆させてやまないものです。

この珍しい“腸”化学工場は,実は,あなたのおなかの中にあるのです。それは管でできており,長さは9㍍近くあり,いみじくも「命の管」とよばれています。

むろん,こういう性質の化学工場ですから,中にはいって見学するわけにはいきませんが,ここに掲げた図を見てもらえば,視覚上の見学をしていただけるでしょう。

まずはじめに,この工場の最初の部分が,小腸として知られていることにご注意ください。直径は2.5ないし4㌢,長さは約7㍍あります。おとなの場合はみな,身長や体重とは無関係に,これだけの直径と長さがあるようです。のちほどわたしたちはこの化学工場の第二の部分である大腸も見学します。大腸の平均直径は小腸の2倍ありますから,大腸という名称は適切でしょう。この大きな管の長さは1.5ないし1.8㍍あります。それに,ちょっと次のことを考えてみてください。この化学工場の建物の大きさは全体で,1立方フィートの3分の1にも達しないのです。また,おもしろいことに,この建物の壁は,腸管の長さではなく直径を部分的に2倍の大きさに拡大することのあるガスの圧力に対処できるよう,伸縮自在の性質をもっているのです。

その構成要素

ではこれから,この化学工場の『管』を見ることにしましょう。その管は,金属ではなく,柔軟で伸縮自在な有機的要素,つまり筋肉と血液で構成されており,四つの被膜もしくは層でできています。一番外側の層は薄い膜で,実際には,腹膜つまり腹壁の内面をおおう膜の延長ということができます。次に,2番目の被膜を見ましょう。その異例な造りにお気づきですか。これは二つの繊維層でできており,外側の繊維層は縦走し,内側のそれは環状をなしています。縦走する繊維と環状の繊維は,腸の内容物にそれぞれ異なった圧力を加えます。この二つの層は,それぞれの活動が協働できるように仕組まれていて,混乱や食いちがいは生じません。しかも,わたしたちがその働きを指揮する必要はないのです。これこそほんとうの自動制御作用です! この機械の製作者であられる創造者こそ,たしかに最初に自動制御を考案されたかたと言わねばなりません。

3番目の被膜は網状組織,つまり筋被膜と一番奥の被膜とをつなぐ,ゆるい結合組織です。最も重要なのは,これから調べる,一番奥の4番目の被膜です。これは腸管の内面をおおう粘膜です。小腸ではこの内張りがとりわけ重要です。なぜかというと,この粘膜には腸管内に消化液を注ぐとともに,消化された食物の成分を血流中に吸収する働きが備わっているからです。食物の成分は,血流中にあって,からだのすべての細胞を養います。

その化学的な働き

つぎの見学に移るまえに,胃と小腸との関係について,すこしお話しておきましょう。食物の成分の消化と,消化された栄養分の吸収の点で胃が果たす役割を誤解している人は少なくありません。胃はたんぱく資をほんの少し消化するだけで,炭水化物〔でんぷんと糖類〕や脂肪はほとんど消化しません。胃で吸収されるのは,微量の糖分とアルコールに限られているようです。事実,胃の大部分を切除されているのに,けっこう元気に暮らしている人がいます。そのような人の場合,この驚くべき化学工場は自動的に新事態に順応するのです。つまり,小腸がその先端の部分を袋状にひき伸ばして,実際に胃の代わりをつとめるのです。

胃の仕事は,はいってきた食物を,小腸で処理するのに都合のよい形に準備することです。化学的作用と機械的作用の両面によって胃は「糜汁」と呼ばれる,灰色がかった,半流動状の豆スープ状のものになるまで食物を分解します。

この糜汁の一部を胃は一定の間隔をおいて下方の弁(上の弁もある。)から自動的にしぼり出します。胃のこの下方の弁をごらんなさい。腸内の糜汁が胃に逆もどりしないようになっています。この化学工場の中で食物の塊に加えられる消化液の量は,血流中に吸収される栄養分の量とほぼ同じなので,糜汁は,7㍍の小腸を通過するまで,だいたい同じ濃度を保ちます。

この化学工場では,消化液は腸管の一番奥の被膜をとおして供給されるだけでなく,他の二つの源からも供給されます。肝臓は1本の管をとおして,脂肪を分解する胆汁を供給し,膵臓は基本的にいって3種類の酵素を2本の管を通して供給します。a これらの酵素はたんぱく質,炭水化物,脂肪を消化するためのものです。この化学工場内のある腺は,胃から送られてきた糜汁の酸を中和する働きをします。そうです,胃が行なう仕事には,酸性の触媒を必要とし,一方,小腸が行なう仕事にはアルカリ性の触媒が必要なのです。

消化された食物は,吸収される必要があります。実際のところ,消化と吸収は,相互の働きを妨害することなく同時に進行するのです。吸収作用は,腸管の一番奥の内張りに見られる,無数の円錐状の小突起によって行なわれます。それらの突起は吸い上げポンプのような働きをします。それら小突起をとおして,消化されたたんぱく質や炭水化物は,直接血液に吸収されます。しかし,消化された脂肪の分子は,まずリンパ管にはいり,そこから血流中にはいります。

糜汁が十分に消化され,その栄養分が吸収されつくすころには,内容物はこの工場の最初の部分の終わり,つまり7㍍の終点に達しています。しかし,わたしたちの見学はここで終わるのではありません,というのは,このとき弁が開いて,この豆スープのような内容物は,今なら見えますが,盲腸として知られている,大腸の最初の部分にはいるからです。内容物が大腸を通過するさい,水分,種々のミネラル物質が吸収されます。ここではバクテリアの活動が盛んです。この『微生物群』は周知のとおり,健康保持のためには絶対不可欠なのです。

機械的作用

食物塊が消化吸収され,また,この工場を通過するには,引力以上の何ものかが必要です。機械的作用が必要なのです。前に説明した,2層の筋肉が力を発揮するのはここです。これらの層筋は基本的にいって2種類の作用,つまり,混合作用と推進作用をします。糜汁が多少胃から小腸にはいるやいなや,律動的な収縮作用が自動的に始まります。筋繊維の環行帯は,互いに一定の間隔を置いて収縮しはじめ,そうすることによって,糜汁を分断します。次いで,それらの筋肉は弛緩し,その弛緩したばかりの筋肉と筋肉の中間の筋肉が収縮します。こういう方法で,前の節の半分が新しい節の一部になり,その結果,絶えず糜汁の新しい面が化学作用と,腸の吸収面にさらされます。これらの環状筋は,正常な状態にあれば,1回に半時間ほど,1分間に7回から10回伸縮をくりかえします。全部自動的に行なわれます。それからどうなりますか。

次いで,別の一群の筋肉が活動を開始します。ゆっくりした蠕動によって糜汁は前方へ送られます。うしろに送られることは決してありません。糜汁が一定の距離のところまで送られると,蠕動は自動的に停止し,「律動的分節」と呼ばれる運動がふたたび始まります。糜汁が,この化学工場の最初の部分の7㍍を通過するには,2時間から4時間かかります。大腸の入口を守る弁もやはり周期的に開きます。すると,今はもう栄養分のほとんどなくなった糜汁は強い蠕動運動によって,もちろんこれもみな自動的ですが,結腸もしくは大腸に押し出されます。

では,結腸ではどんなことが行なわれるか見てみましょう。余分の水分のなくなった内容物は,ここから先も蠕動運動によって前方に送られます。まず,おなかの中を上昇し,次いで横に進み,下行してはじめて,体外に排出せよという合図が発せられます。この合図を発するのは,脳の中にある視床下部です。実に驚くべき仕組みではありませんか!

きょうの見学をとおして,あなたはこれから,あなたの化学工場である腸の扱いかたについて,よりよく理解できるようになるでしょう。

何かがうまくゆかなくなるとき

もし,潰瘍,ウイルスの感染,寄生アメーバによる病気,恐るべきガンの発病などが避けられるならば,この驚くべき消化工場は,人の一生のあいだ,ぐあいが悪くなることはめったにありません。もちろん,食事を正しくとり,適当に運動し,休息を十分にとり,感情を正しく制御するならばのはなしです。

たいていの人に共通の問題のひとつはガスです。つまり,おなかが張ることです。これは重い病気のために生ずることもあれば,ただ神経の関係で生ずる場合もあります。また,適正を欠く食習慣,つまりキャベツ類や,ある種の豆など,ガスを発生させやすい食物をたくさん食べることが原因になっているかもしれません。

多くの人が持つもうひとつの問題は,これはとくに座業に従事する人に多いのですが,便秘です。この場合もやはり,平衡のとれた食事をとらない不適当な食習慣のためか,あるいは,この化学工場が正しく機能するのに必要な水分を十分摂取しないためかもしれません。精製されていない食物を食べるとか,果物,とくに干しすももやイチヂク,葉野菜などを十分食べるとよいかもしれません。それにまた,ひどい便秘の場合は,薬局から薬剤を買ってくる人もいます。

時に,この化学工場も何かがうまくゆかない場合があります。その結果,便秘の反対,つまり下痢を起こします。その原因は,食中毒,ウイルスの感染,無分別な食習慣などがあげられます。昔から行なわれてきた簡単な療法は,紅茶を何も入れずに飲むことです。もうひとつはリンゴの果肉で,生でも,煮たものでもかまいませんが,やはり何も加えないで食べます。甘味料を加えないブドウ汁が良いという人もいますが,ほかにも幾つかの方法があります。

虫垂突起はこの化学工場の一部ですから,虫垂炎が生ずる場合もあります。虫垂炎は,腸管の重大な病気の中では,おそらくいちばん多い病気でしょう。生活習慣が節度のある健全なものであればあるほど,腸の動きは順調で正常さを保ち,虫垂突起が問題を起こすことも,それだけ少なくなります。

感謝を示す

生物学者は,この“腸”化学工場,とくにその前の部分の研究に多くの時間を費やしてきました。しかし,まだわからないことがたくさんあります。でもわたしたちは,この簡単な見学をとおして幾つかの興味深い事柄を学びました。ひとつのことは確かです。つまり,完全な調和を保って協働する,この種々の化学的,機械的作用の自動制御と計画性は,盲目な偶然の所産ではないということです。これは,わたしたちの“腸”化学工場は,ほかでもない人間の創造者であられる全能の神エホバという,非常に賢明な製作者が造り出したものであることを示す有力な証拠です。人間の臓器にかんして進んだ知識を持つ,今日のわたしたちにはたしかに,昔の詩篇作者ダビデ王よりも,次のように言うべき,はるかに大きな理由があります。「われなんぢに感謝す,われは畏るべく奇しくつくられたり,なんぢの事跡はことごとくくすし,わがたましひはいとつばらにこれをしれり」― 詩 139:14; 100:3。

ですから,この“腸”化学工場ともいうべき臓器にかんして感謝しなければなりません。そのためには,まず食べすぎないことです。腹一杯食べた,という感じよりも,食べようと思えばもっと食べられるという感じで食卓を離れるほうがよいのです。食べ過ぎると,この“腸”化学工場はもちろん,肝臓や腎臓その他のからだの部分に,余分の負担をかけます。必要以上に食べると,体重がふえる結果になり,それ自体,不利な条件となるのです。

また,精神身体医学的な要素が関係していることも,すでに指摘されているところです。食事のときには急がないで,また,明るい楽しい気持ちで食べましょう。食卓で家族が言い争ったり,その日にあったつらいことや,がっかりするようなことをこまごまと語り合う法はありません。

心配,怒り,恐れなどの有害な感情は多くのエネルギーを消耗し,また,胃や腸の自動的な作用を狂わすかもしれません。「あなたが食べるものよりも,『あなたを食べるもの』のほうが,大きな害をもたらす」とは,よく言ったものです。楽しい気持ちは良いやすりのようであるが,ゆううつな気持ちは人の力を奪うとは,まさに金言です。―箴言 17:22。

いわば“腸”化学工場の製作者であられる,人間の創造者は,このおどろくべき化学的また機械的働きの行なわれる『命の管』を造り出すばらしいわざを成し遂げられました。わたしたちは,賢明な生活習慣を身につけることによって,この“腸”化学工場や,からだのほかの部分に対する感謝を表わさねばなりません。そうすれば,からだの不快や問題を最小限に食いとめて,長年にわたり,いっそう健康と命を享受できるでしょう。この腸化学工場をご案内できたことは,わたしたちにとても喜びでした。

[脚注]

a 酵素は触媒の働きをする微小なたんぱく質分子である。すなわち,酵素自体は化学反応を起こすことなく,消化された食物塊に変化を起こさせる。

[16ページの図版]

大腸

小腸

小腸の腸管の四つの層

[17ページの図版]

胃からの糜汁は幽門を通って小腸にはいる(上部はその拡大図)

[18ページの図版]

吸収作用は小突起によって行なわれる

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