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  • 多発性硬化症 ― やっかいな病気
  • 目ざめよ! 1972
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目ざめよ! 1972
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多発性硬化症 ― やっかいな病気

あなたは朝起きるとき,からだが板のように堅くなっているのを感じますか。歩行が困難で車いすが必要ですか。ふろに行けるように,だれかに足をいすに押し込んでもらわねばなりませんか。以前は字が上手だったのに,今では自分の名前を書くのがやっとですか。寒い日や雨の日にはとくにお手洗いに行くのががまんできないですか。目はよく見えるのに急にかすみますか。または物が二重に見えますか。

そうでしたらあなたは多発性硬化症というやっかいな病気にかかっているのかもしれません。

それはどんな病気?

多発性硬化症は中枢神経系の病気です。この病気は脳と脊髄の神経せんいを包んでいる絶縁体を襲います。正常な神経せんいは脂肪組織の鞘で絶縁されています。この絶縁体は,電話線の周囲の絶縁体と比較できるでしょう。神経せんいを包む絶縁体が多発性硬化症のために破壊されると,露出した神経せんいを伝わる衝激の伝導は阻害されます。神経衝激が短絡すると,対応筋の細胞はまひします。

神経せんいを包む絶縁体が破壊された箇所には瘢痕組織ができます。その結果,脳と脊髄に硬化した部分があちこちにできます。「スクリアローシス」は「硬い」という意味のギリシア語からきています。これらの小さな硬い部分が脳と脊髄の灰白質全体に散在しているように見えるので,この疾患は「多発性」硬化症と呼ばれています。

症状としては,疲労,しびれ,うずき,協同運動失調,強度の反射異常,腕や足や目の筋肉の衰弱やけいれん(目の場合はかすむことや複視の原因になる),何か特別なことをしようとすると四肢が振顫する,めまい,けいれん性歩行,実際のまひ,頭痛,ぼうこうの衰弱,四肢の硬直などがあります。

多発性硬化症の奇妙な面

多発性硬化症には奇妙な面がたくさんありますが,そのひとつは,20歳から40歳のあいだの血気盛りの人々をおもに襲うということです。実際に,医師たちの報告によると,北欧や北米では,多発性硬化症は,血気盛りの人々のいちばんよくかかる神経系の病気となっています。アメリカ人は約25万人,あるいはそれ以上がこの病気にかかっています。世界でも経済的に発展した,衛生水準も最高の地域にいちばん多いのです。「未開社会であればあるほど,多発性硬化症の問題は少ない」とある医師は述べています。この病気は寒い地方に比較的に多く,南アメリカ,アフリカ,アジア地方には比較的にまれです。

多発性硬化症はゆっくり進行し,おそらく15年から30年くらいかかって進みます。悪くなったり,衰えたり,またぶりかえしたりするのがこの病気の特徴です。激しい症状があらわれたかと思うと急に消滅します。患者は突然歩けるようになるかもしれません。あるいは視力が回復するかもしれません。事務員ならば職を維持し,タイプが打て,自分で服を着ることができるかもしれません。ところがいつのまにか手がぎこちなく不器用になり,ちがうキーをうつほどなえてしまいます。話しかたもおそくなり,こまかく音節に区切って話すようになります。時々良好状態が見られますが,またもとの状態にもどるか,または前よりも悪くなります。やっかいな多発性硬化症です。

医学者たちの熱心な研究にもかかわらず,多発性硬化症は,一医師が言っているように,依然として「原因不明で,予測不可能な,治療法もまだ発見されていない。そして診断方法を確認するための簡単な臨床実験さえなされていない病気」です。まさにやっかいな病気です。

原因らしきもの

多発性硬化症のことがはじめて詳細に説明されたのは1868年のことでした。それ以来,この病気の原因と思われるものについて多くの説が出されてきました。近年いちばん広く受け入れられている説は,多発性硬化症は自家免疫疾患,つまり,からだが,自分自身の物質を攻撃する抗体を生産する病気である,という説です。

しかし,多発性硬化症はウィルスと関係があると考えている専門家もいます。たとえば,英国の流行病学者ジオフレー・ディーン博士は,1970年7月号の「科学アメリカ」誌の中で,世界中で,り病率に変動があるということは,この病気が,未知の,「活動力の弱い」つまり潜伏性のウィルスによる感染の結果であることを示唆している,と報告しました。多発性硬化症は小児まひのように,「幼児時のウィルス感染」と見るのが順当と同博士は考えています。小児まひウィルスにさらされるのが早ければ早いほど人を不具にする種類の小児まひが子どもに発現する可能性はそれだけ少なくなります。しかし,世界の衛生水準の高い地域では,幼時の感染はないかもしれません。しかしもし壮年期にはいったばかりのとき初めて感染するなら,結果はより深刻なものになります。ウィルス説は,他の説と同様,確証されてはいません。

治療と一般的な手当

多発性硬化症の確実な治療法はありませんが,多くの医師は,コーチゾンのような副腎から分泌するステロイドを使用します。この薬品の一時的使用は,快復または緩和を早めるかもしれないと考えられています。しかしそのような薬品が実際に急性偶発の期間を短くし,激しさを緩和させるかどうかは,依然として論議の的になっています。したがって多発性硬化症の治療法の多くは症状を緩和させることと関係があり,種々の薬剤が用いられています。さまざまな説があるのと同様に,治療法もさまざまです。たしかにやっかいな病気です。

職業療法を勧める医師も少なくありません。これは,編物,ペンキ塗り,タイプその他なんでも病気以外のものに患者の注意を集中させておく療法です。十分の休息,明るい見方,よくなろうという決意も役だちます。患者の士気をいつも高めておくこと,また家族の同情的で希望に満ちた態度も,関係者すべての生活をより明るくするのにたいせつです。

極度の疲労,寒さや湿気に身をさらすことなどは,すべて避けねばなりません。どんな病気の感染でも,とりわけ呼吸器の病気の感染は,病気を再発させたり,悪化させる場合が少なくありません。

また,怒りとか憤りなどの悪い感情も避ける必要があります。調査の示すところによると,慢性的な悪感情は,病気の活動と関連して有害な影響のあることが考えられます。急激な感情面のストレスが突然激しい発作をひき起こす場合もあります。

からだを動かさないと,足はいっそう硬直すると考えられています。たとえば,ミシガン医学センター大学のW・W・ターテロッテ博士は,「現代の療法」(1967年)の中で多発性硬化症患者につき,つぎのように書いています。「軽度の患者は,少し疲労する程度の散歩を毎日行なうよう勧められている。……われわれの経験によると,多発性硬化症患者は,神経の状態が許す限り活動的で,忙しくしているべきである」。

栄養

特定のビタミンが,多発性硬化症患者に効果があるかどうかについては,議論が百出しています。あるビタミン類を用いたら効果があった,という報告もありますが,一般の医師の考えによると,そうした結論の多くには,真実の証拠または裏づけがありません。「診料と治療にかんするマークの便覧」は,ビタミン調合剤は「精神療法的効果と強壮剤の効果」があるので用いることができると述べています。そういう意味で勧められているものに,ニコチン酸(ナイアシン),ビタミンB1,B12などがあります。ビタミンB12を多発性硬化症に用いたフランスの医師たちは,患者の病状がかなり好転したと報告しています。

栄養学者たちは一般に,彼らの研究から,ビタミン類が多発性硬化症患者に有効であると考えています。たとえば女流栄養学者のエイデル・デイビスは自著「元気になりましょう」の中で次のように報告しています。「多発性硬化症患者にビタミンE,B6,そして他のビタミンB類を与えたところ,病気の進行は止まった。重症の患者でも,前よりよく歩けるようになり,ぼうこうもよりよく制御できるようになり,腕や足のけいれんも少なくなった。柔らかい組織の石灰化はビタミンEで防止された。これらの栄養物すべてを,この病気に悩む人々の食餌に加えることは重要視されるべきだ,と私には思われる」。

また,栄養学者キャサリン・エルウッドの報告によると,J・E・クレーン博士は,「ビタミンEで多発性硬化症の治療をしてすばらしい成功を収め,24人の重症患者のうち18人が『驚くほどよくなった』」とのことです。

ビタミンCもある程度有効であることが報告されています。「ビタミン全書」という本にはこう書かれています。「多発性硬化症の場合は,アスコルビン酸を大量投与したところ,患者の大多数に,自覚的また他覚的効果が見られた」。

新刊書「不治の疾患に対する新たな希望」(ニューヨーク,1971年)には,多発性硬化症にかんする章があります。著者のE・チャラスキン医学博士とW・M・リングスドルフ・ジュニア歯学博士は,低炭水化物の食餌が効果のあった多発性硬化症患者について述べています。高炭水化物の食餌は症状を悪化させました。両著者はこう言っています。「多発性硬化症患者には希望がある。この証拠に立脚して,食餌療法をぜひとも治療の手段として加えるべきである」。この二人の医師は,自分たちが発見した食餌療法上の証拠に照らして,「単糖類と飽和脂肪は,多発性硬化症を招きやすい要素と見るべきである」と述べています。

予防問題については両博士は,「不治の病人にいっそうの希望を与える食餌療法はまた,こうした病気の進行を阻止するものと言えよう」と述べています。この二人の専門家が食餌の面で勧めているのは,適量のたん白質と,「1. 炭水化物,とくに砂糖,シロップ,高度に精製されたでんぷん食品の制限。2. 飽和脂肪を制限して不飽和脂肪に切り替えること。3. ビタミン-ミネラルの複合補充。4. ビタミンCとビタミンBの大量投与」です。

多発性硬化症をわずらった私自身の経験

このやっかいな多発性硬化症の症状は,人によりいろいろ違った状態で現われます。私自身の奇妙な症状は,1956年,私がミネソタ州のミネアポリスにいたときに始まりました。当時,私はものみの塔協会のギレアデ宣教学校の秋のクラスにはいることになっていました。ところが背中が痛みはじめました。腰の片方が他方よりも高くなっているように見えました。医師は1週間ほど床につくことを命じて,これは座骨神経痛だと言いました。その後,右側の腰部の痛みは去り,からだもまっ直ぐになりました。

宣教者としてガイアナに赴任してから1959年までは何事もありませんでしたが,その年にまた背中に痛みがもどってきました。しばらく床についたのち,また仕事にもどりましたが,からだがなんとなく硬直していました。1961年にミネアポリスに行って,ある脊柱指圧療術者を尋ねたところ,多発性硬化症にかかっているようだと言われて,脊柱の矯正治療を受けました。私はそのときからビタミンBなど,ビタミン類を飲み始めました。

その後,右手が1か月余りきかなくなって,左手で食事をしました。するとまた右手が使えるようになり,私は正常にもどりました。それはまったくやっかいなものでした。

1962年の2月には私は非常に楽しく仕事をしました。しかし3月には一時歩くことができませんでした。以来,毎年一度は歩行困難になりました。それから9か月後,また6か月後というふうに再発しました。

足もよくきかなくなってきて,しばしば倒れました。それからぼうこうが悪くなりました。1964年,ある医師は私にコーチゾンを与え,私の病気を末梢神経炎と呼びました。コーチゾンは痛みを和らげるようでした。別の医師は私を診断して,背中に短波治療を受けることと,運動をすることを勧めました。1965年には私は,ミネソタ州にあるメイヨー・クリニックに行きました。ここで私はいろんな検査やテストを受けました。そして1週間以上たってついに,私の病気は多発性硬化症であると診断されました。私の場合は,筋肉をいっそう硬化させるおそれがあるので,コーチゾンの使用はこれ以上つづけないほうがよいと考えられました。

1965年の末,私は宣教者の仕事をつづけるためにまたガイアナにもどりました。足はしだいに悪くなり,1968年から車いすを使うようになりました。

1972年の現在は両手がしだいに弱くなっています。両方の足で立つこともできません。自分の名前を書くことすら困難で,タイプは2本の指で打ちます。現在はからだ全体が衰弱していますが,人々と聖書の勉強をすることが,しっかりとした思いを保つ助けになっています。

多発性硬化症の人は他人の助けに依存しています。私はガイアナに住んでいるので幸いです。この国の人々は親しみやすくて理解があるからです。ジョージタウン公共病院のお医者さんや看護婦さんたちはほんとうに親切で,必要なときに助けを差しのべてくださいます。暖かい気候はからだによいらしいので,気候まで私に好意的です。気温は1年を通じて摂氏28度と29度のあいだです。

主人と私は今まで18年間全時間奉仕を行ない,ここには14年ほど住んでいます。私は自宅で,電話で,また近所の人や友だちと話すときに,人々に聖書を教えることができます。多発性硬化症はやっかいな病気ですが,それでも活動的な状態を保つのはよいことです。―寄稿

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