世界展望
エジプトにおける徹底捜査
◆ エジプトのサダト大統領は,死のわずか数日前に,国家の統一を脅かす「派閥的扇動行為」なるものを激しく非難した。昨年は多数派のイスラム教徒と少数派のコプト派クリスチャンが何度か衝突し,エジプトでおよそ70人が死亡した。ニューズウィーク誌の報道によると,サダト大統領の「主要な対象となっていたのは,神聖なコーランの法への回帰を要求するイスラム再興運動団体,モスレム同胞団だった」。しかしコプト派の教会も,その「憎しみと苛酷の霊」ゆえに攻撃を受けた。政府が取った徹底的な行動としては,宗教活動家1,536人の逮捕,コプト派総主教シェヌーダ3世の追放,4万軒に上るイスラム教寺院の掌握などがあり,それらは,「政治に宗教なく,宗教に政治なし」という考えを確証するために行なわれた。
「編集上の誤り」
◆ モルモン経の予言によると,アメリカインディアンは,モルモン教会の会員になれば「白くまた陽気に」なるとされている。インディアンの黒ずんだ膚は神がその先祖たちに課したのろいであり,彼らがモルモン教徒になれば除き去られるというのがモルモン教徒の信条である。ところが1978年に,同教会の会長であるスペンサー・キンボールは「神からの啓示を公表し」,同教会は「黒人が司祭の職に就くのをとどめていた,人種に関する教理を廃棄した」と最近のニューヨーク・タイムズ紙は報じている。したがってモルモン経の新版では,問題の部分は以前の表現と代わり,「純粋で陽気に」となっている。同教会の一役員は,「『白い』という語は編集上の誤りであり,[ジョセフ]スミス氏はこの預言で『純粋な』という語を使うことを意図していた」と述べている。
大空の「穴」
◆ 3箇所の大天文台の天文学者たちが,宇宙空間に,“天の川”の約3,000倍もの大きさの,全く何も存在しない空虚な,いわば巨大な「穴」の部分があることを発見した。それはこれまで発見されたこの種の「穴」の中では最大のもので,観察できる宇宙全体の約1%に相当する。ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると,観測者の一人はこの現象を「極めて理解し難いこと」と評している。“爆発”説によれば,「宇宙における物質の分散と運動は平均するとあらゆる方向に均一である」とされているからである。この発見は現在の学説にとって大きな挑戦となっており,学説の修正が妥当であろうと取りざたされている。
「多数派」あるいは少数派?
◆ 最近行なわれたAP-NBCニュース調査によると,政治における宗教の役割に不満を抱く人々が増加している。インタビューを受けた1,601人の成人のうち66%は,教会や僧職者は政治に関与すべきでないと考えていた。「保守派の候補者と保守の大義のために資金を集め,運動を展開する」道徳的多数派のようなグループに関しては,好意的でない態度を表明する人々が好意的な態度を示す人の3.5倍いることが調査で明らかになった。さらに,プロテスタントの「再び生まれたクリスチャン」,および「政治に関心を持つと述べる人々は[こうしたグループに関し]好意的な意見を持たない傾向にある」ことも明らかになった。
感情が痛みをもたらす
◆ 米国,南カリフォルニア大学のリハビリテーション医学の教授および学部長であるルネ・カユイエ医学博士は感情的な原因で痛みの生じる場合があることを理解していない人が多い,と指摘している。実際には不愉快な人間関係から生じた,痛みを伴う症状を除き去ろうとして,人々は幾百万㌦も費やしている,とカユイエ博士は考える。「時にその緊張は,首の筋肉の緊張として表われる。中には,背中にその緊張による痛みの生ずる人もいる。消化性かいよう,偏頭痛,心臓発作などに悩まされる人もいる。さらに,次々と痛む場所が移ったり,幾つかの異なった場所が同時に痛んだりする人もいる」。同博士はこうした症状は診断が難しいと述べ,こう付け加えている。「少なからぬ患者が,自分の痛みの原因が職場での,あるいは家庭に関係した怒り,心配,抑うつ状態にあることを認めたがらない。彼らはむしろ,古傷や想像上の傷で痛みが生じていると考えたがる」。
フビライ・カンの艦隊を発見
◆ 日本の沈没船引き揚げ事業団の責任者は,ダイバーたちが軍事指導者フビライ・カンの侵略艦隊の残がいを発見したと考えている。ジンギス・カンの孫で敬虔な仏教徒のフビライ・カンは,モンゴルの元王朝の初代の皇帝であった。その艦隊は700年前に日本に攻撃を仕掛けようとしたが,台風のため4,400隻の軍艦のうち1,000隻が難船した。同事業団の指導者の話では,ダイバーたちは,「大型のスーツケース10個分」という多くの陶器の断片とフジツボで覆われた武器を発見したといわれる。日本沿岸にごく近い海底に,72の木製の船体の残がいが沈んでいる。「フビライ・カンの艦隊の残がいを発見したと考えて間違いない」とこの人は断言した。「今我々がなすべきなのは,それが永久に失われてしまう前に,できるだけ早く引き揚げることだ」。
バンクーバーの“同性愛者”パレード
◆ 去年の夏,カナダのブリティッシュ・コロンビア州の州都で,同性愛者とその支持者がパレードを行なった。それは,マイケル・ハルクールト市長の布告した“同性愛者統一週間”を祝うためであった。バンクーバーの“同性愛者”の社会は,自らの性的な状況をたたえるショーをも開催した。オンタリオ州トロントのサンデー・スター紙の報道によると,「ショーの著名な参加者の中には,ユダヤ教,聖公会,ローマ・カトリック教会,合同教会の人々,およびバンクーバーの市警察当局の人々が含まれていた」。同紙は,「今年の同性愛者のパレードは,その種のものとしては最初のものであった」と述べている。そして「それが非常な成功を生み,推定1,500人のパレードの参加者,同性愛者およびその親族や支持者たちを引き寄せたため,パレードを組織したビンセント・マニスはそれを年中行事にしたいと考えている」。
強姦をとどめる方法?
◆ 去年の夏の晩,午前3時から4時の間に,米国ノースカロライナ州に住むある婦人のアパートに覆面をした男が窓から忍び込んだ。ボストンのサンデー・グローブ紙の報道によると,強姦に及ぼうとしていたその男は,言うことを聞かなければのどを切るとその婦人を脅した。婦人の話によると,この婦人は屈服せず,「自分はクリスチャンで,夫以外の人とは性関係を持つことはできないと話した」。そして,「この線にそって話を進めた結果,この男は出て行った」と加えている。
テレビゲーム中毒
◆ 商店街のテレビゲームが一大産業になっている。米国の業界機関誌によると,機械1台ごとに週平均145㌦の収益があり,人通りの多い地区で1日100㌦以上の実入りがある。この機械の中には25セント硬貨が毎年200億から300億枚,主に十代の若者によって投げ込まれている。このゲームが及ぼし得る影響について疑念を抱くようになった親もいる。中毒の問題を扱う医療専門家は,このゲームがある種の子供たちに及ぼし得る影響を懸念している。ニューヨーク病院-コーネル大学医療センターの精神医学準教授であるロバート・ミルマン博士はこう語っている。「親たちが注意すべき主な危険信号は,このゲームに過度の時間とお金をつぎ込む子供たちである。子供がゲームのキーの操作を生きるための主要な目的としているなら,その子は必ず問題を抱えることになる」。
寿命の長い殺虫剤
◆ 殺虫剤の大半が土の中で基本成分に分解し,人間には全く害を与えなくなると信じる土壌学者は少なくない。ところが今米国ペンシルバニア大学の研究者たちは,広範に用いられているある種の殺虫剤は土壌内で速やかに分解することはないと述べている。ニューヨーク・タイムズ紙にはこう報じられている。「DDT,セビン,2,4-Dなどの殺虫剤は土壌中で他の分子と結合しやすく,その結果,最初の殺虫剤よりも寿命の長くなることさえある新しい有毒な成分が生み出されることを,彼らは発見した。このような変質した成分はさらに土壌や腐植に固定される傾向があり,環境に対して未知の影響を与えることになる」。
その後の火山を訪れてみると
◆ オペレーション・パルスと銘打って,約150人の科学者たちが2週間を費やし,1980年5月18日のセントヘレンズ山の噴火で破壊された地区を踏査した。動物の生態を研究する科学者のチームを率いる生物学の一教授は,その火山から7マイル(約11.2㌔)以内の場所で,シカやワピチなどの様々な予期せぬ野生動物を発見したと報告している。それだけではなく,ネズミ,ハタリス,ツグミ科の小鳥,カラス,ワタリガラス,そして噴火口自体の中でも多数のハチドリが発見された。同教授は,「驚嘆させられたのは,クモなど空中生活をする虫が存在しなかったことである」と語り,「そのような虫も,植物が再び生えてくれば戻って来ると思う」と付け加えた。その火山から7マイル(約11.2㌔)北東にある小さな湖は“死に絶えた”とみなされていたが,生物が豊富であることが明らかになった。例えば,科学者たちはビーバーやジャコウネズミを湖の中で目撃し,科学者の一チームは大きなマスを7匹網にかけた。
世界の空の安全に関する記録
◆ 1971年7月30日,162人の乗客を乗せた日本の民間ジェット機が,日本北部の上空で練習中の自衛隊ジェット機と衝突し,乗っていた162名全員が死亡した。その惨事のあと日本は空の安全のための設備を改善した。どんな結果になっただろうか。10年以上の間,民間航空機による死亡事故はゼロとなり,これによって日本は世界記録を樹立した。ところが政府関係者の話によると,日本の上空は次第に過密化しているという。過去7年間に少なくとも50件のニアミス事故が報告されているといわれる。空の安全に関するこの立派な記録を維持するには,絶えず気を配っていることが必要である。
日本の犯罪が増加
◆ 民間航空機の安全性に関して日本は世界的記録を保持しているかもしれないが,地上の物事の展望はそれほど明るくない。警察庁は犯罪の件数が空前の数に達したと報告している。その数字は1980年の同期間よりも8.1%高い。統計が示すところによると,青少年犯罪は一昨年よりも著しい増加を見せているが,一昨年の青少年犯罪はここ35年来,つまり第二次世界大戦以来最悪であった。
理知を持つ生物を探し求めて
◆ 「常々考えていることだが,理知を探し求めるつもりなら,まずここワシントンから始めるべきである」。これは米国上院議員のウィリアム・プロクシマイヤーの発言である。米国の上院はそれに呼応し,宇宙空間の理知を持つ生物から発せられる無線通信を探索する仕事を援助するための政府支出金を削除した。米航空宇宙局は理知を持つ生物を探索し続けるため,翌年の分として100万㌦,今後7年間の分として1,500万㌦以上の予算を要求していた。「この場所でさえ理知を持つ生物を見いだすのはかなり難しい。太陽系以外のところにそれを見いだすのはもっと難しいことだろう」とこの上院議員は述べている。