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目ざめよ! 1980
目80 7/22 24–27ページ

荒海から石油を掘る

英国諸島の「目ざめよ!」通信員

世界でも天候が最も険悪であるとされる地点の海底から,石油が発見されています。付近の海が凪いでいる日は,平均して,冬期でわずか1%,夏の盛りでも5%です。掘削デッキが,ハリケーン級の嵐で生じた30㍍ほどの波をかぶろうものなら,そこの石油掘削装置はだめになります。浸水して沈没した支援船もあります。しかし,とりわけ深刻な問題となっているのは,ますます多くの人命が失われていることです。こうした計画の通常経費の上にこれらの要素が加わって,北海北部の荒海からの石油の掘削は非常に費用のかさむものとなっています。

英国政府は1964年,石油資源を求めて石油会社が行なう北海の探査を許可し,1969年には初めて少量ながら石油が発見されました。それ以来,石油獲得競争は続き,現在では14の油田が商業ベースに乗るものとみなされています。

採油に備える

商業ベースに乗るだけの量の石油が海底から掘れる見込みがつくと,多くの装置を取り付けることが必要になります。まず,厚さ19㍉の鋼鉄でできた直径81㌢の海底パイプラインを,本土から海の真ん中に敷かなければなりません。これらのパイプラインは特に腐食を防ぐための歴青フェルトで保護され,海流に流されない重みを加えるため5-13㌢の厚さにセメントが塗られています。もっともパイプラインは溝の中に敷かれ,流されないようにされます。

パイプラインが正しく埋められているかどうかを確かめるために海底は一マイルずつ調査します。そのため場所によっては海面下に約140㍍も潜ることになりますが,そのような深さにパイプラインが敷かれたことは過去に一度もありませんでした。

原油の生産プラットフォームには独自の問題がつきまといます。その大きさと重量ゆえに,各プラットフォームは陸で組み立ててから掘削地点まで引いてゆかねばなりません。その中でも一番の大仕事は,鋼鉄製のプラットフォームを支える土台を組み立て,その一つ一つを時に250㌔㍍以上も移動させ,寸分たがわぬ正確な位置に垂直な形で立つよう海の中に入れることです。次いでこの土台となる資材は,全部の設備を安定させるため,海底の約120㍍下まで打ち込まれます。

しかしすべての生産プラットフォームが鋼鉄で作られ,土台で支えられているわけではありません。重力のみを頼みの綱とするコンクリート製のプラットフォームも用いられています。1978年の5月には,60万トンもあるコンクリート製プラットフォームが,スコットランド西岸のロッチュ・キショルンから北海のニニアン油田に運ばれました。それはかつて地上を移動した最大の物体と言われており,高さは約240㍍ありました。今日では,その大部分は海面下にあって見えません。

この沖合い重力プラットフォームの安全性に対しては,当然,疑惑が生じました。プラットフォームは,氷の付着,秒速45㍍の強風,大波,海底震動などの問題に絶えず見舞われ,それらが組み合わさって危険の生ずることも少なくありません。そしてある幹部設計者が認めているように,北海における力学的エネルギーの全貌はまだ明らかにされていないのです。

石油プラットフォームの上で

油田に行くためには主にヘリコプターを使います。スコットランドのアバディーンを出発すると,たいていの場合,油田にぽつんと立っている移動式掘削装置の上空をまず通り過ぎます。この“オーシャン・ビクトリー”はその典型です。これは半水没自走式の装置です。つまり浮遊することも動くこともできます。作業時にはその本体を20㍍ほど海に沈めますが,これだけ潜水することにより,掘削装置の安定性は大幅に増し加わります。正しい位置に保つため,13㌧の錨が8本その周りを囲んでおり,各々の錨は1,000㍍も延びています。その油井やぐらには,掘削装置がどんなに揺れようと,作業中のドリルに一定の圧力を加えるための流体圧式システムが内蔵されています。事実上,半水没式の装置はすべて深さ300㍍の水中で掘削を行なうことができます。もっとも,必要な場合には普通その深さを900㍍にまで下げることも可能です。

その少し東側に,錐状の鋼鉄製油井やぐらと三段のデッキが乗った標準型の生産プラットフォームが一基あります。最上段のデッキはヘリコプターの着陸台に過ぎませんが,中央のデッキは実際の掘削を行なう主要な仕事場になっています。最下段のデッキは倉庫で,作業時に用いられる長い鋼が積み重ねられています。このデッキには150人ほどの人を収容できる作業員の宿舎や,二つの食堂,それにテレビと映写施設のある娯楽室や図書室が備えられています。これらすべての下にはプラットフォームの主要な土台が位置しています。

生産プラットフォームの中には,27もの油井から掘り上げているものもあります。陸上の場合だと,ほとんど例外なく井戸は垂直に掘りますが,北海の海の上では,一つの設備に一つの井戸という比率ではあまりにも高くつくため,方向性を持たせた掘削が採用されてきました。そのためには,海底からわずかだけ垂直に井戸を掘りますが,その後は,プラットフォームから特定の距離・深さ・方向にある地点を目指す予定のコース沿いに進路を変えなければなりません。

潜水夫の問題

北海における石油の沖合い掘削を開発するには,水中で働く潜水夫がいつも必要とされます。彼らの年収が3万ポンド(約1,440万円)以上にのぼることも珍しくありません。深さ90㍍の所で1回に25分働くだけで,そうした収入が得られるのです。その危険ははなはだしく,現在の事故発生率からすると,潜水夫が20年働いて生き残る確率はわずか5分の1です。その証拠に,英国医師会はこの仕事について,「石炭の採掘の50倍の危険がある」とみなしています。

それもそのはずです。水の低い温度と高い熱伝導率の相乗効果により,無防備の潜水夫は数分のうちに冷却され無意識になってしまうからです。同時に,潜水夫は,押しつぶされてしまわないために作業している深度の水圧と同じ圧力の呼吸ガスを吸わなければなりません。それに50㍍以上深くなると,気体の混合には大きな危険が伴うため,絶えず注意深く監視しなければなりません。圧力を速く上げすぎると潜水夫は振顫を起こし,逆に遅くすると時間ばかり食ってしまいます。唯一の解決策は,ある潜水夫とその仲間の潜水夫だけを密閉された鋼鉄製の部屋に入れ,常時圧力をかけて3週間ほどを過ごさせる方法,つまり飽和潜水の方法です。言うまでもなく,このような環境が精神的・肉体的緊張を生み出すことは必至です。

負傷した潜水夫に治療を施すことにも大きな障害が伴います。例えば200ないし225㍍の非常に深い所に潜った後には,少なくとも七日間,減圧してあげなければなりません。今の時点で,この問題を解決するために何ができるでしょうか。まず第一に,負傷した潜水夫をプラットフォーム上のデッキ減圧室に移送します。次いで,特別な加圧移送室が掘削装置の圧力室のところに運ばれ,二つの圧力室はぴったり連結されます。この加圧移送室は重量を約900㌔に抑えるためにチタンで作られています。移送がすんだ後に,ヘリコプターがそのチタン製の圧力室をスコットランドのダンディーにある加圧治療特別施設へと運んでゆかねばなりません。

これにはどうしても時間が必要であり,万一重傷を負った場合には,適正な医療援助が得られる前に死亡することも十分あり得ます。移送が成功し,その施設で手術が行なわれる時であっても,縫い合わされた傷口に対して減圧による影響が出るか否かは依然として予断を許しません。その上,普通の吸入麻酔は加圧室では効果がなく,電気器具も発火と爆発の危険性が高いため使用不能です。

ノルウェー人は,新しい手術用の階段教室を開発しました。それは,ノルウェーのベルゲン港を見渡す新しい水中研究所の,アルミニウムで覆われた室内に作られています。しかし,ロンドンの「ザ・オブザーバー」誌は次のように報じました。「障害が一つだけある。同研究所は,手術の前後に宇宙船を思わせる減圧室で費やさねばならない時間を喜んで割いてくれる医師をまだ集めていないことだ」。

潜水船

潜水船とは,どんな潜水夫よりはるかに深い所まで行ける一種の潜水艦のことです。石油の沖合い掘削の仕事の上でこれは不可欠なものです。この小潜水艦は長さ6㍍足らずしかありません。各々の船には二人の乗組員がいます。彼らは潜水船を水中に残しておくことはできませんが,海面上または沿岸基地にいる専門家の調査に供するため,実際の情景をビデオテープに記録する特殊カメラを作動させることができます。これらの潜水船には延べ320時間分の生命維持装置が装備されていますが,出発点から2隻一組で働きます。一方が遭難した場合に,他方がリフティング・ギアの助けを得て,救援活動を行なえるようにするためです。

英国製のリモコン式海底自動車“シーバッグ”やカナダの海中室の開発により,仕事は大変容易になりました。後者は,海底における通常の労働環境を作り出すもので,海面との間を作業員を乗せて往復する支援カプセルまで備えています。慎重な注意が払われているとはいえ,潜水業は依然として危険な職業です。1978年の後期には,海の激浪で支援船からの命綱が切れ,モービル石油会社で働いていた二人の潜水夫が潜水鐘の中で死亡しました。

技術の輸出

北海から石油を掘り出す努力は,結果として多大の技術的な進歩をもたらしました。しばらく前,ガーディアン誌は次のように述べました。「国家[イギリス連合王国]の観点からすると,我々は,北海の石油からよりも,我々の優れた技術を売ることにより多くの利益を得る立場にいる」。これは真実になりつつあります。

現在非常に有望視されている市場の一つは南米,それもブラジルです。ブラジルの沖合いの埋蔵物は,北海の場合と同程度の深さにあります。探査が行なわれている地点は,リオデジャネイロから160㌔弱離れたカンポス海盆の水深200㍍の海底です。今後の10年間にブラジルは30ないし40の生産プラットフォームを必要とするものと見られています。つまり,探査潜水船や支援船などの専門的設備に関する市場が開けるというわけです。ベネズエラ,アルゼンチン,メキシコの沖合い油田やソ連のカスピ海に輸出できる見込みもあります。

将来の展望

石油に関してはどんな将来の展望があるでしょうか。イギリス連合王国のエネルギー省は,沖合技術局を通し,「1990年代を通じて自給可能な状態を維持するには,1985年-1990年の期間に,連合王国のより深い海域における油田の発見と操業が必要となろう」と言明しました。ここで言及されているより深い海とは,300ないし2,000㍍の海のことです。ところが石油探査の専門家たちの警告によると,北海の石油はすでにその総量の4分の3が,つまりその大部分が掘り当てられているのではないか,とのことです。実際,人々の注意は,英国の陸上から発見される石油の可能性の方にも向けられているのです。楽観的な見方を持っている一人の石油関係者はこう語りました。「そこ[南イングランド]は,20年前の北海と同じ状況である。そこには確かに石油がある。……これは単に時間の問題である」。

北海の掘削装置と生産プラットフォームに別れを告げながら,実際の石油の価格,つまりこの新技術に関する独自の問題のためだけでなく人命という形で支払われる犠牲のことを考えざるを得ません。本当にそうするだけの価値があるものでしょうか。価値があると考える人は少なくないようです。それは時間が証明することかもしれません。その間にも,一滴でも多くの石油を北海の荒海から掘り出そうと,休みなく努力が続けられています。

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