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  • 目ざめよ! 1972
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目ざめよ! 1972
目72 3/22 10–12ページ

どんな解決策が提案されているか

一般的傾向として刑務所が犯罪者を矯正しておらず,犯罪の広がりを確かに阻止していないとなると,どうすればよいのでしょうか。罪を犯す人々をどう処置すべきですか。官吏,警察官,一般人の述べる解決策は相容れず,一貫したパターンがひとつもありません。当局者自身,相反する意見をもっています。

もっときびしく? それとも,もっと寛大にする?

一つの考え方は,受刑者を「甘やかす」のをやめよ,ということです。この考えをもつ人々は,刑罰はもっと重く,拘禁刑はもっときびしくあるべきだ,と言います。ロンドン・タイムス紙の指摘するところによると,英国の「ポリース・レビュー」は,「特定の犯罪者たちを絞首刑にし,むち打ち,飢えさせ,その他いろいろな事をして苦しめる時が来た」と述べ,人々は犯罪者に対して示される寛大さに「うんざりしてきて」いると述べています。

受刑者の中にさえ,刑期が短くされることを条件に体罰に賛成する者がいます。アルカトラス刑務所にはいっていたある受刑者は,刑務所の職員に,「犯人が刑務所に送られる理由は三つある。罰するため,更生させるため,そして公衆を守るためだ。刑を言い渡すさいに,あとの二つは忘れられている,と私は時おり思う。3年,5年,あるいは10年,家族や友人から離れ,公平ではあっても抑圧的な扱いを受け,監房の中に閉じ込められ,正常な生活のよさをすべて奪い取られ,単調なきまりきった仕事を押しつけられて暮らすのはひどすぎるのではないか」と言いました。

その受刑者はどんなことを提案したでしょうか。彼はこう言いました。「大部分の受刑者は,刑務所の改革には賛成しないと私は思う。彼らは『やれやれ,刑務所をもっときびしく,徹底的に荒っぽいところにしろ。残虐なところにさえしたっていい。ただし刑期を短くしてさっさと片づけてくれ』と言うだろう。ひとりの人間を同じ罪のために,来る日も来る日も,来る月も来る月もむち打つことを考える者はいないだろう。しかし何年もの刑務所の生活はそれ以上にひどいものだ」。

ところが,これと正反対のことをいう人たちもいるのです。刑務所の生活は今でもか酷にすぎる,と彼らは言います。刑務所を受刑者たちが品位ある生活をすることのできる,また生産的で活気のある仕事を与えられるところにするために,もっと多くの税金がつぎこまれることを望んでいます。つまり受刑者の受ける分をより楽で,よりしあわせなものにしてやりたいというわけです。

明らかに,この問題にかんしては意見の一致がありません。しかしひとつ注意すべきことがあります。それは,近世において,刑務所にかんする事柄はすべて試みられてきたということです。現在一部の人たちが提案している,受刑者をより残虐に扱うこと,あるいは扱いをよりゆるやかにすること,刑期を延ばすことまたは短くすること,矯正することしないことなど,すべて試みられてきたのです。そしてそれらはたいてい失敗に終わりました。過去において失敗したことをもう一度試みるのは理にかなっているでしょうか。

刑務所そのものが疑問視されている

そのわけで一部の当局者は今,刑務所の概念全体に対して疑問を持ちはじめています。現在入所している受刑者の圧倒的大多数は,刑務所にいることさえ妥当でないのではないか,という疑念をいだいています。

「刑罰の倫理」という本は次のように述べています。「刑務所は150余年にわたって改良されてきたが,現在の動きの著しい特徴は,投獄そのものにかんする懐疑であり,刑務所外での新しい,より適正な処遇の模索である」。

米連邦刑務所の元所長ジェームス・ベネットは,刑務所における生活について,次のように言っています。「刑務所は人々を家族や友人から長期間引き離し,一生消えない汚名を着せる。刑務所は人々をいくヘクタールかのわびしい場所に監禁し,いく時間もの単調な仕事を極めて規則正しく押しつける。刑務所は個性の全くない安っぽい囚人服を着せ,プライバシーを破壊し,彼らが忌みきらう連中の中に彼らを入れる。正常な性関係を彼らから奪って同性愛行為への誘惑を強いる。最も重い拘禁刑は身体刑よりもずっときびしい手の込んだ拷問に等しい」。

ほかにもこれに同意する人たちがいます。刑務所長のある会議に出席した一弁護士は,彼らの見解について次のように書いています。

「出席者はいずれも大きな刑務所の所長であった。全員その道のベテランであった。犯罪に対しては『同情的』でも『寛大』でもなく,犯罪者に対して甘い考えもいだいていなかった。

「私は隣にすわっていた刑務所長に,あなたの管轄下の人々は何%投獄が必要ですかと尋ねてみた。『何を標準にしてですか』と彼は聞いた。『社会を個人的な害から守るために』と私は答えた。『10%から15%くらいですね』と彼は言った。私たちはそのへやの中にいた他の刑務所長の意見も聞いてみたが,みんな同じ考えであった。

「それ以来私は,国内や外国の多くの刑務所を尋ねるとき,いつも同じ質問をしてみたが,違う答えがかえってきたことは一度もなかった」。

元米司法長官ラムゼー・クラークも,ほぼ同様の見解をいだいていて,「犯罪を予防する努力,社会による処置,保護観察など」を通して,できるかぎり拘禁を避ける哲学を強調します。

こうして,長年にわたる試行錯誤のすえ現在ますます多くの役人たちが到達している結論とは,刑務所は犯罪を防止してもいなければ,犯罪者たちを改心させてもいない,ということです。刑務所は期待されていた働きをしていません。そのために何かほかのものが必要とされています。しかし,それに代わるものをつくるための標準が何であるべきかについては,なんの一致も見られません。一致の代わりにあるものはまちまちの思想です。

それ以上の事柄が関係している

しかし,刑務所の失敗を犯罪の爆発的増加の根本原因と結論するのは早すぎます。もっとも,刑務所の失敗が状態の悪化に拍車をかけているのは事実ですが,それは原因ではありません。

これに関係しているのは,それよりもはるかに基本的な事柄です。それは人類一般に浸透している病弊です。刑務所人口の増加は,社会のこの病弊の単なる反映にすぎません。

長いあいだ,とりわけ第一次大戦以来,諸国家に退廃的な影響が浸透し,集団暴力,戦争による破壊,人種的偏見,スラムやゲットーや貧困の増大,そして政界・宗教界・経済界の指導者層の利己主義と偽善などが見られました。道徳にかんするなまぬるい教えは高い標準をさらに侵食し,犯罪化の傾向を促しました。

人はまいたものを刈り取る,と聖書は述べていますが,これは至言です。人々がそのような退廃的な影響の攻撃に半世紀以上もさらされてきたのですから,莫大な数の違法者を刈り取っても驚くにはあたりません。

また,米司法省の発表したある報告は,「強盗を働いたかどで逮捕された者の75パーセントが,25歳以下であったこと」を指摘しています。同報告によると,そのうちの「33パーセントは少年少女」でした。ですから若い人々の多くは,刑務所の内部を見たこともないうちに犯罪を犯すのです。したがって犯罪増加の主因として,刑務所生活を責めるわけにはいきません。それは社会のもつ欠陥が生み出しているものです。

また,ごく一部の人々が犯罪に関係し,犯罪を支持しているのでもありません。責任は大部分の住民の上にあります。組織犯罪にかんする前の大統領顧問ラルフ・サレルノは,カナダ人の聴衆に向って次のように話しました。

「かけごとをし,組織犯罪者たちの提供する物資やサービスに迎合する人々はまた同時に,あなたやわたしの世論調査家に,法と秩序と公正を望むと言う人たちでもあります。

「[あなたは]あすの朝8時に組織犯罪をやめさせたいと思いますか。あなたは全部のカナダ人に,彼らの不法行為の支持をやめさせてください。私は全部のアメリカ人にそれをやめさせます。そうすれば組織犯罪は失業します。警官は必要ありません。必要なのは正直な市民です。あなたは偽善を攻撃する必要があります」。

刑務所内で受刑者を改心させようとする努力が失敗に終わるのは,刑務所外の犯罪者が生み出されているのと同じ理由によります。この世の教え,態度,また活動は,健全な精神の人々をつくる役にはたちません。人々が現在得ている精神のかてを考えれば,刑務所における矯正が効を奏し,あるいは犯罪が減少することを実際に期待することはできません。では解決策はどこにあるのでしょうか。刑務所自体にかんしては何をすることができますか,違法者を生み出す状態に対して今後何か手が打たれるでしょうか。

[10ページの囲み記事]

犯罪を生み出すいくつかの主因

戦争における集団暴力,人種的偏見,スラムとゲットー,貧困,政治的・宗教的偽善,気ままな行為を許す教え。

[12ページの囲み記事]

犯罪から守るための費用は高い

アメリカには50万人の警官がいる。年間必要経費は40億ドル(約1兆2,300億円)。これには判事や刑務所職員の給料,建物や設備の費用は含まれていない。多くの都市における個々の警官の初任給は現在のところ年俸約8,500ドル(約260万円)。

[11ページの図版]

元連邦刑務所長は語った。「最も重い拘禁刑は,身体刑よりもずっときびしい手の込んだ拷問に等しい」

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