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目ざめよ! 1982
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経済のどこが狂ってしまったのか

カナダの「目ざめよ!」通信員

泥の中にはまって動きが取れなくなった自動車同様,世界経済も泥沼にはまり込んでいます。泥沼にはまった自動車がエンジンをふかし,タイヤを空回りさせているのと同じように,経済体制にはひずみが生じており,崩壊の兆しが認められるとの急を告げる声さえあります。そして,だれもがその影響を感じています。「経済に活力を入れなくてはならない!」という声が今では聞かれます。

どこが狂ってしまったのでしょうか。経済の機能する仕組みはどうなっているのでしょうか。

“経済機構”とは,商品やサービスを生産し,かつ流通させるシステムのことです。経済状態とは基本的に言って協力関係に基づく交換の機構と言えます。商品やサービスの代償としてその交換に加わる人にはお金が支払われます。

その機構の中での活動,つまり商取引きが多ければ,それだけ生産性が求められ,増やされた富の交換される機会が多くなります。国々はより一層繁栄し,国民はより良い生活水準を望めるようになります。a 前進を続けるあるいは拡大を続ける経済が世界の進歩と安全には欠かせないと考えられています。

1950年代と1960年代を通じて,これが世界経済の一般的な状態であると考えられてきました。ところが,1970年代の半ばには,どこかが狂っていることが明らかになりました。“天井知らずのインフレ”が物価上昇の悪循環を引き起こしました。生産が需要に追い付かなくなり,失業が増え,物価が上昇を続けました。富の公平な交換が行なわれず,富んだ国と貧しい国の間の格差が広がって行きました。

特に1973年以降,石油価格の猛烈な上昇が経済機構に衝撃を与えました。工業化された西側世界の,エネルギーに依存した経済は大きく揺れ動きました。産油国でない発展途上国は,必要とされる商品やエネルギーを輸入しなければならないため,その価格の上昇に伴って絶望的なまでに借金の深みへと沈んでいきました。さらに混乱を引き起こしたのは,通商の道具である通貨の価値が,一つの国の通貨と別の国の通貨を比較した場合に,乱高下したことに原因があります。確かに,経済は狂乱状態に陥りました。

経済サミット

1975年11月に,世界の主要工業諸国 ― フランス,ドイツ連邦共和国,イタリア,日本,英国および米国 ― の指導者が,世界の経済上の諸問題の解決策について話し合うため,フランスのランブイエに集いました。三日間の会談の後,参加した指導者たちは,「景気は回復途上にある……との確信」を抱いてそのサミットを後にしました。

ところがそれ以来,その同じ工業諸国,そして今ではカナダを加えた国々の指導者たちが,毎年経済サミットを開催する必要を感じています。その期待された景気の回復はどうなってしまったのでしょうか。

カナダのオタワ市で1981年の経済サミットが7月に開かれましたが,その二日前にトロント・スター紙はこう伝えました。「月曜日のサミットと1975年にフランスのランブイエで開かれた最初のサミットとの主要な相違点は,景気の回復,世界貿易の増加,インフレの抑制,雇用の促進などの将来の見込みについて今日ではだれもが幾らか慎重になっていることである」。

簡単に言えば,経済は依然として泥の中にはまった状態なのです。そして,どうしたらそれを動かせるか確かなことを言える人はだれもいないのです。インフレは根強く続いており,1981年度のサミットに集まった国々のうち二つを除くすべての国で,二けたのインフレが見られました。この工業諸国の国民総生産(GNP,生産された商品およびサービスの総額)の成長はとても満足のゆくものではありませんでした。

複雑化した諸問題が増し加わる

経済活動を身動きの取れない状態にしている迷路のような諸問題に加えて,最近数か月間に複雑化した問題が新たに加わりました。それは,特に米国における記録的な高金利です。池の中に石が投げ込まれたように,その波紋は西側工業諸国すべての経済に広がって行きました。

米国内では,高金利のために,さもなくば借金をするような人がそれを控えるので,膨張した通貨の流通が抑制され,通貨供給が引き締められます。しかし高金利は,不景気に陥った経済に活況を帯びさせるのに是非とも必要とされる企業への投資に流れる資金をも抑えてしまいます。

米国の高金利は他国の投資家にとって魅力のあるものとなり,そうした人々は自分の持つ通貨を米ドルにしようとします。ドルの需要が多くなるとその相場が上がり,他の通貨のドルに対する相場は下がります。ヨーロッパの各通貨の相場は1981年度の上半期に約20%下がりました。これは米国の高金利のためであるとされています。投資金は大西洋を越えて流れて行き,ヨーロッパの景気の回復が遅れ,インフレを刺激しました。

ある通貨の相場が下がると,輸入品を買うためにより多くのお金が必要になります。すると,インフレがひどくなります。投資資金を国内にとどめておくために,各国は米国の金利に対抗して自国の金利を上げました。ところが,自国の経済を刺激するための投資資金を借りやすくするには,もっと低い金利が求められているのです。

オタワ・サミットの席上で,米国のレーガン大統領は自国の高金利を維持する姿勢を崩そうとしませんでした。他国の指導者たちは,米国の金融引締め政策がインフレを抑制するのに役立たず,金利が高いままとどまった場合どうしたらよいかというジレンマに直面しています。

別の深刻な複雑化した問題は,失業の増加です。経済協力開発機構(OECD)の推定によると,同機構を構成する24か国における失業は第二次世界大戦後の再建期以来の最も高い水準に達するものと予想されています。ヨーロッパの指導者の少なくとも一人は,「今や失業はインフレよりも大きな悪である」と述べています。

経済という水たまりを泥沼にしているさらに別の要素は,各国の国際収支です。一つのまとまった単位として欧州経済共同体(EEC)は,1981年の上半期に,輸出攻勢をかける日本に対して100億㌦(約2兆2,000億円)近くの貿易赤字を記録しました。工業諸国は全体として,1980年に総計700億㌦(約15兆4,000億円)の経常赤字を抱えました。これは主に石油の輸入価格の上昇によるものでした。一方,石油輸出国機構(OPEC)の構成諸国の黒字は1978年の30億㌦(約6,600億円)から1980年の1,200億㌦(約26兆4,000億円)へと急増しました。しかし,産油国でない発展途上諸国の経常赤字の総計は1980年に790億㌦(約17兆3,800億円)に上り,1980年代の初頭にこの額が著しく増加することは確実視されており,どんな救済の見込みもありません。

このような驚くべき不均衡は経済全体を荒々しく覆します。工業諸国は自国の経済収支を正すために必死の努力を払う一方,特に借金を抱える後発の発展途上諸国への援助を通してその余剰資金を還元するよう石油で富んだ国々に働きかけています。

「悲観的な宣言」

これら及び他の多くの複雑化した問題があらゆる方向から迫って来る中で,1981年のオタワ・サミットの参加者は,「自国民の必要にこたえ応じ,世界の繁栄を強化するために,工業化された民主主義諸国の経済を立て直す必要」があると語りました。

しかし,トロント・スター紙はその最終コミュニケを「自由世界の経済の将来に対するどちらかといえば悲観的な宣言」と呼びました。7人の指導者たちは,「インフレを抑制し,失業を減らすための闘いを何にもまして優先しなければならない」ということで意見の一致をみました。しかし,どのようにそれを行なうのでしょうか。

トロント・グローブ・アンド・メール紙の論説欄は,「世界を揺り動かすような決定は下されず,劇的な発議は一つも行なわれなかった」と述べています。「オタワで出された宣言」は,西側経済の「青写真」を与えるものとなるどころか,「非常に粗雑に書きあげられているため,指導者たちが一体何を行なおうとしているのか見定めることが難しいほどである。……大抵の政治的な掛け声には陳腐な言葉のベニヤがはってあるものだが,普通はそのベニヤの後ろに木があるのか鋼鉄があるのか見分けられるものである。……ところが,時にはその後ろにボール紙を見いだすこともあるのである。オタワの場合がまさにそうである」。これらの指導者たちとその助言者たちのアイディアは尽きてしまったのでしょうか。

それでも,オタワ宣言の中では有意義な主張もなされていました。「我々は自国民に,変化が必要であることに対する認識を深めさせなければならない。すなわち,成長や所得に関する見込みを変化させ,労使の関係や慣行を変化させ,産業の様式を変化させ,投資の方向づけや希望を変化させ,エネルギーの用途と供給を変化させるのである」と,指導者たちは語っています。国債や赤字予算,金利,金利や為替相場の移り気な動き,促進された食糧生産,および商取引きなどの面での変化が求められています。一押しどころか,全く新しく経済を再構築することが大いに必要とされているのです。

経済はこれまでにも難しい状況に陥り,回復してきました。では,現在の経済情勢が決定的な変化を経なければ蘇生できないのはなぜでしょうか。

主な相違点

世界の経済上の諸問題は1世代前の問題と同じではありません。主な相違点は諸国家およびその経済の相互依存関係にあります。一つの工業国の経済政策や経済上の措置は他の国々に影響を及ぼします。発展途上諸国の中で最も貧しい国でさえ世界経済の中に組み込まれており,豊かな国々に影響を及ぼします。豊かな国々の繁栄は,それら豊かな国々に欠くことのできない原材料を売るだけでなく,幾千億円にも相当する品物を輸入している貧しい国々の福利にかかっています。こうした輸入のおかげで工業諸国では大いに必要とされる職が確保されるのです。

発展途上諸国は,世界経済の中で自国により良い分け前を与えてくれるような新しい国際的経済体制を求めています。これは豊かな国々が無視することのできない呼び掛けです。カナダのトリュードー首相が言及したように,それは「全地球的な安全保障の要素」なのです。

経済情勢が回復することがあるなら,それがどの程度のものになるか,また諸国家が話し合いによって新しい経済体制を築き上げる方向へどの程度向かうかは時の経過と共に明らかになるでしょう。とはいえ,経済が本当に狂ってしまっており,それが手の施しようのないものであることを示す確かな証拠がみられます。

どこが本当に狂ってしまっているのか

狂っている事柄は数々あります。まず第一に,貪欲がはびこっています。これを制御できる人がいるでしょうか。実際の必要とは無関係に,人々は他の人を犠牲にしてさえ,より多くの物質や“より良い生活様式”を求めています。貪欲は賃上げへの過度の期待と要求に油を注ぎ,それにこたえ応じるために物価がますます上がります。その結果,国々は他国を犠牲にして自国の富を守るために経済に規制を加えることになります。病気にも似た貪欲は,世界経済を搾取と相場の操作という病毒で冒しています。

世界経済の別の推進力となっているのは戦争の脅威です。国々が自国の経済を強化したいと願うのは,自国の主権を擁護するつまり守るのに必要とされる軍備資金を調達できるようにするためです。ソ連と大規模な軍備競争を演じている米国は,国防予算を1,620億㌦(約35兆6,400億円)から3,430億㌦(約75兆4,600億円)へ引き上げる5か年計画を導入しました。軍事面で優位に立つことを求めてそのように国防費が膨らんでゆくと,主要国すべての経済はさらに損なわれかねません。地球の住民すべてに飲料水を供給し,基本的な保健上の世話をできるほどの額の資金をわずか2週間の間に軍事目的につぎ込むような経済体制に,公正や平等を期待できるでしょうか。

しかし,何といっても根本的な問題は政府にあります。オタワ・サミットが認めるように,「経済的な問題は,より広い政治的な論争点を反映しており,また政治的な論争点に影響を及ぼしている」のです。日本の鈴木首相はその点に触れて,西側諸国の経済および政治の機構が東側諸国のそれよりも優れていることを示すのが西側諸国の直面している挑戦であると語りました。

オタワ・サミットに向けて,その会議の議長であるトリュードー首相はカナダの下院でこう語りました。「8億もの人が人間として存在してゆけるかどうかの瀬戸際に立たされている。その人々は極度の欠乏状態の中で,何の望みもない生活を送っており,絶えず危機的な状態の下に置かれている。この危機をどう扱うかは,人間性と政府の信頼性とを試みるものとなる」。(下線は本誌)

実をいえば,6,000年の月日を経ても,人類の間に信頼の置ける形態の政府を造り出すことはできなかったのです。得るところも幾らかあったとはいえ,危機は全体として悪化の一途をたどっており,改善されてはいません。そのような信頼の置ける政府,戦争に対する強迫観念と貪欲で動かされる現在の不平等な経済体制を取り除くことのできる政府は実現可能ですか。

可能です! その必要とされる政府は神の天の王国です。それは経済学の教科書や学説の中で夢とされていたどんな解決策よりもはるかに優れた解決策をこの地にもたらします。その政府の主要な教科書である聖書は,この時代に深刻な経済上の諸問題が臨むことをずっと昔に的確に示していました。(啓示 6:6)しかし聖書は何が狂っているかを示す以上のことをしています。聖書は満足のゆく唯一の解決策のもたらす祝福を味わうところまであなたを導くことができます。

また聖書は,神の王国だけが完全雇用,インフレのない状態,富の公平な分配,および経済の安定を保障できる理由を認識させてくれます。現在でさえ,人々の人格を変化させて貪欲を取り除き,生産的な努力を軍備の蓄積から平和的な目的の追求へと向け,最終的に経済上の安定へと向かわせています。(ミカ 4:1-4)単に新しい経済体制を造り出すのではなく,神の王国は不公正な経済状態をも含む世界の体制全体を除き,代わりに義の新しい秩序をもたらします。そのような超人間的な偉業を成し遂げることができるのは超人間的な政府以外にありません。―ダニエル 2:44。

聖書の内容を吟味して,その来たるべき世界的な変化から益を受けるためにどんなことを行なう必要があるかご自分で調べてみてはいかがですか。エホバの証人はあなたがそうするための努力を払う際に,いつでも喜んでお手伝いいたします。

[脚注]

a 経済学の基礎については,「目ざめよ!」誌1975年5月8日号,16ページから20ページをご覧ください。

[25ページのグラフ]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

消費者物価

1977年

1978年

1979年

1980年

20%

15%

10%

5%

カナダ 西ドイツ 英国 フランス イタリア 日本 米国

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