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  • 北の果てから来る「金の羊毛」
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目ざめよ! 1974
目74 12/8 12–14ページ

北の果てから来る「金の羊毛」

カナダの「目ざめよ!」通信員

ある人たちが,カシミア種のヤギの毛をしのぐ世界一上等の毛と考えているものは,樹木一本生えていない北極地方のツンドラと雪原から来ます。いったいどんな動物からそのような「金の羊毛」がとれるのでしょうか。それはジャコウウシです。北極ウシとも呼ばれます。エスキモーはさらに別の名で呼びます。ジャコウウシのこげ茶色の毛は,からだ全体にたれさがり,毛むくじゃらに見えるので,彼らはこの動物をウミングマクと呼びます。「ひげのある者」という意味です。

しかし,その上等の毛というのはこの外側の毛ではありません。ジャコウウシは,その長い毛のコートの下に,絹のように柔らかい極上の毛の部厚い肌着を隠しているのです。この毛は夏になると抜けます。

この毛の肌着を着ているので,北極の生息地の冬のひどい寒さにも平気でいられるのです。ですから,体温は常時37度前後であるのに,寝そべっても,熱が外へ逃げ出して雪をとかすということはありません。

からだの特徴

ジャコウウシはくびが短くて頭が大きく,体重は360㌔くらいはあるでしょう。先のとがった大きな角は下方に曲がり,ついで上方にかぎのように曲がっています。雌や子にも角がありますが,彼らの角はそれほど大きくはありません。こんな恐ろしげな角を持っているので,ある北極探険家はジャコウウシのことを,「世界一危険な狩猟獣」と言いました。

ジャコウウシは短くて太い足をしていても敏捷で,人間が走るよりも速く走ります。白いソックスをはいたような足はひづめが大きく分かれていて,岩だらけの高い場所に登るときにころばないよう,特別につくられています。ひづめのふちは鋭い刃物のようになっているので,吹きさらしの山の斜面をおおう浅い,凍りついた雪の中から,まばらに散在する草や丈の低い植物を掘り出して食べるのに好都合です。

ジャコウウシは本当は牛ではなくて,ヨーロッパのシャモアの親類ですから,ヤギカモシカの一種です。ジャコウジカと違ってジャコウウシにはとくにじゃ香の腺はありません。しかし繁殖期には,雄はじゃ香に似た香りを発します。

あらゆる生物の創造者は,きびしい気候のもとで生活するジャコウウシのために,十分の備えをされました。ジャコウウシはそのような気候の中でよく成育します。4,000頭ほどのジャコウウシが生息する,北極の果てのエルズミア島では,11月から2月の終わりまで太陽の光がありません。興味深いことに,ジャコウウシの目には,夜間物を見るための大きな知覚杆状体がたくさんあります。一方,北極の夏の長い日のためにサングラスも備わっています。ジャコウウシの目の長方形の瞳孔は,線のように細くなるまで閉じることができます。その様子は,エスキモーが,雪で目が見えなくなるのを防ぐためにかつて作ったことのある,まん中に細い穴をあけただけの木製サングラスを思い出させます。

あらしの間,ジャコウウシの群れは一箇所に集まって,後部を風の吹く方向に向け,毛の垣を作って子どもたちを囲います。彼らは強風が吹いているかぎり何日でも,その大きなからだで子ウシたちを守りながら立っています。

絶滅寸前で元の状態にもどる

何年か前まで,ジャコウウシの最大の敵は人間でした。火器の登場で,これらのおとなしい動物を殺すことは,牧場の中の雌牛を射つのと同じほど容易になりました。どうしてでしょうか。

攻撃される危険を感じると,おとなのジャコウウシは,相手が人間であろうと北極オオカミであろうと,風と戦うときとほぼ同じような防御態勢を取ります。年を取った雄と雌は顔を外側に向けて“ハリネズミ”陣を敷き,曲がった角をぐっと下げて戦いのかまえをします。小さな子や若いジャコウウシは陣のまん中に置かれて保護されます。

この防御の姿勢は,角による恐ろしい側面攻撃を加えるものであるために,オオカミに対しては極めて効果的です。しかし高性能の銃を持つ人間にとっては楽な目標となります。19世紀の後半に,ジャコウウシの毛皮は馬車に乗る時のひざ掛けに使われたので,これに対する需要は大きなものがありました。5年という一つの期間に,1,400頭がハンターたちに射殺されました。彼らは毛皮会社から,毛皮1枚につき50㌦(1万5,000円)を受け取っていました。

かつては,アラスカから北部カナダとその島々,グリーンランド,北部ヨーロッパおよびシベリアにわたる北極地方に,これらの毛むくじゃらの動物が何万頭も生息していました。しかし20世紀にはいるころまでには,絶滅してドードー鳥に加わるのではないかと思われるほど減少していました。一時は,わずか500頭ばかりが,北極のツンドラで草をはんでいたにすぎません。

1917年に,カナダ政府はジャコウウシを殺すことを禁止しました。それで北極の島々に残っていた少数のジャコウウシは8,500頭に増え,最近数えられたところによると,1,500頭ほどが本土に生息しています。

「北極の金の羊毛」

ジャコウウシは毎年春になると毛の肌着を脱ぎはじめます。その量がたいへん多いので,昔の探険家たちは,ツンドラの丈の低いやぶやかん木が,薄いクモの巣のように見えるものの塊りで花づなをつけたかのように飾られているのを見て驚いたものでした。この毛は,「北極の金の羊毛」と呼ばれています。この毛1㌔を,40本よりの糸につむぐと,その長さは88㍍になります。

ジャコウウシの毛は,その質においてカシミアの毛をさえしのぐ,と一部の専門家は考えています。羽根のように軽いセーターを1枚作るのに,この「金の羊毛」を使えば,4オンスしかいらないのです。しかも,一番寒い時候のときでさえ,それを着ているとぽかぽかと暖かくて気持ちがよいのです。この「北極の金の羊毛」は,1ポンドが35㌦から50㌦(約1万円から1万5,000円)です。

飼いならす

1880年という昔に,もしかしたらジャコウウシは飼いならせるかもしれない,という案が出ました。そうなれば大量のミルクと肉がとれるわけです。しかし近年になって,この動物のそのような用い方は,『金の卵を産むガチョウ』を殺すようなものだ,ということが認識されました。ジャコウウシの暖かい毛の肌着を利用できる可能性の大きいことがわかったからでした。

エスキモー人になんらかの仕事を与える必要性と,ジャコウウシの毛の市場が得られる可能性とがいっしょになって,飼育計画を促進しました。1954年,若いジャコウウシの最初の小さな群れが,実験のためにバーモント州のある農場に移されました。彼らが果たして人間の管理の仕方に順応するかどうかを見るのが目的でした。

捕獲された子ウシたちは,人間の捕獲者たちとうまくやっていくのが,それほどむずかしくないことをすぐに知りました。飼い主に協力すれば,飢えの苦しみはいやされることを,まもなく認めるようになりました。囲いというものが何であるかに気づくのにも,時間はかかりませんでした。もっとも一頭の雄は,囲いの柱に向かって自分の若い力を試すことを始め,またしては柱を折ってしまいました。そこでとうとうコンクリートの柱が立てられました。角で柱を押す彼の酔狂は,たった一度の試みで治ってしまいました。

野生の状態にあるときには雌は2年ごとに1頭の子を生むだけですが,囲いの中では毎年生みます。飼い主に毛の手入れをしてもらうので,飼いならされたジャコウウシのほうがつやつやしています。

毛はシーズンごとに,はさみを使わずに,取り除きます。ですから毛の抜ける時期には,野生のジャコウウシのようなもじゃもじゃした様子はなくなります。健康なジャコウウシは,少なくとも20年間,そしてあるものは毎年60ポンドの毛を産すると信じられています。エスキモーの村人たちは,このりっぱな毛で物を編む新しい技術を学んでいます。多くのエスキモー婦人は,幅40㌢,長さ1.2㍍,重さ1オンス弱のスカーフを編みます。

ジャコウウシの飼育計画が非常にうまくいっているので,北部ケベック州のオールド・フォート・チモにジャコウウシの飼育場が作られました。アラスカと北部ノルウェーにはジャコウウシの牧場が建設されました。アイスランド,グリーンランド,カナダのノースウェストテリトリーズのベイカー・レイクなどでも,同様の計画が進められています。

よく遊び,ひとなつっこい

時がたつにつれてジャコウウシは,遊び好きの性質があることを示しはじめました。飼い主は時々ジャコウウシにリンゴをごちそうします。それで動物たちは,そのごちそうを求めて,柔らかい鼻を飼い主の手に押しつけます。犬たちがそばに来ると,ジャコウウシは本能的に彼らをオオカミとみなし,“ハリネズミ陣”を張って防御態勢をとります。そういうときに飼い主は知らないまにその円陣のまん中に入れられて,自分の保護下にあるものに“保護されて”いることがあります。

彼らに与える飼料を,そりに乗せてトラクターで引いて行くと,子どものジャコウウシたちは代わる代わるそりの上に飛び乗り,次のものに突き落とされるまでそれに乗っています。ある遊びでは,大きくて強いジャコウウシが,小高い場所の頂上を占拠し,彼を倒そうとする遊び仲間に挑戦します。彼を倒したものは,次のものに王位を追われるまで,その小山の「王さま」です。

子どもたちでさえ,このひとなつっこい北極のツンドラの住民の背に乗ることができます。彼らは人間をすっかり信用しています。ジャコウウシを飼った経験のある人たちに言わせると,これらの動物は,木戸を開けようとしていたずらをしたり,かぎをこじ開けたり,人間のポケットから物を失敬することさえする,『動物界のあいきょう者』です。彼らは羊のように,飼い主に自分の名前を呼ばれるとその声にこたえます。柔らかな毛を背負ったこれらの動物は,「世界一危険な狩猟獣」などではなく,北極の愛情こまやかな動物なのです。

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