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目ざめよ! 1978
目78 5/8 20–23ページ

スプレー製品の功罪

オーストラリアの「目ざめよ!」通信員

あの小さなスプレー容器から,どうしてあんなに沢山のシェービングフォーム(ひげそり用のあわ状クリーム)が出てくるのだろう,と思ったことがありますか。まるで底なしのようです! ところが実際には,容器の中にあわなど全く入っていないことをご存じでしたか。

どうして,そのようになるのでしょうか。その理由はすぐに分かるでしょう。ありきたりの“スプレー容器”であっても,その内部には外側から見ただけでは分からない多くの事柄が関係しています。

実用的で便利なこれらエアゾール噴霧器を作るには,高度の技術を必要とします。スプレー製造のかぎとなるのは,容器から製品を押し出すのに使うガスつまり“推進剤”です。これが重要なのは,推進剤が幾つもの特別の条件をみな同時に満たしていなければならないからです。

うってつけの推進剤

空気その他の気体を圧縮しさえすれば,推進剤になるというわけではありません。理想的な推進剤は不燃性で無害でなければなりません。また,製品の質や香り,味などに影響を与えてはなりませんし,噴霧器の内部を腐食させてもなりません。推進剤は,噴出物に注文通りの湿り具合い,乾き具合い,またきめの細かさを保たせることが必要です。さらに,いろいろな製品の濃度に適した様々な圧力を与えることが必要です。また,液体の最後の一滴に至るまで噴出させるに必要な圧力を維持することも求められます。

明らかに,こうした条件すべてを満たす物質はごく限られています。プロパンやブタンなどの炭化水素系のガスはこうした条件の多くを満たしますが,幾分においがあるのと引火性の強いことが難点になっています。そこで,多くの実験が繰り返され,フルオロカーボンと呼ばれる気体がこれらの条件を最もよく満たすことが明らかになりました。

比較的低い圧力の下で,これらのガスは液体になり,様々な製品と容易に混ざり合います。その際,製品の品質には何の影響もありません。フルオロカーボン系の種々のガスを単独もしくは混合して用い,用途に応じた圧力や特性を得ることができます。

フルオロカーボンの用途の広さを示す一つの例にシェービングフォームがあります。前にも述べたように,容器の中にあわは入っていません。液体のフルオロカーボン推進剤と流体の製品が圧縮された混合液で容器に詰められているのです。この混合液がノズルに達して,突然圧力がなくなると,その中の推進剤が瞬時に気化して,無数の小さな気泡を作り出し,混合液はあわ状になるのです。

ですから,ボタンを押すだけで,犬の体を洗浄したり,包帯の上から薬剤を吹き付けたり,即席のオードブルを作ったりすることができます。今では,サメ撃退用のスプレーまでが作られています。事実,現在では300種以上のスプレーが出回っていると言われており,必要ならばほとんどの製品を“スプレー容器に収める”ことができると言われています。

スプレー製品の半分以上にこのフルオロカーボンが推進剤として使われていることを見ても,フルオロカーボンの多用性が分かります。残りのスプレー製品には,おもに炭化水素系のガスが用いられており,ごく少数ながら他の圧縮ガスが使用されているものもあります。「換気のよいところだけで使用してください」とか「火のそばで使用しないでください」とかいった注意書きが容器に記されているのをよく見かけますが,これは,引火性の強い炭化水素系のガスが推進剤としてかなりのスプレー製品に使用されていることを裏書きするものです。

「熱にさらさないでください」とか「直射日光の当たる場所に保管しないでください」,「カンに穴を開けたり,カンを火中に投じたりしないでください」といった注意書きが推進剤の種類と関係があるかどうかに注目してみる必要があります。スプレーによっては,火の近くに放置したり,炎天下で自動車の中に放置しておいたりすると,破裂する危険があります。これには,ガスの圧力のほかに,製品の性質や,製品のきめを細かくするために加える他の液剤の性質が関係していることもあります。

世界的に統一されたエアゾール噴霧器の安全規準といったものはありませんが,大抵の容器は高温高圧の条件下で試験されており,相対的な安全度が確認されています。事実,普通の室内温度の下では,スプレー容器の内圧が一般の清涼飲料水の内圧よりも低いこともあります。

こうした長所を備えてはいるものの,いまだに議論の的となっている科学上の問題のために,推進剤としてのフルオロカーボンガスの人気は近年下降線をたどっています。

スプレー製品とオゾン

スプレーのボタンを押すたびに潜在的な危険が存在していると言われています。その元凶と目されているのは,容器そのものやその中に収められている製品ではなく,スプレーの働きをよくするために推進剤として使われているフルオロカーボンです。スプレーから放出されるこうしたガスは過去30年以上にもわたって蓄積されており,大気高層部の“オゾン層”に影響を与えていると言われています。

オゾンは極めて活発な酸素の同素体で,大気中の酸素が紫外線の働きを受けて生じるものです。オゾンが検出されるのは地表10㌔から50㌔の大気中で,その量は高度20㌔から25㌔の間で最高に達します。太陽の輻射線によって造り出された層自体は,太陽から来る有害な紫外線の大半をしゃへいする働きがあります。そうした紫外線の量が増大するにつれて,皮膚ガンが増すと言われています。

幾年にもわたって放出されている膨大な量のフルオロカーボンは,大気中をゆっくり上昇し,やがてはオゾン層を突き抜けると言われています。一度この保護層の上に出ると,フルオロカーボンは太陽の紫外線にさらされて崩壊し,塩素原子や酸化塩を放出します。これが媒体となって,オゾンが少しずつ破壊され,普通の酸素に変わっていきます。こうして,地球を保護するオゾンはしだいに薄くなっていくと考えられています。

オゾンの減少に伴う他の潜在的な影響についても,現在研究が行なわれています。オゾン層には紫外線を熱に変える働きがあり,これが地球の気温や天候の型に直接もしくは間接に影響を与えています。ですから,オゾン層に生じる変異は地上の多くの物事に影響を与えるものと考えられています。穀物の収穫量や植物の生育,森林や海洋,魚や動物の生命などはみな,なんらかの影響を受ける可能性があります。

詳細な研究が行なわれた結果,オゾンの濃度は昼と夜の間だけでも25%近くも変化する事実が明らかになりました。また,この濃度は11年の周期で変化しているように思われます。これは太陽黒点の影響によるものでしょう。オゾンの大半は太陽光線を多く浴びる赤道附近の上空で生成されますが,作り出されたオゾンはしだいに両極に移動し,極地上空のオゾンの濃度や層の厚さは他と比べて幾分増しています。

相互に依存する要素が数多く関係しているため,科学者が何かを発見しても,ある程度の確実性をもってそれを確証したり,修正したり,退けたりするには,5年から10年を要すると言われています。しかし,現在の割合でフルオロカーボンが放出され続けるなら,オゾンの濃度はやがて7%ほど減少するであろう,と推定している人もいます。もっとも,誤差の幅はかなりあるものとみられています。

ガスはごくゆっくりと上昇するため,フルオロカーボンガスの使用をここで完全に中止したとしても,すでに大気中に存在しているガスが引き続き上昇し,今後10年にわたってオゾン層に影響を与えるものと科学者は考えています。その場合でも,失われたオゾンの半分を回復するのに65年以上,また正常に戻るには100年以上もかかると推定されています。

幾つかの反対意見

ほとんどの研究者は,フルオロカーボンがオゾン層になんらかの悪影響を与えており,それによって皮膚ガンが発生しやすくなっていることを認めています。しかし,すべての人が,オゾンの減少に皮膚ガンの主要な原因があると考えているわけではありません。第一次世界大戦以後の皮膚ガンの発生率は人口増加率を大きく上回っており,ある科学者はオゾンの減少がこれに関係しているとしても,それは極くわずかであろう,と考えています。

これらの科学者は,オゾンの濃度が高い時期にも皮膚ガンが増えていた事実を指摘しています。彼らの意見によると,皮膚ガンの増加は生活様式の変化に多分に関係しています。人々が戸外でレジャーを楽しむ時間が多くなり,気候の暖かい土地に旅行する機会も増えました。休暇の際や仕事中でさえ,衣服を気軽に脱ぐ傾向もあります。

こうした変化によって,人々は以前よりも紫外線に多く当たるようになっており,皮膚ガンの増加は,オゾンの減少よりもこうしたことに原因がある,と彼らは反論します。その点を次のように例証することができます。これらの科学者が指摘するところによると赤道と極地の間のオゾンの濃度が高くなっているので,地球に達する紫外線の,スプレー製品によって生じると予告されている増加量は,人が,英国の北部から南部に移った場合に受ける紫外線の量の相違以上のものではありません。

これら批判的な科学者たちは,日焼け止めオイルやローションに,有害な紫外線の波長と同じ波長の光を吸収する物質を混ぜることによって,皮膚ガンの発生をかなり防止することができる,と主張します。

フルオロカーボンの使用が禁止された場合

フルオロカーボンの使用が全面的に禁止になるなら,わたしたちが当たり前と思っている多くのものが影響を受けることになります。これらのガスは,世界じゅうのほとんどすべての冷却装置の冷媒として使用されています。現在のシステムでは,これ以上の働きをするガスはありません。

また,フルオロカーボンは,軽量パッキング,じゅうたんの裏張り,床張り,人造皮革やいす張り材料,浮揚体,コップ,アイスボックス,断熱材その他の多くのなじみのある泡沫プラスチック材を製造する際に吹込み成形する試剤としても用いられています。現在のところ,これに代わるべき物は発見されていません。他のガスを用いると,火災の危険が非常に高くなったり,製品の質が低下したりします。

フルオロカーボンの使用が禁止されるなら,様々な業種が影響を受けることでしょう。食品,運輸,繊維,電子工学,自動車,光学,塗装,印刷,写真,鉄鋼業などはその一部です。病院や製薬会社でさえ損失を被るでしょう。

しかし,使用されるフルオロカーボンの約四分の三がスプレーに使用されており,残りの四分の一が冷媒やプラスチックなどを中心に使用されているにすぎません。ですから,現在のところ,さほど必要でない物に関してはスプレーの使用を控えるよう努力が払われています。専門家の多くは,フルオロカーボンの使用を全面的に禁止するよりも,その使用に制限を課すよう強く勧めています。米国のオレゴン州ではその種の法律が制定されており,1977年3月1日以降,スプレー製品にフルオロカーボンを混入することが禁止されています。

それに代わる物があるか

前にも触れたように,炭化水素ガスは理想的な推進剤に求められている条件の幾つかを満たしていますが,引火性と,においの強いのが難点とされています。種類によっては人体に有害であり,最後の一滴までむらなく噴き出るとは限りません。この種のガスは,クリーナー,ワックス,塗料,自動車製品など,可能な分野ですでに広く使用されています。しかし,この種のガスが将来環境に有害な影響を与えないと保証するものは何もありません。

殺虫剤や練り歯みがき,食品,調理用具のスプレーなど固い流体やねっとりとした物を噴き出すのに,圧縮ガスも用いられています。しかし,この種のガスは,フルオロカーボンのように,どんな製品とでも混ざり合うわけではなく,容器の内圧も,内容量が減るにつれて低下していきます。

現在広く使用されているポンプ式の器具の中で,スプレーに匹敵するものはまずありません。ポンプ式の場合,噴出物にきめの細かさが欠け,むらがあり,たれたり流れ出たりすることがあります。また,中味が漏れる場合があり,噴出物が思い通りのところへ行かないことは珍しくありません。空気が漏れて製品の質の損なわれることもあり,ポンプ式の場合噴出物が十分遠くまで届かないことも少なくありません。

新製品を開発したり,現在の製品の化学組成を変え,引火性の強い炭化水素ガスの推進剤を一層有効なものとしたりする研究が広く行なわれています。こうした変更が今後の製品の質に不利な影響を与えるかどうかは,消費者が判断しなければなりません。しかし,価格はどうしても今のものより高くなるでしょう。

今日,ほとんどすべてのエアゾール製品にはそれに代わるものがあり,質的にも見劣りのしないものです。ある品物に限っては便利なスプレー製品を使うのをやめ,一方他の品物の場合には現代の便利な生活様式に寄与するスプレー製品を引き続き使用して行こうと思っておられるかもしれません。いずれにしても,ここしばらくの間大抵のところでは,その判断はあなたにゆだねられています。

[21ページの囲み記事]

● 適切な換気のもとで使用し,霧状になったものを吸い込まないこと。

● 子供の手の届かないところに置くこと。

● 目や口に向けて吹き付けないこと。

● 火気から遠ざけること。

● 穴を開けたり,火中に投じたり,49℃以上の場所に保管したりしないこと。

[21ページの図]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

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推進剤 空間は蒸気で満たされている

吸い上げチューブ

有効成分と液状推進剤

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