世界展望
テレビで見る暴力の影響
◆ テレビで見る暴力の影響を調べるため,最近,同じ気質の子供を二人ずつ組み合わせることが行なわれた。一人は暴力番組を見せられ,他の一人は暴力と無縁な番組を見せられた。二人のうち,テレビの暴力番組をいつも見せられた子供のほうが身体面で例外なく他方の子供よりも攻撃的であった。テレビで暴力を見ることの長期的な影響について,サイエンス・ダイジェスト誌は10年にわたる実験の結果について次の事を報告している。「19歳の少年がどれほど攻撃的かは,好戦的な性格の程度,社会的地位,知的能力あるいは両親の行動とは関係なく,八歳の時にテレビで見た暴力番組の量と直接かつ重要な結びつきがある」。同誌は次のように結論している。「科学者が発見しているところによれば,ある種の影響とくに増大した攻撃的な態度は一生続くことがある」。
逮捕された狂信的な司祭
◆ アテネのデイリー・ポスト紙の伝えるところによれば,ギリシャのある村でエホバの証人の平穏なクリスチャンのわざを阻止しようと散弾銃を発射した司祭が逮捕された。司祭は武器の不法所持,武器の不法使用,公共の秩序と平和のかく乱および侮辱の罪に問われた。警察は司祭に助力した五人の村人をも逮捕した。
失業者がほとんどいない国
◆ 多くの国で高い失業率が長びく時代にあってスイスの失業者は依然として非常に少なく,最近の報告によれば約1万5,000人に過ぎない。スイスの人口はおよそ640万人であり,したがって失業率は1パーセントの4分の1以下ということになる。
最大のいん石
◆ 中国北東部の吉林<チーリン>省に降ったいん石群の中に史上最大のものとされるいん石が見つかった。いん石は地球の大気圏を通貨する間に砕けて100箇以上のいん石になり,その最大のものは村の近くに落ちてその衝撃で砕けた。その重量は合計1,770㌔に達し,これまでの記録に残る最大のいん石より700㌔も大きい。
薬に起因する先天的欠陥
◆ ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌は,妊婦5万人について調べた結果明らかになった事として,妊娠初期に女性ホルモンを服用した婦人からは心臓に欠陥のある赤ん坊が二倍も多く生まれたと述べている。妊娠初期に経口避妊薬をのんだ婦人の場合,心臓に欠陥のある赤ん坊は三倍も多かった。
薬の処方を誤る
◆ カナダ,オンタリオ州ハミルトンのセント・ジョゼフ病院のM・R・エイコング博士は英国内外科医師会の集会で発言し,不必要に薬を与えられている患者が多いと述べた。同博士は病院の三つの科 ― 婦人科,外科および内科を分析している。婦人科の患者の50パーセント,外科の患者の42パーセント,内科の患者の12パーセントにとって,処方された薬は不必要,不適当あるいは分量の間違いのいずれかであった。オンタリオ州ロンドンの腎臓専門医アダム・リントン博士は,ビクトリア病院の腎臓病患者82人について調べたところ,39人は明らかに腎臓に有害な薬を与えられていたと語った。同博士の言葉によれば,17例は腎臓病になった直接の原因がその薬にあるように思われる。
郵便集配人を守るラッパ
◆ 古代ギリシャの歴史家ヘロドトスは郵便配達夫について,「雪にも雨にも炎暑にも夜の暗やみにも負けず,これらの急使が定められた配達の順路を速やかに回り終えた」と述べている。このヘロドトスを感嘆させたに違いない郵便集配人がギリシャ,ミクロリバドの村を受け持っている。その村へ郵便配達に行く途中で,彼は六匹の狼の一群に襲われた。しかし彼は携えていたラッパを吹いて狼を追い散らし,引き続き任務を遂行した。
計算尺に取って代わる
◆ かつては計算の道具として数学者や科学者に愛用された計算尺も,最近はポケット電卓の普及によって姿を消すのではないかと憂えられるほどになっている。計算尺のあるメーカーは次のように語った。「馬が今なお見られるのと同じで計算尺も無くなりはしないだろう。しかし馬が自動車に取って代わられたのと同様,計算尺も電卓に取って代わられつつある」。計算尺はいちばん安い電卓と比べても安く,電池も必要としないので,今なお一部の人々の間に需要がある。
もどってきた大チョウザメ
◆ ソ連極東部アムール川流域原産の大チョウザメは濫獲のため絶滅の危険にさらされていたが,20年前にこの種類のチョウザメの漁が一切禁止されて以来,今日ではその数が二倍になっている。完全に成長したチョウザメの中には長さ6メートル,重さ1トンに達するものがある。
いちばん寒かった1月
◆ 米国気象庁によると,今年の1月は米国の東三分の二の地域で「米国はじまって以来の」記録的な寒さであった。気象庁では1800年にまでさかのぼる政府の記録およびそれより古い文書を調べてこの結論に達した。
欧州の持てる国はどの国?
◆ 欧州経済共同体の統計部門の報告によると,共同体の加盟国中,電話が最も普及しているのはデンマークで1,000人につき429台の電話がある。テレビが最も普及しているのは英国で309台となっており,車はルクセンブルクの357台がいちばん多い。これら三つのもののどれもがいちばん少ない国として挙げられているのはアイルランドである。
不妊奨励策
◆ 人口の大幅な増加を抑えることを急務としているインドでは,男性の不妊化にもっぱら力を入れている。「奨励テント」には置時計,腕時計,トランジスター・ラジオ,自転車その他の贈り物が並べられて志願者の説得に一役買っている。センターは「景品で勧誘する米国の貯蓄銀行の観を呈している」と,一観察者は述べた。「自発的な」計画を推進するための「報償」には現金も含まれている。一方,三人以上の子供を持つ親を「抑制するもの」として配給切符の支給が停止されることもあり,この計画に協力しない親の子供に対しては医療の拒否されることさえある。
人を乗せたクジラ
◆ ニュージーランドのネイピア港で二頭のオオギハクジラの立ち往生しているのが見つかった。潜水服とフリッパーをつけた海の動物のトレイナーと助手が妊娠している雌を暗礁から引き離した。その数分後にトレイナーは「おすの背によじ上り,かがみ込んで雌を誘導した。二頭を港の入口の方角に向けさせると,彼はクジラの背から降りて二頭のクジラがゆっくりと外海に向かって泳いで行くのを見守った。
混迷を打開?
◆ 中国共産党の人民日報によれば,何百万人の中国人が見なれてきた美辞麗句の多い,言葉ばかり多くて内容の乏しい新聞の政治記事は変革されようとしている。新しい方針の実施にあたって最近の一面には,不満を持つ読者からの投書9通が掲載された。その一人は次のように書いている。記事は「くどくて,もったいぶった,そして威圧的なものであるため」,人々は「新聞の見出しと本の表紙しか見ない」。
甘やかされたネズミ
◆ インドのタイムズ紙は「宗教がネズミ退治を妨げる」という見出しの下に,ボンベイの穀物商人が「市当局を妨げている」ことを報じている。インド人は再生を信ずるヒンズー教の信仰のため,牛を殺して食用にすることをしないが,この同じ信仰が,飢えるこの国で莫大な量の穀物を食い荒らすネズミを保護する結果になっている。タイムズ紙が注目しているように,係員の一人はねずみ取り器がしばしばいたずらされること,一度などは「ねずみ取り器を蹴とばして開け,ネズミを逃がしている商人を現行犯で捕えた」と語った。
歯による鎮圧
◆ UPI通信が最近伝えるところによれば,ギリシャのサッカー・ファンは感情を抑えるか,それとも歯による鎮圧に直面しなければならないようである。「政府のスポークスマンによれば,内閣は,制御できないファンに対処するよう特に訓練されたドイツのシェパード犬を海外で購入することを了承した」と報道は伝えている。アテネその他の町におけるスポーツ騒動がきっかけとなって,政府は問題を“犬の歯で解決する”ことに決めた。
インドの映画
◆ インドのイラストレイテイッド・ウイークリーの編集者によれば,1975年の間インドではどの国よりも多くの映画,13か国で470巻以上が製作された。インドではおよそ300種類の映画雑誌が出版されており,これはインドを除く世界全体の分を合わせたよりも多いと言われる。また8,500に上る映画館は他に娯楽のほとんど無い何百万人の観客から年間2億4,400万㌦(約732億円)の興行収入を上げている。インドの映画批評家ビクラム・シングはこれらの映画について最近次のように語ったと伝えられている。「我々は最も多くを作り,また最低のものを作る」。
『戦車を祝福する』
◆ カトリックの新聞寄稿家ガリー・ウイルズは,かつてのベトナムにおけるカトリック救援活動と軍との密接な協力関係について最近,論評した。彼は次のように書いている。「カトリック教徒は冷戦下の米国において最も信頼できる補充兵である」。しかし「軍隊を神の武器にするような好戦的敬虔さをもって,我々の政治と我々の宗教を融合することは政治と宗教の両方に有害である」と彼は述べている。ウイルズは次のようにも論評している。従軍牧師によって米国のカトリック教徒と新教徒は「殺りくという行為を中心に一致させられた。……僧職者は今なお戦車を祝福している」。
「耳の役をする犬」
◆ 盲人は盲導犬計画から長年の間,恩恵を受けてきた。米国人道協会(AHA)では今度は,耳の聞こえない人を助けるため,「耳の役をする犬」を訓練している。この訓練計画は盲導犬の訓練計画ほど大規模なものでなく,したがってそれほど費用を要しない。「まず最初に行なわれるのは,目ざまし時計と煙警報装置に反応するように犬を訓練することである」とAHAでは語っている。これらの犬は,耳の聞こえる人が反応を示す,ほとんどの音に対しても反応する。そして「耳の役をする犬」は主人をそっと突いて注意を促し,音を出している物のところへ走って行き,また走り戻ってくる。
自殺は“伝染病”
◆ デトロイト・ニューズ紙は,「恐るべき“伝染病”と専門家が呼ぶほど若者の自殺が増えている」ことに注目している。25歳以下の人々の間で自殺者の率は最近の10年間に三倍になった。麻薬によるものなど,表面に出ない自殺も多いので,実際の数字はもっと大きなものになる。自殺未遂の70パーセント以上は女子によって占められているが,実際の自殺に女子の占める率は40パーセントである。