世界展望
従軍牧師に対する憤り
◆ ベトナムで戦っているアメリカ兵は従軍牧師をどう見ているだろうか。ベトナム戦争に従事した退役軍人と面接したR・J・リフトンは,アトランティック誌の1972年11月号で次のように答えている。「従軍牧師ということばを出しただけで,たちまち退役軍人たちはにやにや笑ったり,冷笑したり,『あの従軍牧師たちはまったくけしからん』といった半ば意識的に口をついて出ることばが暗示する,ぎこちないあの笑いをもらしたりした。そして,従軍牧師が軍隊やその任務,兵器や殺りく行為を祝福した数々の実例を激越な口調で,とめどもなく話した。そのうちのひとりはこう語った。『われわれが…殺人…残虐行為…その他何をしていた時でも…神は常にわれわれの味方だったのだ』」。アメリカの軍人の葬式は,従軍牧師が,敵を「もっと殺せ」と言って人々を激励する機会として利用されたのである。
精神医学と自殺
◆ 精神医学者は人間の精神の働きを理解していると唱えている。であれば,彼らは感情的にきわめて安定していなければならないはずである。ところが,調査によると,精神医学者の自殺率はあらゆる医学の専門家たちの中で最も高い。この矛盾に関してさまざまな説明が行なわれてきた。しかし,非常に率直な説明が最近のアメリカ医学協会ジャーナル誌に載せられた。その中で,カリフォルニア州サンセット・ビーチに住むW・C・エルラーブロエク博士はこう述べている。「わたしは精神医学者として語るのであるが,精神医学の分野の専門家は,精神医学者の自殺率が他のいかなる分野の専門家の自殺率より高くではなくて,低くなるまで,精神医学の教えの有効性を大いに疑問視すべきである」。
春画の悪影響
◆ 春画はそれを見る人に何ら悪影響を与えないと言う人々がいる。たとえば,世界教会会議の人間の性機能に関する委員会の議長である,メソジスト派の牧師T・マックイルベンナは最近,アメリカ,オレゴン州のホートランドのある連邦判事に,「春画には社会的に言って治療上の価値がある」と語った。しかし,英国で春画をさらに厳しく規制する法律の制定を提唱した,ある民間の報告は,性犯罪を春画と関係づけており,D・ホルブルックはガーディアン紙上で,「実際,若者たちの世代全体が…性の倒錯の中毒にかかっている」と付け加えている。ホルブルックは,春画は性的不能を招くと考えており,女性は『春画の女神に対抗せざるをえないことにいよいよ憤慨している』と述べた。
スポーツを推奨するソ連
◆ ソ連ではスポーツを大衆化する大規模な計画が進行中である。現行の法律によれば,新しい住宅計画はすべて球技用のコート,体育館,プールなどのスポーツ施設を含めることを義務づけられている。水泳は5歳から教えられ,全国の若者が参加するソビエト連邦全学競技会では地方にいる将来のオリンピック選手が物見される。スポーツの大衆化計画のためにテレビさえ利用されている。ソビエト・テレビ局の一当局者は次のように語った。「われわれは[スポーツの]解説者を評価するさい,人々をテレビに引きつける仕方だけでなく,視聴者も外に出て,みずからもスポーツをしてみたいと感じさせるような話し方をするかどうかをも考慮している」。
ほんとうに虫垂炎だったのか
◆ 最近のメディカル・トリビューン誌は,日本で行なわれた虫垂切除手術の62%以上が不必要であったことを示す,日本の一研究報告を掲載した。同研究報告は過去25年間に行なわれた8,000件以上の手術を対象にしたものである。
宇宙空間に捨てられた廃物
◆ 昨年の初め,5,850個もの人工物体が地球の周囲を回っていることがわかったが,ある物体はいつか落下して危害をもたらしはしまいかと心配されている。そこで,アメリカ上院は,最近,そうした人工的な廃物が危害をもたらした場合,その打ち上げ国に損害賠償の責任を負わせる条約を承認した。