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目ざめよ! 1978
目78 4/8 10–12ページ

地熱の利用

エルサルバドルの「目ざめよ!」通信員

人口か400万余りで,面積がわずか2万1,000平方㌔の中央アメリカの一小国にとって,1975年8月7日は記憶すべき日となりました。石炭も石油も使わない地熱発電所がその日に操業を開始し,同国は発電用の燃料を輸入する必要がなくなったのです。では,どのようにして発電機を動かすのですか。地中深くに蓄積されている蒸気を利用するのです。

エルサルバドルは火山の多い国です。国土の中央を縦貫するかのように地殻の割れ目が走り,この断層線に沿って18の火山が並んでいます。少なくともそのうちの四つは,近年活動した記録のある活火山です。火山活動は水蒸気孔や間欠泉,地面のくぼみ(土地のインディアンの言葉でこれをアウソレスと呼ぶ)などによっても確認できます。

蒸気はどのようにして生成されるのでしょうか。科学者の説明によると,雨水が噴火口その他の透水性の大きい場所から地中に染み込み,やがて岩盤に達します。特に火山活動の盛んな地域では,岩盤が地表近くにたまっている溶岩に熱せられて高温になり,染み込んだ水が水蒸気に変わるのです。エルサルバドルの西部に位置するアウアチャパンには,直径8㍍から10㍍の泥池になっている地面のくぼみが幾つも見られます。これらの池では赤茶色から黄色まで,様々な色の泥が煮えたぎり,強烈な硫黄の臭気を漂わせています。これらくぼみにできた池は,長年の間,観光客の見物の対象となっていただけで,これを実用的な目的で利用する計画は何ら立てられませんでした。

地熱の研究が開始される

しかし,1950年代になって,水力発電の開発を担当する自治政府機関CEL(Comisión Ejecutiva Hidroeléctrica del Río Lempa)が地球に内在する力を利用した発電技術に関する新しい情報を入手しました。それはイタリアのラルデレロ近辺で行なわれていた地熱発電に関する情報でした。また,ニュージーランドのワイラケイでも,同種のエネルギー源を利用した発電技術の開発が行なわれていました。

このニュースは大きな反響を呼びました。当時,エルサルバドルでは,河川の水を利用した水力発電の開発に着手して間もないころでした。しかし,そのようなエネルギーを有効に利用するには,やがては火力発電が必要となります。燃料に石油や石炭を用いるなら,それを輸入しなければなりません。一方,天然蒸気を利用すれば,同様の目的を達成することができるのです。

1953年に,アウアチャパン地区で,地熱に関する最初の調査が開始されました。1958年には,プラヨン・デ・アウアチャパンとエルサリトレの原野に11本の浅い探査用の井戸が掘られました。そして,1966年には,200平方㌔に及ぶ地域で,地質学および地球物理化学上のより詳細な調査が開始されました。

調査の結果,これをエネルギー源として利用できる有望な見込みのあることが判明しました。1968年に,深さがそれぞれ865㍍,981㍍,1,192㍍の3本の試験井が掘られました。このうちの1本は蒸気源に達しませんでしたが,他の2本の井戸からはそれぞれ摂氏231度と208度の蒸気が噴き出しました。蒸気圧は各10㌔グラム/㌢ありました。これらの井戸から1年以上にわたって蒸気を噴出させ,蒸気圧や温度が一定に保たれるかどうかを調べました。1970年の1月には,アウアチャパンのプラヨン原野に深さ700㍍から1,400㍍のさらに6本の井戸が掘られました。こうして,3万㌔ワットの地熱発電所の建設が技術的にまた経済的に可能かどうかを探るデータが集められることになったのです。この発電所は,アウアチャパン地区の推定開発熱量(10万㌔ワットの発電量に相当)を完全に利用する第一段階でした。

燃料を使用しない発電所の建設計画

発電出力3万㌔ワットの最初の発電所の建設工事が1974年に開始されました。この発電所は1975年8月に竣工し,操業を始めました。二つ目の3万㌔ワットの地熱発電所の工事は1975年に開始されました。これに伴い,深さ600㍍から850㍍の井戸をさらに5本掘ることが必要になりました。2番目の発電所は1976年に電力を供給し始め,出力3万5,000㌔ワットの第3の発電所は現在建造中です。この発電所は,最初の二つの発電所の蒸気井で得た蒸気を利用することになっています。このように,アウアチャパンの地熱を利用して,今年中に9万5,000㌔ワットの電力が継続的に得られるようになる予定です。これらの発電には石油も石炭も要りませんから,年間2,850万クローネ(約28億5,000万円)の国費が節約できることになります。

これまでに良い成果が得られたために,東部地区でも探査研究計画が積極的に推し進められるようになりました。拡充された地熱発電計画に基づいて,この国の東部地区でも新たな井戸が掘られています。

環境汚染

石油や石炭などの燃料や原子燃料を使用する発電所では汚染の問題が生じています。ばい煙やガスなどで大気は汚染され,冷却用の排水で湖や河川が汚染されるのです。燃料の燃えかすの処理も,地域社会にとって深刻な問題となっています。

それに対し,地熱発電所は燃料を一切用いないので,環境汚染の問題はほとんど生じないとお考えかもしれません。ところが,地熱発電所の蒸気井から噴出する蒸気やガスや水によって環境汚染の問題が生じ得るのです。

高温の乾いた蒸気が噴出する所では,天然流出物に高濃度の硫酸塩や若干量の酸類,微量の塩化物などが含まれています。こうした水の中には,主として硫酸塩や炭酸水素塩が含まれていて,幾らかアルカリ性を帯びているものもあります。また,高濃度の二酸化炭素やホウ素,アンモニアなどが含まれている場合もあります。もう一つの成分である硫化水素は非常に有害で,環境汚染の問題を引き起こしかねません。

蒸気の噴出する原野では多量の残留水が排出されます。通常,そのような水は塩分が強く,動植物に有害です。ホウ素の濃度も常に高く,抵抗力のある品種の穀物でさえ育ちません。一般に,こうした水にはヒ素が含まれているため,人間が使用するには不適当とされています。

このように,残留水を最終的に処理する方法が重大な問題となります。現在のところ,主に次のような方法で処理されています。(1)海に投棄して希釈する。(2)川に流して希釈する。(3)底土に再注入する。(4)池にためて蒸発させる。

海に投棄して希釈するには経費がかかります。また,地熱地帯が内陸にある場合は,かなりの困難が伴います。川に流して希釈する方法もありますが,毒物の濃度を許容限界内に抑えなければなりませんから,この方法が使えるかどうかは川の流水量にかかっています。乾期には,大抵,水量が非常に少なくなるため,この方法を使うことはできません。底土層に再注入する方法は,残留水に塩分の含まれていることが多いため,好ましくない場合があります。塩分が井戸の内壁にたい積して,ふさいでしまうからです。池にためて蒸発させる方法は,その地域に池を作るだけの大きな平地があり,降雨量がごく少ない場合にのみ有効です。

アウアチャパンの地熱発電所では,残留水を覆いのない水路で海に流して希釈しています。また,土じょうに再注入する方法も実験に成功しています。

経済的な面

地熱発電所を,従来の発電所,つまり水力発電所や,石油や石炭を使用する火力発電所などとコストの面で比べてみるのは興味深いことです。アウアチャパンに9万5,000㌔ワットの地熱発電所を建設するには,1㌔ワットにつき700㌦(約17万5,000円)の資金が投下されたものと推定されています。この発電所で1㌔ワット時の電力を作り出すのに要するコストは0.005㌦(約1.3円)です。一方,エルサルバドル最大の水力発電所セロングランデ発電所では1㌔ワット時あたりのコストは0.004㌦(約1円)です。しかし,燃料に石油を使用している,現在操業中の火力発電所では,1㌔ワット時の電力を作り出すのに0.024㌦(約6円)の費用をかけています。これは,地熱発電所の5倍の経費です。エルサルバドルが,石油や石炭を使用しない発電所の建設に熱心なのも不思議ではありません。

世界じゅうでエネルギー危機が深刻化している今日,品薄で価格が高騰している輸入石油に代わる新たなエネルギー源を探している国は少なくありません。地球自体に内在する力,つまり地殻の奥深くからわき上がる地熱は,確かに有用なエネルギー源です。ですから,くぼ地から噴煙が上がって火山活動の徴候の見られる他の国でも,足の下にうずもれているこうした宝を発掘し始めることでしょう。

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