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目ざめよ! 1971
目71 12/8 21–23ページ

空を飛ぶ竜

暑い真夏のあいだ,野原や池の上の空は,こん虫の世界の驚くべき飛行家 ― ヤンマの舞台となる。

太陽に輝く長い2対のはねで,自由自在に,目にもとまらぬ早さで,行ったりきたり,宙がえりをしたり,旋回したり,急降下したりしている。いっしゅん急行列車の速度で空高く急上昇しているかと思うと,次のしゅん間にはさっと急降下して,池の面すれすれに飛んで行く。これら創造の驚異ともいうべきこん虫は,うしろ向きにさえ飛べるし,ヘリコプターのように空中で浮遊することもできる。

しかし,太陽を好むこのヤンマは,ただ飛行を楽しむために飛ぶのではない。これらの空中ダイナモは,その底抜けの食欲を満たすために,自分の飛行技術をせっせと利用するのである。事実,ヤンマは,半時間のうちに自分の体重と同じ量のえさを食べても,まだ空腹なのである。

食欲を満たすために食べものをさがすとき,ヤンマは独特の習性を見せる。いく種類かのヤンマは広範な地域にわたって,えものをさがす。かと思うと,代々のヤンマがかよう一定の道をもつ種類もある。大形のヤンマは,自分のなわ張りをつくり,他のヤンマを羽音を荒だてて追い出してしまう。もし侵略者のヤンマが強気でその羽音におじけなければ,2匹はつのを突き合わすことになる。互いに相手を威かくするような形でいっしょに浮遊しているが,空に向かって垂直に上昇するあいだも,その姿勢をくずさない。

飛び回るときであろうと,1箇所にとまっているときであろうと,ヤンマは,カやブヨなど,好物のえものをゆだんなく見張っている。ガやウマバエなどもヤンマの好物である。長い,すんなりした,針状のからだをしているので,ヤンマは刺す,と考えている人が多いが,ヤンマは刺さない。彼らは人間にとって無害なばかりか,ハエやカを大量に捕食するので,たいへん有益でもある。

ヤンマがねらったら,これらのこん虫は完全に負ける。脊柱の外辺に,かごのようにかたまった6本の肢をもつヤンマは,空中でえものを捕え,次のえものを追いかけるあいだに汁を吸ってからからにしてしまう。その食べかたたるや実に早く,2時間に40匹のウマバエを食べると言われている。あるヤンマは100匹のカを口の中につめこんでいた。この食いしんぼうのこん虫が,「空飛ぶ竜」という名を得たのも当然と言えよう。

交尾と水生生活

しかしヤンマが,食べることよりも飛ぶ腕前のほうに多くの注意を向ける時期がある。それは交尾期のあいだである。恋がたきの雄たちは,雌の注意を引こうと,戦うために空に舞い上がる。彼らの空中決闘は,生物の空中作戦の中でも,最も優秀なもののいくつかが特徴となっている。しかしもっと穏健で,一種の求愛ダンスをする種類もある。

いったん雌を見つけると,雄は文字どおり雌をひったてて行く。2匹は交尾するために,たてに並んで,つまり雄が雌の後頭部をつかんで空中を飛ぶ。交尾のさい雌は,彼女の腹端を雄の第2胸節まで延ばして,精液の袋を受ける。

卵ができると,雌はそれを池の面や水草の中に生みつける。何個生むかは正確にはわかっていないが,ひとかたまりの中に11万個発見されたことがある。

卵は数日,水中か草の中にあり,それから子孫たちが生まれはじめる。彼らは奇妙な生物だ。やごとよばれるこれらの生物は,強烈な食欲をもって生まれるほかは,親に似たところがほとんどない。彼らの薄い腸壁の中には,えらがある。これらのえらは酸素を吸収するだけでなく,危険なときに,急いで逃げる力をやごに与える。やごは危険を感じると,肢を池の底から離し,えらから水を噴射し,十四,五センチ推進する。

やごの一番変わっている点は,食物の捕えかたかもしれない。すばやい親に似ず,やごはのろまである。そこで,カの幼虫やヤナギバエなどがそばまで泳いでくるのを待ち,突然,頭の下にかくれている下くちびるを突き出す。そして下くちびるの先端にある鋭いかぎつめは,ゆだんしているえものをつかんで,やごの口に引き寄せる。ちょうつがい式の伸縮自在なこの下くちびるは,人間の腕と同じような働きをする。まんなかのちょうつがい関節はひじに似ていて,下くちびるの進展を容易にする。

下くちびるが使われず,からだの下にたたみ込まれるとき,妙なことが起こる。かぎつめが,強盗のマスクのようにやごの顔をおおうのである。この小さな水生動物にぴったりのコスチュームである。

空中での生活

5,000種に近いヤンマのやごの多くは,1年で水生生活を終える。しかし,2年から5年かかるものもいる。このあいだ彼らは,10ないし15の脱皮段階を経る。多くの変化が起こる。複眼の中の6面レンズの数がふえる。触角に新しい関節ができる。肢の毛深さがなくなる。胸部の上にはねのパッドができる。しかしこれらの変化は,成虫のヤンマに変わる準備にすぎない。

やごが空の生物になる最後の段階はふつう夜はじまる。やごはまず水からはい上がって岸やくきにしがみつく。1本の肢に二つ,計12個のかぎがあるので,つかまりかたはしっかりしたものだ。からだの変態が完了するまでやごはそこにじっと止まっている。

ついに胸部のうしろに裂け目ができ,もじゃもじゃのヤンマが苦闘のすえやごの殻から出てくる。はじめのうち4枚のはねは湿っていて,扇のようにうしろにたたまれているが,透明な組織の中の,網状のおびただしい血管をふくらます血液によって徐々に押し広げられる。

殻から出たてのヤンマは色も淡い。が,しだいに濃くなって,チョウチョやガとさえ美をきそうまでになる。その色は,茶色,ふじ色,群青色,緑,空色,深紅,薄紫色,天青色,赤,象牙色など,にじのスペクトルほどもある。

ヤンマは,かっちゅうのような殻から出たあと,はねとからだが竪くなるまで5時間ほど待ち,ひとたびはねに飛行力ができると,空中に飛び出す。そして歩くためにその肢を使うことはもうない。ヤンマは空の生物になったのである。

強力な飛行家

今日いるヤンマで一番大きいのは,翼幅が19センチもある熱帯種である。これは,こん虫の世界の最も優秀で最も強い飛行家の部類にはいる。事実,このきわめて熟練したこん虫の飛行士は,1時間に80キロから90キロ余飛ぶので知られている。

はねの力は,全体重の4分の1を占める運動筋によって供給される。これらの筋肉は,1分間に1,600回はねを震動させて,長距離飛行を可能にする。こういう強力な飛行家だから,船客は,アフリカの海岸から280キロも離れた洋上を飛ぶヤンマを見かけることがある。ある種類は,320キロへだたった島に住みついた。

かんばつや食糧不足によって移動を余義なくされるとき,彼らはいちばん遠くまで飛ぶが,この移動はときに異様な規模で行なわれる。1839年には,空をおおう何百万匹ものヤンマが,ヨーロッパの各地の川や流れに沿って移動したことがある。またアメリカでは1881年に,ヤンマの大群が文字どおり空を暗くしながら南方に移動した。

しかしこれらの大飛行家たちはいつも用心していなければならない。鳥やカエルや魚にねらわれる危険が絶えないからだ。ヤンマは,そういう捕食動物に対抗するスピードと鋭敏な視力を備えている。頭の大部分を占める突き出た目は,遠くまで見ることができる。創造者は,彼らの目のひとつひとつに,15,000人の人間の目と同じ数のレンズが収まるように仕組まれた。彼らはまた,同時にほとんどあらゆる方向を見ることができる。そして遠目がきき,9メートル離れたところにいるカでも見つける。

こういう視力を備えているので,ヤンマは,人間も含め,ほとんどの追跡者をかわして逃げることができる。これらの機敏な飛行家を捕えるのは容易ではない。しかし日本の子どもたちは,頭を使うほうを好んで,網を捨てた。彼らは長い毛の端に小石をくくりつけて,ヤンマが回っている空中に投げ上げる。それにヤンマが飛びつくと,毛がヤンマのからだに巻きつき,小石の重さでヤンマは地面に落ちる。

これらの興味深い生物は,たしかにたいていの敵をかわすことができるが,温帯にすむヤンマは,ついには秋の冷い風に捕われてしまう。ヤンマの命は短い。暖かい春と夏のあいだだけの命である。秋になると,寒さになえ,植物のくきや葉にじっとしがみついている。空を飛ぶのは,1日のうちの暖かいときだけである。最初の霜がきて終幕をおろすと,野原や流れの上空に,彼らの魅惑的な姿はもう見えない。

しかし命のくさりはつづいている。池や流れの中に保護された幼虫たちが成長をつづけている。気候が暖かくなると彼らはそこから出てきて,空の竜の新しい世代になるのである。

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