世界展望
軍費の新最高額
◆ 兵器や軍人のため,一年間に全世界で費やされる金額は今や4,000億ドル(約80兆円)の大台を超えた。現在の増加率でいけば,今世紀の終わりまでにその額は1兆㌦(約200兆円)に達するものとみられる。現時点における軍事費の約五割はアメリカとソ連で占められているが,発展途上国でも今では,他のどんな計画よりも多額の費用を軍事のために費やしている。
東洋一高いビル
◆ 東洋一高いビルが今年の初め,東京の池袋にオープンした。このオフィス・ビルは60階で高さは240㍍。このビルにある37台のエレベーターのうち,2台は展望台に直行するが,秒速10㍍で30秒以内に屋上につくため,世界一速いエレベーターと評されている。当局者の話によるとこのビルは,地震の頻発する日本で,現在の科学技術をもって建造しうる最も高い建物であるという。それは1923年に約9万人の犠牲者を出した関東地方の地震の3倍の震動にも耐えられるよう設計されている。
ごみから得られる電力
◆ ドイツのミュンヘン市は同市の電力の約12パーセントを,同市の出すごみを燃やし,その際に得られる水蒸気で発電機を回すことによりまかなっている。パリでは数か所の工場が,毎年ほぼ170万㌧のごみを用いて電気を起こしたり建物の暖房に役立てたりしている。それによって毎年推定48万バーレルの石油が節約されることになる。ロッテルダム近くにある世界最大の廃物焼却工場では,毎日3,200㌧のごみを使っている。そこでは5,500万ワットの電力を生産し,同時にライン河の水を脱塩している。廃棄物を発電・発熱のための燃料として利用していると伝えられる世界の262の工場のうち,四分の三は西ヨーロッパにあり,残りの大部分は日本にある。
血圧を高めるもの?
◆ 米国フィラデルフィアの医師,ハシブ・タニョール博士が最近,大学とプロのフットボール選手298人についてその血圧の調査を行なったところ,26パーセントの選手に高血圧の症状が見られた。フットボール選手のこの罹病率は,国民一般のそれより二倍以上も高かったと同博士は指摘している。ペンシルバニア州,イーストンのザ・エクスプレス紙は次のように報じている。「博士はこの調査結果からすると,フットボールに限らず,同様な他のいくつかのスポーツについても,その健康上の意義に関して大々的な再調査を行なわねばならないと感じている」。
交通事故の死亡者数
◆ この19年間では初めて,日本の交通事故による年間死亡者数が9,000人を割った。去年の8,945人という数字は,1970年の死者1万6,765人という記録からみると急激な減少である。この減少は主に,日本の非常に厳重な交通法規とその徹底した施行によるものと見られる。米国は1977年に4万6,880人が幹線道路の事故で命を落としたと報告している。これは約4パーセントの増加で,ここ5年間では最大の増加だった。
“敬意を受けない司祭職”
◆ フランスのル・モンド紙は,同国で最も明敏で人々の敬意を集めているとみられる宗教評論家の一人,アンリ・フェスケの著した,フランスにおける司祭職の分析研究を公表した。この評論家は次のように伝えている。「司祭の仕事に対する敬意がこれほど薄くなったことはかつてなかったことである。人々からあがめられ,特権と考えられていたものが,今ではそれをさげすむ気持ちというよりむしろ無関心さのために,忘れ去られてしまった」。フェスケ氏はさらに「司祭が今や無用で,古き昔の名残りだと考えられて」おり,「今日では,名前を付けてもらうか,結婚式や葬式をする場合を除けば,フランス人で教会に行く人はほとんどいない」と付け加えている。
“幼児洗礼に近づく”
◆ 南部バプテスト派のある教会で行なわれている,小さな子供にバプテスマを施す習慣が槍玉に挙がっている。南部バプテスト派,歴史委員会の会長リチャード・D・パットンは,小さな子供たちにバプテスマを施すのは「我々を危険なことに,幼児洗礼の習慣に近付かせるもの」に思われると語った。同会長は1976年中,バプテスマを受けた人の一割が八歳以下の子供であったことを指摘している。
強力な,バクテリア破壊者
◆ ある微小な海生生物は,人間に知られている他のどんな動物よりも効果的にバクテリアを破壊する。科学者はキクイムシとも呼ばれるありふれた穿孔虫から,木の中に潜む食物に含まれている,あらゆる微生物を破壊する物質が分泌されることを発見した。今まで科学者は,どんな動物もその消化管の中に何らかのバクテリアを備えていると考えてきたが,この小さな甲穀類の動物はそれを全く備えていない。この発見に基づき,科学者たちは病気と戦う強力な新薬を作り出す可能性があることを認めている。
あなたのサングラスの色
◆ サングラスが紫外線や赤外線の放射を防ぐためのものであることを考えると,目を保護するために重要なことは,サングラスの色に注意を払うことないしは無色のサングラスをかけることである。灰色のサングラスは最も安全度が高いと考えられる。茶色及び緑色のものもほぼ安全であるが,青または紫のサングラスは危険をはらんでいる。サイエンス・ダイジェスト誌は次のように述べている。「青または紫のサングラスをかけると,全然かけない場合より多量の紫外線を浴びることになる。こうしたことが生ずるのは,色の濃いレンズが瞳孔を広げさせ,つまり青または紫のサングラスが目を“欺き”,太陽光線に対する目の防御力を弱めさせて紫外線を両眼に吸収させるからである」。
太り過ぎの問題
◆ オーストリア厚生省からの報告は,オーストリア人が大食で,人口の約半数は太り過ぎとみなされるほどであることを明らかにしている。その報告は,30歳以上の女性のうち約半数が,そして45歳以上の男性はその40%が太り過ぎであると伝えている。同省はまた,太り過ぎの問題は,太った細胞が形成される生後三か月までの非常に早い時期に始まり得ることを指摘している。母乳育ちでない赤ちゃんに与えられる食物が多過ぎることが,しばしば注目されている。
動物園に対する食料品店の請求書
◆ ワシントン市にある国立動物公園では少なくとも2,600の動物を養わねばならない。その結果昨年の食料品店の請求書は25万㌦(5,000万円)に達した。同年のメニューの中で必要とされたのは,なかんずく,2万2,680㌔の肉,1,415㌔のじゃがいもと208㌧の干し草,300㌧の穀類,18立方㍍のにんじんだった。特別食は9万6,000匹のねずみと11万4,400匹のコオロギ,そして18万匹に及ぶうじである。
砂糖菓子は職業病を引き起こす
◆ 日本の,ある製菓会社の八人の従業員は,自分たちの歯の疾患を職業病に認定してもらうため正式に申請書を提出した。それはなぜだろうか。彼らは,自分たちの歯の疾患が,製造している砂糖菓子を絶えず試食しなければならないことから生じたものと主張した。労働省及び北海道労働基準局そして北海道大学歯学部に提出された申請書を検討した結果,札幌労働基準監督署はその要求を受け入れた。それで今度,歯の疾患の治療は,その従業員の障害補償費によってまかなわれることになろう。
青少年と教会
◆ 最近のギャラップ青少年調査が明らかにしたところによれば,多くの米国の十代の若者が,次第にキリスト教世界の教会から離れ去っている。調査の対象になった若者のうち,組織化された宗教に対して確固とした信頼を表明した人はわずか25パーセントに過ぎなかった。「教会がしていることと言えばビンゴやバザーやお粗末な説教だけ」,教会に行く人は「霊的に底の見えすいた人間だ」というような意見も少なくなかった。多くの人が教会や教会員の偽善について,また教会は神や聖書について教えていないことに関する意見を述べた。しかし青少年のうちの大部分を占める95パーセントの人々は,神の存在を信ずると述べている。
結婚は人間にとって有益
◆ 心臓疾患のようなごく一般的な数々の死因に関して言えば,既婚者の死亡率はやや低めである。カナダ,西オンタリオ大学での研究は,これが消化性潰瘍による死に関しても真実であるようだという見解を明らかにしている。既婚者は独身者と比べると,割合から言ってあまり影響を受けていない。英国のニュー・サイエンティスト誌は「どうやら結婚は,健康にとっても害にはならないようである」と論評している。
多発する爆破事件
◆ 米国財務省の報告によると,1977年中に米国で生じた爆破事件は記録的で,昨年の870件から1,058件に増大し,38人の死者を出した。破壊行為や労働者の衝突が主要な原因と考えられている。
殺人様式の変化
◆ かつて米国では,面識のない人々が関係する殺人事件は約一割だった。残りの九割は,家族の成員や他の親族,友人,隣人,仕事仲間というような犯人と顔見知りの人々が殺害される事件だった。現在,面識のない人々を巻き添えにする殺人事件は全国的に30パーセントにまで増加した。このことは暴力行為が一層増大していることを示している。なぜならこれらの殺人事件には強盗,家宅不法侵入,脅迫,窃盗が伴っているからである。殺人は今や,白人以外の男子の死因の中ではその第五位を占め,白人以外の女子では第八位,白人のアメリカ人については第12位を占めている。
人力
◆ アメリカの平均的な自動車は燃料が続く限り200馬力まで出すことができる。普通の運動選手は約二分の一馬力を出せるが,それはほんの短時間である。人力が自転車のような乗り物と連結された場合,どれ位早く走れるだろうか。人間が200㍍コースの競走で,自転車のような乗り物をこいで走った記録によると,時速約80㌔である。
同じような危険をはらむ
◆ タールやニコチンの少ないたばこに切り換えれば,ガンのような喫煙と関連した病気にかかりにくくなると考える喫煙者は,自分を欺くことになるだろう。研究が明らかにしたところによれば,タールやニコチンの少ないたばこを吸う人の大半は,煙を肺の中に長い時間吸い込んでいる。彼らは,たばこの煙を吸い込む時間が長くなると,タールとニコチンの含有量の多いたばこの煙を短時間吸い込む場合と同じ様な害を受けやすいことに気付いていない。
マリファナの方が危険
◆ より多くの情報が得られるにつれ,マリファナを吸うのは非常に危険であることが次第に明らかになっている。ロサンゼルスにあるカリフォルニア大学医学部のドナルド・タシュキン博士は有給の志願者を用いて五年間に及ぶ実験を行なった。その実験によって,習慣的に過度のマリファナを吸う人は,習慣的なヘビースモーカーよりも,慢性気管支炎や肺気腫にかかりやすいことが示された。