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目ざめよ! 1971
目71 10/22 10–12ページ

午後2時の外出禁止令

コロンビアの「目ざめよ!」通信員

コロンビア,カリ市において金曜日の朝はふだんの日と同じように出発した。

カリ市の中心部でバスを降りる。宝くじの売り子の長手袋をなかば意識しながら会社に向かう。市の商業中心地にあるデ・ケイゼロ広場では,いつもと変らず人の流れが見られた。

ところがきのう広場にあった看板がみななくなっているのだ。どんな看板かって?それは学長の退陣と大学への外部からの干渉を終わらせることを要求した大学生のデモ隊の看板である。

「家から出ないように!」

午前はふだんと変わりなく過ぎる。昼には2時間の昼食と昼寝を楽しみにして家路につくのである。ラジオをかけるのもなんとなくわずらわしい。

昼寝も終わり,午後1時半になって仕事にもどる用意ができた。電話のベルが鳴り響いている。一友人が緊張したかん高い声で叫んだ。「きょうの午後は家にいなきゃだめだよ。学生が一人殺されたそうだ! 午後の2時には,外出禁止令が出されるということだ!」「朝の2時だって?」と愚直に尋ねる。「そうぢゃない,午後の2時なんだ。あと半時間以内だ。家から出ないほうがいいよ!」

事件が起きていることを自分が目撃していないせいかまだピンとこない。だがアパートの窓から,町の中心部に通ずる大通りを見おろすと,なるほど車がみな同じ方向に進んで行くのが見える。町から離れようとしているのだ!

さてここでラジオのスイッチを入れる。午後2時に全市にわたって外出禁止令が出るのは本当なのだ。平然としているどころではない。気持ちを引きしめ,早速どうすればよいか計画に取りかかる。

ご存じのように外出禁止令が発せられているあいだは外出できない。手持ちの食料品を調べ,近くの店へ走って行き,ラジオと懐中電燈用の電池とロウソク,それにいくらかの食料品を買い求めた。さて80万人以上の市民はどうなっているのだろうかと考え始める。

現在の世界の体制のありかたからして,比較的少数の人々がぼう大な数の人々に大きな衝撃を与えるのは可能なことである。官憲当局者はこのことをよく知っている。

多数の大学生や教授たちが改革問題で騒ぎ立て,授業が中断されているので,警官は主要な大学の周辺を厳重に警戒している。学生は警官に対し挑発的な態度を示し,双方の対決が行なわれるのだ。催涙弾が使用され,一人の学生が死亡した。

流血は激情と暴力の炎を燃え上がらせ,感情の爆発を招いた。池に投げられた石によって生ずる波のように怒りは広がり,熱狂的なうわさが伝わった。みながみな騒乱の直接の原因によるものではないにしても,平静さがとりもどされるまでにはかなりの死者が出るだろう。

帰宅することはたいへんな問題

全市の市民を帰宅させるのは大仕事である。すでに職場にもどり始めている者や,あるいは昼の時間中に帰宅していなかった者は少なくない。

タクシーやバスは当然に車庫や駐車場に向かうが,このことは事態をいっそうむずかしくした。ただ偶然に人々の流れと同じ方向に進んでいる乗り物だけが乗客を乗せている。それも満員で,すし詰めの状態である。

乗り物の中にはいれない人々は,手足をかけられるところならどこでもしがみついた。トラックの運転手の中にはあわれみをもって,自分の車に人をいっぱい乗せた者も少なくなかった。

何千人もの人々は帰宅するのに何キロもの道のりを歩かねばならない。市外のアパートの建築に従事する人々は16キロから20キロも歩くことになる。ある人々は問題の危険地帯を避けて行かねばならないので遠回りを余儀なくされる。やっとの思いで家に着き,心配する家族を安心させることができた。

何時間ものあいだ次々と行列が続く。理くつからいえば,外出禁止令が出たあと身分証明書なしで街路に出ている者はだれであっても逮捕されるのだ。しかし人々は十分前もって警告を受けていなかったのである。家に帰るには時間がかかるが,そのことは警官や兵士によっても考慮された。

午後6時以後人の流れはとだえた。ついに街路は,時おり通る役人のあるいは緊急サービス車以外は,ひと気のない所となった。すべては平穏で騒ぎがないように見える。するとその時,救急車1台と憲兵隊を乗せたトラック1台が町に向かってスピードを出して通り過ぎた。これを見て町のどこかでは平穏ではないことが思い知らされる。

また多くの家族は別の面でそのことを思い知らされる。彼らは給料支払日の直前で家には食物も金もなく,食料不足という問題に直面するのだ。

外出禁止令の施行

さて外出禁止令は正式に施行されることになる。街路にいる者はだれでも逮捕されるが,最初の夜は何百人もの違反者が拘留された。

刑務所が違反者すべてを拘留できないことはあらかじめわかっていた。拘留された者は外出禁止令が解除されるまでフットボール・スタジアムか闘牛場に連行されて行った。着のみ着のまま戸外で寒さや蚊と一晩戦うことは,将来の違反に対して格好な説得力をもつものと見なされた。

土曜日の朝がきた。禁止令はまだ有効であり,すべての人は自宅にとどまるよう忠告を受けた。町の中心部はパトロール隊員以外に人影はない。

土曜日午後1時,禁止令が午後1時半から午後7時までの間解除される旨ラジオ放送があった。1時半になると熱気のこもった活動が始まった。というのは多くの人は,正常な活動が回復するときまで困難を切り抜けられるよう,この短時間の自由を利用して食物や他の必要物を入手しようとしたからである。

秩序の回復が保証され始めたので,禁止令が日曜日午前7時に解除され,午後7時に再び効力を有するであろうと発表された。

いっぽう同国の他のいくつかのグループが騒動を起こそうとした。政府当局は国家の安定を保つためすみやかな処置を講じた。公共の秩序が妨害された旨宣言がなされ,そして占領状態あるいは戒厳令が布告された。

戒厳令の中には,ラジオ・新聞の検閲,アルコール飲料の販売および消費の禁止,路上での5人以上の集会の禁止,そしていかなる公開集会を開く場合でも事前に地方の軍当局からの許可を必要とするなどの面が含まれている。建物の中での宗教的な集会は当局によって黙認されているが,もちろん外出禁止令とぶつからない時間に開かれている。

正常にもどる

月曜日から水曜日にかけて午後7時から午前5時までのあいだ外出禁止令は引き続き効力を持っているが,生活はしだいに正常にもどり始めた。

たいていの会社では2時間の昼食時間をなくしたぶっつづけの勤務制を取り入れた。このようにして従業員は8時間働いても禁止令が発せられる前に帰宅できる。それでも多くの人は午後6時に退社し,少なくなっていく公共の交通機関を利用しようとするので午後6時から7時までの混乱はひどいものだが,それらの運転手たちも禁止令が出る前に帰宅せねばならないのである。

日中のあいだ町の繁華街はいつものように雑踏している。ただ一つの違いは多数の兵士や警官が警らしていることである。人々はほとんど彼らを気にしていないようだ。市民は全体的に与えられている治安の保証に感謝している。

闘争の炎を再び燃え上がらせようとする大学生の散発的な試みは直ちに制止された。ほどなくして,デ・ケイゼロ広場に出動していた武装兵士の数と,その出動時間は徐々に減少していった。

ようやく秩序と平穏は回復された。外出禁止令は解除され,町は正常にもどった。戒厳令が依然として有効であることはほとんど気づかれていない。なぜならその制限は人々の日常の普段の活動に適用されないからである。

反応は多様

外出禁止令に対する反応は多種多様である。夜間家にいてくつろぐ口実ができたことを最初ありがたく思った者もいたが,他の者たちはきゅうくつな思いをし,いらいらさせられた。

最初互いに連絡がとれず,はなればなれになって孤独だった家族の者は大きな不安を抱いた。それらの人が再会したときに,妻たちは夫が晩のあいだ家庭と家族に示してくれた献身的な働きをうれしく感じた。

商人は収入の減少を嘆き,会計係は近づいてくる所得税の締切期限に気をもんだ。しかし外出禁止令が除かれたときの開放感はすべての人が味わった。というのは禁止令の解除は正常にもどることであり,人と財産に対する相当の安全を意味するからである。

しかしカリ市におけるこれらのでき事は,今日の世界におけるこの「正常」と「安全」がいかにもろいものであるかを思い知らせてくれるものである。ごく少数の人にかかわる問題が全市を,さらに全国を混乱させることができるのを見るとき,そのことはなおさら明らかになる。

これらすべてのことを考慮するとき,イエス・キリストがご自分の追随者たちに教えられた全地のための永続する政府の必要が大きいことを考えずにはおられない。それは神の王国である。その王国だけが神を愛する人々に真実の公正,繁栄,そして平安を永遠にもたらすことができるのである。―詩 37:10,11。

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