世界展望
『最もひどい誤り』?
◆ 米国の三人の著名な天文学者が新しい宇宙測定法を発表した。それによると,宇宙の年齢はそれまで考えられてきたものの半分にすぎないように思われる。三人の計算の示唆するところによれば,宇宙の年齢はこれまでの推定150億ないし180億年ではなく,わずか90億年ほどである。「他の天文学者は,これを革新的で重要な技術とみなしている一方,年数があまりに短いことに当惑を覚えている」と,ニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が社説で論じているように,「もし三人の天文学者の意見が正しいとすれば,きっとこれよりもひどい誤りを暴露する人は今後ともいないであろう」。
“人造血液”の米国における初めての使用
◆ 昨年の11月,ミネソタ大学病院で米国では初めての“人造血液”の輸液が行なわれた。これに続いて,他にも何件かの同様の処置が施された。フルオゾールと呼ばれるこの輸液は日本で開発されたもので,緊急時に際してすでに50件ほど使用例がある。(「目ざめよ!」誌,80/1/8,28ページ参照)ミネソタ大学病院の患者は,宗教上の理由に基づいて輸血を拒否した後,酸素を運ぶ乳白色の液体2,850ccの輸液を受けた。
ニューヨーク・タイムズ紙はこう伝えている。「食品医薬品局がこのような化学薬品の通常の使用を認可するのはまだまだ先のことである。[しかし]エホバの証人の治療に当たったミネソタ大学病院の外科医は,時間を争う緊急時における例外的な措置を認める同局の方針により,食品医薬品局の認可を得ることができた」。
ニューヨーク・タイムズ紙によると,食品医薬品局の一当局者は,「宗教上の理由で輸血を拒否する場合を除けば,これが許可されることは考えられない」と語った。同紙はさらに次のようにも伝えている。「エホバの証人は幾つかの聖書の言葉に基づいて輸血を拒否している。例えばその一つ,レビ記 17章11-12節には,『肉の命は血にあるからである。……このゆえに……あなたがたのうち,だれも血を食べてはならない』と記されている。エホバの証人は……医療を受けることに異議を唱えていないが,輸血によって命を支えることは血を食べるに等しい行為である,と信じている」。
肥満症の一治療法
◆ 1977年以来225人の患者に手術を施した結果として,米国オハイオ州立大学のウイリアム・ペース博士は,病的肥満症に対する自分独特の手術は安全かつ効果的である,と主張している。その手術では,外科用ステープラーを使って胃の上部を下部から仕切り,より広い下部へ通じる小さな開口部があるだけの,ごく小さな上部の胃を作る。この方法は,消化管のかなりの機能を省略させるよく知られた小腸迂廻手術より安全で,危険な副作用も少ない,と同医師は主張している。小さな“胃”のおかげで,患者はその食習慣を調整せざるを得なくなり,それによって一年間に体重は40㌔から55㌔減少し,その後安定する。しかしペース博士は,「肥満症に伴う危険が手術に伴う危険より大きい場合でない限り,手術は行なわない」と語っている。
人々が教会に対して抱いている感情
◆ フィリピンの与党の指導者アントニオ・トゥパズは最近,同国の政府に対するローマ・カトリックの圧力を公然と非難した。スリランカのセイロン・デーリー・ニューズ紙は同氏の言葉を要約してこう報じた。「世界中どこでも,カトリック教会が力を増し,大衆の無知や迷信を種にして私腹を肥やしてきたところでは,ほんとうの圧制が行なわれてきた」。
噴火の被害を受けた飛行機
◆ 昨年の11月中旬に,標高1,116㍍の桜島が噴火した際,灼熱した岩石が上空高く打ち上げられた。高度3,350㍍と4,000㍍を飛行中の全日空のジェット旅客機二機がそれぞれ別個に噴石の直撃を受け,風防にひび割れが生じるという事態が発生した。両機とも無事着陸した。
東南アジアにおける非人道的行為
◆ ベトナムを脱出した“漂流難民<ボート・ピープル>”の一グループは最近,衝撃的な残虐行為を身に受けた。地元の漁師たちが難民を捕まえて無人島に連れて行き,22日間そこに閉じ込めた。難民のうち17人が殺害され,残りの難民も所持品を強奪され,強姦され,殴打された。漁師たちに襲われてその島に連行された四隻の船に乗っていた37人の女性の大半は,国連難民高等弁務官事務所の一係官に解放されるまでに,夜昼となく繰り返し強姦された。警察当局の話によると,強奪を働こうとして,57隻の漁船がその島に立ち寄ったとのことである。これは例外的な事件だろうか。そうではない。難民救済業務に携わるある女性は,自分の働いていた収容所の10歳から50歳までの女性の大半は強姦されたことがあった,と語っている。
オゾンの減少率が倍になる
◆ 全米科学アカデミーの発表によると,地球のオゾン層はこれまで考えられていたよりも二倍も速い割合で減少している可能性がある。1976年当時,同アカデミーは,大気中のフルオロカーボンによって引き起こされるオゾンの減少は最終的に7.5%に達するものと推定していた。ところが新しい手法で調べたところ,「最も楽観的に見積っても」オゾンの最終的な減少レベルは16.5%に達するとのことである。噴霧剤にフルオロカーボンを使用することは米国を初めとする他の幾つかの国で禁止されてはいるものの,世界的に見ると使用量は増えつづけている。これによって,皮膚ガンや異常気象,その他の問題が増えるのではないかと科学者たちは危ぐしている。
カタツムリの食べすぎ
◆ フランス人はカタツムリを珍味としてよく食べることで知られているが,ぬるぬるしたものに目がないフランスの大の美食家がそれがもとで命を落とした。三分そこそこで72匹のカタツムリを飲み込んだ体重167㌔のトラック運転手はその後間もなく病院にかつぎ込まれることになった。この人は後に,消化不良がもとで死亡した。それより数か月前,ナンシー近郊で開催された“愚行オリンピック”では,11分半で144匹のカタツムリを飲み込んだ27歳の男性が優勝した。
雨の神をおびき出す
◆ 昨年の夏,インドの一部が40年来最悪という干ばつに見舞われた際,ウッタルプラデシ州のある農夫たちは雨の神バルナに切実に必要とされている雨を降らせて欲しいと訴えた。自分たちの信仰に基づいて雨の神をなごめる奥の手として,裸の女性に夜,土地を耕させた。しかし,降った雨は,とても少なく,時期も遅すぎたため,収穫の半分以上がだめになった。しかし,国全体の収穫高と備蓄穀物の量を併わせると,飢きんを克服するには十分である,と政府当局は語った。
トップに立つ麻薬の栽培
◆ 米国カリフォルニア州で栽培されている作物のうち最も収益が多いのは食用に供する作物ではない。連邦麻薬統制局によると,不法なマリファナ栽培によって,企業心の旺盛な“農夫たち”は年間10億㌦を超す収益を上げている。次に価値があるのは,6億9,100万㌦の収益を上げた綿花,4億5,700万㌦の収益を上げたレタス,4億1,400万㌦の収益を上げた干し草である。