エホバを賛美するインコ
「ある日のこと,私は小さなインコを飼うことにしました。そのインコは,私が米国カリフォルニア州のパームスプリングで開かれているエホバの証人の集会に出席し,その王国会館にいる時,夫のウォリーの相手になってくれました。買った時はまだ5週間で,話をするかどうかも分かりませんでした。それに名前も決めていなかったので,“おちびちゃん”としか呼びませんでした。ところが1か月ほどしてから,そのインコが“おちびちゃん”と言ったのです。この鳥は話をしたのです。
「私はおちびちゃんに“エホバを賛美せよ”という言葉を教えようとしました。ウォリーは時間のむだだと言いました。『“エホバ”なんて言えるはずがないよ。難し過ぎるもの』と言うのです。しかしある日インコは“エホバを賛美せよ”と確かに言いました。それから,“あなた方は来て”と言うことも覚えました。それで私は“あなた方は来てエホバを賛美せよ”と二つの部分を一緒につなげるように教えました。ウォリーは,『二つは別々に覚えたんだから,一緒にするなどとは思ってもいなかった』と頭を横に振りました。
「その次に私はおちびちゃんに“あなたはエホバの証人ですか。あなたは? あなたは?”と言うことを教えました。私たちはパームスプリングでホテルを経営していたので,おちびちゃんはやがて“あなたはエホバの証人ですか。あなたは? あなたは?”と人々に尋ねるようになりました。“み言葉を伝えなさい。み言葉を伝えなさい”と言うことも覚えました。一番興味深い宣明の言葉は,“ヨハネ第一 4章8節。神は愛です。調べてください。調べてください”という言葉でした。
「お客さんが宿帳に記入をしに事務所へ入って来て,おちびちゃんが話し出すと,人々はびっくりして『この鳥がこんなことを言うんですか』と声を上げます。そこでウォリーが答えます。『そうなんです。この鳥は聖書も引用します。“ヨハネ第一 4章8節。神は愛です”と言うのです。わたしの妻はエホバの証人で,妻がこの鳥を教えました』
「ある日一人の婦人客が事務所に入って来て,“ヨハネ第一 4章8節。神は愛です。調べてください。調べてください”とこの鳥が言うのを聞きました。婦人は驚きのあまり自分の部屋に行って聖書を調べてみました。部屋の聖書はギデオン協会の聖書から“新世界訳”に私が取り換えてありました。その後婦人はプール・サイドで私に言いました。『とても良い聖書でした。とても理解し易い聖書ですね。寄付を差し上げますからいただいて行ってもいいでしょうか』
「私は答えました。『残念ですがそれは部屋に置いていただけませんか。後ほど私の家にいらっしゃれば同じものを差し上げます』。少しして婦人は聖書を求めるためにやって来ました。そしてエホバの証人の教理を説明している,ものみの塔協会の14冊の出版物を持って帰りました。
「このインコのことは,すべての客の間でうわさになりました。ある日,一人の婦人が事務所にやって来て,プールサイドで次のような会話を小耳にはさんだと話してくれました。それによると,ある人が『ここの支配人が“エホバを賛美せよ”と話す鳥を飼っていることを知っているかい』と尋ねたところ,もう一方の男の人が,『それは本当かい。支配人がそれを僕に見せてくれると思うかい』と答えたというのです。その鳥のおかげで,ヨハネ第一 4章8節をだれもがすぐに覚えます。おちびちゃんが口を閉ざしていると,ウォリーは時々,『今日はエホバを賛美しないな。さあ言ってごらん』とインコに言います。
「詩篇 148篇は,天,地,植物,動物,人々,そして『翼ある鳥』(10節)など,すべての創造物にエホバを賛美するように呼び掛けています。おちびちゃんも,他のすべての創造物と同じように,偉大な設計者の知恵を反映する驚嘆すべき複雑な設計によって,そしてその言葉によってそのことを行なっています」。―寄稿