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目ざめよ! 1982
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家庭での強姦

新しい道徳は,その実を刈り取っている

今では近親相姦までが是認を求めて声を上げている

「児童はすべて,親・兄弟姉妹・他の責任ある大人あるいは児童と性的なものをも含め,愛ある関係を持つ権利を有する」― 児童性愛サークルの指導者の著わした「児童の性の権利章典」第7条。

隠された犯罪,近親相姦はこれまで,いわば舞台の両そででじっと待機していましたが,今や自分の出番が来たとばかりに舞台中央の前方へ進み出ています。

毎年全米で新たに5,000件が通報されており,通報される1件につき通報されないものが10ないし20件あると専門家は言います。ある近親相姦診療所の一所長は,「近親相姦はアメリカ中に広まっていると思う」と述べています。一育児研究家の述べるところによると,近親相姦は「強姦よりも広く見られ,通報されることは強姦以上にまれである」とのことです。中には,今日のアメリカ女性のうち2,500万人は子供のときに近親相姦的な強制わいせつ行為を受けたという推定もあります。他の国々でも同じような問題が増大していることを報告は示しています。児童虐待に関する新刊書は,「今や最新の流行は父親と息子のセックス・クラブである」と述べています。ある情報筋によると,「発生率が余りにも高いので,規制は無意味である」と言われています。もし犯罪がひどくはびこっているのであれば,それと闘う理由はない,と言わんばかりの奇妙な論議です。

最後に引用した意見は奇妙なものですが,その出所を知ると合点がいきます。これは近親相姦に賛成する圧力団体の推し進める数々の論議の一つなのです。「今日の心理学」誌の1980年3月号は,近親相姦を支持する圧力団体の主張の幾つかとして,次のようなものを挙げています。

「近親相姦体験の中には積極的で,有益とさえ思われるものがある」。「場合によっては,近親相姦は積極的かつ健全な体験か,悪くても,どっちつかずで退屈なものか,そのいずれかである」。「近親相姦に対する恐れは,家庭内での愛ある感情の表現に,身を凍らせるような影響を及ぼす」。

「今日の心理学」誌に載せられた記事の筆者は,こうした近親相姦賛成派の論議に同意していません。その記事の筆者はこう述べています。「あるがままの自分として,つまり自分が与えることや自分がなることのできるもののためにではなく,自分自身の存在ゆえに愛されることは,子供にとって物質の栄養と同じほど切なる願望なのである。しかし,自分の存在ゆえに愛されていることと……年長の者の性欲を満たすために利用されていることとの違いを,幼い時から見分けられる子供はほとんどいない」。

タイム誌の1981年9月7日号に,「揺りかごから墓場までの親密さ」と題する近親相姦賛成の宣伝<プロパガンダ>が載りました。

「ごく幼い子供たちも,親や法律の介入を受けずに,充実した性生活を送ることが認められるべきであり,さらにはそうすることが推奨されるべきである」。「ヒトは他の霊長類と同様,初期の性のリハーサル遊戯の期間を必要としている」。「子供たちは実際には権利を奪われた少数派である。子供たちには,性的に自らを表現する権利が与えられてしかるべきである。これは自分よりも年が上の人々と接触を持っても,持たなくてもよいという意味である」。「そのようなセックスは子供にとって基本的には無害である」。「近親相姦は時として有益なものになり得る」。「子供は生まれてすぐにセックスを始めるべきだと我々は信じる。近親相姦をならわしにしないと多くの問題を引き起こすことになる」。

タイム誌の記事は結びに,幾人かの精神科医の見解を載せています。そのうちの一人は,「この社会の子供たちの間で行なわれている未熟な性行為は,必ずと言ってよいほど心理学的な問題を引き起こす」と述べています。子供たちの治療に当たっている別の精神科医は,「児童期の性行為は,弾を込めた銃をもてあそぶようなものである」と結論しています。

自分のしたいことをしろ,という俗受けするスローガンもやはり弾を込めた銃です。売春あっせん人は自分のしたいことをしているかもしれませんが,それは,“少女売春婦<ベイビー・プロ>”のしたいことではありません。男色者は自分のしたいことをしているかもしれませんが,それは幼い被害者のしたいことではありません。近親相姦にふける親は自分のしたいことをしているかもしれませんが,それが幼い子供のしたいことであるとはとても言えません。子供にとって一番望ましいのは子供であること,安心して児童期を送り,結婚した両親からの愛を注がれることです。愛とは他の人のことを考えることであり,自分のしたいことをするのは自己中心的な考えです。

近親相姦は子供に対する虐待の中でも最も利己的でとがむべきものでしょう。それは子供の信頼と依頼心とをグロテスクな仕方で侵すものです。子供の一番身近な保護者が急に子供に襲いかかるのです。そして,子供は損なわれて犠牲者になります。“性による精神的外傷治療計画”の元委員長,スーザン・スグロイ博士は,「近親相姦の犠牲者であることを私が承知した上で話し合った人の中に,幸福で,環境によく順応し,心配をしていない人はこれまでに一人もいなかった」と述べています。

ニューヨーク市のオデッセー研究所の所長,ジュデーヌ・デンセン-ガーバー博士はこう述べています。「私自身,治療に当たって,近親相姦の被害者であるこれらの子供たちを扱うのが一番難しいと思う。殴打され,虐待され,火を付けられ,むち打たれた子供よりも難しい。というのは,少なくとも虐待された子供たちは自分たちに対してなされている事柄と愛とを混同していないからである。『愛している』と言いながら子供を性的に利用する親は,自分の生活の中でだれとも,治療専門家<セラピスト>とさえ親しい関係や信頼感を築いたり,約束を交わしたりすることを恐れる子供を育てていることになる。殴打された子供とは異なり,その子は愛情を求めるのではなく,愛情を恐れ,極端に孤立するようになるからである」。

「純潔の死」という本の129ページには次のように書かれています。「売春婦の間で,子供のころに性的に迫られたことのある者の割合は92%であった。67%は何らかの形での近親相姦的な暴行を経験している。……全米平均で少なくとも家出人の75%は,近親相姦的な虐待から逃れて来る。青年期の麻薬中毒の場合にも同じ数字が当てはまる。約70%は近親相姦の犠牲者である」。

この点でも,同性愛行為の場合と同様,聖書はこれを死刑に相当する犯罪とみなしています。「あなた方は,すなわちあなた方のうちのだれも,自分の身近な肉親に近づいてその裸をさらしてはならない。わたしはエホバである。だれにせよこれらすべての忌むべき事柄のどれかを行なうならば,それを行なった魂はその民の中から断たれねばならない」― レビ記 18:6,29。

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