世界展望
効果のある古代の律法
◆ 米国カリフォルニア州にある幾つかの老人グループは,今日の物価高に対処する新たな方法と見なされるものに首尾よく着手した。彼らは,普通ならむだになってしまう,きず物や目方不足のものなどを譲ってくれるよう食料品取扱い業者に要請し,農業経営者には収穫後の畑に残った作物を拾う許可を求めた。しかし,これは新しいことだろうか。そうではない,こうした考えは3,000年も前からあった。それは,聖書のモーセの律法の中に見いだされる。収穫物の「落ち穂」は不遇な人々のため畑に残しておかねばならなかった。一農業経営者はこう評している。「彼らは何の代償もなしに何かを得ようとしているのではない。畑に出て自分の手で摘み取ったり,拾ったりしている」。また,食料品包装会社の役員はこう述べている。「より多くの人々がこうした考え方をするようになれば,世界はもっと住み良い所となるだろう」。―レビ記 23:22参照。
婦人百科?
◆ 最近,国連の主催した国際婦人会議がメキシコシチーで開かれたが,伝えられるところによると,同会議は,女性たちのしばしば非難する男性優位の会議とほとんど変わらなかった。他の多くの国際会議と同様,討議の内容が余りにも政治上の敵対国間の非難攻撃の論争に終始したため,会期の終わり近くには,オーストラリアの代表が次のような異議を申し立てたほどである。「この会議は女性を無視している。我々は,女性を女性そのものとしては少しも話し合っていない」。
「神の主権」大会
◆ 今年,エホバの証人は全米の91か所で「神の主権」地域大会を開催している。この4日間にわたる一連の集まりのうち最初の64から寄せられた報告は,出席者最高数の合計が66万4,667人に上り,1万2,718人がバプテスマを受けたことを示している。「神の主権」という大会の主題を際立たせるものとして,各大会都市における基調講演の話し手は,『事態を表面的に見るならば,政治上の二大勢力が,地の全住民に関する統治をめぐって激しく相争っているように見える』と言明した。しかし,講演者は次の点を指摘した。「全宇宙を包含する」霊の領域において,それを『はるかに上回る規模の抗争が展開されている』。クリスチャンは,神の敵対者サタンをではなく,神を自分たちの命の主権者としていることを,その行動で表わすよう促された。
コンピューターによる買い物
◆ 東京近郊の国分寺に住む主婦たちは,世界で最初の全自動式スーパーマーケットで今や買い物をすることができる。そこには,約2,500種類もの商品を窓の中に陳列した自動販売機が並んでいる。買物客がボタンを押し,プラスチック製の認証カードを所定の位置に差し込むと,望みの品物が出て来て,その価格はコンピューターに記録される。後に,会計係がその同じプラスチックカードをコンピューターに入れると,買い物の総額がすぐに算出される。以前は20人も必要だった会計係が,今は二人で済むようになった。人件費が下がり,万引きや会計係のミスがほとんどなくなるので,商品の値段も安くなると言われている。しかし,品物を自分の手に取って確かめられない上,間違ったボタンを押した際その誤りを訂正するのがめんどうすぎるとして,不平を言う人もいる。
不況と犬
◆ アメリカ動物愛護協会の一調査によると,動物保護施設に送り込まれる大型犬の数が,昨年二倍近くも増えた。なぜだろうか。保護施設の一役員は次のように述べている。「これ程多くのセントバーナードやセパードが当所に置かれていたことはこれまでなかった。人々は弱々しく,自分には飼うだけの余裕がない,と訴える」。米国では,一時間に約360人の赤子が生まれるが,子犬と子猫は,一時間に約3,000匹も生まれてくる。
高価なドル紙幣
◆ 大量の紙幣をごくわずかな費用で印刷している政府の付属印刷所の見通しは,妥当でなかったことが明らかになりつつある。どんな単位であれ1,000枚の紙幣を印刷するためにかかる費用は,三年間でほとんど三倍,すなわち11ドル(約3,300円)に上がった。米国の当局者は,年間印刷費を400万ドル(約12億円)節約するため,2ドル紙幣の再発行を検討している。
『みどりごの口』
◆ イタリアのマルシアニースにある小学校の教師は,最近,各クラスの生徒に「もしイエスが戻って来られたら」という題で作文を書かせた。パエセ・セラ紙は,それらの作文から抜粋して編集した次の文を掲載した。子供たちはこう書いている。「教会の中に入って大理石の祭壇や金銀の燭台,多くの美しい絵画や彫像を見た時,イエスはこう考えた。『わたしとわたしの弟子たちは貧しかったのに,わたしの新しい弟子たちは富んでいる』。教会から出て来るたびに,イエスはがっかりして,悲しそうにしておられた」。そして,子供たちの考えからすれば,その訪問後のイエスの最後の審判はどんなものだっただろうか。それは,「今日のクリスチャンは,もはやクリスチャンではない」というものである。
変わりゆくアメリカ南部
◆ 最近,米国アラバマ州の一大学講師は,ニューヨーク・タイムズ紙にこう書いている。「愛国心,根本主義,そしてカントリー・アンド・ウェスタン音楽などは,伝統的に言って南部では価値あるものとみなされてきた」。しかし,同講師は次の点に注目している。「ところが驚くべきことに,最近のカントリー・ソングの歌詞は,いよいよ露骨に性行為を描写するようになっている……皮肉なことに,こうした音楽が,根本主義を奉ずる教会が栄えている地域で人気を得ている。そうした教会は,厳格な法律を作ったり,[ポルノ]映画を禁止したりするための運動をし……教科書には“卑わいな”,また“共産主義的な”資料を入れないように運動しているのである」。
武器に取り付かれる
◆ 米国の一国会議員が最近発表した数字によると,世界中には,現在の地球人口の27倍以上の人を殺すに足る核兵器が存在している。それでもなお,世界の国々は,軍備の研究と開発に年間200億ドル(約6兆円)近くを費やし続けている。それは世界各国が医学研究に費やす額の約五倍に相当する。さらに,世界の科学者や技師の約半数は,武器を改良したり,新兵器を作ったりするために働いている,とストックホルム平和研究所のスポークスマンは述べている。原子力を利用する上でかぎとなるプルトニウム元素の生産に関して,同研究所の最新の年次報告はこう述べている。「1980年に危険防止措置が99.9%まで有効になったとしても,核兵器を週に一個生産し得るほどのプルトニウムが,探知されずに転用されているだろう」。
世界のテレビ
◆ 今では世界の50以上の国がテレビの番組を製作している。他の国々は,この膨大な材料の中から,自国の数少ないチャンネルでどの番組を放送するかを選ぶことができる。そうした番組のために各国は幾らぐらい支払っているだろうか。ロンドンのフィナンシャル・タイムズ紙はこう見ている。『国の表面上の繁栄や視聴者数などは,その相場とほとんど関係がない。相場は,売り手が買い手からどれほど搾り取れるかによって決まる』。30分ものの作品は,オーストリアで400ドル(約12万円),メキシコで700ドル(約21万円),ウガンダで25ドル(約7,500円),そして英国では3,500ドル以上(約105万円)すると言われている。ソ連は東ドイツが支払う額の半分しか支払う意志がなく,石油に恵まれたクエートは余り裕福でないジャマイカ(約60ドル)と同じだけしか支払わない。
性に関するソ連の調査
◆ 最近ソ連で公表された驚くほどあからさまな調査の結果は,ソ連の市民がこれまで西欧の退廃として非難してきた性の放任を自ら急速に受け入れつつあることを示している。レニングラード大学の男子学生の半数以上は,18歳になる前に性体験をしたことを認めた。女性の3分の2近くは,21歳になる前に婚前交渉をしており,24歳になるまでにはほとんどすべてが性の圧力に屈した。伝えられるところによると,学生や科学者は婚前交渉を,既婚の婦人は婚外交渉を圧倒的に是認している。近年生まれた子供の一割,つまり40万人は私生児であった。
天文学上の新たな謎
◆ 米国カリフォルニア州の天文学者は,最新の観測装置によって,これまで観測された中で最も遠い星雲の写真を撮影することができた。その星雲は80億光年離れた所にあると推定される。しかし,この発見に伴って新たな謎が生じた。その星雲の放つ放射能は,その星雲を成す無数の星の持つ核エネルギーをすぐに消耗し星を消滅させてしまうはずだと科学者が言うほど強いものであった。ところがそれらの星は依然として存在している。「ゆえに,そのエネルギーの源が何であるかは,天体物理学上の大きな課題となっている」とニューヨーク・タイムズ紙は述べている。
奇跡的に助かる
◆ しばらく前,5歳になるあるノルウェーの男の子が部分的に凍った川へ落ちた。警察によって救出されるまでの40分間,その子供は水中に沈んでいた。救命応急処置によって一命は取り留め得たものの,酸欠状態が長い時間続いたので脳に障害が起きるのではないかとの懸念が持たれた。しかし,体力が急速に回復した後,その子の脳の機能は事故があってから一年以上の間正常に働き続けていることを医師たちは知った。英国の医学雑誌「ランセット」に掲載されている通り,冷たい水の中で子供の体が急速に冷えたため脳の必要とする酸素の量は著しく減少した,と医師たちは結論している。
ギリシャで初めての大会
◆ ギリシャ正教会僧職者からの強い反対にもかかわらず,ギリシャのエホバの証人は,去る7月10日から13日まで,アテネ市近郊のアポロ・スタジアムで,初めて公の大会を開催した。この「神の主権」大会には,1万9,211人が出席した。新政府と新憲法によって,エホバの証人のそうした大規模な大会が初めて開催できるようになった。大会のわずか数週間前に,ギリシャの法廷は,エホバの証人同士の結婚を合法的なものとし,その間に生まれた子供を私生児とみなさないことを裁定した。国家によるそうした基本的な承認は,僧職者の圧力によって,これまでエホバの証人に与えられていなかった。
法廷は自由を擁護する
◆ 米国テキサス州のある銀行に新規採用された一婦人は,月例の営業会議に出席することが義務付けられており,出席すれば手当を受けられると知らされた。ところが最初の会議で,それがバプテスト派の僧職者による宗教的な話と祈りをもって始められることを知った。良心の自由が侵害されたと感じたその婦人は,以後そうした会議に出席しないことを決意したが,会議の参加は義務付けられているとされたので,その銀行をやめた。米国連邦巡回控訴裁判所は,その人が宗教上の理由で差別され,それによってその人の憲法上の権利が侵害されたと裁定した。同裁判所は,本人が望めば復職させるよう命じ,また宗教的な礼拝の伴う営業会議を義務付けることはできないとの判決を下した。