世界展望
「警察国家」
◆ ケニアのナイロビで発行されるザ・スタンダード紙は,見出しの中でマラウィを「警察国家」と呼んでいる。C・リーガムによるその記事は,様々な少数グループがマラウィのH・カムズ・バンダの独裁支配の下でか酷な扱いを受けている点に注意を向けている。マラウィに住む黒人の中には,国事犯として,裁判も受けずにひどい状態の下で幾年も監禁されている者が少なくないことを,リーガム氏は記している。また,しばらく前から差別を受けている,マラウィに住むアジア人に関して,同氏はこう述べている。「マラウィ在住の少数者である黄色人種にとって,生活はほとんど耐え難いものである」。最後にリーガム氏は,エホバの証人に対する恐るべき迫害に言及し,それは「バンダの支配の最も悲しむべき面」であると述べた。そして,英国がバンダ政権に財政援助を行なっていることに触れ,こう語った。「英国は,バンダの独裁支配をいつまで支持するつもりなのだろうか」。
機械が盲人に“読んで聞かせる”
◆ 盲人に文字を“読んで聞かせる”機械が開発された。その機械は印刷物を特殊なカメラで走査し,これを電子信号に“翻訳”する。その信号は,文字を識別できる小型電子計算機に送られ,そこで分類され,言葉となって聞こえて来る。その“声”は,初めのうちはやや理解しにくいが,この機械を使ってみた学生たちは,2,3時間練習しただけで,1分間に160語も理解できるようになった。一台目の機械は約5万㌦(約1,500万円)もの費用を要したが,製品化に成功すれば5,000㌦ないし6,000㌦(約150万円ないし180万円)ほどで販売できると期待されている。
確かな証拠はない
◆ 進化論を調べた人の中には,この学説が証拠に乏しく,しかも盲信に近い形で受け入れられていることに気付く者が少なくない。米国カリフォルニア大学動物学科のデービッド・ウェークは,サイエンス誌の中でこう尋ねている。「生物には,なぜこれほど多くの種類があるのだろうか。また,これら多くの複雑な構造形態はどのように進化してきたのだろうか」。彼は次のように答えている。生物のこうした分化した特色が「進化によるものであることを説明するため,生物学者が確かな論議を提出し得ないことに,人はぼう然とさせられる」。ウェークは,さらにこう語っている。「進化論を支持する生物学者は確かに賢いが,進化の過程で新しい形態が生じることを,本当に説明しているだろうか,それともうまく言い逃れをしてきただけだろうか」。ウェーク自身が書評を書いたある本に出ている,進化論を支持する論議に関し,彼はこう述べている。「幾つかの例には,神秘主義に近いようなあいまいさがある」。しかし進化論は常にそうであった。それは事実にではなく,科学者が信じたいと思う事柄に基づく説だからである。
カトリック関係の減少
◆ タイム誌によると公認カトリック聖務案内は,米国で「過去10年間にカトリック系小学校および高等学校1万3,340校のうち約3,100校が閉鎖され,入学者総数は,1965年の560万人から1975年の350万人に減少した」ことを明らかにしている。また同誌は,「約3万5,000人のアメリカ人修道女と,れっきとした司教をも含む1万人の司祭が聖職を離れ,時には大挙して教会をも離れた」ことを述べている。その上,辞職者や退職者,また死亡者に比べ,それを補うはずの新しい司祭や修道女の数は少なくなっている。例えば神学校の入学者は,1964年にほぼ4万9,000人いたのが,1975年には1万7,200人に減少した。カトリック教会は,全世界で同様の事態に直面している。
学校は対処できない
◆ エリザベス・シャノンは米国インディアナ大学のポインター公共並びに国内関係機関研究所を代表してこう語っている。「中学校および高等学校では,欲求不満でやる気がなく,学んでいるはずのことを理解できずに,どこか別の所に行きたいと思いながら……登校して来る若者の増加に,これ以上対処できなくなってきている。生徒数が多く,その半分以上が,使用している教科書の内容を理解できないほど読解力の乏しいクラスに,語学や数学,科学,歴史などを教えるのは,たとえどんなに才能のある教師にも不可能なことである。そうした若者たちは,何の技術も身に付けず,教育もないまま,やがて街頭に現れ,うっぷんを晴らす相手を捜すようになる。社会がこうした過ちを処理するための良い手段を講じないなら,学校は廊下で生じる暴力に対処できなくなるであろう。また,この重荷を学校から取り除かないなら,負担に耐えかねて学校そのものが崩壊してしまうであろう」。
地下鉄によるストレス,
◆ 大都市の地下鉄利用者にとって,とりわけラッシュ時のストレスは珍しいものではない。地下鉄によるストレスがどんな影響を与えるかを調べるため,アメリカの科学者二人はネズミを使って実験をした。振動するおりの中にネズミを詰め込み,録音した地下鉄の騒音を流し,地下鉄に乗ったと同様の状態に一時間さらした。これは毎日二回ずつ,週に五日間行なわれた。また,別のグループのネズミには地下鉄のストレス状態を経験させなかったが,物理的には他のネズミと同様に扱った。テストの結果,ストレスにさらされたネズミが16週間で4匹死んだのに対し,ストレスにさらされなかったネズミは1匹も死ななかった。この結果は直接人間に適用できるものではないが,示唆に富むものである。
離婚は商売に影響を及ぼす
◆ ダン・アンド・ブラッドストリート・レポート誌によると,離婚のために米国の企業は,公になるものとならないものを合わせると幾億㌦もの出費をしている。同誌はこう語っている。「1975年に初めて離婚件数が100万件を超え,過去12年間で離婚率が2倍になるに至っては,[その損失は毎年]どの程度になるかと聞かざるを得ない」。社員が離婚の痛手を受けると,しばしばその判断力や能率は低下する。経営者にとって,そうした離婚は,人事移動による出費など,商売上の損失や他の財政的な損失を招きかねない。小規模な会社の中には,離婚訴訟と財産処分の結果,閉鎖してしまったものもある。
異なった助言
◆ はげを予防し,その進行を遅らせる方法として,頭皮を強くマッサージし,髪をくしやブラシで強くとかすことがこれまで勧められてきた。ところが,米国医学会薬品部のジョセフ・ジェローム博士は,現在,これとはほとんど正反対の助言を与えている。同博士の主張によると,髪を長くもたせるには,頭皮を強くマッサージしたり,くしやブラシで髪を強くとかしたりしてはならない。「シャンプーをし,静かに乾かし,頭皮のマッサージを避けなさい」というのが同博士の助言である。頭皮にも髪の付け根にもマッサージは必要なく,むしろ頭皮や髪をそのように力を入れて扱うなら,毛が傷み,はげになりやすくなる,と博士は考えている。
失業手当を受ける
◆ 失業者に対し失業手当を支給する国は少なくない。米国フロリダ州の34歳になる元プロ・フットボール選手は,50万㌦(約1億5,000万円)もの財産を所有していながら,こうした手当を受けていることを認めた。彼はこう語っている。「もちろん,わたしは失業手当を受けている。なぜいけないのか。わたしの友人には失業手当を受けている者が大勢いる。わたしは失業中だから,失業手当を受けているのだ」。
血液の誤り
◆ 米国の郡立ミルウォーキー総合病院の当局者は,直視下心臓手術の患者が,最近「輸血の大きな反応」により死亡した際,それは「全くのへまだ」と,述べた。そして,間違った血液型を輸血することを,「我々の医員の一人による極めて重大な誤り」と呼んだ。
英国では,2単位の輸血を受けた際,胸痛や血圧の低下と共に,ひどい皮膚反応とかゆみを起こした人がいた。なぜだろうか。血液の出所を調べると,献血者の一人に,魚や豆やエンドウを食べると同様の徴候が出る人のいることが分かった。この患者は,輸血前の二日間にこれらのものを食べていた。英国医学ジャーナル誌に載せられた報告は,患者の反応の原因が,「[アレルギー性の]献血者の血液を輸血したことによる,これらの食物に対する受動的感作」にあるとしている。
高血圧の治療
◆ 米国では,高血圧とその結果として生じる障害が死因の第一位を占めている。この病気に関して調査を受けた100万人余の患者について,最近一つの報告がまとめられた。致命的ともなり得るこの病気の発見と治療に,幾らか進歩が見られたとは言え,患者の半分以上はまだ病気に気付いておらず,治療を受けていない。高血圧は黒人の間でより深刻であることが明らかになったが,黒人の場合,病気が発見されず,治療がなされないことも多い。
塩が犯人?
◆ 米国ボストンの心臓の専門医である,タフト大学医学部のロト・ページ博士によると,ある一流の医学研究論文は高血圧の主因として塩を挙げている。この病気に関係する医学上の要因がすべて分析された結果,重要な点として特に目立ったのは一つだけであったと,同博士は述べている。それは,日々の塩の摂取であった。「砂漠,ジャングル,また北極などに住む,すでに知られている18の“低血圧”民族のどれを取っても,塩分摂取量の少ない民族である」のも,顕著な事柄であったと,同博士は述べている。
博物館の手助けをするこん虫
◆ 見事な動物のはく製や骨格を展示している博物館は少なくない。これらの動物から肉を取り除く必要がある場合,それはどのように行なわれるのだろうか。世界中の多くの博物館では,幾千匹もの毛で覆われた小さなこん虫,ある種の甲虫の幼生にその仕事を行なわせている。動物の皮をはいだ後,余分な肉を切り取り,死体を乾燥させる。そして特別な箱の中に入れ,そこへ甲虫を放って働かせるのである。甲虫の雌は乾いた肉に卵を産み,発育盛りの幼生がその肉を食べる。それから幼生は,箱の底に敷いた綿の中に潜り込む。やがて成虫となって現れ,今度は別の動物の死体に卵を産み付ける用意ができている。なぜこのような方法が取られるのだろうか。一つには,人間が骨から肉をすっかり除くことは,困難であると同時に,余りに時間がかかり過ぎる。また,化学薬品は肉だけでなく,骨までも分解してしまうことがある。一方甲虫の幼生は,傷付けずに二週間ほどで魚の肉を片付け,羊の骨を二月できれいにすることができる。
ネズミの災い
◆ フィリピン群島はネズミの災いを受けていることを報告している。北部では,およそ2,000平方㌔に及ぶ農地の作物が大きな被害を受けたと言われている。
大量のひげそり道具
◆ パレード誌によると,定期的にひげをそる男性は約6億人もいるとされる。しかもこれには中国やインド,ソ連の男性は含まれていない。そのうちの八割は“湿式”で,かみそりを使用し,残りの二割は“乾式”で,電気ひげそり機を使うと言われている。かみそりでひげをそる人のために,毎年およそ100億枚もの刃が売られている。