油ならかん木から採れます!
マッコウクジラは容赦ない捕獲のために絶滅の危機にさらされています。工船による捕鯨は禁止されていますが,これら海の巨大な生き物はいまだに30分に1頭ほどの割合で捕獲されています。それはなぜでしょうか。
大きなマッコウクジラからは何トンものマッコウ鯨油と白い鯨蝋が採れるからです。それらはどちらも大変高価で,捕鯨業者に大きなもうけを得させます。
しかし,保護論者から圧力が掛かったため,ソ連と日本以外のすべての国は捕鯨をやめました。とはいえ,鯨油の代わりとなる物を見つけるのに苦労しています。鯨油は高圧の注油や機械類の保護のために,また,薬品・化粧品・その他の製品に用いられます。
ところが,うってつけの代用物があるのです。それはホホバというかん木です。ホホバはアメリカのアリゾナ州,カリフォルニア州そしてメキシコの砂漠に自生しています。最近の研究によれば,ホホバから採れる油は鯨油と全く同様に用いられるばかりか,鯨油よりも有用であることが分かりました。
ホホバは高さが約3㍍になり,5年たつと毎年豆を2.5㌔つけます。その豆の50%が油となり,残りかすは家畜の飼料になります。
ホホバは非常に丈夫な常緑樹です。葉の表面を蝋の膜が覆っているのでひからびてしまわないのです。ですからホホバは炎熱に耐え,水がなくても一年間生きのび,他に何の植物も生えないようなやせた土地でも育ちます。しかも,100年も生きることができるのです。
イスラエルのネゲブにはすでに,ホホバの農園が試験的に造られています。ホホバは,死海の塩水でかんがいすることさえできるということです。南アフリカのケープ県内にある,もっと乾燥した土地でも多くの農民がホホバを栽培しています。油の需要は大変大きいので,ホホバの栽培は長い間ご難を被ってきた鯨たちの保存に役立つばかりか,非常に収益の良い仕事でもあります。