世界展望
「世界的な流行」
◆ 最近,米国バージニア州アーリントンで開かれた,第一回若年者出産問題半球間会議で,39か国から集まった代表者たちは,十代の出産は「世界的な流行」の域に達しているとの結論を出した。メディカル・トリビューン紙の引用したところによると,イランのジャーナリスト,ナリア・カゼミアンは基調演説の中で次のように語った。「[年若くして]妊娠し,出産するという世界的な傾向は,身体的,社会的,そして人口学的な危機であり……社会組織全体を破壊しているという事実に直面[せざるを得ない]」。
禁煙を促す別の理由
◆ 最近行なわれた研究の結果,喫煙の習慣を持つ母親の母乳にはニコチンが含まれていることが明らかになった。「現代医学」誌の伝えるところによると,15人の婦人から得た34の母乳の標本のうち,喫煙の習慣を持たない婦人から得た六つの標本からはニコチンが発見されなかったが,「喫煙者から得た28の標本は,平均0.091ppmのニコチンを含んでいた」。
一週間の就労日数
◆ 米国労働省が最近明らかにした調査結果は,一週間に七日間働く人のほうが,それとは対照的に一週間にわずか四日間しか働かない人よりも多いことを示している。常勤労働者の1.9%(111万5,000人)は一週間に七日働いているが,一週間に四日しか働かない人はわずか1.2%(74万4,000人)にすぎない。しかし,米国の平均的な労働者は一週間に五日間働く。一週間に五日間働く人の数は全体の83%(4,980万人)である。この調査は常勤労働者だけを対象にしたものであり,パートタイマー,農業に従事する人,自分で仕事をしている人などは含まれていない。
照明の必要性
◆ 年老いた人は,若い人々よりも十分な量の照明を必要としているようである。少なくとも,ジェネラル・エレクトリック社のフィリップ・ヒューズ博士の説によれば,そうである。同博士はこう述べている。「一般に,目が老化してゆく結果,50歳になると,目の網膜に届く光の量が普通の50%余り減少し,60歳になると66%も減少する」。
ティーンエージャーと車
◆ デトロイト・フリー・プレス紙に掲載された一記事の中で,シドニー・J・ハリスは次のように述べている。「自動車事故でティーンエージャーが死亡する可能性は,平均的なドライバーが死亡する可能性を88%も上回る」。ハリスはまた,米国で「時速55マイル(約88㌔)の速度制限」が定められて以来,「事故の発生率が増えた唯一のグループ」は,20歳未満のドライバーであることを指摘した。
巨大な氷山
◆ 米国のロードアイランド州ほどの大きさの巨大な氷山が,これまで10年間にわたって南極周辺の海を漂流したのちこのほどジェームズ・ロス島の北方に無事漂着した。幅40㌔全長72㌔のこの氷山は,記録に残る氷山の中でも最大級のものである。米国航空宇宙局(NASA)によると,この氷山を米国カリフォルニア州沿岸に引いて行き,それが解けないとすれば,(現在の使用量のままで行った場合)同州に1,100年間飲料水を供給できる。興味深いことに,サウジアラビアは,同国の水不足を解消するために,南極の氷山を紅海まで引いて来られるかどうかを検討している。
“神の豚”
◆ 最近パプア・ニューギニアのゴロカに20人の神学者と人類学者が集まり,「住民にとっていっそう新しい伝統であるキリスト教と彼らの伝統的な文化との間で折り合いをつける」方法を討議したとポートモレスビーのポスト・クーリエ紙は伝えている。キリスト教を土地の伝統と混ぜ合わせる必要に迫られた神学者たちは,冒とくでないとすれば奇妙な案を提出した。その一人は伝統的な豚の祭りについて次のように書いた。「豚が予表したものは“神の豚”キリストにおいて真実となった。キリストはその死によって世に生命をもたらした。そしてそれは人間に対してだけではない」。
最も多くの言語に訳された本
◆ 米国聖書協会の最近の聖書言語報告によれば,聖書は全訳と部分訳を合わせて現在少なくとも1,603の言語で出版されている。最近に加えられた言語の中にはオーストラリアのナンヤッジャラ語,フィリピンのガダング語,パプア・ニューギニアのアラペッシュ語が含まれている。これらは聖書中のひとつの本の訳である。
いばらの問題
◆ 1971年のこと,隠退したあるデンマーク人がヘビノボラズの生けがきを刈り込んでいて,とげのある枝を積んだ中に落ちた。何度も起き上がろうとしているうち,何千本という針のようなとげの刺す痛みで気を失った。以来6年間,自分も医者も体からとげを抜いているが,抜いたとげはデンマークの医学史上記録的な数に上った。247回の往診後,病院の外科医長は,247回目の往診で抜いた261本を含め,合計3万2,131本のとげを抜いたことを報告した。6年たってもこのように多くのとげが出てくる理由は「医学的に見てますます不可思議である」と医師は語った。
病院代わりのホテル
◆ 高騰する入院費を抑えようと,ニューヨークの一整形外科医は新奇な方法を最近試みた。ニューヨーク・ポスト紙によれば,彼は豪奢なホテルで手術をする。そして患者は「廊下を車付きベッドで自分の部屋(一晩50ドル[約1万5,000円])に運ばれて回復まで」,医師の看護スタッフの世話を受ける。医師もホテルに泊まる。「このようにしていつでも患者の求めに応じられる」と彼は語っている。「ヘルニア,扁桃など,ほとんどすべての任意の手術は,このような場所でもっとよく,そして少ない費用で行なえる」と彼は断言している。「ホテルではリンネル類,宿泊,食事など,すべてのサービスが病院と比べればごくわずかな料金で供給される。それもそのはずで,これがホテルの業務なのである」。
“高度の知識を持つ”鳥
◆ 飛ぶ方角を定めるのに「[渡り]鳥が磁界を使う程度は,今まで思いも寄らなかったほど高度のものである」ことがサイエンス誌に報告された。渡り鳥は大きなアンテナ施設の磁界の上を飛ぶ時,方向や高度を普通の時よりも多く変えることが,研究者たちによって発見された。その変化は,アンテナの磁界が地球自体のそれと比べて1パーセント以下の強度であっても生じた。
鎮静剤としてのぶどう酒
◆ 雑誌「アルコール研究」に研究者たちが書いているところによると,たとえアルコール分を含まなくても,ぶどう酒には鎮静作用がある。ぶどう酒の残滓だけでも,アルコール分を含むぶどう酒と同じ鎮静作用のあることが動物実験によって明らかになったという。その効能は穏やかな鎮静剤に匹敵する。
模型以上のもの
◆ 最近,日本の飛行機愛好家のひとりが,模型飛行機のエンジン6基を装備しただけの飛行機に乗って飛んだと,英文読売紙は伝えている。彼を乗せた65キロの飛行機は高度3メートルから4メートルのところを約300メートル飛んだ。このような事が成し遂げられたのは初めてであるという。長さ6.7メートル,翼幅14メートルの手製のこの飛行機は製作に2年あまりを要した。アルコールを燃料とする6基のエンジンはそれぞれ握りこぶし程の大きさに過ぎない。
イスラエルにベイゲル
◆ イスラエルで初めてのベイゲル(ドーナツ型堅ロールパン)工場がテルアビブ郊外に作られたのは何年も前ではなくてつい昨年の事である。今でさえ百件の店で1日約2,000個のベイゲルが売れるに過ぎない。ユダヤ人であることとベイゲルを食べることがほとんど同義語になっている米国では,これは奇妙に思える。しかしイスラエルでは「店でベイゲルを見ても何であるかを知らない人が多い」と,この工場主の妻は語っている。とはいえ,ベイゲルは売り上げを日毎に伸ばしており,イスラエルでも次第にうけるようになっているという。
週間労働時間の短縮?
◆ 世界の工業国でごく普通になっている週五日制も日本では歓迎されていない。政府機関の幾つかは短縮された週を試験的に実施することを拒否し,銀行も計画されていた六日制から五日制への切り換えを無期限に延期した。文部省の提案した試験的な週五日制の実施も教育委員会によって拒否されたと最近の英文読売紙は伝えている。時間の短縮に抵抗があるのはなぜか。ひとつの理由は日本人の働き好きにあると多くの識者は見ている。土曜日が休みになってさえ,多くの人は時間外手当なしでとにかく勤めに出る。勤務時間後の居残りも普通である。
まじない師への支払い
◆ 米国アリゾナ州の大きな炭鉱で働くナバホ族のインディアンは,部族のまじない師の医療行為に対しても組合の健康および退職基金から支払いをしてほしいと要望した。料金は短い儀式の場合でも20ドル(約6,000円)から50ドル(約1万5,000円),長く手の込んだ“いやしの儀式”の場合には何千ドルにも及ぶ。ナバホ族は「痛みをやわらげたい時や情緒的な問題のある時,まじない師に頼る」とウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている。一方,普通の医師は体のけがの治療にあたる。
脚光をあびる“ビーファロー”
◆ 米国カリフォルニア州の一牧場主が開発した畜牛とバッファローの異種交配は,米国の農場主の間で流行のきざしを見せている。ペンシルバニア州の農場主ラリー・ロゥアーズは次のように語った。「我々は以前はヘレフォード種の牛を飼っていた。そして他のすべての農場主と同じく赤字だった。今度のは採算がとれるだろう」。彼は“ビーファロー”,ヘレフォード,ホルスタイン,ブラック・アンガスの子牛を牧草と他の粗飼料で一緒に育てる実験をした。“ビーファロー”は1,000ポンド(450キロ)に成長したが,他のものはその約半分にしか達しなかったと彼は報告している。それは病気や気候に対する抵抗力が他の家畜よりもずっと強く,また飼料を何トンも節約できた。ロゥアーズによれば,“ビーファロー”はと殺した時の歩留まりが普通の牛と比べて倍以上もよい。
効果的な速度制限
◆ 米国の国家安全委員会によれば,時速55マイル(時速89キロ)の速度制限によって過去3年間に少なくとも2万7,000人の米国人が命拾いをした。1973年に5万5,511人に達した死者は,1976年には約4万7,000人にまで減少した。
パパイヤの薬効
◆ 英国ロンドン発,AP至急報は,マイケル・ビウィック博士が,傷の上にパパイヤの細切りを乗せておくことにより手術後の化膿した傷口を治したことを報じている。ビウィック博士は,自分の属するチームに言及し,次のように述べたと伝えられている。「我々は,感染した様々な傷を持つ患者少なくとも10人をこの方法で治療したが,これは確かに効き目がある。なぜ効き目があるのかは分からないが,この果物の中に傷の治癒を促す成分が含まれているようである」。パパイヤは熱帯産の果物で,肉を柔かくするのに用いられる酵素を含んでいる。