世界展望
国際大会が始まる
◆ 1978年のエホバの証人の114を数える一連の“勝利の信仰”国際大会が,六月の半ば,アメリカの四か所を皮切りに始まった。“イエス・キリスト ― 諸国民が清算しなければならない勝利の王”と題する力強い公開講演を聞くため,ダラス,ミルウォーキー,ニューオーリンズ,ワシントン市に合計15万5,000人を超す人々が集まった。金曜日午前中の特別な伝道活動の際,大会委員は,米国首都の市長,ウォールター・ワシントン氏を訪問した。市長はエホバの証人がロバート・F・ケネディ・メモリアル・スタジアムで示している立派な振舞いに感謝の意を表明し,その後の日曜日には自らスタジアムに赴いた。その時に注目を引いたのはその清潔さや家族の一致が見られることだったが,同氏は他の宗教組織もこの優れた模範に見倣うと良いだろう,と述べた。ニューオーリンズの二つの大会に注目した同市の市長アーネスト・モリアル氏は「1978年6月はニューオーリンズにとってものみの塔聖書冊子協会の月になった」と言明した。
ペストに対する警告
◆ 世界保健機構(WHO)の最近の報告によれば,日本の神戸のある倉庫で捕まった1,600匹のねずみのうちから,ペスト菌を持った四匹のねずみが発見された。この事件はペストに対する注意を喚起するものとなった。トゥー・ザ・ポイント・インターナショナル誌は,このペストが原因で「14世紀の終わりまでに4,300万人が死亡した(が),最近は,小規模に発生するに過ぎない」と述べている。二年前の世界保健機構の報告の中には,741人が感染し,そのうち85人が死亡したと書かれている。1975年には,アンゴラで49件,モザンビークで16件,ザイールで12件,1976年ではマダガスカルで50件の症例が報告されている。しかし1968年から1976年の期間中,ヨーロッパでは2件しか発生していない。
飲酒運転はなぜ間違っているか
◆ アルコール飲料は自動車事故に巻き込まれる危険を増し加えるだけでなく,心臓の機能に障害をもたらすので,ある種の傷が命取りになる確率も高くなる。ペンシルバニア州立大学のゲアリー・G・ニコラス博士の行なった研究は,このことを示唆しているようである。実験の中で,幾匹かのねずみにはアルコール溶液が注入され,他のねずみには何の処置も施されなかった。それから,自動車事故に遭った時に運転手がハンドルに胸をぶつけて受ける傷害に匹敵する傷がすべてのねずみに加えられた。アルコールを注入されたねずみの九割は死亡したが,アルコールを与えられなかったグループは二割が死亡したに過ぎない。
“目ざましい増加”
◆ 国勢調査局の研究は,米国の離婚率が“目ざましく増加”していると説明している。1977年3月に集計された数字をもとにして,その研究は,結婚した1,000人につき84人が離婚したことを明らかにした。1960年代はその比率は34%増加しただけだったが,1970年以降,米国内の離婚率は79%も増加している。
闘牛の衰退
◆ スペインにベテランの闘牛士は三人しかいないと言われている。パレード誌によれば,「あざやかなケープさばきと見せ物的な華やかさを見分けられる闘牛マニアは,闘牛が観光客のなぐさみに成りさがってしまったと語っている」。スペインの子供たちはサッカー選手になることの方を望んでいるという。
骨折した足の治療
◆ 西ドイツのグラトペックにある聖バルナバ病院では,長い間足の骨折に用いられてきた石こうのギプスが,ハード・フォーム製,チャック付きの枠に道を譲りつつある。これらの枠は重量がギプスより軽く,事実上石こうより硬い。しかも簡単に取りはずしができる。
プラスチックの新しい水道管
◆ ネパールでは,バクタプル寺院の下を走る10㌔の水路のために,プラスチックの新種の管が使われている。西ドイツのある会社が開発したこのプラスチック管は,通常の金属製の水道管より丈夫であると言われ,しかも定期刊行物スカラ誌は「各プラスチック管はいったん敷設されると完全にしっかり締めつけられるので耐震性も備えていると思われる」と述べている。
自殺の記録
◆ ハンガリーは他のどの国よりも自殺率が高い。その要因の中には雇用問題や住宅問題があると言われている。ニューヨーク・タイムズ紙によれば,去年は約4,500人が同国で自殺を遂げた。このハンガリーの自殺者の数字は,自殺率世界第二位を占めるデンマークを50%も上回っている。ハンガリーでは過去一年間に二万人以上の人が自殺を企てたものの,未遂に終わったと報告されている。
彼らは『同居している』
◆ 国勢調査局が最近発表した統計は,1977年3月現在(数字を集計した時点)で,アメリカ在住の独身者のうち150万8,000人が異性のだれかと二人住まいの世帯で生活していることを明らかにした。1976年にこうした生活を送っていた132万人と比べると,この数字は一年間に14%の増加があったことを示すものである。これらのカップルが個人的にどんな関係にあるかは知らされていないが,調査局は「その中の大多数はパートナーかルームメイトか,仲間か友人であるように思われる」と述べている。
磁石製の口
◆ アルバニー医科大学のウィリアム・スミス博士は,ゼネラル・エレクトリック社の磁石技術者の助けを得て,自動車事故の犠牲者となった17歳の人のため,一そろいの人工的上あごを作り上げた。プラスチックの三つの部分をつなぐため,14個の小さなコバルトサマリウムの磁石が用いられた。この人工的なあごは,掃除のため簡単に取り外すこともできる。この若者の“磁石製の口”はその種の最初のものである。上あごの各部を合わせた重さはわずか85㌘しかない。
倹約の風潮
◆ 最近の報告によると,アメリカ国民は他の工業国の人々と比べると,手に入ったお金を使い果たしてしまいがちで,貯蓄をすることもあまりないことが明らかになった。アメリカの場合,税引き後の収入に関する貯蓄率は,1967年に7.5パーセントであったものが1977年には5.1パーセントに下がっている。カナダの貯蓄率は11年前の6.2パーセントから9.8パーセントに上昇した。これは,国民の間に倹約を促した政府の努力のたまものと考えられている。他の国の貯蓄率は英国が13.9パーセント,西ドイツが14パーセント,フランスが16.1パーセント,そして日本が21・5パーセントである。ザ・ウォール・ストリート・ジャーナル誌は次のように論評している。「アメリカの場合,貯蓄の傾向が低下し続けるのか,それとも強まってゆくのかを知ることはできない。その多くは当然,政府の政策が貯蓄を奨励するか妨害するか,その程度いかんであろう」。
心臓発作と女性喫煙者
◆ 新しい研究が明らかにしたところによれば,50歳以上の女性でたばこをひんぱんに吸う人は,心臓発作に襲われる危険性が20倍も高くなる。ボストン大学医学部で行なわれた研究がニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌上に報告されているが,それは,ほかにはどこも悪くない女性の心臓発作のうち,75パーセントは喫煙によって引き起こされることを示唆している。たばこを吸う10代の少女の数が過去10年間に倍になっているので,医師団の報告は次のような注釈を加えている。「もしこの傾向が変わらないならおそらく,喫煙が原因となって,ほかにはどこも悪くない女性が,ますますひんぱんに年齢に不似合いな心筋梗塞症[心臓発作]を経験することだろう」。
家族への処方せん
◆ 西ドイツの首相,ヘルムート・シュミット氏はドイツ人がテレビを見て過ごす時間があまりに多いので,テレビは家庭を破壊する一因になると考えている。現在同首相は家族が週に一日テレビを消し,話をすることを勧めている。シュミット氏は最近次のように語った。「我々は結婚した夫婦であれ,親子の間柄であれ,また友人同士の間であれ,十分に話し合うことがない。我々はだんだん寡黙になっていく。恐ろしいことだ」。
イスラエルで堕胎を合法化
◆ イスラエルのクネセット(国会)は堕胎を合法化する法律を通過させた。この新しい法律は公布後一年してから発効する。それによると16歳以下または40歳以上の婦人に限り,その妊娠が不義な性行為の結果生じた場合,赤ん坊が身体障害を持って生まれて来る見込みのある場合,母親の感情的身体的健康が危険にさらされる場合,ないしは子供が生まれると深刻な経済的困難が生じる場合に堕胎が認められる。正統派ユダヤ教徒はこの法律に猛烈な反対を示し,ユダヤの律法下において堕胎は殺人罪であり,母親の生命が危機にひんした場合にのみ許されるべきものだと論じている。この新法は事実上,イスラエルで普通に行なわれている習慣を合法化するものである。最近のある研究が明らかにしたところによると,イスラエル人の女性の46.7パーセントは,40歳になるまでに少なくとも一回は堕胎を経験していた。
麻薬常用者の毒を抜く
◆ 「我々はどんな患者であっても,禁断症状の苦しみを味わわせることなく,毒を抜くことができる」。これはカリフォルニア州,リバーサイドにある麻薬中毒患者リハビリテーション病院のアルフレッド・リビー博士が,記者会見で語った言葉である。同博士の処方は,処方薬としてしか販売されていないアスコルビン酸ナトリウム,つまりビタミンCの一形態を大量に投与するという方法である。麻薬常用者にはたん白質が不足するだけでなく,ビタミンCが欠乏すると同博士は述べている。さらにリビー博士は,七日間でヘロイン常用者を“清めること”はできるが,メタドンの愛用者を治療するには10ないし14日間かかると語っている。
“第三世界”におけるより高等な教育
◆ 発展途上国では,法律学者よりも医者の方が必要とされている。しかし貧しい国では全般的に言って医学よりも法律を学ぶ学生の方が多いと英国のニュー・サイエンティスト誌は報じている。あるアフリカの国などは,医学生一人に対し,法律を学ぶ人は三人もいる。それとは対照的にカナダでは,医学を志す学生は法学を志す人の三倍近い。発展途上国ではなぜこれほどに法律が重要視されているのだろうか。ニュー・サイエンティスト誌は次のように説明している。「第三世界では確かに法律が好まれているが,それは政治権力を得る手段として法学がより重要な立場を占め,より大きな可能性を秘めているからである」。
終身雇用のパートタイマー
◆ 米国労働省によって発表された研究によれば,アメリカの労働者12人のうち一人はパートタイムで雇われた人である。今や,会社側はパートタイムで終身雇員となる人を次第に採用するようになっている。なぜだろうか。それはこれらの働き手が,常勤の従業員よりも経費がかからず,おおむねより産出的でより信頼できることに気付いているからである。