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目ざめよ! 1978
目78 1/22 21–23ページ

北極海の漁業

ノルウェーの「目ざめよ!」通信員

カモメの甲高い鳴き声とディーゼルエンジンの単調な響きが聞こえ,潮の香と海草のにおいが漂い,鮮魚と腐った魚のにおいが鼻をつきます。ここはどこでしょうか。北極圏の奥深くにあるスボルバルという漁村です。この付近の海は,世界有数のタラ漁場です。

魚を満載して船底を深く水に沈めた小型帆船が続々と港に入ってきます。浜には活気がみなぎり,すべての人が自分の持ち場に急ぎ戻って,きょうの獲物を船から下ろしまた処理する準備を整えています。

わたしは,接岸したばかりの“海アジサシ”(Havternen)号の船長と話す機会を得ました。この船長は,ノルウェーの北部沿岸沖に浮かぶ大群島,ローフォテン諸島の出身です。

「ローフォテンの漁業も大きく変わりました」と,船長は話し始めました。「今でも,大規模なものであるには違いありませんが,わたしの若いころには,漁期ともなると3万2,000人ほどの人が働いたものです。今では,わずかその十分の一しか漁をしていません」。

“スクレイ”漁

スクレイ漁にはカッター漁船の大船団が出漁すると聞きました。スクレイというのは,ノルウェーの北東にあるバレンツ海から産卵のために回遊して来る6歳から15歳のタラのことです。スクレイは,メキシコ湾流の運んでくる塩分の濃い暖かい大西洋の海水と塩分の薄い冷たい北極海の海水が混じり合う海域を求めてやって来ます。この付近がちょうどそうした海域で,海水は適度の水温と塩分を保っているため,毎年1月初めにタラの大群が押し寄せます。そのタラを追って,ノルウェー中から漁船か集まって来るのです。

わたしは,大量の魚をたぐり込むための漁具に関心がありました。船長はそれについてこう説明してくれました。「100年ほど前には,古代のバイキング船に似た,かいと帆で動く小型の船が使われていました。今日では,エンジンをとう載した,長さ6ないし21㍍の船が用いられています。これらの船には新式の装備があります。

「ほとんどの船が,最長2,000㍍もの輪状の網を持っています。この網は,海中で垂直に垂れ下がらないで,風を含んだ帆のように中央部が膨らみ,魚が網の目にかかりやすいようになっています。袋状のきんちゃく網を好む漁師もいます。船が動いているときにこのきんちゃく網を流し,停船してウインチで引き上げるのです。幾千本ものつり針を付けた流し網で漁をする小型漁船もあります。数個のつり針を付けた一本のつり糸で魚をとる漁師もいます。このつり糸はジュクサと呼ばれ,漁師が律動的にこれをぐいぐいと引くと,魚がそれを追いかけるのです」。

多数の漁船がさまざまな漁具を用いて漁をするなら,漁場が混乱してしまうように思えますが,この点を船長に質問すると,彼はこう説明してくれました。

「そういうことはありません。漁法は法規によって細かく規制されています。海が幾つかの区域に分けられていて,同一区域内では同種の漁具を備えた漁船しか操業できないことになっています。この法律が守られるよう,監視船が出動して監視しています」。

ニシン漁

タラのほかに,多くの国の漁師の関心を集めている魚はニシンです。ニシン漁は,ノルウェーの漁業の中でも最も重要な位置を占めています。船長はこう語りました。「ニシン漁は多分にギャンブル的要素があるので,タラ漁よりもおもしろいところがあります。

「ニシンが産卵のためにノルウェーの沿岸に近付くと,漁の準備が始まります。港に待機しているわたしたちは,ニシンの接近を知らせる無線速報が入ると同時に出港します。ニシンは長さが28㌢から33㌢ほどのものですから,一般に目の細かいきんちゃく網を使用します。船上では,だれもが緊張し,興奮しています。無線のスイッチを入れて,“漁業情報”を伝える特別の周波数にダイヤルを合わせ,全員が漁獲情報に聞き入ります。

「ブリッジの上からは,見張りの鋭い視線が海面にそそがれています。カモメやアジサシが急降下して,くちばしにニシンをくわえて上がってくるのが見えれば,その付近には魚がいるはずです。また,魚群探知機も使用します。これは水中に音波を発振してその反射波を記録する機器で,非常に役に立ちます。音波がニシンの群れに当たって跳ね返ると,それは記録器のスクリーンに“現われ”ます。

「これが現われると,漁労長にそのことを連絡します。正確にいつ網を入れるかを決定するのはこの漁労長です。しかしその前に,漁労長は他の船員とともに小舟に飛び乗り,ニシンの群れを近くから観察します。やがて,“網を下ろせ!”という指示が出されます。鋭い笛の音を合図に,船は網を下ろしながら,全速力で魚群を取り囲むように円を描いて走ります。一周し終わると,網は袋状になります。この段階では,『ニシンがうまくかかったか,それとも逃げてしまったか』はまだ分かりません。

「わたしたちは,ウインチでゆっくり,慎重に引き上げられていく網を見守ります。うまくいっていたら,袋状の網の中は,銀色に輝くニシンで一杯で,海水は全く見えません。網を1回下ろすと,300㌧から400㌧のニシンがとれます」。

陸上げされた魚

わたしは,たるに入れられた魚の陸上げ作業を興味深く見守りました。魚は大きな容器に移されました。その周りには,鋭い包丁を持った男たちが待ちかまえています。そのうちの一人を見ていると,彼は魚をつかみ,まず腹を切り開きました。手を素早く3度動かしただけで,腸が取り出されました。包丁をさらに1,2度振ると,頭が落ちます。数秒間で,堅い卵,肝臓,腸が分けられて三つのたるに入れられ,頭は地面に積まれます。こうして,魚は,次々と,同じ熟練した手つきで素早く処理されていきました。

こうして処理された魚の一部は,目方を量り,水洗いをした後,氷を詰めた大きな木製の箱に入れられ,すぐに使われるものとしてノルウェーの各地に送られます。また,塩づけにされた後,乾かされて,クリップ魚として輸出されるものもあります。しかし,大半(50%前後)は“干物”にされます。

“干物<ストック・フィッシュ>”という名称は,戸外で乾燥させるとき,これを特製の干し台に掛けるところからきています。魚は夏まで台の上に干されています。このころまでに,魚の目方は鮮魚に比べてずっと軽くなっています。干物は食品価値が高く,容易には腐りません。ある地域が突然災害に見舞われたような場合,この種の魚は急場をしのぐ食物として役立ちます。

「魚は,ほとんどの部分が何かに利用されています」と,船長は話を続けます。「例えば,子供たちは魚の頭から舌を切り取って,かなりのお金をかせいでいます。油で揚げたタラの舌は,サンドイッチにはさんでも,食事のおかずにしても,おいしいごちそうになります。頭の残りの部分と他のくずは魚粉工場に送られます。堅い卵は,冷凍にされるか,かん詰にされるか,キャビアにされて出荷されます。蒸気処理された肝臓からは,ビタミンAとDの豊富なタラ肝油が得られます」。

人間は海を荒らしているか

この船長は近ごろ,一つの事を非常に心配しています。「わたしたちは海の資源を乱獲しており,何種類かの魚は絶滅の危機にひんしています。

「ニシン漁を例に挙げてみても,1950年に海洋学者たちは,冬ニシンの量を1,400万㌧から1,800万㌧の間と推定していました。しかし,今日では,これは絶滅に近く,冬のニシン漁は全面的に禁じられています。ニシン漁そのものを完全に禁止する以外に冬ニシンを救う道はないという声すら聞かれます。ローフォテンのタラ漁のかなめであるバレンツ海のタラ資源も危機にひんしています。中には,現在の漁獲量を“良好”と言う人もいますが,海洋学者に言わせると資源は『警戒を要する低水準』に下がっています」。

各国で協議して漁獲量を定め,魚資源を保護できないものだろうかと質問したところ,船長はこう答えました。「それは容易なことではないでしょうね。各国の漁獲量のことで合意に達することがまず問題となるでしょう。仮に合意したとしても,割当量はかなり高いものになるかもしれません。どの国も欲張りですから。その良い例は北極海のクジラです。数十年前には,毎年幾万頭ものクジラが捕獲されていました。しかし,今日では,北極海のクジラはほぼ絶滅しています。幾度も会議が開かれ,数多くの協定が結ばれ,何十回も漁獲量が定められたにもかかわらず,こうした事態になったのです! 彼らはただ話し合っただけでした。

「経済事情も問題を一層複雑にしています。漁船やその装備は非常に高価です。資本を投下したからには利益を上げなければなりません。ですから,魚が減ると,それだけ大きな努力を払って魚をとろうとします。その上,外国籍の漁船の数は爆発的に増えています。彼らも,ノルウェー沿岸の海の幸の分け前を得たいのです。ですから漁獲量を制限するのは,容易なことではないのです」。

北極海の漁業は,人類を益しているだけでなく,興奮を誘う活気のある仕事です。食卓に上る魚が減少しているのは,海の再生能力が不十分なためではありません。この問題の原因は,人類を悩ましている他の幾多の諸問題の原因と同じところ,つまり人間のどん欲な心にあるのです。

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